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『コロセウス 少女戦役』の話。

 毎日、その雑誌の名を検索してなぜか迷ってこの月に不時着してしまう方が多いので、そういう話も雑談として語ってみてもいいかなあ、と、わからないひとにはまったくなんのことだかわからない話をしてみます。

 表題の作品名が、次号予告に載っていたのが2006年5月10日発売号。
 三ヶ月後、8月10日発売号に、その作品はなく。
 お詫びが載っていた。

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 なお予告にありました雁野航先生の「コロセウス 少女戦役」は、イラストレーターの樋口ゆうり先生体調不良のためお休みさせていただきます。

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 なんかイイワケくさい。
 と思って樋口ゆうりさんのサイトに行ってみた。
 ら。

 休止中

 ↑、まだ残っていますか?
 ざっと要約すると、樋口ゆうりさんご自身の言葉で体調が優れないこと、雁野航さんとも相談の上で掲載を見送ったこと、同じ理由でコミックリンクスの連載も休み、ご自身のサイトも休止にするということ、が書かれています。どうやらイイワケでなく本気で不調のようだ。

 日付は8月17日。
 『コロセウス 少女戦役』
 予告にはあったけれど載っていないよ号が出た直後です。
 そこで不安がよぎります。
 サイト休止、来年の仕事も未定で。
 と断言している、その文章。

 雁野航さんと担当さんに相談した。
 そのときに、

「ちょっと休みます」

 と言わなかったかどうか。
 コミックリンクス連載について、休むが打ち切りではない、から「気長にお待ちいただけたら幸いです。」と結んである。
 そのスタンスで話が通っているのではないか。

 読者は、樋口ゆうり先生体調不良のためお休みさせていただきます、と言われれば、ああそうなんだじゃあ次の号までまた三ヶ月待たなくてはいけないんですね雁野航の新作を読むのに。とそう取るでしょう「お休み」って。

 で、三ヶ月後。
 2006年11月10日発売号。

 雁野航作品なし。
 お詫びなし。

 次号予告に、
 『赤道散歩』
 雁野航 × 藤たまき
 の表記。

 『赤道散歩』──『コロセウス 楽園の少年少女』のシリーズである響きではない。そう、雁野フリークにとって、もっとも待ち望むのは雁野作品の文庫化でありその作品を歴史に残すことである。だいたい、応援したくても雑誌を何冊買ったところで書き手の稼ぎにはならない。買うなら、そして人に勧めるのなら、書籍化されたものを宣伝したい。もちろん、ひとつの宝物として、一冊の本という形で手元に置いておきたい。

 しかし、読み切り形式が基本の雑誌において、一冊の文庫分の原稿量は単発の物語ではまかなえず、シリーズ化、連載が必要となる。いきおい、凄絶な話を書く作家にとっては、頭の痛いことになる。登場人物が全員ずたぼろになって、主人公は苦悩の果てにいっそ人ではないものになってしまっていたりする作風だと、続編は書きづらい。私の大好きな『男たちの挽歌2』のように、違う都市で同じ顔の双子の弟が活躍する話にでもするしかないが、それは演じているのが同じ役者であるから見ているほうも錯覚してどうでも良くなってしまうのであって(放映中のアニメ化『蒼天の拳』もまさにそれだ。『北斗の拳』の続編なんて時代を変えるしかない)、小説では難しい。

 雁野航さんはまさにそういう作家で、雑誌にはデビュー以来、何本も書いているが、文庫化はいまだ『洪水前夜(あふるるみずのよせぬまに) 』のみである。

 そういう大好きな作家が、ようやく『コロセウス』というシリーズを書きはじめた。私はプロレス好きで、そのネタは、まさにウィングスで演るなら絶対そのうち使おうと心に決めていたものだが、もうこれで使えなくなった。悔しいが、雁野タッチ炸裂の、少年少女戦士にオッサンも巨女もありという全身全霊ぶりを見せつけられては、歯がみしながらも拍手喝采するしかない。続編、どう来るんだろうともう書き手側ではなく読み手側オンリーの心持ちで待っていた。

 ら。くだんの出来事なのだった。
 だから事情は察することができる(むろん推察にすぎない。本当は少女がイジメにあう描写などがあって時事的に見送られたというようなことだってありうるとは思う)。雁野フリークを公言する読者は多い。待望の文庫化可能なシリーズだ。だとしたら。一冊の途中でイラストレーターを変えるわけにはいかない。小説書いた本人が「挿絵を見て、感激と衝撃で右脳と左脳の隙間に落雷した」というこの人しかない挿し絵師なのである。いまさら初回のイラストを差し替えるわけにはむろんいかない。

 というわけで。
 挿し絵師復帰待ちでシリーズは眠りについたのではなかろうか、と。
 思うのだ。
 そして、だとするならば。

 「気長にお待ちいただけたら幸いです。」
 じゃない。
 来年の予定は未定、では困りますよ先生っ!
 樋口ゆうり先生!!

 もちろんです。作家は躯が資本です。
 不調のときは休んだほうが良いです。
 しかし、せめてその一話。
 その一話を、もう数年も待っていた読者の多くいることを。
 心に留めておいてください。

 ええ。あのお話しの続きなら、あなたの絵で読みたい。
 これはファンレターです。
 酷を承知で、いちファンは吠えます。

 早く帰ってきてください。
  
 待っています。
 心から。

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