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『恋するすだち』のこと。



sudachi

カレーはナンの添え物だ。
そう私が言ったら反論されたので、
ピザの主役は生地だろうと応戦した。
アンチョビ・ピッツァ。
アンチョビを抜いてもかろうじてピザの体裁が残るが、
生地を抜いてアンチョビだけの姿をそう呼ぶ者はいない。
北京ダックの皮は春包のために焦がされる。
餃子もピロシキだって、具抜きの餃子はあり得ても、
生地抜きのピロシキなどありえない。
酒好きでしかも蒸留酒派なので、
パンとウォッカを婚姻の儀式の道具にする、
凍える国の単純な思想にあこがれていた。
体をあたためるウォッカと、生きるための小麦粉。
その摂取が生きること。
生きることを愉しむのはその摂取を愉しむこと。
カレーパーティーが終わって。
見ず知らずの客人とゲームを始め、
余ったナンとウォッカでくつろぎながら、
「次こそ殺してやる」
「ハヤテの雷神むずすぎっ」
(パッドで出るのかアレは?)
盛り上がって日付も変わり数時間。
ふと振り返ったら少女たちは、
凍える冬に向かって毛糸を囲んでいた。
そっちのが可愛いよ。
ううんそっちが素敵。
すだちを着飾らせている、
彼女たちを見ていたらあたたかくなった。
暑いから肌を磨き、
寒いから着飾る色をさがす。
そうやってヒトは愉しんで生きてきたんだ。
パンとウォッカ。
でもパンにつけるカレーがあるとなお。
酒だけでなく毛糸と暖炉があればなお。
生きていることは愉しい。
毛糸の色に悩めばなお愉しい。
彼女たちに訊いた。
タイトルは?
「こいするすだち」
──彼女たちは愉しむことを知っている。

komono

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