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『青いカニカマタコス』の話。



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ひどく暑い夏に。

爽快サイダー!

と書かれた、入浴剤を見つけて。
幼い息子がはじめて行った銭湯で飲んでから、ラムネ好きなのもあり、買って帰って。

料理も火を使いたくないので、ちらし寿司どーん。あと具材適当に。みたいなことが多くなり。

でも食欲はあるので、刺身ではなく、揚げたのが欲しくて、総菜を買いにスーパーへ行くと、サイダー味のカニカマがあり。

うーんと思ったが、息子を連れていたのでスルーもできず。見せたら買うことになり。

かき氷のシロップって、着色料と香料でそれっぽくした、同じ味の使い回しだという。

このカニカマもまあそうでしょう。
実際そうだったのだけれども。
だからこそ子供だましは、本当に子供をだます。

「サイダーだカニちがう!」

いやもともとカニではなくて、かまぼこなんだけれども。味もきっちりそうなのだけれども。きっちりサイダーの香りがするから、サイダー味だと受け止める。

とにかく寿司具としては拒否られて、後日、私が食べた。

タコスの具にして、ニンニク添えてライムしぼって。なんで、かまぼこの臭みを消して喰わなならんのかと愚痴りつつ。

インスタ映え至上主義社会め。
そうか撮っておくか。
ということで撮ったタコス。
おいしくはない。

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 この話の教訓は。

「破壊力のあるコスチュームプレイは中身を凌駕する」

 前回、国立民族学博物館の特別展を観に行ったら写真が撮れなかったという、くだりがあったのですが。

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『猫鬼』の話。

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 もちろん撮影できる常設展も観てまわった。

 入ってすぐ、アメリカ文化のコーナーで、息子が言った。

「あ、これおとうさんの焼くやつっ」

Crabcider02

 そしてルチャ・リブレのレスラーをさがしたが、いなかった。タイのコーナーにはムエタイ衣装のボクサーマネキンが立っているのに、なぜこっちにはマスクマンマネキンが立っていないのかといえば、そこがアメリカコーナーだからだ。私がいつも、タコスは、いま観ているこのプロレスの国で食べられているものなのだ、と説明しているために、彼のなかではトルティーヤを焼く国にはマスクマンがいないとおかしいことになっている。

 そう考えると確かに、トルティーヤの説明を見ても、アメリカ中央からメキシコにかけて主食にされていたパンだということになっていて、トルティーヤという呼びかたがスペイン語由来なのに、いまでもアメリカのそれもトルティーヤと呼ぶ。それなのに、娯楽スポーツの王様プロレスに関しては、厳密に国境というものが作用して、そこを越えるか否かで呼び名が変わる。

 深読みすれば、そこには娯楽であるがゆえに、世相を反映させてきた歴史がある。装飾的な覆面によってはっきりと善玉と悪玉を描きわけ、悪はわかりやすくルールを逸脱して勝利をもぎとろうとするのに、善は正攻法でそれに打ち勝つ。いったんはくじけるが巻き返すといった構成を取るために三本勝負が主流となった、ルチャ・リブレは、世界中のプロレスのなかでも、特段に演劇的要素が強い。

 大衆演劇として見れば、近年のルチャ・リブレ悪役にアメリカのトランプ大統領の狂信的支持者であるとする設定のレスラーがいるようなことが、延々と続けられてきたのに違いなく、それはまあ、国境を越えた隣の国から見ればネタにされて「あいつらのはスポーツとしてのプロレスじゃねえべつもんや」という意味での線引きがなされることは自然ななりゆきである。

 なんの話だったか。

 トルティーヤだ。
 しかしてそれに国境はなく、極東の現代、我が家でも盛んに食べられている。というかこれ、トウモロコシの採れまくる場所では(殻をやわらかくするのに石灰を加えたりもするそうだが)トウモロコシをそのまま、小麦が生えたら小麦をそのまま、ただ粉にして水で練ってのばして焼くだけのもの。

 当サイトのレシピもリンクしておこうか。

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『トマト缶でサルサソース、タコスに暮れる』の話。

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 うちでも、あった粉で作る。それだけのものである。それだけのものを、いちいち呼びわけたりするのも面倒くさいというか、そもそも具を挟んだらタコスと呼んでしまったりするように、トルティーヤ自体は実にどうでもいいこれ以上単純化しようもない膨らませさえもしていないパンとも呼べない食べられる粉の布みたいなものにすぎないから、アメリカにおいても小麦粉で作ったらフラワートルティーヤとか、呼びにくい長い名前で定着してしまったのかもしれない。呼ばない相手の名前なんて、長かろうがそりの合わない他国の言語の響きだろうが、それこそどうでもよくて。

 逆説的には、そのシンプルさゆえに、形を変えず世界で食され続けているのだとも思う。名もなき平らなパン。そういう中身だから、なにを着せても、なんの味にでもなる。もしも青いサイダー味のトルティーヤが始祖だったとしたら、第一国境を越えることなく足蹴にされていたと確信する。

「そっちではそんなの着せてたのしんでいたのかい。いまいちだねえ。こっちではそののっぺりしたのに、こういうのを着させてゴージャス受で売り出そうってもんさ」

 映画スターが、稼いだ金をつぎ込んで、のっぺりした受をみんなの餌食に仕立てあげて、さらに大もうけしたという話も聞く。

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『ルチャ・アンダーグラウンド』の話。

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 その店のトルティーヤになるともう、具を包んでもいない。皿に敷いてある。そのうえにゴージャスな料理が盛ってある。看板にトルティーヤ、タコスと書きたいだけなのがあからさまだが、映画スターの高級タコスとして成り立ってしまうみごとな仕立てでもある。

 重ね重ね、中途半端にトルティーヤが主張すると、これらは成り立たない。博物館に展示される昔から、なにひとつ変わらない、ただ食べられる粉をのばして焼いただけのものだからこその自由。

 我が家でのサイダーソーダ風味青いカニカマ処理は、こんな感じだった。

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 チキンとソーセージとニンニクの芽を炒めたのに、サラミと卵、刻んだキャベツ。トマト缶に冷凍パプリカと玉ねぎ混ぜた即席サルサソース。と、ライム。

 そして焼いたニンニクと、青いカニカマ。

 なにがなくていいってカニカマに決まっている。
 来年の夏に見かけても、ぜったいに買わない。

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