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『劇場版 仮面ライダージオウ Over Quartzer』の話。



 映画は人生を変えるし、人生が変わると世界も変わる。

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映画『オッド・トーマス 死神と奇妙な救世主』の話。

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 その映画が私の人生を変えたのは2014年の正月のことだった。たぶん物理的に私の体内でなにかが変わったのだと思う。結婚して十年が過ぎて、どっぷり高度不妊治療にまで手を出していたのに、翌2015年、ふわっと息子が生まれた。

 2019年平成が終わろうとするころ、つぶやいたこと。

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・予告が流れはじめて息子がバンブルビーバンブルビーうるさいが、そもそもトランスフォーマーの映画をビデオでだって一本たりとも最後まで観通せたことがないクセに生まれて初めての映画館でその系譜とか、だいたいいっしょに観に行くなら劇場で吹き替えって私の主義に反するし…というような葛藤中。

・映画『ドライブヘッド~トミカハイパーレスキュー 機動救急警察~』は「劇場を暗くせず」「音も大きくせず」「上映時間も短い」から「映画館デビューに最適!」という売りかたをしていたので、そんな映画でデビューさせるか! と家で観た。大音量で。 

twitter / Yoshinogi

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 どっちもけっこうな熱量で観たがっていたけれど、けっきょく家で観て、それはそれで大興奮はしていたが、映画館デビューは先送りされ……

 お盆の保育園は閑散としている。私は別に好きでやっている仕事だけれど、あれなんかみんなどこ行っちゃったんだろうという顔をする息子には言葉で説明するのもまだむずかしいので、もうしわけないという気にはなる。

 お盆が終わったので、平日の休み、保育園は休ませて、訊いた。

「どこ行きたい?」

 即答で、仮面ライダーとスーパー戦隊の映画だった。暗いけど大丈夫、などと自分から言う。そんなのはもう却下しようがなく、近所の映画館でさがしたら、夏休みも終わりの週、上映館も限られていて。

 そこへ行った。

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 すでに仮面ライダーのポスターは撤去されているが、別の感慨がある。これも一種のお礼参り。同じ映画館で数年前に『オッド・トーマス 死神と奇妙な救世主』を観たときには、息子をここに立たせて写真を撮るだなんて世界の在りうることなど、みじんも考えていなかったのだから。

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 そういう意味では、あのときオッドくんと並んでポスターが貼られていたのは『仮面ライダー×仮面ライダー 鎧武&ウィザード 天下分け目の戦国MOVIE大合戦』。

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 仮面ライダーも、数年後に平成ライダーの歴史が終わろうなどとは夢にも思っていなかったに違いない。

 梅田ブルク7、午後の回。
 ネット予約で指定席を取った時点で、これは、と思ってはいた。中央ど真ん中の席が空いていたのみならず、周囲で押さえられている席が二席ずつパラパラと……かくして入場してみれば。予約取ったカップルが数組に、あとはポップコーンとコーラで武装した飛び込みのひとがそこそこ。半分くらいの席が埋まったのだが、見わたして確認したほどに、予想を上回る夏休み終わりかけの客層だった。

 18歳以下のヒト、うちの息子ひとりだ、これ。

 完全に大人の会場。それもネット予約で中央の席ではなくあえて後方隅を取るようなカップル何組かを含む。

 そこで四歳なりたて男子、映画館デビュー。

 静かに観ていました。だってほかに子供がいないんだもの。静かな劇場で映画は静かに観るものだとすり込まれたことでしょう。いち大人映画好きとしては、いいことだと思う。夜の部では応援上映というのもあったのだけれど、昼の部でさえこうなのだから、夜が更けての声を出していい上映が、大人たちのストレス発散大会になっているのだろうことは想像にかたくなく、この回でよかったとつくづく。

 さて、映画の内容ですが。とても静かな劇場で、前のめりになりながらも静かに「え、あれは」「は、それって」などととなりで独りごちながら観ていた息子に、語って聞かせられなかったことを少し。家で観ていたなら、私は大興奮して語っていたでしょう。それくらい『劇場版 仮面ライダージオウ Over Quartzer』は、子供には仮面ライダーてんこ盛りでそれはそれでたのしませるが、仮面ライダーを観続けてきた大人にとっては唸り続けさせられる物語を用意してくれていた。

 まず、これ読んで。
 基本情報。

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『仮面ライダーゼロワン』の話。

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 自己引用。

「思えば『平成仮面ライダー』シリーズのはじまりは、あいまいだった。私もしっかり観ていた『仮面ライダーBLACK RX』の途中で昭和が終わって平成になったから、RXが昭和ライダーにカウントされるのは納得しよう。だが、平成初期にビデオ映画や劇場映画として制作された仮面ライダーたちは、まぎれもなく平成生まれであり、以前に語ったこともあるが、いまも私がシリーズ開始を待ち望む『真・仮面ライダー』や『仮面ライダーJ』『仮面ライダーZO』は、コンセプト的にも人造怪人という特殊な仮面ライダーの立ち位置を推し進めて、町の平和を守る脱走怪人昭和ライダーたちとは一線を画し、平成末期の『仮面ライダーアマゾンズ』に、むしろ近い」

 『劇場版 仮面ライダージオウ Over Quartzer』のラスボス、ISSA演じる仮面ライダーバールクスは、言う。

「平成をやりなおす」

 すっきりさっぱりさせるのだ、と。終わりを迎えた平成ライダーの歴史を見てみろ、ごちゃごちゃのむちゃくちゃだ、と。

 実際、正統シリーズとして電車や車やロケットのくせに仮面ライダーを名乗っている連中もいれば、『劇場版 仮面ライダージオウ Over Quartzer』には他局で放送された平成仮面ライダー亜流の演者、木梨憲武や稲垣吾郎の存在まで盛り込まれている。

 一方、仮面ライダーバールクスがベルトから「リボルケイン!」と叫んで剣を抜いたとき、息子が言った。「あのまるいのなに」。リボルケインには、昭和の仮面ライダーを象徴する風車が組み込まれているのである。平成生まれにはわからない矜恃だ。

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 「BLACK RX」のアナグラムで「BARLCKX/バールクス」。

 側近ふたりの名前は、仮面ライダーゾンジスと、仮面ライダーザモナス。

 「SIN」「ZO」「J」のアナグラムで「ZONJIS/ゾンジス」
 「AMAZONS」のアナグラムで「ZAMONAS/ザモナス」

 つまりこう。

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 DA PUMPのリーダーの言うことは正しい。私も書いたそのままだ。平成が終わったいまも叫び続けている。

「真・仮面ライダー序章の続きを観せろ!!」

 そこにいちばん近く描かれた『仮面ライダーアマゾンズ』で、満足すべきなのか。平成がやりなおせたら。これだけ仮面ライダーが世間に認知されるとわかっていれば、仮面ライダーBLACK RXでテレビシリーズに一区切りをつけたのは失敗だった。あのまま毎年作り続けての平成ライダーシリーズであったなら、電車だとか車だとか、平成最終ジオウが仮面ノリダーに諭されるようなメタメタな映画で締めるようなことにはならなかったであろう。きっとアマゾンズがヒトを喰いながら泣いて帰ってきたシンの爪で斬られるというような、嗚咽むせび泣く平成の締めになっていたはずだ。

 それでこそ仮面ライダー。
 人造人間の悲哀。
 哀しみなくして仮面ライダーはない。
 だから仮面ライダーバールクスは、悲しみの王子ロボライダーではなく、怒りの王子バイオライダーのチカラを解放したのに違いない。逝ってしまった平成の王、三沢光晴の棺に入れられた仮面ライダーフィギュアが昭和ライダーだったのをぼくたちは忘れない!!

 というような昭和から平成を仮面ライダーに熱狂しながら生きた私たちの代弁者がDA PUMPのリーダーで、息子がまた小さい声で「あれ。かーもんべいびーゆゆゆユーエスエーのひと?」と言ったので私は泣いた。ぜんぜん伝わってねえじゃねえか。こいつにとってISSAは保育園でダンスの練習するためになんども見せられたヒット曲の歌い手。どこが平成をやりなおすだ、ジオウむちゃくちゃじゃねえかぁぁあぁあ!!

 と、心のなかでわめきながら、私も仮面ライダーバールクスとともに粉砕されて虚脱して、巨大スクリーンには令和初代ライダーである仮面ライダーゼロワンが現れて、息子はついにたまらず「ぜろわんっ」と叫んでしまい。私はゼロワンの声が、想像以上にカン高いことに驚いてしまった。仮面ライダー響鬼で一瞬本郷猛に回帰しかけたが、やはり平成ライダーの流れは美少年コンテストと化している。ショタに寄りすぎだろう。哀しみと渋さをだな……

 思いつつ、一時間半を前のめりのまま暗かろうがうるさかろうが映画デビューをみごとに極めた息子を横目に、そういえばこいつと『仮面ライダーアマゾンズ』を観ると、渋さで途中で飽きちゃうんだよなあ、と思い出す。

 平成仮面ライダーの王ジオウが、昭和と平成の最後の架け橋BLACK RXを老害だと平成ライダーキックで黙らせる映画から、四歳男子のヒーロー道は、はじまっていくのである。

 そりゃまあ、哀しくなくてもいいなら、それでいいか。

 平成終了。
 仮面ライダーは続く。
 でもやっぱり、あのままBLACK RXとシンが続いていればと、言い続ける語り部いてこその『劇場版 仮面ライダージオウ Over Quartzer』であったことは事実である。正統継承者である令和ライダーたちが、クソだったらクソと言う。そうして私も新時代を生き続けたいと思いながら、梅田のウルトラマンショップに寄って帰りました。

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 なんでタロウの息子のお面をつけたヒトの幼児とセブンの組みあわせなのか。どいつもこいつもメロドラマを無視して子供ウケすればいいと思ってやがる。いいんだけど。それで生き残っているわけだけれども。気高さを忘れるなとちゃんと言い続ける老害になろうと心に決めたりもする。

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