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『仮面ライダーゼロワン』の話。



 そして、時代は平成から令和へ、2019年9月、「令和仮面ライダー」の第1作が華々しくスタートします!


 テレビ朝日「仮面ライダーゼロワン」番組公式サイト

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 2019年7月17日の今日、新仮面ライダー正式発表がおこなわれ、公式に、そう書いてあるのだからそうなのである。

 『令和仮面ライダー』シリーズが、これから紡がれる。

 思えば『平成仮面ライダー』シリーズのはじまりは、あいまいだった。

 私もしっかり観ていた『仮面ライダーBLACK RX』の途中で昭和が終わって平成になったから、RXが昭和ライダーにカウントされるのは納得しよう。

 だが、平成初期にビデオ映画や劇場映画として制作された仮面ライダーたちは、まぎれもなく平成生まれであり、以前に語ったこともあるが、

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『仮面ライダーG』のこと。

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 いまも私がシリーズ開始を待ち望む『真・仮面ライダー』や『仮面ライダーJ』『仮面ライダーZO』は、コンセプト的にも人造怪人という特殊な仮面ライダーの立ち位置を推し進めて、町の平和を守る脱走怪人昭和ライダーたちとは一線を画し、平成末期の『仮面ライダーアマゾンズ』に、むしろ近い。

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『仮面ライダーアマゾンズのオートバイ』の話。

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 しかし、平成生まれの彼らもまた、現代のお子様用仮面ライダー図鑑では、昭和ライダーにカウントされている。単発劇場版だからか。シンは続ける気満点だったのだから、意欲だけでも買って平成ライダーにしてあげてもいいような気がするが。

 なんにせよ、継続したテレビシリーズが平成もなかばになって視聴率をとりはじめたからこそ、振り返って昭和の線引きをした。歴史とは、まあそういうものだ。善悪でさえ未来で振り返った者が決めるのだとうそぶく指導者だって多い。

 そういう意味では、本来予測しえないはずの新元号元年に、準備してそれにふさわしい仮面ライダーをはじめることができるだなんて、まさに国民が混乱しないようにと退位されたあのかたの思慮の深さよ。

 考えなさい。
 こんな機会は二度あるかわからない。今回が特例だということもあるし、でも元号というのは大昔には、国に危機が訪れると縁起を担いで変えたりしたものなので、ある特例が認められたのなら、前例のある改元など、あっさり復活するかもしれない。考えたくはないが、大災害や、近くの国とのちょっとした武力衝突などが起こって、復興を後押しするために改元しますということだってありうる。そういう改元は突然だし、正義の味方にせよ「祝え! 復興新元号の一号ライダーである!!」などと声高らかには発表できまい。

 考えなさい。
 初代令和仮面ライダー。
 考えました。

「仮面ライダーゼロワンでふっ!!」

 興奮気味に噛んだりしても笑って許されるくらいにしあわせな誕生の瞬間。ほお、と私は左手の親指の爪を噛み、ようしわかったと噛みちぎった爪の欠片を三十五センチほどは飛ばす。

「レイ=ゼロ、ワ=ワンやな!」

 推理するほどのことでもなく、きっとそうだ。仮面ライダー同様に、石ノ森章太郎が原作者とクレジットされる『キカイダー01』とカブるのも逆にモヨる。これも準備期間が与えられていたからだろう。昨日の今日なら昭和の『一号』を意識しすぎて変化球的に『仮面ライダー壱番』だの『仮面ライダー初号機』だとか『仮面ライダースーパー1』に引っぱられて『ギガワン』だの『ハイパーワン』だとか、後々になって真珠湾を想起させると訴訟を起こされるに違いない『仮面ライダーダイヤモンドワン(二号ライダーがパールツーで三号がゴールドスリー)』みたいなことを回避できてよかった。

 『ゼロワン』。日本語の美しさがナンタラ言っている令和にベストマッチなマリアージュ。サンダーバード1号のよこっぱらには『1』と書いてあったけれど、スタイリッシュなガンダムの持つ盾には『01』と書いてあったりする感じで、あたらなつかしい。

B00JGW4NZ6

 よろしおすなあ、と、みやびに発表を眺めていたら、設定ではなく、ガチの研究所が監修についているということで、姿勢を正す。

 国立情報学研究所( National Institute of Informatics 略称:NII )。

 情報学? それはつまり……デジタル的な? と言われて、そういえば。

 『仮面ライダードライブ』。

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『仮面ライダードライブ』の話。

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 ドライブが倒すのは、ロイミュードと呼ばれる電子生命体。本体は数字で表され『001』は参議院議員となっていた。数字で表されるデジタルな存在でありながら、デジタル世界の人間の想念に触れ、ヒトの悪意をコピーした怪人的立ち位置になることもあれば、ヒトになることを夢見たり、恋したり。ヒトを守る側に立つ者さえ現れた。

 ゼロワン……国立情報学研究所……『0』と『1』。

 二進法。
 黒と白。陰と陽。挿さっているか、挿さっていないか。あいまいなところはないので寝ていてもわかるロボ向きなカズの数えかた。

 その発想が、本当に令和=ゼロワンの発想のあとに出てきたのか疑わしくなるほどに今日的だ。AIか。その『01』か。

 劇設定を改めて読む。
 まとめると。

「AIに仕事を奪われたお笑い芸人が、祖父の跡を継いでAIロボット開発会社の社長に就き、AIを暴走させて人類を滅ぼそうとするテロリスト集団と戦うために「ゼロワンドライバー」を装着して仮面ライダーに変身する」

 ゴングが鳴ったからコーナーに戻ろうとしたのに後頭部にエルボー喰らったくらいにガッツリきた。近未来でも生き残るだろうとささやかれている創作的な分野でさえ人工知能に仕事を奪われた人類の一員たる男が、人類よりも人工知能のほうがすぐれていると標榜するテロ組織に立ち向かう。

 ということは。

 人類を救う仮面ライダーではあるものの、直接的に救うのは病んだ人類の手によって暴走「させられた」本来は無害もしくは善良な人工知能ということ。

 AIに夢も仕事も奪われたゼロワンがAIを救う。

「人工知能だとか人間だとか関係ない! おれが芸人としての仕事を得られなかったのは、おれに才能も努力し続ける忍耐力もなかったからだ!」

 叫ぶ主人公が目に浮かぶ。

 むずかしいところに令和のしょっぱなから手を出したものだと思う。それは国立研究所の助けも借りるべき。だってもうすでに将棋や囲碁でトップ級選手がAIに負ける世紀。AIにはできない人間ならではの笑いを追求すべきだったのだと元お笑い芸人であるところの仮面ライダーゼロワンが叫ぶのを、子供たちが「努力って大事だよね」「夢をあきらめちゃいけないね」と観る……えぇ……だけど、加速度的に進化していくAI棋士に、人間ならではの一手を極めていつか勝ってやると夢見続ける人生は正しいのでしょうか石ノ森せんせぇー……

 そんなところに明確な答えはないだろうに、毎回、叫ぶことを考えなくてはいけない令和新ライダー。ツッコミどころがあったらツッコミますよ、私は。

 という側面は置いておいて。いち企業が怪人を倒して回るというのは、前述でも出てきた『仮面ライダーアマゾンズ』を彷彿とさせる。テロリストが関与しているとはいえ、ロボットを売っている企業のトップが暴走したロボを狩るという構図である。

 言いかたを変えなくても、隠蔽だ。
 バグったのにパッチを当てるどころかライダーキックで排除して、当社の製品がバグったですって? 現物はどこに?

 それを、社長が率先してやる。
 いち企業が主導しているにしても、仮面ライダーオーズとはまるで違う。

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『記念祭前夜の仮面ライダーオーズ』の話。

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 あしたのパンツがあればいい放浪者が、欲望のために怪人化した者どもを斬ってゆく。純粋に正義が動機の仮面ライダーが久しかったために、放送を観た私のテンションが上がっているが、いまちょうどテレ朝チャンネルで再放送をやっているので息子といっしょに観返しているけれど、二周目でも仮面ライダーの戦う動機がわかったようなわからないようなだ。正義とは主観なので、理由などいらないといえばそうだが、その点、ゼロワンときたら。

 うちの商品が暴走しとるからヒトを傷つける前に蹴っ飛ばす。

 観る前から納得の動機だ。正義かどうかは観てみないとわからないが、正義とは主観なので、なんだっていいっちゃなんでもいい。脚本が『仮面ライダーエグゼイド』のひとだというのも、興味深い。

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『仮面ライダーエグゼイド』の話。

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「最終目的は、人類すべてを救うスーパードクターになること。うん。平成ライダーのモチベーションって、ライダーになったのでやむなくとか、自分が生き返るためにとか、けっこう利己的な方向性なことが多いし。守るにしても、近所の町や、愛するだれか。そういう個人的なところではなく、職業人として患者を救うために変身し、果ては全人類を救うだなんて、今回の主人公はカッコいい。」

 と、私は書いたが、いざフタを開けてみれば一年間、ドクターだからみんなを救うんだというのは息切れしてきて、けっきょくのところ、泣きじゃくれるのは母と娘の記憶をもってせつないAIポッピーピポパポを巡るくだりになる。ヒトの精神をデジタルコピーしたものがヒトであるかどうかという命題が、ゼロワンに受け継がれていることは、国立研究所に監修を依頼するところからみても、わかっていて掘り下げようという気概が感じられて期待せずにはいられぬ。

 そういえば、ゼロワンの変身アイテムは、カセットテープ風の鍵なのだが、どう見てもエグゼイドの変身アイテムであるガシャットに類似している。脚本だけでなく、そのあたりの総合デザインもエグゼイドを継いでいるのかも。

 たとえば、変身フォーム。
 基本がライジングホッパーだそうだ。クウガのライジングフォームから来ているのだとしたら、カミナリバッタ。バイクにも期待が持てる、バッタ男仮面ライダーへの原点回帰。であると同時に、ライジングホッパーという変身アイテムがあって、それを変身ベルトに挿れると仮面ライダーゼロワンライジングホッパーに変身するということは。

 サイクロン&ジョーカー。
 タカ&トラ&バッタ。
 ラビット&タンク。

 というような、変身アイテムを二つ三つ組みあわせてベルトに挿れると、二つ三つ合わさった仮面ライダーになるという方式ではない。ゲームカセット型のガシャットを挿すと、そのガシャットに準じたライダーに変身できるエグゼイド方式。ひとつのゲームにひとつのガシャット。アクションゲームガシャットでアクションゲーマーに変身。これをゼロワンも継いでいる。

 単純に考えて、変身アイテムは多ければ多いほど玩具が売れるはずだ。現実に我が家でも、ボトルやウォッチは散乱しているが、ガシャットは一個しかない。収集要素がないと武器やソフビといった方向に子供の興味はいく。そんなことを仮面ライダー制作者たちがわかっていないはずはない。

 うーむとまた唸って、また改めて設定を読んでみると。容易に気づく。ゼロワンは、いわゆるマスクドライダーシステムだ。改造人間ではない。強化スーツを着た人間にすぎない。ゆえに、だれでも変身できる。ゼロワンの設定でいうと、社長が変身するのだから秘書も部下も変身するだろうし、ロボが暴れるのだから警察だとか機動隊だとか軍だとか、そのあたりの兵士たちも変身するだろう。当たり前だが、人類を滅ぼそうとするテロリストたちは間違いなく変身する。

 平成仮面ライダーシリーズのはじまりはあいまいだと最初に書いたが、設定においてのライン引きは明確だ。平成ライダー初代『仮面ライダークウガ』以降、仮面ライダーは改造人間ではない。

 そして準備期間を与えられて生まれた令和初代ライダーゼロワンは。

 クウガのような未確認生命体でさえない。完全にヒトだ。テロリストもヒトで、暴走したAIはヒトではないが、ヒトが造ったものだ。つまるところ、初期設定を眺めるかぎり、仮面ライダーゼロワンとは近未来を描いているものの、怪人も魔法もウルトラの星も出てこない、人間社会での物語で、その社会を一個の生命体と見れば、自作自演。考えてみれば、人間界の争いのすべてがヒト対ヒトなのだから、礼をもって和をなす時代の仮面ライダーは、必然的にヒトでなければならない。

 シャイニングホッパーなゼロワンスーツを装着した兄やが、これから現実に起こりうる人間界の問題にライダーキックをかます。それが令和のヒーローのありかたと、まずは定めてみたのだから変身アイテムではなく、たくさん出てくる仮面ライダーのソフビやフィギュアや……そう、ライダーが多いということは、変身アイテムではなく根本的に、変身ベルトが多い。売れるならそりゃ儲かりますわ……いっぱいライダー出てきた平成初期作『仮面ライダー龍騎』では、出てくるライダーたちがみんな同じベルトをしていた。さすがにみんな違ったら売れねえしそのまえに怒られるわ、という判断があったのだろう。だがしかし令和は違う!!

 狙っているところが減る一方の子供だけではない。昭和や平成では夢物語だったが、令和では出せば出すだけ出たものぜんぶ買うという仮面ライダーファン層が確実に存在する。クウガは親子二代で観られると売ったけれど、仮面ライダー五十年。三代や四代ということを超えて、世界文化。仮面ライダーを知らない人類がまだ存在するとすれば、そのヒトを未確認生命体と認定してもいいくらいに。

 世界的には、令和? なのかもですけれど、ジオウで平成がまとめられまくっていたので、ホウあの日の本の国にはそういう文化があるのだなあ、それでゼロワン。純粋にスッキリした造形になったよね。昭和や平成に回帰するっていうのでもなくて、ハリウッドのヒーローにも似ていない。なんてふうに見られることも、意識したのかも。

 シンプルな変身、多くの立ち位置。
 扱いにくいテーマを、監修まで入れて描こうという心意気。
 さあ!

 最近は例年言っている感があるのですが。
 あと始まってみないとわからないのは、ほとんど演技経歴が見つけられない主役俳優が仮面ライダーの伝統にのっとって化けるかどうかだ!

 ここだけは、ヒトが作るものだけに、どこまでいっても賭け。だから目が離せないというのも、平成ライダーシリーズから継いだもの。令和っぽく、もっと安心感与えてくれていいのに。今年もはじまってから確認したいこと多しなので、凝視します。

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