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『小畑健のナイフ』のこと。


 囲碁ブームを起こした『ヒカルの碁』。
 映画化された『デスノート』の作画担当であり、2003年に手塚治虫文化賞新生賞を受賞した漫画家が、銃刀法違反で逮捕。

hikaruDeath Box

Death noteyoshituneki


 ショッキングな見出しだ。
 うわあ小畑健が刀を? それとも銃を? やっぱ美しいものを描き続けることばかり考えていると、最後はそういうものに魅入られてしまうのかしらねえ──
 と、昂奮しつつ記事を読んだ。

「8.6センチ?」

 手近にあったスケールで確認してみる。
 自分の手のひらを見る。
 私はよく、ものの大きさをはかるときに、自分の手のひらを使う。
 力を入れずに広げた手のひらの、小指の先から親指の先までが、ちょうど20センチ。
 8.6センチというと、手のひら半分もない。

 小畑健の運転する車のヘッドライトが切れていて、警官が車を止め職務質問したのだという。
 刃渡り8.6センチの折りたたみナイフがコンソールボックスから出てきた──グローブボックスならわかる。しかし車止められて、普通、コンソールボックスを開けろと言われるか?
 おそらく、小畑健の目が泳いで指し示したのだろう──『食わず嫌い王決定戦』で、嫌いなモノ見てしまって負けるタレントの実に多いことを見るにつけ、人間の意志のチカラとはなんと弱いものだろうかと思ってしまう。

 でも8.6センチって。
 私もアウトドア用品扱う者なので、これはちょっと知識として入れておくかと思って調べてみました。だって普通に売ってる許可もなにもいらないキャンピングナイフだって、刃渡りは10センチくらいある。それってどういうこと?

CUTLERY

 銃刀法をめくってみる。
 刀剣類、とは。

● 刃渡り15センチ以上の「刀」、「剣」、「やり」、「なぎなた」
●  「あいくち」(長さの規定なし。短いものでも規制の対象)
●  45度以上に自動的に開刃する装置を有する「飛び出しナイフ」

 ──つまるところ、長さよりももっと重要なことに形状なんですね。
 ドスとか飛び出しナイフとか、あきらかな「武器」は、刃の長さは関係なく刀剣の類と見なされる。
 逆説的には、RPGでおなじみのムチとかモーニングスターとかトンファーとか、そういうのはあきらかに武器の見た目でも刀剣ではない。刀に似ていても、おもちゃだと一目でわかれば持って歩いても良いのでコスプレイヤーの皆さんは安心して斬馬刀、背負って街中歩いてください。ただし刃は研いじゃダメ。

 そしてここもっとも重要ですが、我が家の台所にある刺身包丁は刃渡り15センチを越えます。
 でも「包丁」は刀剣類ではない。
 それが重要なのです。
 小畑健も警官に言ったそうな。

「これからキャンプに行く」

 ──とっさにそのセリフが出たのが、かえって逮捕なんてところまでいってしまった最大の要因ではなかろうかと思う(もしくは「私は世界を制するデスノートを描いた者だ!」などと主張してしまってデスノートのなんたるかを知らない警官に邪教テロリス徒だと勘違いされたのでないならば)。
 キャンプに行くなら、包丁として使うナイフを持っていても、咎められることはない。
 しかしそんなこと、銃刀法の子細を事前に知っていなければ出ないセリフ。
 小畑健は、そのナイフは、持っていて警官に遭ったらイイワケしなければいけないものだと、知っていたことになる。

 でも、刃渡り8.6センチでしょ?
 15センチ切っているじゃない。

 それでも刃物を「携帯」していたら銃刀法違反。
 「刃物」とは。

● 人を殺傷する能力のある片刃または両刃の鋼質性の用具で刀剣類以外のもの。

 包丁? むろん刃物です。キャンピングナイフ? 刃物です。カッターナイフでさえ。
 銃刀法の定める違反の定義は──

● 何人も業務その他正当な理由による場合を除いては刃体の長さが6センチを超える刃物を携帯してはならない。

 ちなみに私は昼間の仕事中、ジーンズの後ろポッケに絶えず大型のカッターナイフを「所持」しています。段ボール開けたり、コードを切り売りしたりするため。業務のためなので「所持」。でも、同じナイフをコンソールボックスに入れて車を運転すれば「携帯」にあたり銃刀法違反。
 「携帯」とは。

● 屋内、屋外を問わず、所持者自身が手に持つかまたは身体に帯びるか、その他これに近い状態で現に携えていると認められるような場合。

 ここにきて、銃刀法はものすごく曖昧な表記になる。
 屋内といっても自宅は除く。たとえば改造モデルガンやチャイルドポルノは自宅所持も犯罪ですが、ナイフは持っているだけでは罪にならない。一方、刃物の携帯があった場合、刃渡りが6センチ以下でも違反となるケースも存在する──それはたとえば、ナイフがケースに収まっていて、ぱっと見で刃渡りなんてわからないけれどでも「ああこいつはナイフを携帯しているね」とわかる状態ならば、逮捕されるということ。
 「所持」と「携帯」の違い。
 それは「装備」しているか否かということである。

 グローブボックスはまずい。
 だいたい、見つかったら銃刀法違反だなあ、という認識がありながら、売れっ子がヘッドライト切れたまま走ってしまったのが浅はかだ。成人男性の大抵の車には、隅々まで警官に調べられたらマズかろう品があったりするもの。殺し屋はさえないサラリーマンの格好でアタッシェにライフルを忍ばせているものだということくらい、小畑健ほどの作家であれば知っていただろうに。どんな顔で、どんな挙動不審ぶりで職務質問されて「いやこれからキャンプに……」などと口走ったのか。

 小畑健の敗因は、トランクに飯ごうを入れておかなかったことである。

hango

 おかげで勉強になりました。
 ナイフとシュラフをセットで持てば「所持」になる。
 包丁はハムとセットで持ち歩け。
 なにより聖人君子でないならば替えの電球をこそ「携帯」せよ。
 忘るるべからず。

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