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『1899年仮想アメリカ旅行記(1)』のこと。




 女房とは、いろいろあって。

 それで、有象無象の寄り集まりに属してしまうというのは、我ながらアホくさい話ではあるが。ハートランドのはずれ、ホースシューの丘の上に、俺たちはキャンプを設営した。

 ひどい冬だった。

 五月になってもまだ、雪が舞うどころか積もって動けない始末。

 ひとの前に馬が死んだ。
 流浪の民にとって、馬の死とは、それに乗る者の死でもある。
 そういうわけで、ひとも死んだ。
 孤独に嫌気がさしてぬくもりを求めた結果が、日々の喪失。別れが嫌だからつきあわないとうそぶく者も多いが、俺はきっと別れるための他人を求めたのだと気づく。

 つまり俺が殺したのであり、女房は察して去った。頭のいい女だとは思っていたが、俺の代わりに選んだ、あの男がましだということは認めたくない。

 死体を埋めた。
 雪がやっと溶けた。

 食うために、男たちは血の滴る獣の肉を見知らぬ町の連中に二束三文で叩き売り、女たちは腐りかけたスカンク肉以下の金で自分たちの肉を売る。

 丘には、何台かの馬車。
 雨風をしのぐためのテント。

 慰めあおうにも、プライバシーなどない。

 丘に風呂はなく、女たちはコルセットをはずせない。男たちは、永遠に強い振りをしつづける一派と、ケツをまくって怠惰に鹿の毛皮のあいだで眠りこける者たちに別れて無関心。

 丘に来たのが悪かったのかもしれない。

 壁のない、布の屋根一枚のテントでも家は家。
 流浪の民が家を持つと膿んでくる。
 夏も冬も、にどと来ないと信じているかのように。ここが暮らし続けることのできる家であるかのように。腰を据えるものたちが出る。

 おれは、女の、男の、手を振り払った。
 望んだ他人に望まれて反吐を吐く。
 救いがたい。

 狩りをすると決めた。

 だれも殺したくはなく、なにかを殺さねば生きていけないと。信じていると、信じている。

 伝説の獣というものが、棲くっていると聞く。
 伝説ときた。
 笑える。

 さしあたって馬を買う。
 どんな生き物も腰の頑丈さが清廉に生きるため必須だという宗教に俺は入信していたから、はちきれそうな尻の雌馬を選び、長い尻尾を編みこんだ。
 そういう髪型の女が好きなわけではない。
 髪を編みながらふと気づいたように話し出す女房が頭に巣くっている。
 編んで永遠にほどかなければ、永遠に話し出すこともないはずだ。
 馬はもともと話さないが、毛なんてものは邪魔なだけだ。
 特に馬だと糞がつきにくくていい。

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「よう俺の彼女。伝説のなにかを狩りに行こうぜ」

 口に出してみると、いっそう笑えた。
 この美しい世界から蹴り出されたのが俺でなかったのは素晴らしいことだと考えて、ほらみろやっぱりお前はそう考えたくて他人を欲したのだと……舞いもどりそうになったから、まずは小動物の噂を追った。

 伝説の熊や狼などというのも聞くが、ひとでさえ辟易しているのに、さらに大きな生き物に対峙するのは気が重い。

 伝説のビーバーなる生き物を追った。

 見つけるのには難儀したが、そここそが伝説であって、見つけてから襲われるなどということは相手がビーバーではありもせず。

 なぶり殺す。

 数発撃ちこんだ伝説のそれと、写真を撮る。

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 皮を剥ぐ。

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 手が脂でべとべとする。
 今夜はよく眠れそうだ。
 心臓が高鳴っている。
 伝説の喪失。
 俺による。

 昼間見た、奇妙な壁画を思い出す。

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 尻肉を信じるのは触れられるからだ。触れられないなにかを信じられる連中が、俺には信じられない。

 狼もやってしまおうかと思いはじめた。
 熊よりは小さい。
 近くにいるというのだ。
 ただ、さすがにひとを喰うという。

 動きの速い生き物に弾を当てる自信がない。
 矢に火をつけて射抜こうと準備する。
 獣は火に弱いものだ。
 伝説の狼とて、ひとではない。
 ひとは道具を持ち火までもあつかえる。
 ゆえに世界を好きにする権利を有している。
 すなわち俺がそうである。

 子供じみてはいるが、世界の王たる人類の代表として出向く。心臓の高鳴りはいや増し喋り続けてしまう。彼女はなにも言い返さず、俺の脚のあいだから去っても行かない。金で買ったということは金を出したのは俺なのだから承知しているにしても、これほど馴染むとは運命などと言いたくもなる。
 尻尾を編んだのは正解だった。

 笑いがとまらない。
 アメリカ、おおアメリカ。
 広大すぎてひとが砂のように感じられるときもあるが、いざひとがその気になれば、なんであろうが征服できないものはない。

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 狼を射抜いてから、見ているものに絶句し、大きく息を吸ってから悲鳴をあげた。

「燃えたじゃねえかっっ!!」

 矢に火をつけたので。
 だれも止めないからだ。
 相棒は相性抜群だが雌馬なので喋らなかった。

 俺が悪いのか。
 伝説の狼を仕留めたが、毛皮が燃えた。
 黒焦げの伝説をコートに仕立てて着るなどとは、見る者も讃えていいやら笑っていいやら複雑なところに違いない。

 いや、どうせ、だれとも喋らないのではあるが。他人が俺を、俺が他人を思うように思っているかと思うと、ツバの広い帽子をかぶりたくなる。

 黒焦げの伝説の皮を剥いで馬に乗せる。

 次の伝説を狩るか。
 いつのまにかまた笑えなくなっている。
 あいつらはどうして他人を買って笑ったりできるのだろう。

 走ろう。
 アメリカ。
 おおアメリカ。
 出て行く道がないどころか果てにたどりつくことがない。

 俺はひとりでいる。
 雌馬は別にしてだが。
 なぜこうなったのか、よりも。
 なぜそれなのにまだここに俺がいて、だれもいないアメリカを走りながら他人のことを考えないようにどうすればいいのか悩んでいるということに、笑うべきだと思う。

 この謎がもし解けたなら、きっとそのとき旅は終わる。
 終わらせる。
 のだろうなとも思うのだけれども。

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 ゲーム『レッド・デッド・リデンプション2』(Red Dead Redemption 2。略称RDR2)をプレイしはじめた。

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 以前、『スリーピングドッグス 香港秘密警察』のときにも対峙した事態。

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『エルマーパラドックス』の話。

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 XboxOneのパッケージ版は日本語化されていない。あのときには、だったらと英語圏のひとになることを決断した私だったが、今回は、ロックスター社公式発言として「脚本を印刷したら高さ8フィート(2メートル40センチ)になった」というのを気合い入れて日本語化したとも言っておられたので、だったら日本語収録のあるダウンロード版をいただきましょうと。

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・ 『レッド・デッド・リデンプション2』の事前ダウンロード完了後、アップデートが発売前なのに来る。日本時間テッペンからプレイできるようだが、明日は早いので寝る。起きるな俺、はじめてしまうなあした帰ってからだ...

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twitter / Yoshinogi

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 11月からは、オンラインも整備されるそう。そういうこともあり、ディスク抜き差し面倒だから、これはこれでいいやと100GB。

 はじめてみれば。

 『レッド・デッド・リデンプション』のときもこうだったと想い出す五年前のこと。長年のバイク乗りで、このゲームって広大な仮想の大地を生馬で駆け回るゲームで。

 バイク乗りというのは、どこかへ行くためにバイクに乗るのではないという、そういう性質を再発見する。

 1899年の広大なアメリカ大地に、ばらまかれた小さな出来事。壁画だとか、伝説の動物だとか。宝の地図なんかも序盤から与えられてしまう。

 馬で走り、細かなことを眺めてまわるのがたのしい。というか『レッド・デッド・リデンプション』も、宝の地図が指し示す土地が、メインストーリーを進めないと開放されない場所だったときにやっとメインストーリーを進めるといったプレイスタイルだった。

 西部劇の箱庭世界がバカ広いって荒野と山やんけ、という評も散見されるけれども。『GTA』シリーズのときにも私はたえず言っていたように、バイクがあって、広大な土地がある。それのなんと素晴らしいことか。今回は馬だが、なにも変わらない。

 逆に『GTA5』をプレイしながら、オンラインで他人の存在が煩わしくてそっちは長続きしなかった私にとって、オフライン状態でただただ散策する、いまこそ最上のときかもしれない。

 散歩好きなら、間違いなし。
 至極。

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Red Dead Redemption 2 日本公式サイト

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(西部劇の帽子に拒否反応がある? 写真見て。私は脱いでいる。そして今回、毎日ヒゲものびれば髪ものびる。ヒゲのびてきたな、剃るか。という仮想体験のできる希有なゲームにもなっているので、オッサン好きもぜひ。私はふだん社内規定でのばせないため、きれいに剃らないでちょっと残すのをたのしんでいる。オッサン好き)

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