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『仮面ライダージオウ』のこと。



 暖かくなってきたなあ、暑くなる前にオイル交換しておこう。と、買ったバイク用の二リッターのオイルを玄関に置いたらとたんに暑くなりすぎて。オイル交換なんて作業もうんざりだし、だいたいこんな日差しでバイクになんか乗れねえよとぶつくさやっているうちに九月になり。

 ほんの数日前にやっと二ヶ月以上前に買ったオイルを車体の内部に注いで、近所を一周して、バッテリー充電しようと思っていたけれど一発でかかったし、もういいか。次の休みにこそ、愛車を愛そう。

 と決意した日に、台風。

 ラティスも雨樋も飛んでいったよ大阪。窓開けられないので、閉じこもって三歳の息子とテレビを観ていたら(町の信号機は消えていたが、さいわいにも我が家は停電はしなかった)、先日、義祖母の葬儀で通りがかった南海電車の駅が丸焼けになっていた。雨が降り、暴風が吹けば火事も出る、と。ニコラ・テスラはトーマス・エジソンに対抗して交流電気の安全性を示すのにカミナリバチバチのケージ内部で読書をして魅せたそうだが。電車って直流で動いているのだろうか。ていうか飛んでいったうちの雨樋が電線を切ったりはしていないだろうか。とか思っていたら、飛んでいった波板でひとが死んだというニュースも見てしまい、ちょっと風がゆるんだ隙に捜しに出る。見つかった。

 ……で……
 無事ラティスも直り。雨樋も直り。次の台風は逸れ。

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『ルーバーラティス修理中』の話。

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 時間を巻きもどして話を続けるので、そこはかとなく時間軸のねじれた内容になっておりますがご容赦を。具体的には新番組『仮面ライダージオウ』の第一話を観た感想を書いていたら時間が止まって、いまの私は第二話も観たあとだけれど、止まった時間の続きを紡いでいるという。 

 台風のさなか。

 そんなふうに閉じ込められて、飽きる三歳児に様々な作品を薦めたのだが、なにしろ二日前に第一回の放送だったから、なに観ると訊いたらそれしか言わない。

「ジオウみるっ」

 ……第一回を、おととい録画したばかりである。ほかに弾がない。つまり今日の台風で閉じ込められてジオウ観るエンドレスは、おとといの三十分弱を繰り返し観る競技。ハードコア。

 ふと気づけば、ここ『とかげの月』では毎年、新仮面ライダーがはじまる前に勝手なことをくっちゃべるのが恒例だったのに、すでに新ライダーがはじまっているではないか。

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『仮面ライダービルド』のこと。

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 で、何度目かの仮面ライダージオウ第一回を観ながら、ニセビルド出てきたなあ(のちに、正確には「アナザービルド」と呼ぶのだと知る)、これから平成ライダー全員のクリーチャー化バージョンが毎週のように出てくるのかなあ、それはフィギュア屋さんは大変なことだ、ただでさえジオウとゲイツ(ジオウの二号ライダー。なんと本名ゲイツくんが変身するので仮面ライダーゲイツという。億万長者っぽい)が歴代平成ライダーの力をお借りしますなどとウルトラマンみたいなことを言っているのに、敵もまた別造形の平成仮面ライダーたちだとか。なんてことをなに言われているのかわからない三歳児と話しながら、さあてジオウについてなにを語るべさあと考えたら、案外と、なにもない。

 率直に言って、脚本は、途中であれっと思った。

 美人ヒロイン、ツクヨミ登場(なんとなく名前的にも仮面ライダーウィザードのコヨミを連想せずにはいられない。それを連想すると、平成を駆け抜けた稀代のアイドルグループPASSPO☆(コヨミ元所属)が、この夏の終わりとともに解散することも連想せずにはいられず、この十年、私の持ち歩くデバイスに必ずPASSPO☆の曲が入っていたことを思えば、平成の終わりを祝う仮面ライダージオウのツクヨミがコヨミとなんらかの関係があって、いまいちど「元」にせよPASSPO☆メンバーを召喚してくれるならば、ああ魔法だと私は悶えたい)。

 仮面ライダージオウになるだなんてふざけたことを言うなと主人公を罵っている。うん? その一方で、さっきは、未来でジオウになる主人公を殺しに来た悪のターミネーター的二号ライダーゲイツの攻撃からツクヨミが主人公を守っていた。

 タイムマシンがここにある。
 彼女は仮面ライダージオウになる子に会いに来た。
 そして良いターミネーターのようにその子を未来からの刺客から救う。
 でも、仮面ライダーになるのはふざけてるの?

 なにがしたいのだろう。
 ゲイツ同様、未来のジオウになるその子を排除したいが、ツクヨミ的には殺すことはせず、その子は生かしたいのか。

 ……は!?

 と、気づいてはいけないことに気づいてしまうゲーマーである。昭和のパソコン使いやセガサターン使いたちが、平成のいまの世になっても「おれのベストはアレ」などと言いまくるものだから、リメイク版が平成マシン向けに発売されたが、そうすると「おれのアレとは違うっ」という苦情を申し立てられまくった、ある意味愛され体質な、あの名作。

 『この世の果てで恋を唄う少女YU-NO』

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 いや、でも待てよ。未来編の映像のなかにツクヨミがいたではないですか。いやでも待てよ。タイムマシンがしれっと存在する世界において、未来にいるひとだってまた、その未来に過去から来たのかもしれず、なんら断定はできない。おかしな話に聞こえるが、タイムマシンに乗ったひとが未来からやって来た時点で、その過去にタイムマシンが存在してしまうので、すべての時間の前後関係は事実上機能しなくなる。

 というタイムパラドックスを、仮面ライダージオウの物語は、しれっと丸抱えして発進している。歴代仮面ライダーの初っぱなとして、今年の仮面ライダービルドが「2017年」のライダーとして現れたが。この一年、そのドラマを観ていて、私はそれを未来譚だと思っていた。

 去年から今年にやっていた仮面ライダーって、劇中的にも去年から今年の時代設定だったの?

 いやいやいや。平成ライダーのなかには、ビルドはともかく、あきらかに未来設定だとか、世界で唯一の元号を使う国家に属してはいないような町も出てきたような気がする。

 ここにもパラドックスがあるが、それも無視していくわけだ。

 それぞれに世界線の違う仮面ライダーシリーズを、平成のひとくくりで同じ年表上に並べて扱う。ジオウは「時王」であり(「字王」でもあるのか。放送では、仮面ライダーのおでことめになにがかいてあるかな? と、ひらがなのテロップが流れていたが、ジオウの顔にはカタカナで「カメンライダー」と書いてある。足の裏には「キック」。うちの三歳はまだ字が読めないのでまあいいが、歴代のソフトビニール人形は、足の裏には製造国の刻印があるだけなので、足の裏に「キック」書いてない! と癇癪起こす子もいるだろう。それともジオウ人形は足の裏まで作り込まれているのか)、変身ベルトにはデジタル表示でくっきり西暦が現れている。そしてその西暦2017年が仮面ライダービルドだったということは。

 それぞれの平成仮面ライダーの、放送された年がジオウのベルトには現れる。

 一方でジオウは、平成ライダー十周年記念作、仮面ライダーディケイドとは違って「レジェンドから逃げない」と発表会で語っておられた。よく意味はわからないが、上のコヨミの件での期待もあって、私はそれを、できるかぎりのオリジナルキャストで平成を振り返る、という意味で捉えた。ディケイドでは、たった十年なのに、もうすでにお子様が仮面ライダー響鬼に変身したりしていた。響鬼好きな私は、えー、と思ったものだ。

(ちなみにオリジナル響鬼は細川茂樹主演。番組当時で三十三歳という、昭和の仮面ライダーを含めても最年長ライダーだった。本人もオファーを受けて辞退をくり返したが押し切られ、という話をしているので、現在四十六歳になるはずの彼が、ディケイドでの再演を断って、ジオウでは受けるというのはありえそうもない気がするが……「みんな出るんですよ、平成最後の記念碑ですよ」とスタッフがまた押し切ってくれることを期待してやまぬ)

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 そこを、同窓会的に。
 平成ライダー二十作記念。
 十八年観ているひとを対象に、懐かしさも推していく。懐かしのあのメロディーの代わりに「ヘンシン!」である。都心のホテルのクリスマスディナーショーであると同時に、場末の温泉場の三文ショーのようでもある。ノスタルジイ。

 そういうところに来るひとは、歌を聴いていない。
 その懐メロを聴いたころの自分の人生を想い出し、それを歌っていたあのひとがあんなに老けたのだから自分も老けたのだ、そして記憶のなかのあのひともきっといまごろ……

 よろしい酒のあてである。

 そう考えると、あの曲は何年の、こういう事件のあった年、と前振りの煽りVが流れるのが懐メロ番組のお決まりで、ジオウのベルトがその役割を担っているのだとしたら、くるくる回るそれは、昭和の「ザ・ベストテン」でくるくる回っていた「次の曲はなに!」という煽りパネルにして、舞台の真ん中に据えられた主要オブジェと呼べるものだろう。

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 人生は祭。
 仮面ライダージオウはフェスティバル。

 物語の構造も単純。
 贋物(アナザー)な平成ライダーが現れる。
 やつらを倒すにはタイムマシンに乗って、本物の平成ライダー放送年に行き、本物平成ライダー先輩がたの力を借りねばならない。

 本物平成レジェンドライダーが登場するし、今年のジオウとゲイツが、レジェンドライダーをアーマー化して装着するからオモチャいっぱい夢いっぱい!!

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 平成仮面ライダー二十作品記念作であるジオウだが、昨年のビルドと、その二号ライダークローズをそれぞれジオウとゲイツが纏う。このパターンでいくと、二十作終えるころには数十体のソフビを作る必要がある。ちなみに変身ベルトジクウドライバーにレジェンドライダーの力を宿したライドウォッチなるものを装着して纏うのだが、このライドウォッチの正規版玩具がAmazonさんでは、すでに軒並み黄色い三角マーク(参考価格:¥1,620を越える価格、つまり定価以上の価格で売ろうとする業者に注意しなさいのマークだが、これがついていない販売元がない。人気の仮面ライダー電王のは六千円超え。これを見ても、今回は平成を生き抜いた平成成人たちのための祭だ)。

 そういった物語の性格上か、平成半分記念作タイムトラベラー仮面ライダーディケイド(と、つい書いてしまいがちだけれどディケイドは平成二十一年の作なので、平成区切り的には三分の二作品。正確には平成仮面ライダー二十作の半分作である)のなかのひと造形がオラっていたのに対し、今作では弟キャラである。レジェンドライダーに頭を下げ、カワイイやつだとイジられたりもする。ちゃんとバイクにも乗っているし、ひとことで言えば、派手さがない。先輩たちの姿と能力を纏って戦うのは同じでも、ディケイドのときと違って、平成は終わる。逢いに行く先輩ライダーたちは、時代を完遂し完成させた偉人たち。敬う心を持ち、真っ白なキャンバスになんでも描ける清らかな主人公が必要だった。

 平成ライダーの崇拝者たるジオウ。
 主人公が信者。
 これはなかなか、描写が難しい。

 脚本は、下山健人。
 ノリでいうと『手裏剣戦隊ニンニンジャーVSトッキュウジャー THE MOVIE 忍者・イン・ワンダーランド』が、わかりやすい。

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 突然、電車内で始まって、だれが味方なの敵なの、ああ襲われた、きみは味方なんだね、勢いで絡むぜ変身!! の流れが、そのまんま仮面ライダージオウの第一話だったので、そのひとのそのひとらしい筆はノッている模様。ということは、今後も『忍者・イン・ワンダーランド』ノリであることが予想される。すなわち。

 『忍者・イン・ワンダーランド』あらすじをAmazonさんから引用。

『「夢の忍者ランド」は、本当は「闇忍者ランド」。シャドーラインの残党・闇博士マーブロが、伝説の忍者の「闇クローン」を作るため、ニンニンジャーをおびき出したのである。天晴=アカニンジャーが闇のオーラに包まれ、そこからハイブリッド忍者「闇アカニンジャー」が誕生! このままでは天晴の忍タリティが失われ、天晴自身も消滅してしまう……。今こそ、2大スーパー戦隊が力を合わせるとき。忍タリティとイマジネーション、そして「家族を想う力」で、最大の危機に立ち向かえ! !』

 すでに闇アナザー仮面ライダービルドが現れ、それを闇ジオウにならなかった白い仮面ライダージオウが倒した。

 そう、このひとの脚本は、悪役はすべからく雑魚だ。闇、と書いてはいるが、闇と明示した時点ですでに倒されることが確定している悪である。悪に落ちるとか、ダークサイドとか、堕天使とか、そういうことではない。「正義」と切り離されたアナザーな「悪」が、なんの背景も持たずに突如として生み出される。

 実体となって現れた悪を、正義のヒーロー本人が倒す。しかしまだ、憎しみとまでは呼べないにしても負の感情があることに、ヒーローは気づいてしまう。

「おまえのなかにそれはないと言い切れるのか!?」

 だれにだってある。
 迷うヒーロー。
 ここで黒い羽根が生えかける。
 絶対悪を倒したうえで、あらためて悪ってそれだけかい? とダークサイドに墜ちかける二段論法。

 けれど彼らは乗り越える。

 そういう構図を、感動ポルノと表現したひとがいたが、私はポルノ推進派なので、まったくもってそれを悪口とは感じない。フィクションドラマにおける感動は、いかに観客を酔わせイかせるかという思考で作ってあって間違いない。

 彼らは、どう自分の暗黒面と向きあうのか。
 『忍者・イン・ワンダーランド』では、兄弟愛だった。転じて家族愛であり、駆け寄ってくる仲間たちとの愛だ。

 兄弟愛、家族愛。
 幼少時代の回想は必須であろう。
 生き別れの未来かもしくは過去から来た……げほんげほん、おっとノドになにか詰まった。

 『忍者・イン・ワンダーランド』では、ニンニンジャーとトッキュウジャーとその他もろもろでメンバーが大所帯だったから、彼と抱きあい彼女と抱きあい、みんな家族だ仲間だ、と盛り上がれた。そう考えると、そりゃあもう、最終的に平成レジェンドライダー総登場でラスボスに立ち向かうのであろう、約束された平成最後の地へ向かう仮面ライダージオウには、家族も仲間も、あり余るほどいる。

 仮面ライダーファミリー。

 という方向性で、このひとはまとめあげると思う。
 そつなく。
 記念作とはそういうものでよいとも思う。
 そういう意味で、タイムマシンで去年のライダーに逢いに行くよ、ぼくはライダーに変身する運命だったよ、バイクにも乗るよ、なんかキックも出せる気がする。という始まりように、衝撃を受けるところがあるはずもなく、バイク乗りとしてイジリたいところであるオートバイに至っては、ここ数年ずっとホンダCRF250なのを踏襲している上に、顔同様大きな時計を前面に貼りつけカタカナでバイク。驚きようがない。案外と語ることがないと語りはじめることになってから数十行。しかし語ってみれば、なんのことはない。

 これは安心だ。
 とどこおりなく平成を終える道が見えた。
 もうすでに、ラストシーンの大きな花火へ、拍手の準備をしている。
 王道のヒーロー、仮面ライダーらしい平成最終作となろう。

(第一回を観て、すでに来年の新ライダーを想ってしまうのは、平成ラストライダーでタムトラベラーで、そうなるんだろうなとわかってはいたのに、平成仮面ライダーの毎年の革新さに調教された期待値が私のなかに今回もあったから。今年はこれでいい。前夜祭だから。客を驚かせるステージではなく、知っている歌を知っているように聴かせてホロ酔わせるのが目的なのだから。おひねりが飛び交う、この国だけに許された世紀末。そして新世紀が来る。わくわくして、そわそわして、この一年を酔うことにする)

 平成、終わるんだってよ。
 知っていたけれど、仮面ライダーで、いよいよかあ、と、うなずく秋の訪れ。

プレミアム バンダイ





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