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『折れたウインカーをどうにかする』の話。


 揺れた、あの日。

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『2018年06月18日午前07時58分、大阪』のこと。

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 書斎のタワーPCと同時に、そりゃもう仕方ねえな、と私が止まった電車のなかで想っていたのは、オートバイだった。サイドスタンドで、斜めに傾いた恰好でガレージに停めてある。満員電車が脱線しようかという揺れで、倒れないわけがない。

 無事帰って、割れた皿も掃除して。パソコンも倒れていなくて大丈夫で、家のなかが落ちついたところで、そやつを見に行った。

 車体は、倒れていなかった。
 奇跡だ。

 だが、なにかおかしい。
 見慣れたフォルムに違和感がある。
 愛するもののモノの些細な変化は、いつも触れたりもしているわけだから、気づくものだ。

winker02

 方向指示器が、片方なかった。
 落ちていたから拾った。
 我が愛車のフロントウインカーはギボシ端子でつないであるだけだから、引っこ抜くと取れる。

 そんなことがあろうか。
 バイク本体は倒れず立っているのに、地震でウインカーだけが折れる。

 いや、ヒビには気づいていた。
 愛するもののモノの変化には気づくものだから。

 そしてカワサキを毒づいていた。
 ググってみると、無残な画像の羅列。カワサキ車において、ウインカー折れた、は、ちょっと長く乗っていたらデフォな出来事であるらしい。

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カワサキ ウインカー 折れた - Google 検索

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 金属を仕込めばいいだけのことを、なぜに樹脂だけで支えようとするのか。これはいわゆるソニータイマーのような思惑を含んだ設計なのか。しかし十年越えてあちこち直しながら乗っているライダーが、ウインカーが折れたくらいで車体を買い換えたりするものか。

 カワサキの意図はわからない。けれど今日もどこかでウインカーは折れている。直さなければ法律的にも乗り続けることができない。

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 樹脂部分をすべて取り除き、手持ちのボルトとナット、ステーで留めた。純正部品がボルト留めしてあった穴だけで、いちおう固定されているが、万が一にも走行中に落ちないように、結束バンドでフロントフォークにも留めておく。見た目に難があるが、そもそも十年越えて一万キロも走っていない愛車だし、タンクも凹んでいるし、いまさら恰好がどうとかいうことは気にしない。むしろ新しい傷ができた素敵、という中二病患者かデスマッチレスラーのような思考になっている。

 そういうわけで、残り三つのウインカーも、見た目を気にせず、パテで固めてみた。そのうえで蹴ってみた。

 折れた。

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 外側をパテでがっちがちに固めてから軽く愛撫したのだが、なかの樹脂がズタボロなので、簡単に折れる。こんな状態でパテだ接着剤だというのは、もはや非現実的だ。そして、やっかいなことにリアウインカーは、本体に直接ボルト留めしてあるので、フロントのようなステーで出して留めるという技が使えない。

 悩んだあげく、もっとも簡単な方策をとる。
 リアは新品に取り替える。
 二個で千円ちょっとの輸入品。

B06XRF6GPR

 純正が12V15W球。これに対し、買ってきたのは12V10W/5W。出ている線はそれゆえに黒、赤、黄、の三色。

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 10W+5Wで15Wなので、まあ問題はなかろうと赤、黄、をぶった切って、よじってつないで、アマゾンのレビューで悪評高いハンダづけされていない黒アース線は、使わないでそのまま。

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 この状態で問題なく点いたから、圧着端子に変えるのも面倒で、ビニールテープでぐるっぐる巻きにして、雨に濡れない車内へ格納。

 完成。

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 さすが、新品は収まりがよい。

(商品画像ではバードケージの目が水平なのに、取りつけ後は垂直になっているのは、ちょっと変化をつけたい中二病発作ではなく、こうするとカバーのネジが上にくるので、動作確認のあいだはこうしていただけ。動作確認後はもとに戻しました。そういえばこの商品、ちゃんとカバーが閉まらないというレビューがあるが、取りつけていて気づいたのは、両切りの中空ボルトが使ってあって、車体取り付け時に気をつけないと方向指示器の内部にボルトが出っ張ってきて、それが干渉してちゃんとカバーが閉まらなくなるということ。ボルト引っこめてみたらちゃんと閉まるんじゃなかろうか。うちのは問題なかった)

 ところであの地震のしばし後、そういうこともあった。

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・昼すぎに電車が止まるというのであわてて店閉めて帰ってきた。先月も地震で電車に閉じ込められたのち歩いて帰ったし。星の数ほどのひとが細い金属のレールで大移動して滞りなく営めている毎日なのだと身に染みる。在来線が飛行機みたいに月に何度も全線運行停止とか、地球、住みにくくなった。

twitter / Yoshinogi

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 大阪、大雨。家のなかにいても、湿気がひどすぎてコピー用紙がプリンターで詰まって仕事にならんといった大気がすべて飽和状態に水っぽい星。雨ざらしにしているわけではないものの、特に今回のフロントウインカーは、樹脂部品をぜんぶ取り除いてボルトで留めるというところまでは作業したが、シールをしていない。いや、なにか不具合があったとき、またバラすのにコーキングなど打ったら面倒だから、ちゃんと使えるよということを確認してから詰めようかと考えていた。ところに、激しい雨。

 実のところ、あの雨からまだ乗っていない。ウインカー内部に水が溜まっていたら、エンジンかけた途端にバルブがポンッ、ということもありうるだろう。

 アナログなバイクは融通が利く。裏返せば生き物のように。世話をしないと、死んでしまう。

 最近、ニュースを見て思う。自動車の自動運転化が、本気で実現しかかっている。電車のように自家用車に乗る時代が来て、デジタルパネルで目的地を入力したら寝ていても到着するから、過疎の解消にもなるのではないかなどと言われている。

 道路を、整然とゆく自動運転車たち。

 そりゃ未来だが。その道路で、手動運転のアナログな乗り物は、事故の原因にしかならない。趣味で走る車やバイクは、レース場でだけ走行が許されるということにならざるをえないのでは、と。そうなったとき、きっと多くのライダーは、実車をガレージで錆びないようにメンテナンスし続けながら、デジタルスキャンしたゴーストの愛車でバーチャルリアリティーなテレビゲームをプレイするのが、バイクに乗るという実際の行動になる。

 移動には使えなくなったガレージの実車は、それでも愛され続ける存在でいられるだろうか。

 私の、我々の愛が試されているのだ。
 これがカワサキの意図か。
 折れたウインカーの洗礼を、私は乗り越えた。

 まだ愛している。
 私は私が誇らしい。


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