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『新書館とウィングスのスメル』の話。



第12回 第一次選考通過
     『(タイトル不明)』
第13回 第四次選考通過(最終選考落選)
     『幸せなモノ』
第14回 第二次選考通過
     『哀しみを癒すモノ』
     『ひとなつのみず』
     『僕の泣く声を聞け』
第15回 最終選考通過
     『みぎみみの傷』
第16回 第四次選考通過(最終選考落選)
     『なぁあお』
第17回 第四次選考通過(最終選考落選)
     『兎の瞳はなぜ紅い。』
第18回 第二次選考通過
     『兎はどこに逃げるのか。』
      編集部期待作・一席
     『とかげの月』
第19回 第三次選考通過
     『ふれうるきずに』
第20回 編集部期待作
     『アスプの涙』
第21回 第四次選考通過(最終選考落選)
     『バオバの涙舟』
第22回 第三次選考通過
     『ささやかな旋律。』
第23回 第三次選考通過(最終選考落選)
     『りんゑの宴、ぼくの唇。』
第24回 第三次選考通過(最終選考落選)
     『うさぎがはねた。』
第25回 第二次選考通過
     『愚かしく魔法使いは。』
第26回 第三次選考通過
     『幽閉の銀の箱』     
第27回 第四次選考通過(最終選考落選)
     『幻追い~とかげ~』
第28回 第四次選考通過(最終選考落選)
     『幻追い/リーリー』
第29回 第四次選考通過(最終選考落選) 
     『造形師ディクリード・フィニクスのヒーローな休日。』
第30回 第四次選考通過(最終選考落選)
     『幻追い~三結神~』
第31回 第三次選考通過
     『幻追い/少年鎖骨電光掲示板』
      第四次選考通過(最終選考落選)
     『ゲームの真髄。』
第32回 第四次選考通過(最終選考落選)
     『ルビオの世界にぼくらはいない。』


※回によって最終選考前の選考が第三次であったり第四次であったりするので、最終選考に到達して落選したものはそれを明記しました……してみて気づく、最終選考落選の数の多いこと……

 編集部期待作、二回。
 最終選考通過、一回。
 最終選考落選、十二回。

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 暑いし。
 額にアセモできたし。
 悩んだあげく今週の花火の発注をとめて売り切ったのに、どうやら今夜のトリビアで今年の市販花火ぜんぶ見せますみたいなトリビアやるみたいだし。
 台風が次々来るらしいですよ。
 バイク乗りには憂鬱なことです。
 そんなこんなで、もう気だるくてやってられない今日この頃ですが。

 〆切が近いので書いています。
 例の。10日の本誌発売とともにこのサイトのヒット数があがるのはいつものことで、まあマニアすじの皆さんがやってきてくれるとアマゾンで新刊まとめ買いとかしていってくれるので、アフィリエイト的には嬉しいんですが。
 悔しいので、迅速な反応とかしないでいました。
 吉秒匠とかググって来る人たち、私がここでなにを語っていれば満足なのだろう。
 それとも単純に小説読みに来てくれているんですかね。
 ごめんなさいW読者のみなさんに読ませられるようなものはここにはない(と、暗にそのほかのものならどこかにあると匂わせているのだが。さがしてください)。

 『伝言』BBSに、柚井黄菜子さんもやってきてくださって。
 もう充分に語ったし。

 ていうかすでに、半年前に語ったし。
 毎回おなじ話だと鬱になる。

 『ウィングス小説大賞で最終選考に残る方法』その1。

 なので、今回は、ここを掘り下げましょうか。

 『小説ウィングス編集長を憤らせる方法』の話。

 このとき書いた「つまり、「中高校生の、主に女性」とは言いかえれば「夢見る少女向け」ということであり、拡大解釈ではなく、小説ウィングス読者ならば当たり前に読みかえて「かつて少女だった、いまも夢見る少女な楽園の住人向け」と思い知らなければならないのである。この読みかえができずに書いてしまうと、楽園の番人である編集長に「なにこれ子供向け?」と鼻であしらわれることになる。 」という私の認識が、正だったのか誤だったのか。

 今回もだれもメダルを首にかけられなかったレースだったわけだが、最終選考とかいう程度のところに置かれているわけだし(ちなみに柚井黄菜子さまは私の右に立つツワモノなので、むしろこの賞の傾向と対策なんてものは『伝言』で彼女に質問してもらったほうがいいかもしれない。読みたかったなあ『プラスチックソウル』。謎めいたタイトルじゃないですか。シリコンチップに移植された美しき恋人の魂をポケットに入れて逃避行する無垢な少年のロードムービー的物語を勝手に想像したのですが。ああいいなあそれ、おれが書こうかなあ)。
 方向性は間違っていないということ。
 そう断定するならば。

 今回の私の作品は、「中高校生の、主に女性」をターゲットにして書いたものではなかった。書いた本人が言っているのですから。ターゲットはそこではないです。狙っているのは「かつて少女だった、いまも夢見る少女な楽園の住人」。あなた向け。
 タンクトップからはみ出た肩の筋肉の隆起に指を這わすことの隠微な悦びのニュアンスが、小娘どもにわかってたまるかというのだ。それは実際に他人の肌に指を、舌を這わせたことのある、もしくはそれを身もだえするほど夢想したことのある、そういう大人なあなたのために書いた物語。
 くそう、なにが悔しいってこの物語があなたに届かないことだよ。

 おっと熱くなりかけた。
 クールに行こう。
 なんだかんだといって、私の想うウィングス的とは、こういうことだ。

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 いいにおいがする……

 女の子はいいにおいがするって
 本当だったんだな

 それならあたしも初めて知ったんだよ
 男の子って あの時 とりはだたつんだなんて──……

妖精事件

 高河ゆん 『妖精事件』

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 コミケ出展一回分の収益でマンションを現金買いし税務署が会場に乗り込んできた、という伝説はあまりにも有名だが、そのエピソードも裏返してみれば、同人作家が金になると気づいて高河ゆんを獲得し一気にのし上がった、雑誌サウスとウィングスで有名な新書館の伝説とも呼べる。
 CLAMPもしかり。
 そして注目すべきは、黎明期のウィングスの象徴であるこの二人が、小説ウィングス創刊当時のウィングスが信条としていた「少年誌でも少女誌でもない」という中道の美学をその後も貫き、現在では主に少年、青年誌のほうをこそ主戦場としている、ということ。
 ていうかいまではもうどこの世界の人だかわかりません大先生たちは。

萌えるるぶHOLiC

 で、結局、いまではほかの出版社にこういう形でやられてしまったが、そもそも、そういうなんでもありな読者を限定しない老若男女を問わずに「好きなひとは好き」って感じがウィングス・クオリティ。「中高校生の、主に女性」というところを狙って「男のひとってイクときにびくんびくんてなって鳥肌立つものなのね」なんてセリフをヒロインに語らせるのは愚行だが、でもやはり私的には、いまでもそういうウィングス的な選択というものこそアリだと思うのでした。

 これがウィングス的。
 だいたい、それがそうでなければ、吉秒匠とググってここに来たあなたと私は、この世ですれ違うことさえなかったことでしょう。逆説的な話として、私はコミケに行ったことさえないという事実があって、それでもウィングス的なるものを語って書いている。
 さっき、なんでもありな読者を限定しない、と書いたけれど、それも逆説的に書けば、そこにはあきらかに「なにか」とは特定できないウィングス臭というものがあって、それは外せないということでもある。和食にかつおダシ、みたいな。「ここでダシを加えます」と書いてあったら、世界中のほとんどの人が言わずもがなでブイヨン・スープを加えるのだが、あえてだれも教えてはくれないが、和食の世界の人ならばかつおダシを加える。そういう、いわずもがなのウィングス臭。ないとダメなのです、新書館印ウィングス料理としてやっぱり。

 今回の審査評は、どこを読んでもそれに触れている。
 当たり前の、読者の嗜好に合わせること、という大前提。
 けれど、審査員すら明言できないウィングス臭なるもの。
 ええ、それゆえに、いくら言っても変わらないと思う。

 もっと具体的にこのあたりの読者をつかめ、と叫びたい審査員さまの意志は強く感じる。
 そもそも「中高校生の、主に女性」という一文を加えたことが、そういったニュアンスを伝えたいがためのものだったのだろう。
 でも、それは伝わらない。
 たとえば、講談社であり、集英社の漫画新人賞を見る。
 受賞者なしでも、トップの作品は掲載する。
 ほとんどクソのような作品でもだ(こっそり同意を求めるが、少年ジャンプの新連載ってあれどうよ? 確かに初期の荒木飛呂彦だってとんでもないデッサン力だったが、にしたって最近のは。本当に化ける可能性があるのかと疑いたくなる。でもその数撃つなかから実際に化けるのが出てくるのは編集者の新人発掘力のなせる技だ。すごい)。

 どんなレースでも、それ、いるでしょう?
 今回のトップはこうだった。
 ほら読んでみて。

「ああ、確かにこれでトップじゃ受賞者なしだよね」

 そこで思うものでしょう。
 もっとウィングス的なもの、書くべき。
 私が、それを書こう、と。

 これってこうやってネットとかで個人的に書く側が情報交換して切磋琢磨すべきものなんだろうか。そもそも同人誌即売会で売れていた作家を引き抜いて商業ベースにのせるという手法こそがウィングス的なるものなのだから、放置して育ってこいというスパルタも、それ的ではありますけれども。

 なんなんだろう、このレースのあとの脱力感。
 ねえキナコさん。
 競っている感じ、なくないですか。
 それぞれ個別に書いて、選ばれず悔いて。
 また個々に書いて。
 戦うってそういうものかよ。

 正直、ほかに楽しい戦っている実感のある舞台が私にもいくつかあります。ひとつには、審査員の顔が見えないってのもあると思う。ウィングスも漫画のほうは作家さんが審査員で、だとすると、なにを言われても「ああいう作品を書くあの人だからこういう言葉をあたしに吐くのね」という伝わりかたがある。

 でも、ウィングス小説大賞は名を明かさない編集さまが審査員。で、小説ウィングスって雑誌が審査員の作品なんだと思って読んでみると。

 統一感ってまったくないじゃないですか、今の小翼。
 印象として、新人であればあるほど、かつてのウィングス的なるものから脱却していこうとしている感がある。それが、もう長らくこの賞で大賞の出ない原因であるとも思う。私が書きたいものもそうだけれど、読みたいものも、そう。次のウィングス臭を嗅ぎたい。そこにつきる。
 いまのウィングスの先生がたは、別の雑誌で書いていても違和感ない。
 最初に書いた通り、黎明期のウィングス作家さんたちって、いまではもう王道であって、世界中でダシといえばブイヨンでも、ここではかつお、というようなマニアックなウィングス的なるものなんかでは絶対ない。

 それでも、そういうウィングス的なものをまだ書くべきなんだろうか。
 なんだか反抗したくなるのって私だけなんだろうか。
 W大好きな私が、Wでこの先読みたいものって、いまのWに、ない。
 あのころの、やまなしおちなしいみなしでデッサンも歪んだ個性的っていうかなんだそれっていう描写の、マンガで言えばえみこ山さんであり、押上美猫さんなりが、まさにウィングスだと私は思うんだが、だったら、次の書き手は、それに微塵も似ていない狂ったものを生み出さなければいけないのでは、と。そういうのが、いまの考え。

 飲んだことない飲み物。
 でも慣れると美味しい。
 やがてクセになるくらい。
 それでしか萌えられなくなるくらい、麻薬的。
 ウィングス臭。
 基本的にクサい。
 嫌いな人は鼻をつまむほど。

 ほかでは絶対読めない。
 それ大事。
 それ好き。
 でも普通のストーリー・キャラ小説を求めているように思える、最近のウィングス小説大賞の審査員評。ここだけの話だけれど、私の作風もそれに合わせてちょっとずつ軌道修正した結果、かつては絶対にそんなことできなかった、ウィングス応募作を他社の賞に回す、ということも可能になってきたのです。最近の結果はむしろWより良かったりする。
 自分が目指していたウィングス臭が、自分から消えて行っている気がするのだけれど、これでいいのか。ええのんか。

 でもだとしたら十年以上大賞のでない賞「だけを」狙う意味ってなくなってしまうと思うのは私だけでしょうか。そういう新書館のウィングスラヴな書き手が多かったからこそ、醸し出せていた異様に独創的なウィングス臭であり、次のその香りを求めてW読んでいる人たちも多いと思うのですが。
 なーんかな。
 かつてのウィングス読者をつなぎ止められる新人を発掘したがっている気がしてなりません。

 後ろ向きだ。
 「うは。すげ」というようなぶっ飛んだ誰かが大賞獲ってくださいよ、もう。編集部期待作さえ出ないのに大賞とかってもう狙って書くものじゃなくなっている。伝説の剣です。本当にあるのかどうかもわからない。

 そんなこんなでいまは確信犯的に「かつて少女だった、いまも夢見る少女な楽園の住人」な、あなた向けにヒロイン熟女にして書いている(失礼)。でも萌えられるからご安心を。届けばいいですけれど、今度は。なんだか人ごとのように言ってみる十周年。多少の達観もあるのかな。

 逢いたい。
 愛してる。
 ではまた。
(と、ほんとにあっさり語り終えてみる)

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