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『ターボチェンジビッグオプティマスプライム』のこと。




 通常の使用では壊れないのかもしれないけれど。いや、そういう信頼性のある製品だからこそ不特定多数の子供の手に触れるところに置いているのかもしれないけれど。

 結果として破損しているのである。

 店頭でモノを売る一員として、気持ちは実にわかる。モノにはイメージを増幅させる方向=箱から出さない。で、販促POPなどを大々的に展開したほうが売れるたぐいの毛色と、それとはまったく逆のアプローチで攻めずにはいられない毛色というものがある。

 つまり、自分がまず箱を開けてさわってみたいと思い、みんなにもさわらせてみたいと思うような猫。

 トランスフォーマーの玩具というのは、そっちなのだ。

 私が幼いころからトランスフォーマーというのは存在していたが、昨今では、実写映画化され過剰にデコられたデザインのものが玩具化の主力でもあり、足を折りたたんで頭をひっこめたらほらロボットが消防車(みたいな車)に変形するという程度だったむかしのそれがイメージとしてある私と同じような世代の店員さんが、近ごろの「どんだけ部品あんねんっ」そしてそのことごとくが「どんだけきれいにカチッとハマるねんっ」というような製品群に、「これはみんなにさわらせたいっ」と思ってしまうのは、やむをえない。

 あまりつっこんで考えてみることのないことではある。しかし考えてみればファミコンがやっとピコピコしはじめていたような世紀に、玩具設計者がコンピュータを使っていたわけがない。紙に定規だ。金型職人さんもまた手作業だったに違いない。そもそもアニメーション制作が完全に手作業だったのである。それで、ヒト型ロボがパトカーに変形できていたのだから、それはそれで、ものすごいことだとスタンディングオベーションすべきことだ。

 それがCGの世紀になって、映画やアニメのなかでもロボットは雰囲気ではなくちゃんと計算しつくされて変形するようになり、玩具も肉眼では測れないような正確さで小さな部品がカチリとハマったりするようになった。

 私は、プラモデルのバリ(金型からはみ出た製造のムラ)をヤスリで削ってカチリとハメるのが当たり前の時代に生まれたから、バリなどあったら即返品交換になる現代の精緻な玩具を扱うときにも、神の両脚の最奥を中指の先で刺激するときのようにやさしくふれるが。生まれたときからコンピュータで縫製された一分の狂いもない産着でくるまれた計算の世紀の子たちは、逆説的な意味で、設計者をひどく信頼しきっている。

 さあ遊んでみたまえ子供たち、と店員の差し出した見本品を、いとも簡単に壊す。なんだかもう年寄りの愚痴みたいになってしまうが、私の幼いころには、ロボットの関節なんて正しい方向にだってそっとていねいに曲げてやらないとガキッとなってパキッといくことが多かったのである。それを親に見せに行っても、製造メーカーが悪いなどと言われたことはいちどとしてない。正しい遊びかたでメイドインジャパンの製品がいともたやすく破損しても、買ってあげたのに壊しやがって大事にあつかうことをおぼえろと、私が怒られたものなのだった。

 最新型のバンブルビー。

B079VMZJN6

 メーカー設定の対象年齢は五歳以上。
 息子がつい先日、三歳になって、なにが欲しいと訊いたら「バンブルビー」だと言う。驚いた。トランスフォーマーをいっしょに観たことがなかったので。私が、子供も観られそうな映画のディスクをリビングに並べておいたのを、最新作からさかのぼって観て、実写映画化第一作にハマったらしい。なりたての三歳児にもわかるのに、映画化トランスフォーマーはどうして最新作になるほど観客が集中できなくなる作りなのか謎である。

 そのあたり、制作総指揮なんて名前だけとよくいうものの、第一作には、自身の子供と日本製のトランスフォーマーで遊んだことが映画化のきっかけと公言しているスティーヴン・スピルバーグの魂が強く宿っているような気はする。現場で「うちの息子が奇声をあげてよろこぶような感じで。よけいな描写はいらない」と声を張ってくれていたのだろう。ハリウッドトランスフォーマーシリーズも十年が経つので、新たな養子を迎えたというニュースも聞かないスピルバーグ家的には、直接的な熱はもはやあまりないのかもしれない。

 そうか……そしてつい先日発売された三千円くらいの五歳向けバンブルビーが第一作のモデル? いいとも買ってやろうさ、とオモチャ屋に行ってみて、それを目にした。

 バンブルビーがバッキバッキ。
 鍛えあげられているという意味ではない。壊れている。あのなあ店員。壊れたならかたづけておいてくれよ……たぶん、出したその日にはもう壊れていたのだと思うが。いかにも折れそうなところが折れている。これを買いに来て、いかにも折れそうなのが本当に折れているのを現物で見せられて、買うやつはまあいない。

 と、ここで、息子が予想外の反応を示す。

「こっち……」

 ん? ああ、コンボイ……というのは、ミクロマン時代の呼び名か。いまは、オプティマスプライムだな。息子が発音するといつも「マス」が抜けて「プライム」は「ドライブ」になり「おぷてどらーぶ」というような謎キャラになってしまっているが。バンブルビーがちゃんとバンブルビーと呼べるのに対し、あんまり興味がないから名前も呼べないのかと思っていたのに。

B079VKG1QD

 スーパーカーよりもトラック好きだから、カマロよりもこっちというのはわからないではない。映画では、オプティマスプライムがでかくてゴツいトラックだというのを見逃していたのか。オモチャとして目の前にしてみると、純粋に好きな車種としてこっちだったのか。

 でもこれ、さっきのバキバキバンブルビーと同時発売の同じシリーズなのだ。店頭に見本は出ていないが、きっと同じ思想の設計で、同じ強度で……

 迷う私の目の前に、彼がいた。

OptimusPrime00

 瞬速変形と書いてターボチェンジのルビ。対象年齢こそ同じ五歳以上だが、あきらかに本格変形オプティマスプライムでは細かいパーツになっているところが一体成形されている安心感。そして安くてデカい。あら、これ。

 好きなんちゃう?

 差し出したら、三歳児の瞳が輝いた。
 即決。解決。よかった。

 買って帰って(選ばせておいてプレゼント包装も頼んでまた夜開けさせて)、さっそく変形させてみた。

 意外に造形が、ややこしいバージョンのコンボイ様と変わらぬコンボイ感。

OptimusPrime01

 最後尾に、どう見ても足に見えるパーツが残っているのが残念ではあるが、ここを固定したことにより、ヒト型ロボに変形したとき、がっしりと大地に立つ。足首の可動がグラグラになって自立できなくなるというのはプラスチック変形オモチャあるあるだ。そしてたいてい破損も手首と足首から起きる。それを回避した。ターゲットがしっかりしている設計なのだ。うちの子に、乱暴にあつかってみやがれそれでもわたしは壊れないプライムなのである。頼もしい。

 コンボイの運転席部分を、がばっと外すと、一直線形状になる。

OptimusPrime02

 この時点ですでに完成が見えているので、なりたての三歳児でも、迷わず邪魔な運転席をヒト型にしたときでいう背面に移動させる。点が三つあればヒトの顔に見え、手脚があって直立していればヒトにしたがる。それがヒト。

OptimusPrime03

 この動作のとき、自動で両腕が左右に開く親切設計。運転席を背面に移動させるのに、まず胸板を広くするという、車型ロボではよくある手間が、見事に排除されている。

 そして自立する。

OptimusPrime04

 まさに一瞬。慣れると見ないでコンボイロボコンボイロボと胡桃の実をコリコリやるみたいに両手指の運動だけで行ったり来たり可能。

 胸のボタンを押すと、ぱしっ、と小気味よくスプリングで射出された金色のバトルヘルメットなるものをかぶったりする。

OptimusPrime05

 この簡単変形ターボタイプトランスフォーマーのバンブルビーの肩は、とても映画には出演できないほどでっぱっている。

B078HDG9BZ

 でも、オプティマスプライムは、黙っていればちゃんとカッコいい。製品として付属の武器の類はないものの、両手には武器持たせ穴が開けてあって、おもちゃ箱のなかにいくらでも落ちているその手の武器を装着することはできる。足首と同様手首は固定してあるが、肘は曲がるから、いちおう銃を構えているゴッコ遊びはできなくもない。

 一晩のうちに自在に変形させるようになった三歳児は、なにかをおぼえた猿のように変形させては「カッコイイ……(タメイキ)」を繰り返して恍惚としている。シンカリオンごときでも、ときどき行き詰まっては「ひっかかったっ」と親の手を借りにくるので、立派バンブルビーなど与えていたら、そりゃもう呼ばれまくりだったか、曲がらない方向に曲げて早々に破壊したか。それが、ビッグコンボイ様のおかげで、なんという微笑ましい時間を過ごせていることか。

「映画やアニメでうちの子をたぶらかしたのなら、もっと簡単に変形できるトランスフォーマーを売りなさいよ!」

 と、対象年齢高めのロボしかなかったので仕方なく買い与えたら変形できないわ壊れるわで、そんな要望を強く出しておいてくださったみなさまのおかげで、今日の我が家は平和なわけだ。

 今年はバンブルビー主役のスピンオフ作が公開予定。



 フォルクスワーゲンとか、旧アニメ版やね丸っこいの来た。バトル超大作よりもファンタジーに寄ったデザインで、いくぶんシンプル。いい具合に変形しやすく、なおかつ頑丈な新バンブルビーの設計を、お願い申し上げます。買います。

(軍服姿のジョン・シナ様(見えっこない、で高名なプロレスラー。上の予告編の1:47秒に出てくる)も素敵なので、量産されるわりにまったく似ていないアメリカンプロレスラーフィギュアに対抗して、日本産のを作ってくれたらそれも買います)

B006UCPXKO

タカラトミーモール



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