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『神戸市立須磨海浜水族園のデンキウナギ』の話。




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1960年ごろには、ブラッシーというレスラーがいた。噛みつき攻撃が得意で、日本へやって来たときには、尖った歯をヤスリで削ってみせた。

1970年ごろには『007 私を愛したスパイ』に、ジョーズという殺し屋が現れた。噛みつき攻撃が得意で、彼の尖った歯は金属だった。

靴のサイズが36センチと噂の、日本の大きなレスラーが、その役を演じないかと誘われたが、撮影でプロレスを休めないからと、断ったと聞く。

もちろんジョーズというのは、1975年の映画。

Jaw=アゴ。

ジョーズとはアゴの複数形。
実話をもとにした小説の題名。
このあいだUSJでジョーズのアトラクションに乗った。
そして思った。
さすがに七十年代の恐怖映画は、近ごろテレビ放映されているのを見たおぼえがない。
子供どころか若者という年齢でも、あれを観ていないひとは多いはず。
外国のビーチでは、

「自己責任で泳げサメが出る」

という看板もある。
しかし日本の海で見たことはない。
背ビレだけが水面に現れ、迫ってくるという恐怖は、水面下のサメが想像できて、さらにサメの凶暴性も知らなくては恐がることができない高度な恐怖。そもそも現実のサメにとって、背ビレはバランスをとるために必須だから進化したもの。

水面から出すとまっすぐ泳げない。

サメ襲撃事件は事実だとしても、あの画自体はフィクションなのだ。
それなのにみんなが知っている。
アトラクションのジョーズは、サメとは違うなにかだ。
現実のサメの歯は、カッターナイフのように使い捨て。
折っては出し折っては出しで、一生に二万本の歯をサメは使う。
ヤスリで削った永久歯ではない。
金属だったりもしない。
そんなにしっかりしたものではない。
酸素ボンベなんて噛んだりすると、すべからく抜け落ちる。口のなかに保持できないボンベを撃って爆発させることはできないから、大爆発のラストは現実にはない。

虚構の存在ゆえに虚構に死す。
現実から生まれたにせよ、龍や麒麟やゴジラとおなじ。
ジョーズは怪獣として認知された。

ブラッシーの削ってみせた歯は、ニセの入れ歯だったらしい。
幼いころプロレス図鑑で、尖ったジョーズの歯の彼を見て、自分の歯に鉄ヤスリを当ててみた私の純真さが私はなつかしい。

巨大サメのアトラクションで笑い、プロレスをプロレスとして観る。
いまやなにに心底から恐がれる?
大人になっても現実に怖いもの……
ヒト、くらいか。

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 水族館の定番である、入り口すぐは目の前に広がる壁一面の大水槽。その同じフロアに白くふやけたサメの歯を飾っているセンスが、さすが須磨海浜水族園。

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『神戸市立須磨海浜水族園』

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 相生で生まれた。

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『JR相生駅で新幹線を撮る』の話。

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 神戸から相生のあたりまでは、バス遠足といえば王子動物園とスマスイが定番で、私も幼いころからなんども行った。

 先日、相生帰りに「なつかしいなあ」とスマスイに寄ったら、デンキウナギが干されていた。

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 いや、言葉のあやだ。
 デンキウナギは水に満たされた水槽のなかに居たのだけれど、なんの演出もされていないので、ただのウナギでしかなく。同じフロアには水中から地上の獲物に水を飛ばして捕食するテッポウウオや、いわずと知れたハリセンボンなどがいるものの、それらも、水を吐かないテッポウウオは小魚だし、針を出さないときのハリセンボンは中魚にすぎない展示方法。

 デンキウナギの水槽の横壁面に、縦長い箱がしつらえてあるのが見えるだろうか。これを見て、私は私の記憶が誤りではないと確認できた。逆に言えば、これがなければ、私が見たあの光景はなんだったのだアブダクトされて植えつけられた捏造かと疑ってしまうところだ。

 縦長い箱は暗転しているが、電源を入れれば、あれはメーターである。テスター。電圧測定器と、正確にはその誇張回路をも含んでいる。

 つまりデンキウナギがビリビリッとやると、それを感知してメーターが上下し、色や音を発することで誇張もして、あたかもデンキウナギがピカチュウの親戚であるかのように演出するマシンだ。

 『テラフォーマーズ』の愛されキャラ、アドルフ・ラインハルト様はデンキウナギ人間だが……

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 放電すると自分も感電するという設定がある。オリジナルデンキウナギもそうだ。最大出力で放電すると、自分もよろめくことがある。しかし体脂肪率低めなラインハルト様とは違い、オリジン・デウギーは脂ののった美味しそうな生き物。ご存じの通り、スタンガンの説明書にはアンコ型の力士には効果がないむね記載されている。

 脂肪は電気を通さない。水族館で敵もなく、ぬくぬくとアンコ型に育った脂ののったデンキウナギは、自身の放電で気を失ったりはしない。

 というか、敵がいないのならば、放電する必要がない。

 よく、あのひとと目が合っただけで肌にびびっときた、というようなことを言うひとがいるが、機械で電気を読みとって心電図や脳波測定図が描けるのだから、そりゃあ好きも嫌いも一種の電気信号であって、現実にびびっときてはいるわけで。

 デンキウナギの場合、それを放電する器官が存在するために、敵を倒すほどではなくとも、なにか反応するたびに(泳ぐことも筋肉を動かすのでそれ含め)、微弱な電気が漏れてしまう。それを拾って誇張して、見るものへとデンキウナギのデンキウナギらしさを伝える装置が電源を切ってあるというのはどういうことかっ。

 やってはいけないことだが、私はデンキウナギの水槽のガラスを叩いた記憶がある。そしてそれに連動して、壁のメーターがビビビッと反応したから、おうこのデンキウナギはぼくを認識している魚って生きているんだ本当に、というようなことを、認識という言葉では思わなかったにせよ、思ったのである。

 その水槽の前を、いままさに魚に認識されて自己の存在認識をすべきお子様たちの群れが素通りしていく。だってメーターの電源が入っていないのだから。デンキウナギはふつうのウナギよりもデカいが、言ってもウナギだ。見目麗しくはない。スルーされている。すばらしいポテンシャルを秘めた水中の逸材であるにもかかわらず!

 あれか。イルカ猟の流れか。ついに哺乳類でもない魚のたぐいまでもが、見世物にするためにわざと脅かされたりするのは虐待だ見ていられないという批判が高まって、子供が素通りするデンキウナギの水槽になってしまったのか。

 だったら見せる意味もないからアマゾンの大河へ返してやれ!!

 それをいうなら、ペンギンのお散歩ショーも、なんてかわいそうな奴隷たちと涙してもよさそうなものだ。だれがスキ好んで人間の列にカメラを向けられてコンクリートの上を素足に全裸で歩かされるペンギン生など望もうか!!

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 えーマジでデンキウナギの電気メーター稼働していないってどういうことさ。と、かなりいきどおって検索をかけてみたら。

 なんのことはない。
 いまもメーターは稼働している様子。

 ちょっと前に、リニューアルと称して完全なショーとなったようだ。



 魚に虐待どころか、人間を撃ったり感電させたりしておる。さすがスマスイ。そのセンスフルな姿勢は一貫している。

 時間を決めて、魅せるスタイル。
 一日三回のショーが私の行ったときにはもう終わっていたから告知もなく、寒々しいデンキウナギくんを見せられることになったのであった。

 体験型なあ……

 私は、小さな手でバンバンとガラスを叩いて、ウナギが電気で自分に応えてくれたあの瞬間のことをこそ強くおぼえているのだが。

(人件費も、電気代も抑えられるし、まさに私のようにガラスをバンバンする子も現れないだろうし、短時間のショーアップで動画を拡散してもらうほうが集客効果はあるだろうし……だらっと放置展示するよりも、賢いやりかたなのは認めざるをえない。デンキウナギくんも労働と休憩の時間がくっきりしているほうがストレスは少ないでしょうし……)

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 いちおう補足として書いておきますが、幼いころの記憶だけをたよりに書いているので、本記事内容は史実とあいいれない可能性があります。遠足で行って観たということは、その当時もショーアップ的な試みはされていたはずで、もしかするとショーのさいちゅうにテッポウウオには興味が持てなかった私がまだ電源の入ったままだったデンキウナギくんの水槽へ忍びもどってガラスをバンバンしていたというのは非常にありそうなことです。


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