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『新幹線変形ロボ シンカリオン』の話。




 朝刊では、新幹線のぞみの台車に亀裂が入っていた件に関し、役員が報酬を返上し、整備担当者が解雇され、JRの経営にも打撃は必至だというニュースが大々的に報じられていた。

 まさにその日の朝、新幹線がロボットに変形して地球を救うアニメが大々的に放送開始したので、新幹線、もしくはロボット好きな同居人がいるご家庭では、朝から皮肉な状況に唸らずにはいられなかったはずである。

 なにせ『新幹線変形ロボ シンカリオン』は、CMもバンバン流れるくらいに正式にJRスポンサー資金のもと、公式なデータに基づいて描かれた新幹線どもがヒト型ロボに変形して戦う。物理的に、かなり強引なトランスフォーム。台車に亀裂など入っていたら、変形の過程で間違いなく大破する。それを期待して観てしまわずにはいられない(もちろんアニメの新幹線には亀裂など入っていなかったので立派に変形して戦っていたが)。

 そういえば、格安航空便の普及にともなって各国間を移動するひとの数は増えたけれど、移動させるための飛行機を操縦できるパイロットの育成が追いついていないという。そのことに関して根本的な対策はなにかと問われた某えらいひとが、こう言った。

「パイロットに憧れる子供を増やさねばならぬ」

 そういう意味では『新幹線変形ロボ シンカリオン』の設定は何重にも未来のJRを助けることになるかもしれない。

 まず、操縦者が子供だ。小学生だ。そのあたりのことはよくわからないが、どういうわけだかシンカリオンの開発元である新幹線超進化研究所は、操縦できる適合者のいない変形ロボを生み出してしまって、その研究所の職員の息子が、父のモバイル端末に入っていたアプリで遊んだら適合者だと判明するという超設定。理由などどうでもいい。タカラトミーの政策は、とにもかくにも巨大ロボを小学生に操縦させたがる。そのほうが子供にメッセージが伝わるからだ。キミが運転するんだ新幹線を! そして、シンカリオンを!

 新幹線の操縦者に憧れる子供たちをバンバン生み出しつつ、同時に正義のヒーローとして悪をも討つ。私の幼いころには、新幹線がなぜわざわざ変形してヒト型のロボになって悪と戦うのか合理的な理由が見つけられなかったために、こういうアニメは生まれなかったのだろうが、現代では。

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『誕生日のプラレール』の話。

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「プラレールの新幹線がロボットに変形して視聴者はJRで旅に出る」「そこにそういうCMが現実に流れている以上、世界はそういうふうに回っている」

 私が書いた。
 今朝の新聞にマクドナルドが業績をV字回復させたというニュースがあったが、それだって我が家の床に転がる無数のハッピーセットが一端である。トミカもプラレールも仮面ライダーもスーパー戦隊もポケモンも揃っていて、ついでにもらったDVDをすり切れるほど観てトミカプラレールの歌を幼児が歌う。



 『新幹線変形ロボ シンカリオン』の第一話では、なにげに主人公男子が父親と新幹線に乗りに行くという物語を紡いでいて、もうその時点で、大阪在住の父親が新幹線! 新幹線! と叫ぶ子供に「だったらテストをがんばりなさい」などと口をすべらせてしまって新大阪から姫路城まで三十分の切符を買わされることになるのは目に見えている。JRの思うつぼだ。土曜日の朝も早くからアニメを流してロボットを売るのは昭和もそうだったが、二十一世紀ともなると、エンターテインメントがすべてを動かすのである。まったくスポンサーとしては金を出していないはずの姫路市長が、どうして急に大阪からの観光客が増えたのだろうかと首を傾げるのが、あながちバタフライエフェクトとは呼べない、けっこう直接的な経済波及効果であったりする。だって新大阪から新神戸までだと十三分。そんなのはたのしむ間もないから、やっぱり三十分程度は乗りたいし、それ以上行くと泊まりの旅行になるし、目的地として城が建っているというのも、なんかイイ。

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 こんなことなら、もっと早くに新幹線をロボにしておけばよかったのにと遠目には思ってしまうけれど、この『新幹線変形ロボ シンカリオン』。昭和のプロセスとは逆の流れでアニメ化された。

 すなわち『新幹線変形ロボ シンカリオン』という玩具がまず生み出され、その玩具シリーズのアニメ化なのである。

 タカラトミー製プラレールの新幹線は、昭和の時代からある。それを平成でロボに変形させるにあたり、JRと協議しに行ったのだろう。とりあえず許可は降りた。しかし、JR側は、様子見がしたかったのではないか。JRがスポンサーとなってアニメ化から玩具発売という流れで、もしも鉄ヲタどもが騒ぎはじめたら。それどころか、PTAが乗り出してくる可能性もある。なにせ、平和に日本人を日本国内で素早く移動させるために安全第一で運行されている新幹線に、武器を持たせるのだ。敵を倒すのである。ガンダムをはじめとする完全架空の戦争用ロボたちでさえ、昭和では叩かれたものだ。実在する安全神話の象徴たる新幹線が、子供を乗せて戦いにおもむくなんて!!

 いや大丈夫です。と、タカラトミーのひとは言ったに違いない。玩具会社のひとには、時代の雰囲気というものがわかっているから。いまはもう、サブカルチャーは正義なのです。と、説得したところで、いやまあスポンサーという話はまたちょっと先で……となったのだろう。

 そして、時代はタカラトミーに味方した。まさかの新幹線の安全神話崩壊の序章かと新聞が騒ぎ立てる朝に、当の新幹線本人(JR公認)がカイサツソードやフミキリガンなる巨大兵器を持って敵をぶっ倒しても、そのことは特にだれからもクレームがつかなかった。アニメはアニメなのだ。オモチャはオモチャで、それに目くじらを立てるのは大人のやることではない、という共通認識ができあがったところで、逆に針が振れて、いまはアニメの聖地を巡礼したりする大人たちが経済を動かすのである。

 というわけで。順番が逆になった結果『新幹線変形ロボ シンカリオン』の玩具シリーズは、アニメ放送に合わせてリニューアルされた。

 無理もない。原作なしでロボを作ったところからはじまっている。いざそれを映像化してみると、こりゃ上手くいきませんねえ、ということが多々起きるのは当然のこと。そこで思い切った。というか、マニアはどうせリニューアルされたらまた買うので、それこそ経済効果が上がるというものなので。

 アニメに合わせて『新幹線変形ロボ シンカリオン』のフォルムが調整された。

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 上の画像は新型で、アマゾンへのリンクになっているが、レビューをぜひ読んでみていただきたい。評価が分かれている。否と叫んでいるのはアニメ化前のシンカリオン所有者たちで、否と叫ぶくらいだから新型も購入されたのであろう。しっかり自立しない改悪品という声が多い。だがしかしそれは、アニメに合わせた結果スマートで格好良くなって、スタイルを優先させるとどっしり自立がしにくいということなので、私はどちらかというと、ロボがちゃんと立つか立たないかよりも、アニメのシンカリオンに忠実である、というほうを選んだタカラトミー部隊にブーイングする気持ちは起きない。

 さて、我が家の『新幹線変形ロボ シンカリオン』を撮ってみよう。

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 すばらしい造形だ。
 わかるだろうか。右の二台は、ロボに変形しない新幹線こまちのプラレール。
 一番右が電池で走る自走式で、右から二番目は、新幹線はやぶさとの連結走行をモデリングするために連結パーツが車両先頭から出るというギミック搭載のもの。
 そして、左の二台が『新幹線変形ロボ シンカリオン』の、上半身と下半身である。

 頭を出してみよう。

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 変形しない新幹線プラレールと並べて、まったく見わけがつかないレベルの造形から、アニメ通りのヒト型ロボへと変形する。いい仕事をしている。昭和の架空パトカーが架空ロボットに変形しているくせに格好良くはないフォルムになるという製品とは雲泥の差だ。

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『プロフェッショナルジブンサガサーの明日』のこと。

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 ちなみにこの『新幹線変形ロボ シンカリオン』が我が家にやって来たのは、プラレール博の物販コーナーでアマゾンさんよりも千数百円も高く買ったからだ。

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『プラレール博を攻略する』のこと。

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 なにせテンションが上がっていたので。
 今年の大阪プラレール博の開催期間中に『新幹線変形ロボ シンカリオン』アニメーションは放送を開始した。当たり前だが、プラレール博にシンカリオンも登場する。私も床に座って待った。行列嫌いの私が、十分は待って、先頭に陣取ったくらいだ。なにせ、本物のシンカリオンが出てくるというのである。しかしそこに用意されているのは、どう見てもプロレスの入場ゲートみたいなものだった。高さ二メートルもない。つまり、ヒト型ロボが、ヒトの背丈で登場するということらしい。興味深い。

 しかし、私の期待は、いい意味で裏切られた。プラレール博というのは、黙々とイベントをこなすタイプの催しで、会場で笑い声がはじける、という雰囲気ではないが、このシンカリオンショーで、大爆笑が起こったのだ。身長二メートル弱シンカリオンに対する興味など忘れ去ってしまうくらいな出来事だった。

 とりあえず目線は入れてみた。タカラトミー所属の新人さんだと思うので、モザイクまでは入れない。見るひとが見れば、ああこれあのコだとわかるレベルに残しておく。

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「さあみなさーん、まもなく……まもなく、あ、えっと(背後の看板を振り返って確認)……し、シンカリオン? の登場でーす」

 ちょっと待て、なんだその疑問符は。シンカリオンショーの司会のおねえさんが、シンカリオンという呼称をおぼえていないとでもいうのか斬新なキャラクターショーだな。

「えっと、はあ。緊張してます。えーと、えー、し、シンカリオンは(看板をまた振り返って)……し、新幹線変形ロボ、なんですねー」

 ねー、じゃねえよ。今週放送開始の社運をかけたJRスポンサーまでつけた新作アニメのタイトルをなにひとつおぼえていないおねえさんだこのひと。

「じゃあみんなー、いよいよ登場ですよー、大きな声で呼んでねー!」

 まで言って。おねえさん絶句する。
 まさか。まさかですよね、と、ひとだかりのオトナのだれもが、自分の口を押さえた。笑ってしまうに決まっているからだ。

「あ、えーと、なんでしたっけ(看板を振り返って)、そう、し、シンカリオーン!!」

 いやもちろん、コドモドモだれひとり、おねえさんと声をあわせて呼ぶことなどできず。オトナドモは、たまらず爆笑した。シンカリオンて語列ごとき、そんなにおぼえられないものか。

 まさか本当におぼえもせずステージに上がったわけではないはずだ。だとすれば、おねえさんは自分で言うとおり「緊張しい」なのだ。イベント業や声優タレント業にたずさわるプロを使わず、オモチャ屋界隈で調達したおねえさんにキャラクターショーの司会をやらせたという暴挙の結果なのかもしれない。けっきょく最後までなんどやっても『新幹線変形ロボ シンカリオン』を発声するのに、背後の看板をいちいち振り返らずにはいられず、しかもいちいちドモっていた。可愛い。

 できることならば、このタカラトミー製ドジっ娘おねえさんを持って帰りたかったが物販コーナーでは売っていなかったので、やむなく上がったテンションをおさめる先として、おねえさんの次に可愛かった『新幹線変形ロボ シンカリオン』赤いこまちを買って帰ったということだったのでした。

 第一話。観てけ。



タカラトミーモール





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