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『ミニビルドドライバーを改造する』のこと。



「カプセルにパッケージすることがキモなんだ。ブランド品といっしょで、世のなかには中身のないイメージに金を払うやつが大勢いる。パッケージも高い値段設定も、なにか価値のあるものが入っていると、想像させることに意味があるんだ」

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 映画『闇金ウシジマくん ザ・ファイナル』

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 この春に、ここで書きましたが。

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『保育園落ちなかった』の話。

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 通勤ラッシュと反対方向へ電車で保育園通いする我が家の最寄り駅は、超巨大。観光客も多い。空港への乗り換えポイントでもある。

 それゆえ、改札口を出ると、壁一面のガチャガチャが設置されている。

 我が国に帰る観光客の、財布に残った数枚の百円玉を回収しようという涙ぐましい努力だ。寿司のキーホルダーとか、ジャパニメーション的キモカワキャラクターたちのグッズとか。みやげ物屋ならば選んで買えるのに、わざわざガチャガチャを回すのは、おもしろみのない日本国硬貨を持ち帰るくらいなら雑貨に変えたいけれど、それを選んで買うのがもうめんどくさいということか。もしくは。

 ウシジマくんの言うように、カプセルに入ったなんだかよくわからないというところにこそ、日本観光の最後を締めくくるにふさわしい神秘性が宿るのか。

 けっこう賑わっている。

 で、うちの二歳児だが。
 その前を、毎日通るわけだ。

 お金の利用法については、まだわかっていない。毎朝、父と母が出かけていくのは、明日のごはんを狩りに行くためだという社会の仕組みも理解していない。

 ただ、自動販売機から素敵なものが出てくることは学習した。

 目をそらしていたのだが、スーツケースをさげた団体さんが、歓声をあげて興じているのである。ある日、ガチャガチャも自動販売機の一種であることに彼は気づいてしまった。

 ジュースなの?
 なんのジュースでみんなそんなに笑っているの?

 あらためて彼は見たのだ。
 そうしたら。
 アンパンマンや、きかんしゃトーマスの絵が貼ってあった。

 そして、いま彼のたどり着いた三十分微動だにせず観ていられるテレビドラマ、仮面ライダービルドも、いた。

「かめんらいだ! びるど! びるど!」

 いや、自動販売機からビルドが出てきたら怖いだろう。

 いつか通る道である。
 回してみた。
 ちゃんと振るとカシャカシャ鳴る、フルボトルが出てきた。
 オモチャ屋で売っているのはDXと銘打ってある。

B0761R4K5Z

 ガチャガチャのは、ずいぶんと小さい。
 とはいえ、仮面ライダービルドと彼の縮尺の差を考えると、二歳児の手のひらにはベストマッチな大きさに見える。

 超興奮だった。
 マックィーンのトミカが指定席だった、添い寝位置に赤いラビットフルボトルがとってかわったくらいだ。見つめて寝ていやがるのだ。ヘンシン、と、つぶやきながら。

 そしていつしか、そういうものが増えていくのであった。私といるときには、行くぞ、のひとことでおとなしくなるのだが、妻だと、ガチャガチャの前で小一時間、ダダをこねる日があるという。

 根負けして回してしまう日もあるのはいたしかたない。

 が、こと、仮面ライダーに関しては、私にも信念がある。
 ガチャガチャ(いちおう書いておこう。ここから仮面ライダー話題なので、そのガチャガチャは、正式にはバンダイさんのガシャポンである)の仮面ライダービルドにおける大当たりは、販促POPによれば、

「約80mmのビッグサイズ」

 な、ビルドドライバーだ。
 ちなみに、DX版だと、こういうの。

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 ガチャガチャのも、80か、でっかいなあ。と感じてしまいそうになるパッケージの魔法であるが、冷静に考えてみると、80mmは8センチだ。手のひら半分もない。さすがに、二歳児縮尺でも小さい。

 そう、オモチャ屋のDXビルドドライバーは腰に巻くベルトだが、ガチャガチャのビルドドライバーは、クリップ留めだ。ベルトは用意して、そこにクリップで留めてくださいねだ。いや、二歳児はベルトなんてしねえよ。パンツのゴムに挟めってか。ビルドドライバーって、フルボトルを押し込んで変身するんだぜ。ズレるわ。

 腰に巻けないライダーベルトはベルトじゃない!!

 ほら、もう、叫びまでおかしな日本語になってしまう。

 腰に巻けないビルドドライバーはライダーベルトと認められない!!

 そういうこっちゃ。

 つまり、ガチャガチャを回し続けても彼はフルボトルだけを無数に溜め込み、大当たりが出ても、その集めたフルボトルは挿せない小型のクリップ留めなビルドドライバーを所有することになるのである。

 両手にフルボトルを持ってカシャカシャやって、ビルドビルド変身変身と呪文のように唱えている彼の腰に、ライダーベルトと呼べるようなベルトは、永遠に巻かれることはない。

 その悲劇に号泣しかけて、ふと気づく。

 いや、買ってやればいいのか。
 うちの息子だった。

 ググった。
 ありがたいことに公式の幼児用があった。

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 おそろしいことに、1000円もしない。腰に巻けるビルドドライバーが、だ。ガチャガチャは一回200円である。それで大当たりが巻けないライダーベルトなのだ。

 おそろしきかなパッケージングの魔法である。バンダイさんとしては、コスト的には大当たりの本数を減らしてなんとか腰に巻けるライダーベルトだって作れるはずだが、カプセルに入れるという魔法を優先した結果、小型化を余儀なくされている。つまり多くの人々にとって(特に帰宅間近の観光客にとって)、あきらかに立派な腰に巻けるライダーベルトでも、のちほど郵送でお送りします、では商品として魅力がないということである。

 しかし、別に送ってもらってかまわない我が家としては、ガチャガチャのカプセルサイズに、こだわる意味がない。別に射幸心をあおられてハンドルを回しているわけではないのである。間違いなく手に入るベルトがあるのなら、そっちがいい。

 買って届いた。
 大興奮。

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(どうでもいいことだが、下に敷いているのは、私が愛用する黒シャツです。アイロンはかけないで着る)

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・二歳の息子に初めてのライダーベルトを買い与えたら、振って挿れて回してヘンシン! と飽かず何十、何百回とくり返していて。…だけど一度も仮面ライダービルドにヘンシンはしない。本人は気にしていないが、私は、一階からいまも聞こえてくるヘンシンの連呼に、なんだか泣きにじんでしまう。

twitter / Yoshinogi

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 ハンドルを回すと、ギミックがくるくる回る。DXベルトのように電池で音を発したりはしないものの、初めての仮面ライダーベルトとしては飽きずに回し続けるに充分な出来。懐かしの仮面ライダー1号だったらバイクで走って風圧で回っていた風車が、最新ライダーでは手動で回すというところに昭和生まれのライダー好きだってキュンとしてしまう。

 ただ、困ったことに、自分の腰に巻いたベルトの風車が回るのを、腰に巻いた本人は正面から見られない。これに二歳児ご立腹。

 腰に巻く。変身! そして今度は脱いで、手に持って風車を観察しながらハンドルを回す。それでまた興奮。自分で自分をなぐさめて満足できる子は生きやすい。その内向性を存分に鍛えるがいい。

 と、微笑んで見つめていたら、ベルトを突き出された。

「つけて」

 おう。
 こりゃ面倒くさい。こういう作りになっている。

Minibuilddriver01

 プラスチックの黄色いベルトが、ビルドドライバーに引っかかっている。

 長さは連結して調整。

Minibuilddriver02

 横から見るとわかりやすいが、その連結の仕組みで、ベルト全体が留まっているのである。

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 なるほど、プラスチックパーツで安価に様々な腰回りに対応する、考えられた作りだ。が。これ、子供が自分でつけるのは不可能である。よくあるボクシングのチャンピオンベルトの仕組み。セコンドが背後で、もぞもぞとフックを留めてやるしかない。そのうえ、連結部は固定されているわけではないから、腰から外すたびに、バラバラになる。

 えー、こいつが腰からライダーベルトを外して、またつけるたびに大人が呼ばれるのか。そんなの自家発電じゃない。ひとりで完結してくれないと。内向性の鍛錬にならない。

 しばし考えて。

 こういたしました。

Minibuilddriver04

 ゴム。輪にして縫って外れなくした。これで、自分でパンツがはける程度に成長した幼児ならば、ミニ仮面ライダーベルトも自分で装着できる。

 ちょいちょい、ベルトだけを脱ぐはずがいっしょにズボンも脱いでしまっているが、それはそれでくりかえして学ぶがいい。

 ヘンシン!

 泣きにじむのは、やめよう。虚しき行為だと感じるのは、徒労を知りすぎたこっちの視点。

 彼のは違う。
 吠えるたび叶っている。

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