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『8月19日はバイクの日』の話。




 8月19日はバイクの日!!

 東京では暑いからでしょうか謎なことにバイクの日のイベントを室内で開催し、そのイベントで、日本自動車工業会二輪車特別委員会の柳弘之委員長が声を張ったそうな。

「2輪車には4輪車とは違う運動特性がありまして、それを操縦する楽しさがあります。それに2輪車は、走る姿を見ることでも楽しめます。ヨーロッパが主体のMotoGPというレースは、4輪車レースの最高峰であるF1よりもお客様が集まります」

 ええそうですとも。
 カワサキのバイクに乗り、MotoGPを毎年テレビで観戦している、私こそバイクのヒダヒダうっほいと羽目を外すべき存在なはずなのですが。

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『ひとのタイヤ見てわがタイヤを交換する』の話。

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 はちいちきゅう
 俳句じゃなくて
 バイクの日

 季語がない。それはともかく、その日、血肉を削って骨をしゃぶるライバル同士であるはずの日本の主要バイクメーカー四社が、合同記者会見もおこなった。

(いちおう書いておくと、ホンダとヤマハ発動機と川崎重工業とスズキ)

 委員長と声をあわせて、10月にはMotoGPが日本にやってくるぜみんなで観に行こうぜヒダヒダうっほい、みたいな話をするのかと思いきや。

 四社が声をあわせて、こう言う。

「原チャリめっちゃ売れてへん」

 いやまあ、吉秒意訳であって、関西弁で言ったわけではないが、まとめるとそれに尽きる。

 庶民の足、排気量50ccの原付バイクも、オードリーヘップバーンも後ろに乗せられるオシャレアイテム125ccの原付二種バイクも、売れていないそうな。

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 理由は、わかりきったことで、数年前に、原チャリと電動機アシスト自転車の販売数が逆転しているから。ヘップバーンは後ろに乗せられないけれど、筆記試験だけでさくっと取れるが売りだった原付免許。それさえいらないモーターアシスト機能付き自転車が、原付より安い。別に時速30キロとか出なくても、通勤通学お買い物には自転車でよいわあ、というひとが増えていくのは、当然といえば当然である。

 なんならネット通販でポチったら明日にも届く。

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 おかしな話だ。
 電気自動車は普通免許が必要なのに、電動モーターを積んだ自転車は免許がいらないというのは。アシストだからか。

 でも、だったら、もっとおかしな話だ。

 なぜ主要四社は、電動バイクに軸足を移さないのだ。いや、ヤマハさんはE-Vinoというヘップバーンも乗せられそうな、でも乗せられない50ccの電動スクーターを売っている。が、これ、パワーモードで走ると、十キロそこらでバッテリーが不安な感じ。私、電動アシスト自転車も売っているのですが、昨今の電チャリ、坂道含めて十キロくらい、余裕で走る。となると、電動バイクの利点というのはなにか。

 やっぱりそこだ。

 30キロ出る。

 免許いるけれど。電動自転車の二倍以上のお値段だけれど。30キロ厳守の走行をしている原付なんてトンと見ないし、むしろそれ以下で走っているおばちゃんの原付こそ交通の妨げな気もするけれども。

 ところで、バイク全般が販売減少に転じたのは、八十年代の暴走族の存在が大きかったとされている。矢沢永吉も歌っているが、アスファルトを血に染めて……その年代からだいぶんとあとに青春時代だった私でさえ、バイクで死んだ友人が何人かはいる。そして私自身が、あちこち骨折くらいはしている。

 危ない。物理的にも、思想的にも。

 そりゃそうだ。二輪なのだ。自立しないのだ。基本的にコケるもので、自転車に乗るひとなら自転車でコケたことは絶対あるはずなのに、そういうコケる乗り物に三百キロ出るエンジンなど積んでしまった乗り物である。

 だからこそ、生活必需品の時代を越えてからのバイクは、若者の乗り物で、暴走族のせいで販売台数が減ったというが、暴走族世代が買わずにだれが買うんだというところもあった。

 現に、あのハーレーダビッドソン社が、このところ、毎年のように前年割れの決算だ。50ccの原付を二十台ほど合わせたみたいなモンスターマシンが主力の世界的バイクメーカーは、いまや主要な顧客層が還暦を越えたらしい。さすがにそれは売れない。コケたら自分のカラダさえ起こせないような年齢になっていく人々が、いくら金を持っていようと、数百キログラムの鉄のかたまりにまたがろうというのは、もはやそれで逝くと心に決めた行為であろう。

 そんなわけで、世界のトップ大型バイクメーカー、ハーレーダビッドソンの最新アピール動画は、やたら女子供とスポーティー推しで、小排気量のバイクを若者に売りたくて仕方ない模様。



 一方、国内では、私がいま乗っているカワサキ製の国産アメリカンは排ガス規制で生産中止になり、だったら後継車種を出せよというところだが、四社そろって、ハーレーダビッドソン同様、ふんぞり返って乗るようなバイクはもう作らないと心に決めたかのようである。

 カワサキの最近の推しが、こんな感じ。



 逆に。もう逆に。ベンツのオープンカーに犬といっしょに乗った女を見惚れさせて、しかし口説きはせずに走り去って男同士でケツ追っかけあう大型バイクに全身バイクスーツでまたがりたい層って。だれなんだ。私ではない。私よりもきっと歳上で、私よりもずっとお金を持っていて、もはやそれで逝くと心に決めたようなひとで……って。それはハーレーダビッドソンがドン詰まりになった道ではないのか。

 それほどだということだ。
 だれになに売っていいやらわからんレベルなので、バイクの日に、日本のバイク界の代表どもが、声を揃えて夢という響きの真逆を平然と言ってのけたりする。作っているひとたちが、売れませんねえ、売れませんので、モンスター電気バイクを作ってみましたとかいうわけでもなく、お金が余っているひと向けの従来型ガソリン大型バイクに力を入れます、って売れるかそんなもん。

 そんな不毛の地で、あの特撮ドラマが来年も続く。

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『仮面ライダービルド』のこと。

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 先週、バイクが出てきた。『仮面ライダーエグゼイド』は最初の数週こそ、自転車に乗ったりバイクに乗ったりしていたが、いかんせん、テーマがテレビゲームである。まったくオートバイの登場しない回がほとんどになっていった。「電車?」と驚愕した『仮面ライダー電王』でさえ、電車のコックピットはバイク風だったが、エグゼイドはガン無視である。最終回間近になって、悔い改めたのかバイクが走っていたが、ヒトは乗っていなかった(バイクに変形するライダーが出てくるのです。物語の中盤では死んでいたが生き返った)。

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 仮面ライダーシリーズでは、国産バイク四天王のうち、カワサキを除く三社が、ベース車をそれぞれ提供している。昭和の時代の多用によって、仮面ライダーが世界で売ったスズキ車の数は天文学的なことになっているはず。

 最近は、ホンダ車が多い。新仮面ライダービルドのバイクは……



 ホンダXR230がベースのようである。

 あれ……懐かしい。それってカワサキの私のアメリカンと同じくらいのときに、生産中止になった車種……

 仮面ライダーの乗っているのに憧れて、買いに行ったら売っていないのをなんで憧れさすのか。いや、XR230には後継機種があるのですよ。私のカワサキアメリカン同様、私の好きな仮面ライダー威吹鬼が乗っていたホンダアメリカン・シャドウが後継なくやっぱり生産中止になったのとは違って。

 あれか、後継のCRFシリーズをググられると、跳びはねるバイクしか出てこないことになるからか。



 前述のように、新仮面ライダーがアクション重視なやんちゃなバイクに乗ってきたのを潤んだ瞳で眺める私のようなのがいるからこそ、万が一にも「仮面ライダーに憧れてあんなバイクに乗ってアスファルトを血に染めて」な事態は起こりえぬように、生産中止して久しいのをあえてか。

 勘ぐりすぎでしょうか。
 でも、現に私が、仮面ライダーに憧れてバイク乗りになったひとりなのです。その日本が誇るバイカーテレビヒーローが、バイクに乗っていなかったり、もう売っていないバイクで新番組だったり。スポンサーってなんだ! そんなんで売れるか!

 ソニー損保「2017年新成人のカーライフ意識調査」によれば、今年の新成人の免許保有率は56%だそう。普通自動車免許ですよ? それが二人にひとりしか持っていない。

 やがて四輪車は、自動運転になるとか言う。

 絶対安全? 免許証、いらなくなりますよね。で? そのとき、自動運転装置の搭載が義務づけられた未来で、電動になっているにしても、オートバイはどうなっているのだろう。

「2輪車には4輪車とは違う運動特性がありまして、それを操縦する楽しさが」

 ……整然とメリーゴーランドの白馬のように流れる自動運転車の脇を、手動で走る二輪車なんて、道義的に許されるわけもない。時速30キロ以下で走るおばちゃんの原チャリよりも事故の原因にしかならない。だったら滅ぶのか。レース場のなかだけで生きるのか。

 しかしほんと、四輪車好きなひとだって、自動運転の車になんて乗りたいか? そんなわけない。でも、ヒトが運転するのが危険だとなったら、法律的には公道を走るのは無理でしょう、免許があろうがなんだろうが、すべての公道走行車両はオートマチックになる。

 あえて車にする意味は、あるのか。
 電車でよくない?

 ああそうか、それで賢明な新成人の二人にひとりは、どうせ将来的には使い道もなくなる免許なんて取得しないんだね。そうか、わざわざ転ぶ二輪車に乗るのなんて、金網のなかのデスマッチを観るように金を払って観るようになるのだね。

 復権なんて無理そうなんですけど、バイク。と嘆きつつ、排ガス規制前に乗っていてよかったなあと不謹慎な方向で感慨深めたバイクの日。

「おれが絶頂だったころにはなあ、車は手動で運転したもんだし、バイクだって公道を走っておったもんじゃ」

「ええっ。そんなカオス、よく生き残ったね、おじいちゃん」

 交通戦争も、撃ちあい斬りあう戦争と同列に語られるようになる。

 仮面ライダーは……自動運転のオートバイに乗ってもなあ。無音の電気バイクというのもちょっとなあ……ていうか、いまや日本語で「ライダー」を検索すると「仮面ライダー」関連の事項しか一ページ目には現れない。もちろん、もとは馬に乗るのがライダーだったのだが、その後の機械馬にまたがるヒトのことさえも指さなくなり。

 そもそもの「またがる者」という意味は消え、ライダースジャケットを着たロッカー風の人物や、バッタをモチーフにした日本産の仮面のヒーローのことを直接的に示す言葉として定着していくのだ。

 そして。

「おれっちはなあ、むかし、ライダーだったんじゃ」

「はは。嘘っでえ、じゃあライダーキックやってみてよ」
「清志はバカねえ、おじいちゃんが言っているのは、革ジャン着た不良だったって意味よ。ものを知らないのね。あきれちゃう」
「革ジャンってなに?」
「牛の表皮で作った上着のこと」
「牛って?」
「ビーフ。ほんとバカね。むかしはビーフは培養じゃなくて、牛っていう動物から切り取っていたの。肉を食べて、皮が余るでしょう? それを着るのよ」
「げえっ、臭そうっ」
「実際に臭かったのよねえ、おじいちゃん?」

 なんて言われて、深い、ため息をつこう。




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