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『ソルブレインの響き(音声データを含みます。再生注意)』の話。


TAKARAROBOT01

彼らが何者であるのか私は知らない。
でも、記憶がある。

変形と呼ぶには稚拙な、金属のつま先が半回転して、尾翼ですよとかいうギミック。
意味もなく、さわっていた。

全長7センチ。
子供の手にも収まる。

父親の転勤が多く、親戚中でもっとも早い生まれ。お下がりというものがなく、私の所有する玩具の多くは、黙らせるために買い与えられた、出先での小物の類が多い。

ミニカーに興味はなかった。
物語を紡いでいたのを、はっきりおぼえている。
喫茶店のグラスや灰皿。
車窓の風景。
そういったモノと戦うには、小さな戦士が良かった。

彼らはタカラ社製である。
その刻印は読みとれる。
(名前も刻んで欲しいものだ)
そうすると記憶が混乱する。
タカラ社製といえば、10センチほどの戦士人形。
全身関節可動のフィギュア。
ミクロマンが有名である。

私も持っていた。
というか大好きだった。
ねだって何体かは買ってもらい、絶えず携帯していたほどに。

そのはずなのだが……
実家で見つけた「匠の箱」には、ミクロマンがいなかった。同じサイズのロボはいたのに。可動関節のせいだろうか。壊してしまったのか。

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 なんどかここでも書いたおぼえがあるが、夏が来ると思い出す、私が広島の被爆三世だというのが、おおいに関係している。

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『少女と原子爆弾』の話。

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 私は超人が好きだ。
 闇を怖がらない生き物になりたい。
 ヒト型でありながら機械であるアンドロイドにも惹かれるが、ヒトを改造して半分機械にすることで死を超越したサイボーグという存在に、なれるものならなりたいとさえ夢見ている。現在進行形である。

 夜、ひとりでおしっこに行くのは、ずいぶんと大きくなるまで、怖くて仕方なかった。そんなもの、サイボーグになったからといって平気になるたぐいのものではないと思うかもしれないが、私のなかで押入れに潜むブギーマンと、予兆なく落ちてきて街を焼く原子爆弾は同じようなものであり、それを恐れなくなるには、大人になるという程度では足りない。実際、大人になった私は、さすがにおしっこは怖くないが、ときどきピカドン系の夢にうなされて起きることがある。

 現実に、近所の国がミサイルを実験しているから、というようなところに、恐怖は起因していない。私にとってのブギーマンピカドンボムは、もっと観念的な存在なのだ。オバケに近い。幽霊ではない。私は夜の墓場も平気だし、怪談好きである。幽霊がヒトに危害を加えるとき、それは元ヒトとしての怨念によるものだが、ブギーマンピカドンボムに意志はない。呪いではないというところが怖い。こちらが何者であっても、闇から沸いて襲いかかってくるのである。

 対策があるとしたら……

 襲われても死なないカラダになる。

 それしかない。

 この手の超人化願望を、近年のサイファイフィクションは、遠隔操作という手法で描いてしまうことが多い。つまり脳内の人格は高速コンピュータにデータ化されて移動済みで、コンピュータ上で走るデータの私が、遠隔操作でアンドロイドのカラダを操作するという仕組みだ。

 それはまあ、一種のサイボーグではあるのだが。
 カラダが死んでも、私自身は生き残るのだが。

 それを私のカテゴライズでは、超人とは呼べない。

 ぶっちゃけた話、生のペニスとアナルが残っているかどうかは非常に重要である。いちおう書いておくが、セックスのためにというよりは、排泄器官としてのそれらが残っているかどうかが此岸と彼岸のあいだの川だという話である。

 はっきりと自分でねだったオモチャで、おぼえているいくつか。それらも実家で発掘して持ち帰った。

 筆頭は、彼。
 仮面ライダーブラック。

TAKARAROBOT02

 私の根幹だ。
 いや、私だと言ってもいい。
 仮面ライダーはヒトである。改造「人間」だ。不死というわけではないけれど、ブギーマンピカドンボム怪人をライダーキックで倒すだけの自立した強さを有している。私の理想の超人だ。その夢で私ができている。たぶん、セックスも排泄もする。そこも重要だ。怪人は倒すが、生物としての欲求を越えられていないし、チキンは殺して食べる。ニワトリの側からしてみれば、仮面ライダーが半分機械だろうがなんだろうが、地球の自己中心的支配者人類の一員であることは、まぎれもない。

 ソフトビニール人形ではなく、関節可動する小型のフィギュアだというところが、いかにも出先で買ってもらった感が満載だ。触覚は折れているし、全身も傷だらけ。ご主人様に過酷なプレイを日々強要されていたのだろう。しかしそうして、子供を黙らせるためにちょいと買ってやった小型フィギュアの一体が、大人になった私にこれが私を作ったのだと言い切らせてしまうのだから、あの日あのときあの場所で、たわむれに美少女フィギュアなど買い与えなかった両親なのか、祖父母なのかに感謝せねばならない。仮面ライダーブラックでよかった。まだよかった。

(よくおぼえているのだが、私はそういう年頃のとき、妙にシルバニアファミリーに興味を持っていたことがあった。たぶん、ねだったこともあったのではないだろうか。ドールハウスというのに惹かれるものがあったのだが、真剣に買い与えられてそちらに没頭していたら、違う道に育ったのではなかろうかという予感はする)

B00370BTDW

 ところで、仮面ライダーブラックの背後に鎮座ましますのが、『特救指令ソルブレイン』の『トルネードバーストセット』である。

B003SX1FA0

 ソルブレインは、私の年代からはズレているし、前述のように私は仮面ライダー派だったので、これはたぶん、弟の買ってもらったもののはずだ。

 ただ、この音が。
 ああ、そうなのだ。
 その銃の引き金を引くと、キュウンキュウンとビーム発射音が出る。

TAKARAROBOT03

 実家で、これを発掘したとき、こいつは動かなかったが、持って帰って電極を磨き、あちらこちらにオイルと紙やすりで手を入れた結果、心臓部に致命的な劣化はなく、こうしてビームを撃てるまでに回復した。

 聴いていただきたい。



 記憶にあるかぎり、このサイトに音声データを貼るのは初めてのこと。なんらかのご迷惑をおかけしては恐縮なのでタイトルにも入れてみたのだが。仮面ライダーのベルトがしゃべってあたりまえの昨今。昭和の時代には、ゴジラを撃つ自衛隊の戦車まで、こんな音で光線を放っていた。この音を、文章で伝える技術が私にはなかったので、こんな形になりました。あなたの耳について離れなくなるといい。いやまったく不眠の原因にもなりかねないこんなのを、バブル絶頂期の休日という概念を持たない建築家だった父のまわりでキュウンキュウン撃ちまくっていたのかと思うと、よくも弟は生き延びたものだと思う。

 というわけで完動品だが、我が二歳の息子には譲らなかった。ただいまー、キュウンキュウン、とやられたら私は自制する自信がないので。

 それで私の書斎にいまもあって、ときおり、ふと撃ってしまう。かんに障る音だ。だが……なんというか……涙腺を刺激されるなにかも含まれている。なにかはよくわからない。よくわからないので、また、ふと撃つ。キュウンキュウンと、最近、二階からときおり聞こえてくるのはなんなのかと家族は思っているはずだが、またおかしなオナニー方法でも開発したのだろうと呆れられていることだろう。

 おおむね間違ってはいない。

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