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『福岡市ゴジラ』のこと。






 たららんっ
 たららんっ
 たららららららららんっ

 ……という。
 リフレインが叫んでいるのが特徴的な『ゴジラのテーマ』。

 私、これをときどき口ずさんでいる。

 その替え歌を。

 いや、もともとの『ゴジラのテーマ』には歌詞などないので、正確に記述するならば……

 『福岡市ゴジラ』

 の替え歌を。

 『福岡市ゴジラ』とは。
 坂本龍一司会の、ラジオ番組への投稿作だった。
 オリジナルにはない歌詞を創作している。

 たららんっ
 たららんっ
 たららららららららんっ

 ゴジラっ
 ゴジラっ
 ゴジラとメカゴジラっ

 ……なんという、率直な。
 『ゴジラのテーマ』に、ゴジラとメカゴジラを当てはめた。まあ確かにうまくハマっていて、もしかするとオリジナルも「ゴジラっ」と口ずさみながら作曲したのではないかと思えてしまうくらいだが、あまりに率直すぎて、それだけのネタで世界の教授サカモトが絶賛するはずもなく。

 続きがある。

 たららんっ
 たららんっ
 たららららららららんっ

 モスラっ
 モスラっ
 モスラとメカモスラっ

 ……創作だ。
 ゴジラ映画にメカモスラなんて出てこない。
 さらに『福岡市ゴジラ』はブッ込んでくる。

 ラドンとメカラドン。

 そうか。
 目に浮かぶ。
 モスラやラドンはメカ化できそうである。

 と、想像力を刺激しておいて。

 ヘドラとメカヘドラ。

 お、おおう。

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 昭和発展期公害の化身ヘドラ。汚物である。ううむ。なにをどうメカ化するのだ。ヘドロのメカ。どろりとしているのかガチリとしているのか、悩ましい。

 想像力がブーストする。
 そこへ畳みかける『福岡市ゴジラ』

 ゴジラ。
 モスラ。
 ラドン。
 ヘドラ。

 と、来て、その後。

 サザエさん一家が並ぶ。

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 メカイクラが叫んでる。

 と、来て、その後。

 アルプスの少女ハイジ。

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 メカオンジとメカクララ。
 メカペーターが攻めてくる。

 名曲である。

 名曲ではあるが、知らなくてもよかった。
 それを某格闘家が自分の入場テーマに選んでしまい、テレビ中継された。以後、私のまわりでも一時期、だれも彼もがニヤニヤしながら口ずさんでいるという時期があったのだ。

 前述のように、口ずさむのは『福岡市ゴジラ』のさらに替え歌である。替え歌というほど大げさに考えることもなく、基本はゴジラと同様の三文字であれば、気持ち良くなれる。

 はずなのだが。

 実際に歌ってみるとわかるが、たとえば私。

 タクミとメカタクミ。

 たくみっ、たくみっ、たくみとメカたくみっ

 ほら。三文字だけれど、うまくメロディーにのらない。気持ち悪いのだ。ごじらっごじらっ、の節で、たくみったくみっ、と歌えば、ぬぬぬ、となる。

 最後の一文字の音が上がる言葉が、具合が良い。

 トマトっ、ミカンっ、キノコとメカナマコっ。

 ほら。気持ち良い。
 と、書いてみて、首をかしげる。

 ナマコの最後の音は上がっていないのに気持ち良い。
 タクミとナマコの違いはどこにあるのだ。

 替え歌の常で、○ンコ、というような三文字も、好んで使用されたものだ。ちなみに、○の部分に下ネタ系のチマウ的な文字を入れると最後の音が上がるので具合が良いのだが、 伏せ字にされればだれもが真っ先に思いつく、アンコ、だと最終音が下がるので気持ち悪いために、やむなく下ネタのほうを口にしてしまうというところはある。ちなみに、口にしたところで、なんにせよそんなに楽しくはないところがミソだ。

 特筆すべきは、ペーターだろう。厳密に数えると三文字ではないのである。のばす音は半音と捉えるのか。と、いうことを考えながら色々と試していると、私立恵比寿中学の電車奴隷廣田あいか。

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 彼女のニックネームが小さな「ぁ」と書いて「ぁいぁい」である。それを当てはめてみると、おお、綺麗に回る。小さい音も半音カウントなのか。そこに気づくと、バリエーションが拡がる。

 チャーチ、チョーク、キャシーとメカ竜虎。
 ワイン、フォンデュ、アナルにメカジグソー。

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 とが、にになっているしっ、ジグソーはもともとメカだしっ。などと自己つっこみを挿入して無限ループの輪も拡張していくというものである。

 スーパーの食料品売り場はゴジラの宝庫だ。

 なすびっ、ぽてとっ、きういとメカれもんっ。
 れたす、ちーず、ばななとメカぱすたとぱすたとぱすた……

 魚売場は、なぜかぴんとこない系の三文字が多い。

 うなぎっ、あさりっ、はまちっ、あさりっ、たらこっ、ひらめとメカあなごっ。

 全般的に、ぬぬぬ、という感なのに、サザエさん一家がオリジナル『福岡市ゴジラ』の歌詞であるというところが奥深い。あなごさんは劇中に登場するのに、巧みにかわしているところがテクニックであろう(歌詞に登場するのはサザエとカツオとワカメ。あとメカイクラの連呼)。

 というあたりで、合唱をもういちど。

 モスラっ
 モスラっ
 モスラとメカモスラっ

 オンジっ
 オンジっ
 オンジとメカオンジとオンジとオンジ……

 なにがしたいのか。
 呪いの伝播である。
 こういうものは、忘れたころにだれかが次代に語って聞かせねば廃れる。その曲を入場テーマにしていた彼も、四十なかばでMMAファイターとしては、いつまでヤってくださるだろうという景色だし。廃れてもいいようなものだが、私ばかりが、スーパーに買い物に行っても、夜、ふと目が醒めて天井を見上げても、ゴジラ、ゴジラ……からつながる果てなき呪いの歌をいまわのきわまで歌い続けるのかと思ったら、あなたにも感染させたくなった。

 あしたから歌ってください。





(以下余談)

 などと書きながら、思い出したことがあった。書きながら思い出すということは、それとそれはつながっているということだ。なにを思い出したかといえば、ずいぶんと前にここでも書いたことがあるようなないような気がする、歌手、上田正樹である。

 中学生のころ、私はハガキ職人だった。関西では有名な『ヤングタウン』というラジオ番組に向けて書いていた。そのころから基本シモ寄りの筆致だったこともあるし、いまでも私は職場で仕事以外の話をいっさいしないように、当時から筆名の私と実名の私はくっきり分かれていて、学校にそれを持っていけばニュースになるに違いなかったヤンタンでハガキを読まれたらもらえるバッグやペンケースなどを複数所有していたにもかかわらず、だれにも言うことはなかった。

 その日、いつものように私のハガキは読まれていた。しかしあろうことか、関西では特に大物アーティストである、上田正樹が、なぜなのかゲストとしてスタジオにいたのだ。

 彼は言った。

「ったく。くだらんことばっか考えてへんで、おれの歌聞きに来いや。ライブ来い。モスラ、待ってるからな」

 軒下のモスラ、というのが私のラジオネームだった。たぶんおそらく、上田正樹に、おれの歌を聴きにきやがれとツバ吐きながら名前を呼ばれたモスラは、世界で私ひとりのはずだ。

 で、まあ、ぶっちゃけたところ、じきじきに御大からお声かけいただいたにもかかわらず、根性たたき直されるはずだった彼のライブには、いちどもうかがったことがなく。そのために私は、たたき直されないままに、いまだシモ寄りな、くだらないことばかりを書き綴って生きているモスラなのである。

 そんなこともあって、ゴジラ界隈のくだらないことというのは、自分の領分だという意識があるのかもしれない。少なくとも『福岡市ゴジラ』の制作者は、同じラジオ番組投稿者であり、同じようにどう見てもくだらないネタを書いていたにもかかわらず、坂本龍一に絶賛されレコード化され、私の観ている格闘技の会場で大音量で流されている。悔しいだとか、そんな大それたことを思うわけではないけれど、呪われた私は、私だってだれかを呪いたいと思ったりもするのでした。

 だったら自分のネタで呪えというところだ。
 いや、まったく。
 あいもかわらず、永遠に中学生なのだ。
 上田正樹に舌打ちされるくらいに性根が腐っていてどうしようもない。

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