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『新生イソジンとナビスコ』の話。



 ごほんごほんと、咳をしながらカウンターに近づいてくるお客さんが増えてきて、うつされないように接客なんて不可能だから、薬屋に必要なのは抵抗力すなわち体力だスクワット千回!!

 というシーズンがやってきた毎年飽きもせず移ろう季節。

 今年は、仕事が増えた。
 すごく叫びたい。

「新聞読んでねえのかよ!!」

 連日報道してたじゃねえかよ。ネットでニュースを摂取すると、興味ないのはスルーどころか目にもしないので、あれだけ報じられていても知らないひとが多い。困る。

「これ……」

 はい、カバのマークのイソジンはこの世から消滅しましたよお客さん!! で、あなたの手に収まっている、それが今後はうがい薬の代名詞たる商品になるのではないかと業界では見られていますが、あなたはそんなことは気にしないでよろしい。

 イソジン買いに来たんでしょ。
 それで正解。
 名前は変わったけれど、中身はまったくの同じ。
 カバくんも同じ。

 いやだってイソジン買いに来たんだよ。
 だったらイソジンて書いてあるそっちを買いなさいよ、有効成分なんて変わんないよ。味の違いは自分で試してみるがいいさ。でもうがい薬を舌の上で転がすのは歯の着色の原因になるからやめたほうがいいかも。

 ……どういうこと? どっちでも好きなの買いなさいよと言っているのに、時間の余っているおじいちゃんなどは、訊き返してこられるおれりいまそがりひをしがり。そこからまた話が長い。新聞を読め。おれに説明させるな。話としてはあんまりおもしろくなく、でもややこしくはあるので、端的に説明するのがむずかしいのだ。

 ネットで調べてくれないか。
 というわけで、私も私自身のブログにまつりあげておく。

 顛末。

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 イソジンというブランドはオランダのムンディファーマ社のもの。

 日本ではライセンス契約によって明治さんが「明治イソジンうがい薬」として販売していた。

 しかしムンディファーマ社はイソジンブランドをみずから使ってのアジア展開をもくろむ。

 でも販路がない。そこに現れる塩野義製薬さん。

 かくしてイソジンの名は、日本では明治さんからシオノギさんへと移り、今シーズンから

「製造販売元ムンディファーマ株式会社・販売元シオノギヘルスケア株式会社 / イソジンうがい薬」

 と

「製造販売元健栄製薬株式会社・販売元株式会社明治 / 明治うがい薬」

 が、店頭で並んで販売されることに。

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 公式サイトは、そんなわけで三箇所。

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明治うがい薬|株式会社 明治

イソジンうがい薬 | シオノギヘルスケア

「やっぱり、イソジン®」|ムンディファーマ株式会社

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 「明治うがい薬」を製造している健栄さんも「ケンエーうがい薬」という商品を持っているので、四箇所かもしれない。これだけでも充分ややこしいのに、混乱するのがキャラクター。実際、ちょっとした裁判もあっての決着だった。

 「明治うがい薬」の売りは「ずっと変わらない」。おなじみのカバのキャラクターと、味も変わらないでこれからも行くぜと謳っている。

 一方の新生「イソジンうがい薬」。これが新キャラをぶっ込んできた。犬。なぜ犬。とにかく犬で、その犬がカバくんに似ていると明治さんは訴えたのだが、なんやかんやで和解。

 最終的に、おなじみカバくんで名前が変わったひとと、新キャラ犬くんで昔からの名前のひとという、どっちと握手したらええねん状況が生まれてしまった。

 どっちも選ぶひとがいるだろうから、どっちも仕入れる。
 どっちがいいのと訊かれる。
 どっちが良いとか悪いとかいうものではないですねと答えるしかない。

 あなたが選んでください。

 以上が、イソジンの話。
 現場の愚痴。

 ほんでまあ、そういうイソジンうがい薬の例でもそうなのですが、ついこのあいだ。

 個人的に大問題な同様の事案が発生。

 ナビスコ。

 ヤマザキナビスコから、モンデリーズナビスコへ。

 顛末

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 アメリカのモンデリーズ・インターナショナル社がライセンスを持つ、ナビスコ製品は、日本ではずっとヤマザキ・ナビスコさんが販売してきたが、契約が終了。それによってヤマザキ・ナビスコさんはヤマザキビスケットに名前を変え、「リッツ」「プレミアム」クラッカー、「オレオ」「チップスアホイ」クッキーなどのナビスコ製品は、今後モンデリーズ・ジャパンさんからの販売となる。

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 で、まあ、うがい薬同様、ライセンス契約を失った側も、店を畳むというわけにはいかないので、後継商品を出さざるをえなくなり。

 新発売されたのが、これら。

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クラッカー | 製品一覧カタログ | ヤマザキビスケット

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 ヤマザキビスケット・ルヴァン。
 八角形という異形。
 リッツとかプレミアムみたいなクラッカー。

 味が変わらなければかまわないがな。
 と、思いつつ買いに行ったらこれが、売っていない。
 うがい薬はどっちも選ぶひとが半々くらいな気がするので私は両方仕入れましたが、近所のスーパーでは、断然に、名前が変わらない彼らが売れるはずと踏んだのでしょう。

B01KNI4AVS

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 私ねえ。プレミアムも、リッツも、愛食者だったのです。
 売るひとが変わっても、やっぱり同じ肌がいい。
 こっちは近所のスーパーで売っている。
 買ってきた。
 食べてみた。

Nabisco1.jpg

 リッツ。
 なんだか焦げ色が強くなった気がするが、まあ、リッツです。これはよかった。安心感。問題は、リッツよりも食頻度の高いプレミアム。パッケージからして紙箱ではなくなって……

 開けてみて、ヒいた。

Nabisco2.jpg

 え、いや、なんでこんな形に?
 私、プレミアムをナイフで半分に切って、そこにサラダをトッピングして食べるというのをよくやるのですが。これ、切る量増えるし。面倒だし。

 切ってみて気づく。
 これ、前のよりもさくさく感が強い。
 ということは……うまく切れない。
 デフォルトで入っている真ん中のミシン目でパキンと折ることさえ上手くいかず砕け散る。それに一パックの量が増えて、多すぎる。

 ……結論。
 うがい薬戦争は、平和だった。
 クラッカー戦争は混沌の果てに荒野。
 オリジナルがライセンス取りもどして改変くわえるってどういう了見。

 粛々と、バイクにまたがり近所にはない店へ行きました。
 トップバリュ・クラッカー。

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トップバリュ | 香ばしく焼き上げた クラッカー プレーン

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 大昔に買ったことがあるが、さくさく感が強すぎてなんだか違和感があったのです。でも、本家が同じようなさくさく感強い食感になったとあっては、こんなもん、安いし、旧プレミアムのコピーサイズだし、変わらぬ紙パッケージアルミ包装だし。

 これにする。

 戦争に嫌気がさし、第三国に亡命。
 行きたくて行くわけではないのだが。

 求めて訪れた観客に、変わらぬ技を魅せる。
 同じ説教をするから教会になる。
 期待を裏切らない。
 同じ肌。

 そこ、大事だ。
 ほかはおおむねがんばっていると思うが、ナビスコプレミアムクラッカーの変化はいただけなかった。ウチの基本食材なんだよ。基礎なんだよ。変えるな。

 クラッカーが二枚つながりになったよいっぱい載せられてうれしいよお、なんて観客がいるのか本当に。いると思って作ったのか。そんなわけないと思う。経費節減でしょう。もしくは、これが世界標準で、日本が特別だったのか。成形技術が拙くて、日本製のようなものが作れないのか。なんにせよ、老舗の職人が腕落としたのを目先を変えてごまかすようなパッケージ変更がされたのも、なんだかイヤだった。

 なぜ日本進出するならするで、この国で作らないのだろうか。薬はともかく、土地に根付いた食い物をよそで作って送り込む形に変えて、案の定、失敗してる。ナビスコはこの国にとっくに根付いているよ。この土地の食い物だ。郷土食だというのに。味もだが、形まで変えて受け入れられるわけがない。日常の食材をひとつ、私は失ったのだ。人生の損失。切に、改良を願う。もういちど愛せるように。

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