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『炭水化物の重ね食べは大阪文化』のこと。




 2016年8月2日。

 言わずと知れたWindows10 バージョン1607-Anniversary Updateの配信開始日だったのですが。言わずと知れたことにWindows10は、すでに世界中の三億台以上のマシン上で動いているわけで、いくらマイクロソフトのサーバ能力が超次元的であっても、8月2日が来たぜ三億台どんとこい! なんて自殺行為に走るわけがなく、ここは日本。Anniversary Updateでは、WindowsとXboxとの融和がさらに進むというのが売りなのですけれど、今週は日本全国で数十台しか売れていないXboxOne。そういう配信してやっても、待ってたぜマイキー! と叫んでくれない国のユーザーたちなど、後回しにするのが必然。そのうえ順番待ちの列は聞くところによれば新しいマシンが優先されるという噂。

 これ書いている私の愛機なんて、最後尾だ。たぶん。

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『このディスクにWindowsをインストールすることはできません。』の話。

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 チクショウ、ウチには来ないAnniversary Updateのニュースばっかだな、と個人設定で取捨選択されたニュース群の、ほかの記事に目を通す。

 2016年8月2日。

 大阪府が「大阪版健康・栄養調査」を公表した。

 ほほう。
 見出しがイカしている。

 『府は「炭水化物の重ね食べは大阪文化で改善は難しいが、バランスの良い食事を心がけて」と呼びかけている。』

 ほほう。
 炭水化物の重ね食べに顕著なデータが?
 それは、生まれは明石焼きの国で、母の実家は広島焼きの国というハイブリッド現大阪人として、たしなみ読んでおかなくては。

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『お好み焼きの焼きかた』の話。

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 読んでみて、うん? となる。

●「大阪版健康・栄養調査」は2015年の暮れ二ヶ月で、府内1564世帯の18歳以上を対象に記入式のアンケート形式でおこなわれ、計1858人から回答を得た。

●「米・パンと麺類や粉もん(お好み焼き、たこ焼きなど)を一緒にどのくらい食べているか」という問いに対し、男性は約27%、女性は約26%が、1日1食以上、重ね食べをすると回答した。

●体格指数(BMI)が高いほど、重ね食べをする傾向にあり、BMI25以上の「肥満」とされる男女では、男性は約70%、女性は約56%が、週1食以上重ね食べをすると回答した。

 ……この調査、難が多くないか。

 まず、大阪府の調査なので致し方ないところがあるとはいえ、府内のみから回答を得ていて、他県との比較データが皆無である。これでは新聞見出しになっているキャッチーなみんなの関心ごと「大阪人はコナモンで白米を食う」の、肝心かなめな「大阪人は」の部分が、立証されているとは言いがたい。

 そのうえでさらに、この調査方法と結果を読んだとき、私の頭には、とある光景が浮かんだのだった。

 問いは 「米・パンと麺類や粉もん(お好み焼き、たこ焼きなど)を一緒にどのくらい食べているか」である。お好み焼き、たこ焼きという表現で、一見誘導設問のようにも捉えられるが、むしろ気になるのは、粉もんと並べて「麺類」と明記されている点である。なぜこれ入れた。たとえばラーメンライス定食。たとえば、ざる蕎麦いなり寿司セット。そういった組み合わせでも回答されてしまうし、そのうえ米に限定せず、パンが入れてある。

 私の頭に浮かんだのは、職場の食堂で、よく一緒になる数名の同僚の姿だった。

 彼らは、近所のコンビニで昼食を買ってくる。その組み合わせは、カップラーメンと、それでは足りないので、コンビニおにぎり一個。隣の彼女は、コンビニ冷製パスタと、それでは足りないので蒸しパン一個。多くはそういう組み合わせだ。カラダを使う職場である。コンビニの麺類一品では、みんな物足りなくて、おにぎりやパンを添える。

 つまりその食堂で、くだんのアンケートの回答をつのれば、けっこうな割合で「米・パンと麺類や粉もん(お好み焼き、たこ焼きなど)を一緒にどのくらい食べているか」に対し、週1食以上重ね食べをすると回答されるのである。

 ちなみに私は職場の食堂で、お好み焼きと米を食っているひとや、たこ焼きと米を食っているひとに遭遇したことはない。接客業なので、青ノリは禁忌だ。

 しかし、結果の新聞見出しはそうなってしまう。
 
『炭水化物の重ね食べは大阪文化』

 そうなのだろうか。
 ラーメンとおにぎりとか、冷麺と菓子パンとか、コンビニ昼食なら、ありがちな組み合わせに思える。これって大阪だけなの? たとえば東京の労働者は、おにぎりには断固としておにぎりしか合わせず、二個も三個も、おにぎりだけを食うのがデフォルトなの?

 そうなのだとすれば調査結果に否やはないのだが。

 そうなのだろうか。
 なにぶん、私も大阪人なので、私の見ている光景が大阪だけのものなのかそうではないのか、判断のしようはないのですが。しかし、2016年8月2日に公表された「大阪版健康・栄養調査」の結果に対する、大阪府の「炭水化物の重ね食べは大阪文化」発言は、いささか根拠に欠けるのではなかろうかと、思いながら読んだのでした。

 だいたい、大阪人は粉もんで生きている、というのがそもそもにして都市伝説ではないのか。大阪の真に一部の地域では、お好み焼き屋やたこ焼き屋が現実に多いものの、一駅離れれば、もうまばら。二駅も離れれば、見つけるのも難しくなってくる。

 そんなおり。
 スーパーで、こんなのが売っていまして。

clearasahi01.jpg

 私、ビールや発泡酒の類で、見たことないのを見たら、とりあえず買ってみないと気が済まない病だから、発作にあらがえず買ったのです。

 これ、パッケージにお好み焼きの絵が描いてあって、ソースの味に負けずに調和いたします、などと書いてある。またまた大阪人をそういう偏った視点で……と冷笑しながら、よくよく調べてみると。こいつ、大阪、京都、兵庫、滋賀、奈良、和歌山。つまり二府四県の関西全域での発売らしい。

 私、そもそも明石焼きの国の生まれ。だから知っている。兵庫って、近いからこそ、大阪のもんはソースをなんにでもかけやがって舌バカが、などと宣いつつ、たこ焼きとは似て非なるふわふわ卵焼きみたいボールをダシにくぐらせて、それでビールをいただいたくことにそれはそれで誇りを持っている民族だということを。京都、奈良、まで行くと、缶にソースどろりとかかった粉もんのイラストで「きみらも関西人なんだからこういうので生きているんでしょ」なんてのは……近いけれどもさ。ダシ文化の中枢でしょう、あのあたりは。ケンカ売っとんのかと言われても仕方のない暴挙にさえ思えます。

 しかしまあ、売られてしまった。
 私も、買ってしまった。

 私、大阪人ですが、春にはもう鉄板とかホットプレートとか、出すのがイヤになるタチで。暑がりなんですよね。お好み焼きたこ焼きはもちろん、餃子やあらゆる鍋物、あたたかい煮物さえイヤになる。夏だよ。冷やそうよ。

 でも、ソース系の食と調和、などとうたっているリキュールを買って帰ってしまったものだから。

 やむなく、お好み焼きを作るしかなく。
 作りましたよ。
 そして冷やしましたよ。

clearasahi02.jpg

 冷やしお好み焼きの薄造り積み重ね風。余談ですが私、すっかり記憶している野田秀樹版『半神』のせいで、こういう積み重ねた料理に触れると「バターと粉を交互に重ねるの。バターにお粉、バターにお粉、バターにお粉」とつぶやきだして、頭がおかしくなってしまう。

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・NHKプレミアムで今夜、新生『半神』が放送される。夢の遊眠社の『半神』が、私の人生を狂わせた(まあ悪くはないほうに)といっても過言ではないので、またいらぬ影響を受けないように…かつ良い影響は受けるように、気合いを入れて観る。

・『半神』。学生時代にコピー上演したことがあって、セリフをすべておぼえているから、知らない言語なのにバイリンガル気分で観た。言葉遊びがかなめのホンを外国語に訳し、演出家はその言語を解さないのに完成している。変な表現だけれど、強く生んだ言葉は言葉の壁なんてものともせんな、と思った。

twitter / Yoshinogi

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 なので、つけあわせを作りましょう。
 野菜を切って、鶏の軟骨を揚げます。
 にんじんも野菜室にあったので、いっしょに。

clearasahi03.jpg

 コリコリコリコリ。
 軟骨は好き。
 冷やしお好み焼きを一枚、ぺろんとめくって、揚げた軟骨を添える。かけるソースは、どろソース。濃いの。濃いのに負けないリキュールなのでしょう? だから作ったんだ。本当は真夏にソースかけたお好み焼きなんて食べたくはないのに。

clearasahi04.jpg

 けっきょく、冷蔵庫から豆腐も持ってきて食べました。薄焼きお好み焼きと、野菜ごときでは腹が満たされなかったからですが、やっぱり私は、そこで白米はチョイスできない。だいたい、米でビールってのがない。アサヒビールさんは、ソースどろりんなお好み焼きに合うビールこそが関西人好みだと推してきたが、その大阪でおこなわれた調査では、大阪人はお好み焼きに米を合わせることになっている。となると大阪人は、米を食いながらビールを飲んで、ぷっはー、と、やっているということになってしまうのだが……

 と、冷やしお好み焼きと冷やしから揚げと冷ややっこをつまみに関西仕立て第三のビールをいただきながら、ふと気づく。

「ビールも原材料、麦やないの」

 アサヒビールさんの公式サイトを見る。
 私の買った500mlのクリアアサヒだと、含有炭水化物が3.3g。白米に比べれば数十分の一というような数字だが、しかし炭水化物抜きダイエットをやっているひとならば、無視できない数字である。だって含有しているんだもの、しかも液体。米を一気飲みはできないが、ビールはできるのだから、含有量は少なくても影響大だ。

 とまあ、そんな視線も加えてみれば、ますます炭水化物の重ね食べなんてものは珍しくもないことなのに、あたかも大阪文化だなどと声高に言うのは、モノを売りたい商売人と、大阪そのもののイメージを作ってでも広めたい町興しにやっきの役人さんたちによる情報操作の面も大きいよな。

 などとこの記事を書いていた、翌日の食堂で開かれた私のお弁当。

clearasahi05.jpg

 今日は、奥さんが詰めてくれました。米が玄米なのはいつものことで、おかずは左上からキャベツの炒め物一味唐辛子がけ、ししゃもの胴体切断風一味唐辛子がけ、一個飛んで右下は冷凍庫から取り出した揚げ済み白身魚フライのタバスコがけ。

 で、一個飛ばしたの。
 豚肉とキャベツを小麦粉の生地で焼いたもののピンクのキャップなボトルでどろっとしたソース添え。
 あ、忘れてはいけない一味唐辛子がけ。
 ていうか!
 お好み焼きやがな!
 ボトルの中身、
 濃いぃどろソースやがな!

 その日一番、食堂で「作られた大阪人」ぽいモノを食していたのは私でした。妻も中途半端に大阪から距離が近い関西圏和歌山の出身なので、自分はそんな食べあわせをしないくせに、私の弁当には入れてくる。幻想に囚われているのです。大阪人なんでしょ、お好み焼きと米を食うんでしょ。

 いや私、兵庫っ子やっちゅうてるやんか。

(そんなわけで、事実は事実なのでやむなく先述の「ちなみに私は職場の食堂で、お好み焼きと米を食っているひとや、たこ焼きと米を食っているひとに遭遇したことはない」というのは訂正させていただく。私自身が食べました。さすがに「接客業なので、青ノリは禁忌」というのは妻もわかってくれているようで、青ノリはかかっていなかったけれども。ああ食べましたともさ。弁当の米のおかずにお好み焼きって……大阪人ちゅーのはなんやねんな。笑けるわ)





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