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『アンプのリレーを分解して磨く』の話。


2014年11月17日

・ 『Halo: The Master Chief Collection』をやりこむためにXboxOneを書斎に移して、モニタにつないだところで、音声が光接続しかないと気付く。電脳空間をさまよい、十年前に五万円で検討したスピーカーの中古品を五千円で購入。壁が震えている。至福。


2016年5月25日

・ 十年モノで定価数万円するのを数千円で買ったスピーカー群がHaloプレイ中にボンッと叫んで落ちるようになっていたのだが時間が取れず、やっと今日、分解清掃。きっとそうだ、と目星をつけていたリレー回路をアルコールできゅっきゅしてあげたら直った。ここ数ヶ月のストレス要因だったから嬉し。


twitter / Yoshinogi

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 ヤマハ社製、5.1chサラウンドデジタルデコーダー内蔵ホームシアターサウンドシステムなのですけれど、具体的には。私がかつて購入検討したのが十年前ってだけで、発売は、さらに前。軽く十五年を越える古びたモデル。

 前のオーナーさんがどういう使いかたをされていたのか知らないが、購入してすぐにいちど分解してはみた。ウーファーとかロッカーか!? とツッコミたくなるくらいデカくて、教会のパイプオルガンもそうだけれど、重低音を響かせるため贅沢に空間をとった内部でなにが起きているかはブラックボックス。あれ音がなんだか……と、調律師を呼んできてみれば、パイプオルガンのパイプのなかからネズミの死骸がひっぱり出されるというのは、ありがちなこと。

 現代の電気で動くものどもなどは、コンセントが挿してあると、ほのかにぬくもっていて、小動物にとっては格好の住処ですから。ウーファーのなかにネズミなら気付いても、クモの巣がびっしりとか、ゴキブリの巣とか、そういう可能性はなきにしもあらず。他人の家から我が家へ移ってきたものは、とりあえずブラックボックスな部分は曝いてみないと気が済まない。

 そもそもジャンク品で買ったので、返品などできはしないのだけれど、だからこそ勇気を持って、開かないところまで開けた。いま現在も、はずしたビスは三分の一ほどしかもどしていないし、バキッと力尽くで開けたところは接着していない。また引っ越しでもしないかぎり、服は脱がせられるほうが患者の治療はしやすいので。

 と、いうわけで、ジャンク品ながら見事に動作していたし、分解してもなんの死骸も出てこなかったあまりか、溜まった埃さえなく、バキッと力尽くでやらなければ開かないところまで清潔であるところを見ると、前のオーナーさんの住居は空気清浄が行き届いているのか、有能なメイドさんが同居していたのでしょう。有能なメイドさんに分泌させたなにかを意図的に誤飲しながら、バカでかいウーファーのシアターシステムなどでキッチュな映画をご覧になっておられたわけだ。うらやましい。

 そんなこんなで、一年が過ぎ。
 『Halo: The Master Chief Collection』のために整えた音響空間も、次代にして時代。『Halo 5: Guardians』を主戦場とすべく移り変わる。

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『Halo 5: Guardiansの発売日』の話。

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 で、たびたび落ちるようになった。音の大小や、低い音で落ちるとか、爆発シーンで決まってシャットダウンとか、そういう落ちかたではない。ときどき、ブ、ブブブブブというような、電流がブレているかのような雑音が聞こえることもあれば聞こえないで突然のこともあり、とにかく、法則はなくボンッ、と鳴って落ちる。

 電気というのは、危険なものだ。いや違う。そう言って交流電流が流れる金属ゲージのなかでくつろいで見せたニコラ・テスラに対し、いや交流こそ危険だと直流送電信奉者である発明王トーマス・エジソンが「交流電流でヒトを死に至らしめる」電気椅子を弟子に造らせ死刑執行に導入させたというのは有名な話だ。

(私は、そのエピソードを荒木飛呂彦『変人偏屈列伝』で初めて読んだのだが、読んだのは雑誌掲載時で、いまになって調べてみたら、それが掲載されたのは青年誌である集英社スーパージャンプであった。おぼろげな記憶として、そういえば父が時々、やっとマンガをひとりで読めるようになったくらいの幼い私に、おみやげだと言ってマンガ雑誌をくれたことはおぼえてはいる……にしても、スーパージャンプって。青年誌って。帰りの電車の網棚から取ってきたのか、自分で読むのに少年ジャンプでは恥ずかしかったのか。半分以上の連載作で毎回、乳が剥き出しどころかエロそのものが主題であったりするというのに、まったく……おかげで貪り読み、私はエジソンの偉人伝の代わりに、荒木飛呂彦が描く悪人エジソンをまず知り、そのマンガではヒーローだったニコラ・テスラがテスラコイルなるトンデモ発明を成したことを知り、UFO方面からハードSFに興味を持つことになるわけで……BL雑誌専用本棚がある家で一歳になる息子を育てている父となった私にとっても、反面教師にすべきか、読みたいものはなんでも貪り読ませるべきか、検討したい記憶ではある)

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 そりゃスタンガンは危険だが、同じ仕組みで世界中のガスコンロは着火しているのである。使い方と、出力レベルの問題にすぎない。電気椅子だって肉が焼ける高周波のレベルを落とせば低周波治療器になる。

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 とはいえ、だ。
 スピーカーというのは、紙でできている。紙というのは破れる。そのいっぽう、スピーカーへと電流を流すアンプの善し悪しは、高音がどうたら低音がどうたらと、いかに大電流で巧みにスピーカーをコントロールするかにかかっていたりする。

 スピーカーがボンッと鳴って、破けてしまうのは困るが、ボンボンッと可能な限りの重低音は響かせないとならぬ。強大なパワーを持ち、それを送り出すことができるが、限界を越えないように安全装置も必要だ。

 そこでリレー。

 リレーというと、大嫌いだった小学校の徒競走を想い出す。私は50メートル走を本気で走って十五秒という、小柄な女子にでも圧倒差で負ける肥満児だった。反動で大人になったいまでは「ヨシノギさんてスポーツできそう」と言われるようになったけれど、職場のボーリング大会には決して参加しない。見た目を鍛えることに悦びは見出すようになったが、実際にはスポーツ特に球技の類を毛嫌いして生きてきたので、ボーリングの球も後ろに投げる始末である(本当に。私は本気で指をすべらせて後ろに投げたのだが、もちろん周囲はギャグだと受け止めた。二十代のはじめの、あれが我が人生で最後のボーリングだ)。私がキャッチボールをできないのだから、息子も野球好きにはならないだろう。いっしょにプロレスを観て、黙々と腕立て伏せをするしかない。不憫である。

 さておき、しかしそれで意味は間違っていない。

 リレーとは、バトンを渡す装置だ。
 あっちから走ってきた電流を、向こうの回路につないでやる。一見、意味のない行為のようだが、第二走者があきらかに危険な変質者だったりした場合、意味を成す。バトンをつながなければ、第三走者は第二走者の変質者に感化されず、変質者はそこで立ち止まるしかなくなり、警備員に小学校の外へと引きずり出されるのである。

 簡単に説明しようとして、かえってわかりにくくなっているという、たとえ話の最低な部類に入る文章を、あなたはいま読んだ。
 たとえないで話そう。

 アンプにおけるリレーとは、思いがけない大電流が流れてきたとしても、それを繊細な電子回路やその先のスピーカーへ流さず悪影響を防ぐためのバトン装置である。

 私が今回磨いたのは、ヤマハさんがホームシアターセットとしてアンプもスピーカーもウーファーも揃えて作っている製品だが。世界のヤマハは、世界中でアンプだけを販売もしている。世界中には、クレイジーな音マニアたちだって多い。なによりも怖いのは、世界のヤマハのアンプだからと、その先に世界の半分が買えるほど高額な他社製のスピーカーをつながれて、いざ動かしてみたらなんらかの不具合で、一瞬でスピーカーがボンッと鳴って終了、という事態だ。

 スピーカーは、それ単体で破損したりはしない(殴ったり蹴ったりしないかぎりは)。いつだって、原因は、そこへと電流を送り込む装置の側にある。

 となると当然、技術者は、リレーをそう作る。

「キレ気味に」

 壊れるにしても、大電流を壊れて通過させてしまうような壊れかただけはカンベンしてもらいたい。というその思惑の結果、いまだに恐ろしく原始的な機構が主流なのだ。

 電気を流すとくっつく、という仕組み。
 電磁石である。

 アンプを開けてみる。
 赤丸の部分がリレーだ。

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 ちなみにヒューズは買って分解したときに交換済み。
 切れていないヒューズを交換する意味はあるのか。ヒューズも安全装置である。ある一定以上の電流が流れると、溶けて回路を切る。つまり切れていないヒューズは交換する必要がない。
 が、問題はヒューズをとめている金具だ。ヒューズ自身も、両尻が金属だ。あらゆる金属は、錆びてくる。この世に酸素のあるかぎり。というわけで、簡単に交換できるものだから、外して磨いて、新品に換えてやったりすれば、老化を防げる。

 だったらリレーもそのとき、なぜ磨かなかったか。リレーは特に錆びやすいのだ。完全に金属のみの装置である。親心として、製造者は、少しでも酸素その他の外気に触れないよう、覆い隠す。

 小さい部品のくせに、けっこうしっかりとプラスチックのカバーで覆われている。開けるのが面倒くさいのだ。すぐに磨けるようにしておいてくれれば、すぐに磨いて不具合を防止できるのに、厳重に守ってあるから、不具合が出るまで放置される。森羅万象事に通ずる、難しいところである。

 プラスチックのカバーを、剥がす。

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 赤マルの部分が露わになったリレー。
 ちなみに、青マルで示しているのはコンデンサ。蓄電器。直流電流は流さず交流電流は流すというエジソン憎しニコラ・テスラの系譜にあたる。そこかしこに使われていて、電気を溜めたり放ったりという操作をする部品。働き者だ。働き者であるがゆえ、十年越えのアンプなどでは、リレーよりも、こちらの劣化を疑うほうが先かもしれない。しかし、コンデンサが異常をきたすと、たいていの場合、外見に変化が出る。よくある、バッテリーが膨らんでノートパソコンがリコールされるあれみたいに。劣化したコンデンサも、三本線の入った頭が、ぷくーと膨らんでくる。

 この小さな写真のなかに写っているコンデンサを見てもわかるとおり、やつらは大きさがまちまちだ。これは面倒くさい。ハンダを溶かしてコンデンサを抜いて、新しいコンデンサをハンダ付けしてやることよりも、同じコンデンサを買ってくるのが面倒くさい。見つかるかどうかが、まずわからない。ネット通販が大隆盛した現代でも、こういう部品は、型番を検索して簡単に見つかったりはしない。

 だから、いちおうざっと見て、ぷくーと膨らんだ子がいないのは確認していたのだけれど、リレーを分解して磨けば、システムの不具合が改善するのかどうかは、賭けだった。

 アルコール洗浄、とツイッターでは書いたが、いつものパーツクリーナーである。Xbox360を直した回で書いた。

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『XBOX360 RRoDを自己修理する』の話。

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●パーツクリーナー
(バイク用。私はそもそもパソコン組むときもバイクと兼用のパーツクリーナー使いですので、Xboxだけ特別待遇なんていたしません)

 ずっとそうだ。
 今回もそうだ。
 ふつうのティッシュペーパーに、パーツクリーナーを吹きつけ、リレーの接点に挟む。前後左右に、挟んだまま、動かしてみる。

amplifier3.jpg

 ここが勝負だった。
 ティッシュを見た。
 勝った、と、そのとき確信した。
 白いティッシュに、かすかな黒い汚れが付着していたのだった。

 ティッシュペーパーが毛羽立って見える写真からわかるように、リレーは小さな部品だ。電磁石で、延々と接点をくっつけては離し、くっつけては離しをくり返している。そして前述のように、技術者たちは、壊れるならば「電気を通さない」方向で壊れてくれと、太古の昔からこの装置を進化させていない。

 極小なリレーの、延々とつないでは離す、一点。もちろん金属。錆びる。曇る。そんな小さな部品の一点を、ティッシュでぬぐってみたら、肉眼で目視できる汚れが付着してきたのだ。

 もうおそらく、原因はこれ。
 曇った接点で、くっつけたら電気は流れるけれど不安定で、不安定な電流が流れると電源を落とすように装置は設計されていて、スピーカーを守るために、ボンッと叫んで落ちていたのだ。スピーカーにはなんの問題もなく、電源にも問題はなく、安全を守るためのバトン装置のバトンが十年で汚れてちゃんと受け渡しできなかったがために。

 機械の故障というのは、そういうものだ。
 ゆるんでいるところを、締めてやればいい。
 汚れているところを、ぬぐってやれば、それでいい。

 直りました。
 それ以来、落ちない。
 最近ではリレーの接点に、著しく酸化しにくい高級金属が使われることも多いが、それにしたって結局、同じ仕組み。曇らない鏡はない。解決策は磨くことだけで、それでもいつかくる寿命は、粛々と受け止めるしかない。

 機械は単純だ。
 と書いてみて気づく。
 あらゆることが、たぶん単純だ。

(単純だから、あえてややこしくして廻り道を構築するのが人生なのだよ、などと書き添えずにはいられないところが、ヒトは機械とは違うのだよというプライドによりて)

 

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