最近の記事

スポンサードリンク

月別アーカイブ

『男性における育児休業取得率の真実』の話。



●育児休業給付受給資格確認票
       ※厚めの用紙

 署名・捺印 1ヶ所

●雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書
       ※3枚複写の用紙(茶色) 

 3、6、記入 (1枚目)
 捺印2ヶ所 (2枚目)

●その他提出書類

 母子手帳のコピー (保護者・出生児・市町村長確認印・出生年月日が記載されている所)

 希望振込口座の通帳のコピー (口座番号、支店名が記載されている所)

 休業終わって翌月の末までに

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 六月に息子が生まれたので、育児休業について調べてみたわけですよ。そうしたら、なんだか昨年の十月に改訂があって、育児休業給付金とやらが受けやすくなったということを知りまして。

 どういう改訂かというと、こういうの。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 これまでの育児休業給付金制度では、支給単位期間中に11日以上就業した場合は、その支給単位期間について給付金は支給されませんでした。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 それが。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 平成26年10月1日以降の最初の支給単位期間からは、支給単位期間中に10日を超える就業をした場合でも、就業していると認められる時間が80時間以下のときは、育児休業給付を支給します。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 と、なったと。
 そのうえ、

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 育児休業給付金は、平成26年4月1日以降に開始する育児休業※からは、育児休業を開始してから180日目までは、休業開始前の賃金の67%となります。(これまでは全期間について50%)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 なんてことも厚生労働省のホームページに書いてある。

 私のいま勤める店は、医薬品を売ることのできる資格者が私を含めて三人という状態で回していて、私が育児休業をとってしまうと、薬屋にバリケードを築いて、なにも売れません一円も儲かりません状態にせざるをえないため、完全に休むという選択肢は最初から頭になかった。

 でも、いま、このタイミング。
 休んでも給料の七割くらいのお金がもらえて、完全に休まなくてもそれが支給されるようになったんだよ、ついこのあいだから。なんて言われると。そんなに手厚くしても、男性の育児休暇取得率は上がっていかないのだと連日、新聞には書かれているのを読んだりすると。

 私、そもそも毎年の有給休暇を100パーセント取得するようなやつで、みんなちゃんと休むべきだと思っている。

 そんなこんなで政治的な意味で。
 この状況で私のような男がこの制度を使えないのならば、そりゃあどんな男も使えないわ。こりゃいっちょ私が男性における育児休業の取得率を上向かせる礎になろうではないか。
 みたいな使命感もあり。
 本社の人事部と交渉をはじめたのでした。

 そうしたら案の定。
 うちの会社で育児休業給付金という制度を申請する男のひとはヨシノギさんが初めてですよ、と。特定できてしまうから詳しくは書けないけれど、我が社は百人千人とかいう規模の企業ではない。全国に展開している。日本中にいっぱい働いているひとがいる。それなのに、私が初めて。

 調べるから待ってくださいと、メールの返信。

 まあなにごとも、最初があるよね。

 自分でも調べてみる。
 そのうえで来月のシフトを組んでみる。
 十日以上出勤したらダメというのでは組みようもないが、80時間に制限緩和されたのなら、私のようなケースでは非常に助かる。もちろん同僚に多大な協力を仰ぐことになるのは変わらないが、月に二十日、一日4時間で出勤して、夕方から閉店までに書類仕事を片付ける。開店から夕方までは、ほかの二人で交代に回してもらう。どうしたって十日ほど、夕方から「医薬品お売りできません」ということになってはしまうが、やってやれないことはないレベル。

 こういうカタチでやりたいのですが。
 そう人事部にメールしたら、制度を調べるとかいう以前の問題が発生。どういう理屈で(憶測では交通費とかそういうことの問題)そうなっているのかは知らないが、社内規定で社員はいちど出社したら最低6時間は勤務しなければならないのです、って。

 ……みんな育児休暇をちゃんととりなさいよと、国が考えてこれでどうだと提示してくれているのに、社内規定で? そこどうにかならんのかねキミ、と休ませてくれという話をしているのに強気に出る私。

 けっきょく。特例ですよ、ということで4時間勤務が認められる。そこまでもいろいろ長い話しあいがあった。特例じゃないだろ、最初のひとりだからこそ、あとのひとが続ける道を切り拓く良き前例になろうとしているのに、と食い下がる私に、正式に勤務規定を変更するとなれば、ヨシノギさんの息子さんは立って歩くくらいにはなりますよ最低で、と返される。うーむ。

 ここはとにかく育児休暇を取得することが最低限の前例だと自分に言い聞かせ、話を突き詰めていくと、さらなる問題が発生。

 一日の勤務時間を減らすためには、育児短時間労働という申請になる。いやこれも、私の勤める会社での、内部的な規定の話。国は、まったく関係ない。とにかく我が社では、そうなる。

 ……ここで疑念が浮かぶ。

 目指しているのは、育児休業給付金の交付だ。それなのに、育児短時間労働では、休業していないことにならないか。

 ええ、申請しても通らない可能性は高いですね。

 人事部も、明言する。
 いやいやいや、と笑う私。

 だったら、育児休業とって、休業中に出社する。
 同じ80時間を、そうしてくれたらいいじゃないですか。

 そういうことはできません。
 社内規定で? 社内規定で。
 正式に変革を求めれば息子は二十歳くらいになる?
 そうは言いませんけど、来月から休むっていう話ですよね。
 生まれたから取得するのが育児休業だからね。
 休むなら申請はできます。
 完全に休むか、育児短時間労働申請か?
 そうなります。

 ちなみに、育児休業給付金の申請最低単位は、二ヶ月だ。
 どう考えても、二ヶ月、完全に休むというのは不可能。

 かくして、それが落としどころだった。

 今年の六月に息子が生まれて、私は、その後の一ヶ月で会社との交渉を続け、現実的に可能な方策として、八月、九月の二ヶ月を、二十日出勤4時間勤務という育児短時間労働者なる立場ですごした。

 あけて十月。
 いちおう、人事部から冒頭の、どうせムダですけど感たっぷりな、事務的メールが届き(そのままコピペしたわけではないが、メールの最後に「休業終わって」と書いてあったのは本当。そこの言葉の選びかたについて喧々諤々やりあったのに、わざとなのかと疑う)、書類をそろえて返送。本社所在地のハローワークに提出された。

 十一月。
 やっぱりダメでした。
 申請却下。
 ネックは、当たり前なのだけれど「休業」していないという部分。

 これが、男性における育児休業取得率の真実。
 私は二ヶ月、時間的には「休業」と見なされて育児休業給付金が交付される数字まで勤務を削ったのだが、書類上は「休業」していない。そのため社内的にも、他社の営業さん的にも「このごろヨシノギさんいませんね」「育児休業でいらっしゃるの」というわけで、がっつりイクメン呼ばわりされていたにもかかわらず、新聞に載る男性育児休業取得率グラフの傾斜角度向上には、いっさい関与できず終わった。

 いやもちろん。
 二ヶ月、家にいる時間が長かったせいで、このブログでも料理しまくっていたのをご覧いただいたし、息子は私のことをはっきり認識できるようになって、いまは元通りの勤務で出勤日には彼とはすれ違いな日々なのにもかかわらず、休日には顔を見ただけで満面の笑みどころか声をあげて大歓迎してくれる。育児短時間労働なる我が社の制度も素晴らしいものではあった。

(言葉のわからない赤ん坊がなぜ笑うのかという研究があり、そのなかで相手の笑顔に反応しているのだろうという見解が出てくるのだけれど、私は赤ん坊に赤ちゃん言葉で話しかけないし真顔なので、彼が私を私と認識して、そのために笑っているのは間違いない。なにがおかしい? と、変わらず真顔で返しても、さらにキャッキャと喜ぶだけだから、研究者さんは笑顔のないコワモテの父親も実験室に招かないと正確な研究はできませんよと報告しておく)

 でも、受けられる給付金があるのに、受けられないというのは、やっぱり釈然としない。それはもう大切な大切な税金を投入するのだから、不正受給を防ぐという観点は重要だ。わかってはいるが、実質休業したのにカウントされないという事実には首をかしげてしまう。

 そういうわけで、私は、まだこの話をあちらこちらの方面と続けています。私自身には、次の子が生まれでもしないかぎり、もう関係ない。けれど、社内で育児休業給付金を取得しようとしたができなかった最初のひとりとして、次のひとが「休業」中に「出勤」できるようにならないものかと。
 完全に書類だけの話なのです、と。
 先週も、ちょっとこちらがヒくくらい上層部のひとと、そういう話をするようになった今日このごろ。

 国が考えてくれても、現場はそんななんだ。
 そこまで国の偉いひとにどうにかしてくれってのはムリだから。
 当事者が、わーきゃー言わなくちゃダメなんだ、と思う。
 いっそ二ヶ月くらい、完全に休んでみてもよかったかと、思ったりもしている。
 だれかがやってみないと、問題がどこにあるのかもわからない。  
 やってみた。問題あった。
 じゃあまあ、解決できないまでも、問題があったんだよということだけは、ちゃんと言っておきたい。人事部のひとたちも、なにもわからないなかで、あれこれ調べてくれたし、おそらく通らないだろうけれどいちおう申請してみてほしいという私の要望にも応えてくれた。
 次は、なんとか、なるといい。

 良い方向で考えると、新聞の数字には出ないが、子供が生まれたから働く時間を減らしてみたよ、とか、もとからサービス残業なので公的な数字には出ないだけで同僚の協力で早く帰って子供の寝顔だけでも見るようにしたよ、なんていう真実は多くあるのだろうなと、肌で感じた半年ほどでした。少なくとも、私のまわりのすべてのひとは、ヨシノギさん二ヶ月でいいの? もっと休みなよ、赤ちゃんなのはいまだけだよと、背を押してくれる存在でした。

 多謝。

(あれこれ書きましたが、育児休業給付金という制度。「休業」したか、していないかで判定されるというなかでは、80時間規定というものも機能しにくいのではないかと強く思う。私が、私自身のことは終わったものとして改めて会社と話してみると、時給で働くひとは時間を減らすならば単純に時間を減らすだけで「休業」という概念そのものが出る幕がなく、月給で働くひとにしても休業中の出社の時間を制限するという考えかたは逆なのではなかろうかという話にばかりなってしまう。国の見方としては、もともとがっつり働いていたひとが「休んだ」から支給するのであって、そこを明確にしたい、ということなのだろうが。支給条件緩和の結果、休業まではしなくてもぎりぎり回せるという私のようなケースでは、給付金を受けるために「あえて休業」することが必要で、それってなんなんだ、そのために社内規定を変えるっておかしくないですかという人事側と、だって書類上そうできれば受けられる給付金があるんだよというこちら側で、なんの話をしているんだっけ的な不毛さが生まれるのもまた事実なのでした)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・ そう。仕事ツイートしているということは、七月に入ったけれど、育休は取れていないということだ。だがまだあきらめぬ。

2016/07/04

twitter / Yoshinogi

TRACKBACK http://yoshinogi.blog42.fc2.com/tb.php/614-534203f9