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『ヘイロー映画化計画』のこと。



 生まれたときから誰かを選び、彼らの頭をかき回して、体を改造するなんてことは、間違っている。第一に、候補者には選択権がない。第二に、プログラムの被験者は人間のエイリアンに改造される、第三に、スパルタン・プログラムは失敗したからだ。きみはチャールズ・ダーウィンという名前を聞いたことがあるか?

HALO

ウィリアム・C・ディーツ
『ヘイロー(2) ザ・フラッド』

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 アントニオ・シルヴァ少佐は、マスターチーフに向かって言い放つ。

「きみは優れた兵士だ。しかし、きみは奇形でもある」

「欠陥だらけの実験の、最後の生き残りだ」

 そして、優秀な兵士は必要としているから手は組むが、最終的にこの戦争で勝利するのは、自分が率いる「Orbital Drop Shock Troopers」通称ヘルジャンパー、略称ODSTに代表される人間だと豪語する。

 少佐の表現で言うならば、

「しゃれたアーマーを着た、改造された奇形」

 ではなく、

「血と肉だけでできた人間」

 が、異星人コブナントと寄生体フラッドを駆逐し、ダーウィン進化論にのっとって生き延びるのだ、と。

 スペースオペラにして私の人生の糧、Haloシリーズ最新作『Halo 5: Guardians』の具体的内容を含むトレーラーが公開されはじめている。

 特にこの三本は、たまらん。







 キレッキレのアクションを魅せている、マスターチーフではないほうのキャラクターは、国連宇宙軍UNSCの海軍情報局(Office of Naval Intelligence)略称ONIのエージェント・ロックだということなのだが。

 ちなみに、冒頭の引用でマスターチーフが少佐にちくちく嫌味を言われているのは、ONIがその戦場へとマスターチーフを送りこんだからである。というわけで、人間の側の国連宇宙軍内部でも対立はあり、みんなで力を合わせて意地の悪い宇宙種族コブナントから地球を守るんだなんて言っていても、国連宇宙軍そのものに反抗している人間の集団も多い。語り尽くせぬあれこれで、シリーズもナンバリング『5』まできて、やっとこさ映像化やノベライズも進みはじめて、追いついていくこちらもうれしい悲鳴なわけですけれども。

 ONI所属のジェイムソン・ロック少佐って、このパッケージ中央に写っているひと。

HALO

 演じるはマイク・コルター。つまり『ミリオンダラー・ベイビー』でのビッグ・ウィリー。チャンピオンになるはずだったでっかい黒人男性選手ビッグ・ウィリーに逃げられて落ちこむ老トレーナー、クリント・イーストウッド=フランキーが、白人小柄な素人女子ボクサーであるマギーのトレーナーになってふたたび世界に挑むものの……ああダメだ、思い返すだけで潤む。

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『無料のWindowsとコルタナ』のこと。

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 ともかく、マイク・コルターは、大きくて強そうないかにも兵士然とした男だ。ぶっちゃけ、上のトレーラーのなかで、飛んだり跳ねたりしているロックさまが、彼と同一人物だというのは、首をかしげてしまうところである。

 ブルーレイを買わなくても、XboxOneのゲーム『Halo: The Master Chief Collection』をプレイすれば観ることのできるドラマ『Halo Nightfall』のなかで、エージェント・ロックは、どう見ても人間だ。改造されていない。ていうかむしろ、せっかく謎の植民惑星セドラに乗り込んだとたんに「テクノロジーが探知されている!?」ということで部隊全員がアーマーを脱いでタンクトップ姿になるわ武器は撃てないわで画的にマッチョ&セクシーにはなったものの、Haloの映像化でなぜその選択だよリドリー・スコット!! というくらいに人間臭い描写だった。これまでのゲームHaloサーガでは、むしろ白だろうと黄だろうと黒だろうと、肌色というものをとにかく画面から排除してきたというのに、『Halo Nightfall』では、脱ぐわ泣くわ叫ぶわ汗だくだわ、なんなのかという感じ。

 『Halo Nightfall』は『Halo 4』と『Halo 5: Guardians』のあいだの出来事を描いていると公式に明言されている。さらには『Halo 5: Guardians』で、ロックさまはプレイヤーが操作することになる物語の主要人物だとあきらかにされている。

 これまでの例で言うと、『Halo2』で、敵の内乱を描くために人間ではない異星人の戦士がプレイアブルなキャラクターだったことはある。だがその異星人戦士は、改造人間マスターチーフと互角にわたりあえる、人間とは比べものにならない戦闘能力の持ち主だった。

 それが『5』では、人間の兵士が主人公のひとりになるということ?

 いくらごつくって『ミリオンダラー・ベイビー』で最強ボクサー役を演じるような男であっても、ヒトである。こっちのサーガは、ボクシング業界が舞台ではない。宇宙だ。スペースオペラだ。マスターチーフは、ひとりで星のひとつくらいは破壊できるヒーローなのだ。

 だからこそ、アントニオ・シルヴァ少佐は、スパルタンを奇形と呼ぶ。でたらめに強いけれど、人間とはかけ離れた、スパルタンは、いわば人間が造った人間に使われるための兵器だという解釈で、根っからの人間の軍人である少佐は自分を納得させようとするのだった。

 しかし、マスターチーフがそれほどまでに超人的であるがゆえに、ヘイローサーガはゲーム界の伝説となりえた。それは、世界的に見ても、目新しいヒーロー像だったのだ。

 二十世紀の超人ヒーローといえば、たとえば超人ハルク。

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怒りを抑える最良の方法は
肉体のコントロールだ
心拍を制御しろ

HALO

映画 『インクレディブル・ハルク』

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 ヒクソン・グレイシー本人が登場してハルクを諭す。

 超人ハルクは心拍数が上がると凶暴な緑の巨人に変身してしまうため、グレイシー柔術を学び、愛する恋人と再会してベッドインしても内臓インは我慢する。興奮すると世界が滅ぶという意味では、現在放送中の『パンチライン』とも通じるネタ。

HALO

 日本が誇る二十世紀の改造超人ヒーロー、仮面ライダーもそう。

 第二次世界大戦後のサイエンスフィクションに登場する改造超人ヒーロー「奇形」は、総じて自身の得た強大すぎる戦闘能力を、どうやってコントロールし、悪ではなく正義として使うかというところに苦悩する。それは暗喩でもなんでもなく、地上戦でドンパチやっていた人類が、核兵器を初めて使ってしまって、自分で自分のおこないの愚かさに絶句するという経験が、そうさせた。

 力は消えない。
 だったらコントロールするしかない。

 しかし彼らは、人間なのだ。

 意図せず改造人間ハルクになってしまった男子に「興奮しちゃダメ」と教育したところで、だれに教わらずともオナニーはおぼえるだろうし、ハルク少年を興奮させないためにパンチラを地上から消し去るというのは、それこそ『Halo』の発想だ。

(知識のないひとに解説しよう。ヘイローとは過去の超文明フォアランナーが製造した宇宙最終兵器の名である。銀河に繁殖したフラッドという有機体へ寄生する生物を駆除するために、フラッドに寄生される有機体を銀河から消し去るという頭の良い兵器。信心深くフォアランナーさまを崇拝する異星人コブナントは、ヘイローを起動させようとしやがるので、XboxOneのコントローラーを握って私がマスターチーフをあやつりやつらを駆逐するというのが、ゲーム『Halo』シリーズ概要だ)

 まあ、パンチラがなくなるくらいなら世界のほうが滅べという気持ちはすごくわかるが、視聴者は私のようなパンチラ好きだけではないので、平成仮面ライダーシリーズは改造人間の悲哀を語らなくなったし、超人ハルクは二十一世紀では興行成績がぱっとしない。

 そこで『Halo』だった。

 日本で暮らしていると私だけがなんだか熱くヘイロー愛を語っているようだけれど、世界で見れば現行そして次期Windowsにも搭載される音声対応パーソナルアシスタント『Cortana(コルタナ)』がヘイローのヒロインの名だと知れば、世界のマイクロソフトがそれに社運をかけるくらいに世界では『Halo』が愛されているのだとわかっていただけるだろう。

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『スパルタンとコルタナと六ヶ月ゴールドの悲しみ』の話。

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(残念なことに、これまで『Project Spartan』とされてきたWindows10の新ブラウザ名は、最終的な正式名称が『Microsoft Edge』と決定。スパルタンならちょっと使ってみるかもしれなかったけれど、エムイーならアイイー同様、なんにもときめかないので、たぶん私は使わない)

 ヘイローサーガの主人公、マスターチーフもまた、改造人間である。けれど、戦後はすでに終わって武装テロ集団にリアルに怯える現実のなかで、説得力を失ったはずの改造人間の悲哀が、いままた観客の心に訴えかけている。

 なぜか。

 冒頭の、シルヴァ少佐の言葉がすべてだ。

 生まれたときから誰かを選び、
 彼らの頭をかき回して、
 体を改造する。

 マスターチーフは悩まない。

 ヒト成長ホルモンの分泌を促す触媒を入れたプラチナ小球を甲状腺に移植することで骨格と筋肉組織の成長を高める初期のスパルタン処置は、そのリスクとしてまれに象皮病を発症し、ほぼ確実に性欲を抑制する。

 六歳でハルゼイ博士にさらわれた117番ジョン少年は、チーフ・メンデスの手によって軍人教育を叩きこまれ、十四歳でスパルタン化の施術を受ける。

 というわけで、伝説のマスターチーフはほぼ間違いなく童貞である。もしかすると「自己処理」の方法は学んでいるかもしれないが、強化手術の結果、性欲が抑制されているのだから、それは単なる排泄であって、きっとマスターチーフは男だろうと女だろうとコブナントだろうと、だれかの肢体を想像して処理したりはしないだろう。

 二十一世紀に求められたヒーローがこれだった。

 十年以上をかけ十作以上の作品で主役を張るマスターチーフは、いまだに素顔をプレイヤーに見せたことがない。身に着けたミョルニルアーマーが彼の素肌であり、改造人間の大活躍する大河ドラマでありながら、汗の一滴も、まなざしのひとつも描かれない。

 ただ、ただ、敵を壊滅する。
 ただ、ただ、世界を救う。

 二十世紀のハルクや仮面ライダーがそれをやったら、視聴者の共感は得られなかっただろう。愛も恋も家族もなく、人間世界とは距離を置き、ひたすらショッカーを問答無用で殺し続ける仮面ライダー。戦い終わっても仮面を脱ぐことはなく、次の獲物はどこだと見わたすだけ。

 しかしここは新世紀。
 問答無用でただただやっつけて欲しい敵が多すぎる。
 理由? あいつらコブナントは、トチ狂った信仰心のせいで、宇宙の有機体を滅亡させる超兵器ヘイローを起動させようとしているんだぜ。

 やっちゃってください、マスターチーフ。

 そのマスターチーフ=スパルタン117と『Halo 5: Guardians』で対立構図を描くW主人公のあつかいっぽいエージェントロックさまが、ただの人間であるわけがない。

 というヘイローフリークたちの声に応えるように、新たに公開されたトレーラーがこれ。



 これを公開した公式の紹介文が、

「Halo 5: Guardians Cover Art Reveals New Spartans」

 つまり、『Halo 5: Guardians』の新しいカバーアートが、新しいスパルタンの存在をあきらかにした、と。

 ロックさまもまた、スパルタンなのだ。
 改造人間である。

 なぜここにきて、マスターチーフに対立する新たなスパルタンを登場させなくてはならないのか、しかもそのスパルタンロック誕生の物語シリーズである『Halo Nightfall』で、リドリー・スコットがことさらに改造される前のロック少佐の生々しい人間臭さを強調したがるのか。

 初代『Halo』から愛し続けている私は断言できる。

 これまで、なんども『Halo』の映画化は取りざたされてきた。正式に発表があっただけでも、ピーター・ジャクソンとスティーブン・スピルバーグが、それぞれ製作に着手し……

 すべて頓挫した。

 十年だ。
 もういいだろう。
 このあたりで、『Halo』を映画化する必要がある。

 正式発表などされていないが、ゲーム内に取りこんだ形で配信された『Halo Nightfall』を指揮するリドリー・スコット監督は、映画も見据えているはずだ。

 だから新たなスパルタン、ロックさまを脱がせた。
 褐色の肌に滴る汗、隆起する筋肉……
 これまでのヘイローにはない描写。

 ゲーム『Halo 5: Guardians』でのロックさまも、モーション・キャプチャーからマイク・コルターが演じることが発表されている。え、それって、あの。本家117号ジョンは、十年素顔をさらしてこなかったのに、新たなスパルタン・ロックは、すでにだれもが中身を知っているマスクマンということだ。

 なぜこんな簡単なことに気付かなかったのよん?
 そう、リドリー・スコットは、ピーター・ジャクソンとスティーブン・スピルバーグを笑っている。

 世界で累計販売本数が6000万本を越えるゲーム?

 でも、映画化ってことは、ハリウッドでヒーローものとして上映するってことだよね。

 たとえば超人ハルクやスパイダーマンや、バットマンに恋人がいなかったら。
 X-メンで恋愛は御法度だったら?

 ていうかベッドシーンが演じられないハリウッドアクションヒーロー映画の主役ってなに。いやいやありえないでしょう、いくらひとりで宇宙を救う勢いの性別的には人間の男でも、肉体のないAIヒロインのコルタナとほのかな恋心を匂わせるくらいで、素顔はさらせないわ、性欲ないわって。マスク脱がないんじゃキスシーンもできやしない。

 どうやって映画化するの。
 映画化前提なら、まず新しい主役が必要ね。

 『Halo 5: Guardians』で登場させてちょうだい。プレイヤーが感情移入できるように、プレイアブルなふたりめの主役として。そうだなあ、ロックさまは子供のときにさらわれたんじゃなくて、大人の優秀な兵士が新技術でスパルタン化したことにしようか。まかせといて、それ『Halo Nightfall』で描いておくから。Haloなのに汗だくマッチョでドラマがはじまるなんて、最初はブーイングかもしれないけれど、マスターチーフの逆よ。いつまでたってもマスクを脱がないチーフより、セクシー・ロックがミョルニルアーマーを上回る超スーツのマスクを「かぶって変身」する場面で観客は身悶えて失禁しまくりに違いないわ。あたしも燃えてきたっ。

 というリドリーの巧みな戦術だ。

HALO

 ↑大作映画公開時に「ヘイローを知らないの?」とドヤ顔で言うために、このセットをどうぞ。テレビにつなげば『1』から『4』まで一気プレイできるうえに、ネット対戦ではヨシノギタクミと海岸の風力発電所で撃ちあったりできます。あのマップの空と海はきれいだ。あなたにも見せてあげたい。発売当初、クソのようだった『Halo: The Master Chief Collection』のネット対戦ですが、現在は嘘のように超快適。そういう経緯があったので、ゲーム自体の評価をググられると散々(私自身が語った愚痴もおおいに引っかかってきてしまうわけですが)なのですが、いまはもうすばらしいのひとことなのだよ。私を信じればいい(悪いときには愚痴るし、よくなれば誉めます。いまは良い。でもネット検索って、おととい語った悪い言葉のほうが引っかかるもので。困ります)。

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