最近の記事

スポンサードリンク

月別アーカイブ

『辛いものおみやげ』の話。

redpepper.jpg

送り送られ迎え迎えられる季節。
大人数で居酒屋とか、焼鳥屋とか。
そんな機会のたび、まわりにヒかれる。

「ヨシノギさん……それ、なにしてんの」

取り皿に獲物を取る前に、まずは赤いの。
七味でも可。山椒があったらそれも。
最近だと、食べるラー油とか置いている店も。
だったら皿もう一枚ちょうだい。
刺激物山盛りの小皿をまず準備。
そこに肉も野菜も取る。そして食う。
ハンバーガーは必ず持ち帰る。
一味唐辛子かタバスコがないとダメ。
そういうタチなので。
少なからず秘密主義な私なのですが、
辛いのが好き、という情報だけはダダ漏れ。
結果。

「これはもうタクミさんにあげなくちゃと」

こういったものをいただくことが多い。
写真は、関西で有名どころな七味屋さんのもの。
冷蔵庫の野菜室にまだまだある。
舞妓はんのは、世界一辛いと書いてあるけれど、
実はそんなでもなくて味わい深い。
左下の小瓶二つは、
持ち歩けるようガラス瓶に移しかえた。
ガンガン使っている。でも減るより増えるが早い。
ありがたいことです。
ありがたいのですけれど。
もらう身で、こんな態度もなんですけれども。
あまりにもいただくので図々しくも言うのですが。
七味はそんなに消費しない。
そのうえ消費期限が早いので冷凍庫にストックして、
眠ったままになる確率が高い。
一味はいくらでも食します。
ただ、
写真にもある、デスソースでも有名なその唐辛子、
ブートジョロキア系の一味ってやつは。
これね、私でも減らない。
というか、勘違いされては困る。
私は辛さに挑戦しているわけではない。
愛しているのだ。
辛さを調節できるカレー屋で、最辛は頼まない。
辛くて味がわからなくなるでしょう?
私の赤い小皿を見たひとは言うが、
違う。まったく違うよ、味が好きなのだよ。
好きなものと好きなもので、
もっと好きになるための唐辛子。
おみやげはうれしい。
だけど、

「辛党のひとって辛ければ辛いほど好きなはず」

そこはね、
ぜひ理解して。

「死ぬほど辛いんだって、これヨシノギさんに」

まあ挑戦はしますけれども。

「あ、こっちに味わい深い一味ってのもあるけど」

だったら、そっちがうれしい。
おいしい唐辛子はいくらあっても困りません。
奇をてらわず、
ほくそ笑んでたくらまず、
ふつうに私をよろこばせてください。
ジョロキアは間に合っています。
あれはパーティー罰ゲーム用の唐辛子。
辛いもの好きは舌がバカなわけではない。
デスソースよりタバスコくれるあなたが好き。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 タバスコの大瓶って、あれ、計算してみるとあんまり安くなくて、だったら小瓶のほうが使いやすいよな、と私はふつうにスーパーで売っているサイズを愛用している(なぜだかタバスコをくれるひとは少ない、というか皆無。一般的食品だと世間に認知されているため、ネタにならないということでしょうか。ふつうに使える洗剤もうれしかったりするのにな)。

Tabasco

 メキシコのタバスコ州(Estado Libre y Soberano de Tabasco)が、タバスコという名の唐辛子の発祥の地ではあるが、タバスコ・ペッパー・ソースが醸造されたのはタバスコ州ではなく、アメリカで、いまでもタバスコはアメリカの調味料ということになっている。

 京都の唐辛子も、別に京都が一大唐辛子生産地というわけではなく、そこで売れたから名物になっていったという歴史。一味唐辛子というよりも、七味を口上たれながら売る芸商人が、京みやげとしての唐辛子の地位を高めていったらしい。

 芸商人は、七味のひとつひとつを紹介。産地であり、漢方薬としての効能などを。和歌山の陳皮は食欲増進なんと痛み止めにも使われる成分なんだよ、山椒も和歌山から来ているね、これは胃を丈夫にするし毒抜きだね。なんて言いながら、客の目の前で七味を調合する。

「あなた辛いもの好きじゃないのよ、もっと赤くしてもらいなさいよ」

 などという要望に応えて、商人は香りきつめとか、効能重視とか、ただ辛い七味などを作り売るわけである。そういう売り方だから、やがて、人々は京みやげとして「あのひとにあのひとが好むような」七味を調合してもらって買って帰るようになる。

 とはいえ、まあ七味ですしね。
 麻がぜんそくに効く、芥子が痛みを取ると言っても、焼き鳥に七味ふりかけたくらいの量の、さらにそのなかの微量成分が、なんらかの薬効を持って実際に「効く」などとは考えにくい。

 つまりは、七味さえ芸をまじえて売りつけてくるような関西のあそび街、京都に行ってきた記念という性質のおみやげでしょう。あのひとの不眠症を治してあげるために京都の七味売りを訪ねに行くなんていうドラマは、ない。
 ただの物見遊山です。
 そのおみやげ。

 だったら、もらった側は、そう反応すべきでしょうね。

「いいなあ、京都へ行ってきたんだあ」

 それでよい。向こうも、七味の味がどうとか、それで不眠症は治ったのかなど、興味がない。むしろ、みやげ話をだれかにしたくてしかたないから、おみやげあげるから聞いてくれよぱっつぁん、てなものであろう。

 ならば遠慮することはない。もらっておけ。

 そういう場合ならば、そうなのですが。
 私のもとに唐辛子が溜まっていくこの場合には、完全に、あいつに辛いものを買って行ってやろうよろこぶはずだ、という思惑が透けている。彼らはみやげ話をしない。なんなら私は大都市の駅前に住んでいて、その駅前には巨大ショッピングモールがあったりする。私に貢がれる唐辛子の大半も、実はそこから来ている。

 タクミさんに逢いに行くまえに、せっかくの大きな駅に来たのだから、ぶらぶらしていきましょう。そこで目にとまる唐辛子。そういえばあのひとバカみたいに辛いもの食べてるよね、コレなんか、買っていったらきゃっきゃきゃっきゃとはしゃぐに決まっているね。目玉飛び出る辛さとか書いてあるし。飛び出ればいいよね、あいつ。

 ということなので、彼らはショッピングモールのみやげ話などしない。私の食べっぷりを見るだけである。さあ食えと。激辛を平気な顔で食うのが辛いもの好きでしょうよ、と。

 前述の通り、それは違うのだ。
 私の舌は麻痺していない。
 だっておいしい七味とおいしくない七味がある。
 一味だって味の違いがわかる。

 だから、ただ痛いような激辛製品は、やめてもらいたい。
 リアクションに困るのである。
 辛くて食べられないようなものを食べているのに歓喜の表情とか、それただの変態だから。どうも辛いもの好きに辛いものを贈るひとたちのなかには、そういう勘違いをしているものたちが一定数いるのである。声を大にして、いまいちど言っておきたい。

 私は辛いものに関しては変態ではない。

 おいしい辛いものが好きだ。
 というわけで、こういったものは至福。

redpeppe2.jpg

 食べる焦がしカニラー油をくださったSさん。
 九条ネギラー油ふりかけをくださったGさん。
 ナイスチョイス。
 卵と鶏肉のシンプルなちらし寿司を作り、その白酢飯上で奇跡のコラボをくり返した、その夜のごはんは格別でした。
 好きなものと好きなもので、
 もっと好きになるための唐辛子。

 食べるラー油系というのは、あんまり辛さはないのですが、記憶に残る。

 いやもう本当にくどいようですが、いただく側でこうあれこれ言うのもなんなので、これくらいにしておきますけれども。ただまあ、ましてやどこかへ行ったおみやげというのでもなく、せっかく私のために私の反応を狙って辛いもの買ってきてくださるのでしたら、ちゃんとつまみになる物を買っていただけたらよろこびますと、そういうことをですね。
 失礼承知で、どうしても伝えたかった。

 なんでもうれしいです。
 逢いに来てくれるだけで失禁しそうです。
 おみやげなんていいのです。
 でも、でも。
 言わないと伝わらないし。

 私、激烈な辛さよりも、しとやかな辛さが好き。

 ヒーヒー言いたいわけじゃない。
 もしもそう認識しておられるかたがありましたら、記憶の記述を書きかえていただけるとさいわいです。

 辛いものに関しては変態ではない。
 ただ深く愛しているだけだと自負している。

Tabasco

TRACKBACK http://yoshinogi.blog42.fc2.com/tb.php/579-676cd65a