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『道の駅、不細工な果実』のこと。




hornedmelon02.jpg

写真の果実なんですけれども。
立ち寄った道の駅に並んでいた。
山盛りで。キワノ、って書いてあった。
その隣にも、よくわからんフルーツが。
その隣にも、見たことないイモが。
なにをみんなでこぞって変わったものを作っているのか。
道の駅って、

「まあ、ミカンがこんなに山盛りで100円?」

そういう場所ではなかったのか。
それが近ごろは、その場所で、

「へえ、これ、見たことない」

と唇から発する機会が多い。
祭りも、農作物も、もはやありきたりではダメで。
アイドル戦国時代になればイロモノが増えるように、
ハロウィンからは愛らしいモンスターたちが消え、
道の駅では、ミカンのかわりにキワノが山盛り。
新世紀人類はなんでも許容するから、
やがてすべての地域差なんて消えて、
人種も混じってフラットになって、
美しいとか醜いなんて基準も曖昧になり、
もう十年くらいしたら、そうなるのかも。
ハロウィンには、コタツでミカン。
ひとむかし前のふつうが、いまや異形。
今年はまだ、ミカンを一個も食べていません。
でもキワノは食べた。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 で、キワノのお味ですが。

hornedmelon01.jpg

 すっぱい。
 以上。

 あ、いや、もうひとつ感想あった。
 タネ多い。食べにくい。
 不味くはない。
 けれど、存在意義に謎が残る。
 少なくとも人類の指先と唇にやさしい命になろうと努力した痕跡はなく、人類の口から入ってケツからこぼれて未知なる大地に繁殖する意図はないものと思われる。だったらそんなものをなぜあえて食うのか、悪戦苦闘しながら食うみずからの存在意義まで疑いそうになってしまった。

 見たことないイモも買ってしまった。
 このような。

AirPotato02.jpg

 宇宙イモ(エアーポテト:Air Potato)と書いてある。
 ふかしてみた。
 食べてみた。

AirPotato01.jpg

 キワノは、すっぱかった。
 食べにくかった。
 けれど、宇宙イモは。

 ぶっちゃけて言ってしまおう。

 味がない。
 なにがそんなに道の駅に山積みにする意味があるものなのか、さっぱり理解できない。男爵イモのポテトサラダのほうが、ずっと売れるべき価値があると断言する。食べやすいのは食べやすい。実は固めだし、皮が剥きやすい。しかし、ということはポテサラに向かない。ほくほくっと崩れない実の固さなのであった。

 ところで年を越えたが、やはりいまだ私はこの冬、ひとつのミカンも食べていない。きっと食べないまま春が来るだろう。寒い寒いと言い、暑い暑いと言い、次の季節を待ちわびては、次の季節で不満ばかり。

 青春時代も、海に行かなかった。
 記憶にあるかぎり、クリスマスは良い想い出がない。
 なにごともなく、平穏に一年が過ぎゆけばいい。
 ずっとそう考えて生きてきた。
 それは別に、なにも起こらない一年が欲しいということではなくて、季節であれなんであれ、そういうものとは関わりなく、私のよろこびは私が随時おのれで手に入れるものなので、放っておいてくれということだ。キミが水着になってくれなくていい。誕生日のプレゼントなんて、わずらわしい。

 そういうことなので、昨今、関西と関東の二大テーマパークが値上げするというニュースに、まわりがぷんすか怒っているのに、首を傾げている。大阪在住で、ユニバーサルスタジオジャパンは、すぐ目の前だ。なんなら友人が働いていたりさえする。が、私はいちども行ったことがない。目の前のそれに行かないくらいだから、もちろん東京ディズニーランドも行ったことがない。私の家族はどちらにも行ったことがある。そのときも私は行かないと駄々をこねたわけではなく、誘われなかった。だって誘っても行かないと知っているから。ありがたい。というわけで、この先もきっと行かないので、値上げだろうが知ったことではない。

 なにが言いたいのか?
 ああ、だから、私は、ちょっとそのあたりが、おかしいのだ。なので、あなたが道の駅で見かけたそれをスマホで検索してこれを読んでいるのならば、私がキワノや宇宙イモになんの感動もおぼえていないからといって、あなたにとってもそうであるということにはならない。

 買ってみるといい。
 宇宙イモ、ふかして食べてみるといい。

 私は、首を傾げるだけだった。
 あなたは歓喜して忘れがたい一日になるかもしれない。
 検索など無駄だということだ。
 私はあなたではない。

 でも、私の一日も、たのしいことは多いのである。
 小学生低学年のころ、小指に安全ピンを突き刺して何個も留めるのが好きだった。先生に怒られた。でもやめなかった。そのうち飽きた。飽きなかったらきっと、大人になっても乳首に安全ピンを何個も留めていたと思う。そういうようなもので、本当に個人的なよろこびは、説明しても伝わらない。

 おそらく道の駅の、ああいった不細工な果実たちも、山ほどそれを作っているひとたちの自慰行為なのではないかと疑う。よく考えてみれば、山積みというところがポイントだ。ふつうのイモは、朝イチで売れてなくなったのだ。ふつうのミカンも、ダンボール箱で買って行かれたにちがいない。つまりそのうち、道の駅はウケを狙ったイロモノで埋まってしまうのではないかという私の冒頭の懸念は、まとはずれなのだ。そういうひとたちが、私などにはわかりかねる個人的な嗜好で、不細工な作物を山積みにしてよろこんでいたのに、空気を読まず買って帰ってまじめに食してみたりして、ごめんなさい。もう二度としません。

(余談として。宇宙イモをいっしょに食べた知人は「熱々にバター乗っけたらウマし」と、のたまっておりました。いやそりゃバターが美味いんだろ、と、つっこみましたが。味がないゆえにアレンジによってゴハンにもデザートにもなりうる可能性を多いに秘めている……のだとしても、私は追求する情熱を持ちあわせていませんので、お暇なかた、宇宙イモ普及に向けて尽力どうぞ。ゆずります。ちなみに宇宙イモという名称はどこかの国の宇宙計画で食料として優秀なことが認められ……というようなことではなく、エアポテト(Air Potato)の英語記述が先にあって、その意訳の模様。だとしたら宇宙イモなんてカッコよすぎると思う。Air Potato=イモっぽい、くらいが食べた実感にはピンとくる。イモ風イモ。イモ的なイモ。イモ似イモ。あくまでイモではあるのだけれど、なにかが確実に物足りぬ)


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