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『有効画素数とは』の話。



Alarmclock

小学校の入学祝いに、叔父さんからもらった。
なぜ写真で目覚まし時計の右半身が見切れているかというと、
そちらのベルはないからである。
ベルどころかベルを支える棒もない。
長年の相棒の恥ずかしい傷だから写さなかった、わけではなく。
私自身の恥ずかしい傷だから見せたくない。
そっちのベルは、壊れても支障のないベルだ。
こういったアナログ目覚まし時計は、
モーターの回転によってベルを打ち鳴らす。
使ったことのないひとだと、
「左右のベルをガンガン叩いて鳴らすのよね?」
と思ってしまいがちだが。
左右二つのベルが設置されている普及型の多くで、
打ち叩くのは片方だけ。
もう片方は、たんなる飾りである。
左右対称シンメトリーを美しいとする事なかれデザイン。
事なかれ?
いや、幼い日の私……もう少し大きくなってからの私にとって、
それは毎朝の発狂のもとだった。
突きつけられたリボルバーに対し、正しい対処はなにか。
引かれた撃鉄の隙間に親指をつっこむ。
そうして、引き金を引いても雷管を打たせないようにする。
目覚まし時計がゴングを鳴らす。
ふざけるなと私は手をのばす。
ハンマーとベルのあいだに親指をつっこむ。
……止まらない……
だから、ベルをわし掴む。
それでも止まらない。振り回す。必死に。
もぎとれろ、と。
結果、十代のなかほどで、リアルに、もげた。
つっこんでもわし掴んでも、無意味なほうのベルが。
止まらない時点で、時計が裏返しに置いてあると気づくべき。
現に止まらないことを察知したあとでならば、
反対側のベルをやさしく包みこむか、
もしくは目覚まし時計裏のスイッチを切ればいい。
けれど、幼い日の私……もう少し大きくなってからの私にとって、
それは無理な相談だった。
むきっいいい、うっせええよ、止まれようっ。
かなしい傷痕だ。止まらないから、もいだ。
見せたくない。
それ以外には故障はない。
こいつはいまも相棒だ。
いっそ壊れてくれれば、幼い日に贈られた記念物。
動作しないオブジェとして棚に飾っておけるのに。
片方のベルがもげ、メッキが剥がれ、
いまどきの目覚ましでは法度なコチコチ音もする。
でも、私を毎朝起こすのは、こいつ。
小学校に上がったときから、頭上に鎮座まします。
そのコチコチ音は、いっしょに眠る相棒の鼻息。
気にならないどころか、安眠のかなめ。
考えてみると、モノであれ、ヒトであれ。
こんなにずっと変わらずそばにある存在はない。
ハンマーをつまみ、ベルを握り、錆びた肌を撫でる。
もうちょっと寝かせてくれよと、声に出さず話しかける。
毎朝起こされるから、毎朝、そのスイッチを切る。
毎夜、手にとって、スイッチを入れる。
人生になにがあっても、意識を失うほど酔っていても。
間違いなく、生涯でもっとも「触れた」相手。
なんの手入れもしない、錆びるにまかせる道具。
むしろ壊れりゃいいのにと思われながら、
ずっと私のそばにいて、壊れない。
いつ壊れたっておかしくない。
予備の時計は必須。
朝早い日は、携帯やテレビのタイマーも使う。
それでも、こいつがいてくれると安心。
安心というか、恐いのかも。
六歳の私に社会の規律を叩きこんだ先生でもあるのだから。
おかげで今朝も当たり前に起きて遅刻しませんでした。
あしたもよろしくおねがいします。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 なんて、もっともらしいこと書いていますが。
 実のところ、理由がもうひとつ。
 この写真、スマホで撮ったから。

 私がふだん持ち歩いているコンパクトデジタルカメラは、修理に修理を重ねて、こんど逝ったらもう蘇生はあきらめようと決意しているキヤノンさんの製品なのですけれど。開設して十二年だったか三年だったか、そんなところに来た拙サイト『とかげの月』で使用している写真のほとんどが、このカメラで撮影されています。

 仕様書によると、このカメラ……

 カメラ部有効画素数 約500万画素。

 一方、私のいま使っているスマートフォン。
 これの仕様書を見てみると……
 
 カメラ部有効画素数 約1320万画素。

 私、自身もカメラ売っているので、そういうところのよくわからないお客さんに説明するとき、この数字を比較対象にしたい誘惑にかられます。これが、たとえば同じメーカーの同じシリーズのカメラで、500万画素と1300万画素だった場合ならば、おおむね間違ってはいない情報提供となる。

「画素数が大きいので、こちらのほうが、きれいな絵が撮れます」

 そういう場合、単純に、発売年度が新しいか、同じシリーズでも上位機種ということですから。画素数で比べて二倍以上も差があれば、優劣つけてもよいと言えましょう。

 しかし、メーカーが違っていたり、カメラ専用機と、スマホやタブレットだったり。そういう場合、この有効画素数というもので優劣をつけてしまうと、問題ありです。

 冒頭の写真の、全体がこれ。
 わかりやすく明度を少し上げてあります。

Alarmclock2

 左側を拡大したものがこれ。

Alarmclock3

 わかりましょうか。
 右から光が差し込んでいるのですね。
 それゆえ、時計の左側は影になる。
 その部分が、なんかざらざらしている。

 当サイトの写真は、現在、おおむね480×270ピクセルで統一しています。

(余談ですが、この数字は、亡くなったゲームデザイナー飯野賢治さんが、ご自身のサイトで最終的に「これくらいが良い」と使用されていたものを学ばせていただきました。それももう数年前の話で、飯野さんの生前は、圧倒的にウェブサイトはパソコンで見るものでしたから……時代の変化とともに、本来は固定せず試行錯誤しなくちゃいけないところです)。

 このスマホの、もとの静止画サイズは4128×3096ピクセル。
 ほぼ十分の一まで縮小して、それでも判別できる粒子のあらさがある。

 同じ光の加減で、いつも使っている愛用のコンデジで撮れば。
 こんな感じ。

Alarmclock4

 ちょっと置く位置が前にずれて、影の位置も違いますが。
 ぱっと見できれい。
 色合いからして別ものだし。
 このカメラのもとの静止画サイズは2592×1944ピクセル。
 もとの画像を使えば、A4サイズくらいまではプリントアウトしても飾れるレベルです。

 そういうこと。
 500万画素あれば、通常のL判プリントの写真にしてだれかにプレゼントしたとき、あらこれなんだか十年前のカメラで撮ったみたい、なんてことにはなりません。画素数は問題ではないのです。まして、私のように最終的に数百ピクセルという画像に縮小して使う場合、もとの画像の大きさにも意味はない。

 500万画素から1000万画素まで、あっというまでした。
 技術の進歩もあるけれど、単純に、500万画素のカメラと並べて、800万画素のカメラを新発売すれば、売れるから。店員も無責任に売りやすいから。

 誤解しないでくださいね。画素数は大事です。大容量記録メディアも普及したことですし、大きな画像で残せるに越したことはない。ですが、これも事実。カメラの実力は、画素数だけで優劣がつけられない。というかむしろ、ここまで技術が進めば、そこは問題にしなくてもいいくらい。

 私が、壊れても直し、使い続けているカメラ。
 単焦点の一枚レンズで、望遠機能がない。
 顔認識とか、笑顔認識とかもない。
 手ぶれ補正もない。
 そのかわり、接写機能がとても優れている。
 動かない目覚まし時計を、固定したレンズで撮ると、とてもきれい。

 大画面のハイビジョンテレビで、アナログのビデオテープの映像を観たりすると、粒子が粗くて、とても見られたものではなかったりします。そういうことが起きている。

 きれいな「眼」で見た世界を、大きな画面で映せば、それはきれい。けれど、カメラのレンズ性能や、処理能力がいまいちな場合、映す画面が大きければ大きいほど、アラも見えてしまう。

 私が、愛用のカメラを捨てられないのも、そこに尽きる。
 キヤノンさんが、私の使っているこのシリーズを終わらせてしまったのです。望遠とか、手ぶれとか、そういうのがないと売れないというのはわかります。スマホやタブレットが普及し、コンデジとかいうジャンルが撮れるということだけで勝負するのはむずかしいのだと理解もできます。けれど待っている私のようなものもいる。高くていらない機能が付いていたって、それはそれで許容します。けれど、スマホ持ち歩くからこそ、もう一台カメラ持って歩くひとにとっては、小さいって大事。こいつの後継機、なにかのついででいいから出してほしいのです。

 というわけで。
 買い替えると使えなくなるバッテリーパック。
 こんど壊れたら、と諦めはついているけれど未練で最期のときを過ごす私たちにとって、電池切れは深刻な問題。撮りたいときに電池がない。予備の電池も切れていることがある。でももう、新しいのを買う気はない。

 やむなく、スマホで撮る。
 世を席巻するiPhoneの最新機種が800万画素。私のWindowsPhoneはそれを大きく上回る1320万画素。それでも目覚まし時計の影がちゃんと写せない。十年前の壊れかけの単焦点レンズのカメラが、雲泥の差の画を撮る。

 こういうことは、知っておくべきです。
 美しい、ということはなんなのか。
 深遠なテーマにもつながります。
 笑顔が可愛いひとがよかったりするじゃないですか。
 数値化なんて、できない。
 愛せるものをさがすには、触れてみるしかない。

 最近、液晶にノイズが走る。
 そろそろ本気で後継機選びはじめなくては、なのです。
 迷います。にしても。
 Wi-Fiとかタッチパネルとかマジいらん。
 故障要素をぶっこむのやめてほしい……
 すなおで頑丈で小さいヤツをください。
 あと、ボディ色は黒がないと却下。最近のキヤノンさんの小さいのは淡い色ばかりで黒モデルなかったりするため、検討以前の問題になること多し。
 春モデルに期待しています。





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