○材料
あまったおでん
米
ショウガ
○作りかた
炊飯器に研いだ白米を入れ、
おでんのダシを規定水量注ぎ、
刻んだショウガとおでんの具をのせて炊く。
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右の一群はくっつかないように平らに並べて冷凍したあと、ジップロックに移して長期保存。なにか醤油味の煮物でも作るときにアクセントで足してもよいし、レンジで解凍して朝食の一品でもいいし、冷凍のままお弁当の具にもよし。
左の一群は冷凍するとすっかすかになってしまう悲しいみなさん、と書くと負け組のようだけれど、活きがよくなければ不味いというのは食品として誇るべき資質です。切れない包丁で切り分けた刺身が断面の細胞膜を破壊されてひどい味になるように、冷凍によって細胞内の水分が膨張し、壁を破ってぐだぐだになる。
詳しくは以下。
(レシピとは無関係な駄文です。読まなくてもよし)
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『クライオニクスは失敗する』の話。・・・・・・・・・・・・・・・・・・
さておき。
凍らすことのできない一群と、鍋いっぱいのダシ。
これを凍らせたい。
なにせ二日、おでんが続いていて、今夜はパキスタン料理が食べたい。香辛料とダイエットコーラの晩ご飯にしたい。
そこで、炊き込みご飯。
炊き込みご飯にすれば、冷凍できないものがなぜ冷凍できてしまうのか。答えは単純なことで、具材を細かく刻むから。もちろん、刻んだところで大根もこんにゃくもシワシワのヨレヨレにはなるのだけれど、それはそれでぜんぜん美味しいということは何度も確認済み。このあいだテレビで蜂の子の炊き込みご飯というのを某美少女アイドルが食して破顔していたが、米つぶレベルのつぶつぶになってしまえば、こんにゃくも虫もただのアクセントにすぎず、要のかなめは炊き込みご飯の味のかなめはダシの要。
そしてここにはダシがあり、米つぶレベルまで刻める具がある。
炊き込みご飯以外のなにを作れというのか!!
というわけで刻んだ。
左端に添えてあるのは、刻んだショウガです。
おでんの具ではありませんが、おでんダシは甘みがあるので、炊き込みご飯化するさいには、さわやかさを求めて加えます。豆知識としては、見た目にこだわらない料理の場合、ショウガは皮ごと刻んだほうが栄養価が高いです。
あれ? じゃがいもは?
(見えにくいですが左右分別写真の左の上のほうに写っていたのはじゃがいも)
今回は余りませんでしたが、おでんの定番具材、ゆで卵も残っていたとしたら選考対象外。こやつらは刻むと炊き込みご飯を侵して和食ではないどこかの多国籍料理に変えてしまいます。
ちなみに、私はおでんにもカレーにもじゃがいもは入れないのですが、今回のおでんは妻の作なので入っていました。責任もって本人に食べてもらいます。まあ、じゃがいもも卵も、香辛料で炒めればダシの味なんて飛んでパキスタン料理になりそうな気もしますが、なにせ、じゃがいもがすでに触れただけで崩れる状態なので、米つぶレベルまで刻むことなど不可能。これはすなおにタッパーに入れて冷蔵保存で早めに処理しましょう。
あとは、炊くだけ。
炊飯器に研いだ米を入れ、分量の目盛りまでダシを注ぎ、刻んだおでんの具とショウガをのせて、スイッチオン。
できました。
盛りました。
包みました。
白米は170g(ちょうど0.5合です)、炊き込みご飯は200g(具材のぶん増量)でパッキングして凍らせるのが我が秘伝。これを解凍して、白米はお茶漬けで、炊き込みご飯には一味唐辛子を振っていただく朝食がお気に入り。
写真の炊き込みご飯は冒頭のレシピとは微妙にちがい、四合炊いたうち、一合は玄米をまぜました。
いままさに、これを書いているのは台所のテーブルの上なのですが、ダシとショウガと玄米のまじりあった香ばしい匂いに包まれております。
冷凍庫に一週間ぶんの朝食。
おでんバンザイ。
ところで、我が家では、台所で大鍋に煮込んだおでんを、食卓の電気鍋に移しては食べ、食べては足し、というスタイルで、ゆえにあとどれくらい残っているのかがわからず計算なしに食べ続けるため、多めに作ってあまる、というのが常。
だったらその大鍋を、卓上コンロかなにかで食卓に持ってくればいいのではないかバカだなあ、と思うかもしれませんが。
むしろ、我が家のおでん、主役は、電気鍋のほうなのです。
私が実家を出るときに、持っていきなさいとわたされたうちのひとつで、炊飯器も灯油ファンヒーターも寿命を迎え壊れてしまったくらい、むかしの話なんですが、その電気鍋は生きている。
ただし、ヨボヨボではある。
どうもセンサーがいつのまにか感度が悪くなった。
もう何年前のことだろう。
当サイト『飛翔』リンクでもおなじみのUkawaが、我が家で鍋をつつきながら言いました。
「おまえのつごうで沸騰をとめんなや!!」
私に言っているのではなく、鍋に。
沸騰をとめんなやと罵られていますが、当時すでに、かの鍋はお湯を沸騰させることができなくなっていた。沸騰前に勝手にセンサーが止めよるのです。しゃぶしゃぶなんてしていたら、そりゃあもう腹立たしいことこのうえない。肉をしゃぶしゃぶ。ダシ温度下がる、電源入る、でも沸騰する前にまた切れる。こっちは我慢できず肉を入れる野菜を入れる豆腐を入れる。どんどんダシはぬるくなり、テンションは下がっていく。
「台所で沸かしてくるわ」
じゃあ電気鍋いらないし。
新しいのを買いました。
自分で選ぶなら数値で選ぶ。パワフルなのがやってきた。
それからすっかりグラグラ沸いて水炊きハッピー。
でもね。あの電気鍋。
押し入れの奥に眠らせたわけでも、粗大ゴミの日に廃棄したわけでもなくて、まだ台所にある。出番は減った。けれども、そういうものも売っている店で働く私が、二十一世紀の最新機種でも見つけられない愛すべき特徴を、あの鍋はもっている。
仕切り板、付属。
こんなのは、いまでも店で売っている。
でも、現行の有名メーカーさんの電気グリル鍋に仕切り板は付属しない。どのメーカーさんもです。なぜなら、いまどき、電気鍋だって表面加工があたりまえだから。テフロンにしろ金属ヘラOKをうたう、マーブルコートやセラミックコーティングでも、金属の仕切り板を入れて、みんなで突っついてぐるぐるやったら、早晩、傷だらけになるでしょう。
私の嫁入り道具なお鍋さんは、ジャンボエレクトリックパンというような製品名で、無骨なステンレス打ちっぱなし建築。だから仕切り板も平気。温度センサーは繊細すぎて狂いっぱなし地獄だけれど、おでん、ならば。それならば、グラグラ沸かなくたっていい。
世の中には、家庭用卓上電気おでん鍋というジャンルもあるにはあるのですが、そういうのって屋台の雰囲気を出すために四角くてこぢんまりした装飾過多。うちのおでんには豆腐も入るから、窮屈だと崩れたりしてイヤ。ていうか、おでん専用鍋を買ってまで欲しくない。
そんなわけで、ジャンボエレクトロニックパーテーションステンレスおでん専用として重宝している当方現行機。一年通して、使う場所がおでんの会なときだけ。ならば主役としてまつりあげ、こいつぁもぉいいお歳なんだぜえ、ほらセンサーがイカレちまっててなあ、なんて話をしてやるのが愛。
ひとり鍋用の、電気マルチグリルパンというような商品だと、いまでもむき出しのステンレス鍋を採用しているものを目にします。多人数用の大鍋だって、表面加工しない金属鍋モデルの需要はあると思うのだけれど。ホットプレートならわかりますが、鍋専用製品にこびりつき防止なんか必要ですか?
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・フライパンを買った。28cm。鉄。ヒトに一目惚れってないんだけれど、道具に恋することはままあったり。気になる部分もあるが、つきあって馴染むほうに賭けてみた。
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私は、フライパンでさえ鉄しか使わないので、鍋にコーティングしてあるのには違和感が。炊飯器の内釜も決まってあれが剥げてきて、私、そういうのを取り寄せたりするのも仕事。最近の機種とか、内釜だけで一万円超えるんだぜ! そりゃ、お客さんに新しいの買ったらって言いますよ。そうしたらこっちが悪の手先みたいに見られてさ……
愚痴りました。
なんにせよ。
おでんで炊きこみごはん。
そんな昔話もしながら終了です。
この冬は寒くなるらしいし。
だったら冬らしいこと、満喫しましょう。
おでんの次は、そうだな、冬といえば。
お。
そういや12月になったのに、
まだクリスマスリース出してないや。
飾ってくる。