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『一日断食』の話。



 というわけで〆切も越え、GWも終わり、今日は一日(というか昨夜からずっと)立て続けに映画を観続けている。さっきやっと観た『ゴールデンスランバー』で元祖ドリームキャスト版シーマンが出てきて笑顔になりました。予約特典のマウスパッドもマグカップもいまだに我が家の棚にある。最近、アニメとか小説とかでも、あのころのセガへの愛をちりばめたシーンをよく見ます。気持ちはわかる。ファミコンの現役時代を知っている私だけれど、あれがスーパーファミコンになったときよりも、MSXがMSX2+になったときよりも、ゲームセンターでセガの『バーチャファイター』を見たとき、近未来に来たと感じた。最初は段ボール人形みたいだったポリゴン君たちも、ドリキャスの時代には、とぼけた人面魚を描けるまでになり、いまやエロゲどころかエロなしの純愛アドベンチャーゲームさえポリゴンで描けるように。あの段ボールに疑似であれ恋することも可能になるときが来ようなんて、近未来はとっくに越えています。



 で、いまは『ボックス!』観はじめたところなんですが(どうしても邦画が滞留しがちなんですよねえ)、ボクサーのお話でってわけでもないんですけれど、ふと気づけば、二十四時間以上、食事を摂っていない。

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・花屋の娘な妻が実家に帰りカーネーション売りをしているこの時期、残された私は、そういった商店街の個人経営店を喰う大型店で、おなじくカーネーションを売っている。盆も正月も母の日も、売上げとか価格とかの話には触れない。もう慣れたけど。

twitter / Yoshinogi

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 そんな理由で家にひとりなので、ごはんですよー、という時間がなく、いつのまにやら二日目の晩ご飯を食べる時間。でも『ボックス!』観終わった私は、原稿書いていたあいだ、それを気絶するまでプレイし続けたいと願っていた(触れたら本当にそうするので触れずにいた)『Halo:Reach』へ凱旋中。みんなひさしぶり、忘れてないッスか殺しあおうぜ! というような状態で。もういいや、晩ご飯いらない。

halo

 と、なんだかんだで。
 肉体労働なお仕事はお休みだったのですが、日課なので、腕立てだ腹筋だはやっています。あったかい紅茶や烏龍茶はずっとそばにあって絶えず口にしていた、そのせいなんでしょうか。それとも、過剰な贅肉(ってすごい字だなといま変換して思う。贅なるお肉。おいしそう)が絶えず備蓄されているから、それをエネルギー源にしてってことなんでしょうか。
 まったくもって、二十四時間とか過ぎたくらいじゃ、ぜんぜん空腹を感じない。

 んー?
 出勤日で、走りまわっていれば、もちろん数時間で空腹極まってもう動けない! って状態に陥るのですけれど。このなにげにはじめてしまった二十四時間断食の場合、そもそも、おなかがグーと鳴らない。

 肉体を酷使しなくても、原稿書いていたりすると、はっきり栄養が足りなくて頭が働かなくなる瞬間がある。私はいつもそのたびに悪態をつくクセがある。集中が、空腹とか、尿意とか、そういうもので中断されるのが我慢ならなくて。ぼくは機械になりたい、というウォーホルの名言に共感するけれど、よく考えてみれば、機械になったってエネルギーはいるわけで。だれかがそっと背中のネジを巻いてくれるならともかく、ひとりきりではロボになったって定期的な補給もメンテナンスも必要。

 それがなんだか。
 いまならずっと食べなくても平気な気がする
 ていうか、この文章書けているんですけれど。
 映画もゲームも内容が頭に入ってきているし、あまつさえついさっき『Halo』で連続三回ヘッドショットの実績を解除したところ。
 集中できていないわけじゃない。

 なんなんでしょうね。
 少し考えて、たぶんそういうことなんだろうという結論になる。

 ストレスの存在。

 家にひとり、溜まった映画観て、飽きたらゲームして、ほかにもこそこそいろいろして(笑・もちろんこのブログを書いている行為含む)。好きなことだけやっているぶんには、空腹を感じないどころか、胃袋が鳴ることもない。鳴らないということは肉体ちゃん的に、

「こっちは一日二日くらい、たっぷりある贅なる肉で大丈夫だから、せっかくの時間、たのしみなさいよご主人様」

 と、殊勝な気づかいをしてくれているものと思われる。
 肉体労働はともかく、同じ文章書くのでも、あきらかに本人が苦痛を感じている執筆作業だとグーと鳴る、という点をかんがみるに、それはカロリーが脳のために必要だとかそんなことの前に、精神状態を安定させるために必要なのではないのか。

 いわゆる、ストレス太り、とかいうのは、そういうメカニズムなのでは。
 というのを、ちょっと今度はアニメ観ながらノートパソコンで検索していたら。
 近年、そういう研究は花盛りなのであった。
 花盛り過ぎて、どこにリンクをはっても胡散臭いことこのうえないので、勝手に要約するならば、こういうこと。

 空腹になると鬱から解放される。
 それは。
 becoming dinnerのかわりに
 find dinnerするための進化だった。

 そうなんですって。
 おおもとになっている論文(これもいくつか見つけてしまったのでリンクはしないが、引用数が多かったのはこれだった)のタイトルは、

「The orexigenic hormone ghrelin defends against depressive symptoms of chronic stress」

 食欲を司るホルモンのグレリンは慢性的ストレスによる鬱に対抗しうる。

 ええっと。私の訳がよくない感がありますが、上手に訳してもきっとわかりにくい。もっと平たく平たく意訳するならこういうコトであるらしい。

「おなかがすくとグレリンってのが脳でどばっと出る」

 OK?

「そのグレリンは、ヒトに空腹を感じさせる」

 当たり前の話ですね。
 おなかが空くと、なんか食べろと命令する物質が放出される。
 それがグレリンっていうホルモン(の意味は深く考えなくていい)。

 なんだけど。
 ここからが最近流行の研究成果。

「そのグレリンは、集中力を高める」

 言われてみれば、これも当たり前ではある。
 野生動物、それもストレスにさらされやすい捕食されることの多いちびっこ動物にしてみれば、おなかがすいて動けなくなること=becoming dinner(自分が夕食になる)なわけで。それだと困るから、進化は、進化ってやつは、まるで神が実在するかのような真似をやってのけた。

 find dinner(夕食を見つける)ための集中力が、空腹きわまると飛び抜ける。

 まさにボクサー。
 過酷な減量で、逆に闘争心が上がるという話はよく聞くところ。
 もちろんこの研究がそこかしこで引用されているのは、つまりは空腹気味でいたほうがヒトだって集中力は高まるのでお勉強もはかどるはず、というわけで学力と体重の相関を考察していたりするのが胡散臭いんですが、まあ、説得力はある。

 で、さらに先に進んだ話。

「ところでストレスを感じたときにも
 グレリンがどばっと出る」

 お。ここから少しややこしい。
 ストレスを感じたらグレリンが分泌される?
 でもグレリンって空腹を感じさせる物質のはず。
 なんでそんなことになるのさ進化のバカ。

 でも、まとめればそういうこと。
 ストレスも生き延びるための敵だから。
 空腹で走れなくなるのと同じくらい危険だから。

 イライラして死にそう!
 (グレリ~ン)
 じゃあ、食べなさい。

 &

 食べていないから死にそう!
 (グレリ~ン)
 じゃあ、食べなさい。

 とはいえ、食べろといわれても食べなくたって死にはしない。平和な世の王たるヒトにとって、私の場合のように、それが鬱陶しいとさえ思えるケースが増える。
 ストレスまみれでも働くんだ!
 集中しているんだから邪魔すんな!
 自分のカラダとケンカするうちに。

 なんにせよ、
 (グレリ~ン)
 のあとの、
 (じゃあ、食べなさい)
 は省略。 
 結果だけおぼえて処理。
 かしこい進化を遂げた。
 つまり。

 イライラして死にそう!
 (グレリ~ン)
 イライラ解消。

 食べていないから死にそう!
 (グレリ~ン)
 集中力倍増。

 別に食べなくても。
 そういう反応が出るんですって。
 グレリンを抗鬱剤として物理的に注射する実験もすでにやっているらしい。

 つーことで。
 今回の私の状態は。
 おなかがすいても幸せを満喫しているかぎり、グレリンに酔っていられる。でもたとえば、ここで上司から電話かかってくるとかすれば、その途端に、お腹がグーグー鳴りはじめること確定。
 そういうことである。

 禅の修行を想い出さずにはいられない。 
 断食とは、精神を鍛えるすべだった。

 グレリンどばっ。 
 
 それを、喰え、と取るか。
 研ぎ澄ませ、と取るか。
 幸せのサインと取って恍惚の表情を浮かべるか。

 そこは修行なわけですよ、けっきょく。
 グレリ~ンの呼びかけに、食べて答えているうちは、食べないで益を取る進化を使い切れていない未熟者ってこと。 
 
 なんて、休日の開放感に食べるの忘れていただけの私が蘊蓄るのもあれなんですが。
 最近の研究も示す、その可能性に魅力を感じます。

 禅をきわめて、グレリン=集中と解放。
 その境地に達した御方がですよ。
 即神仏になる行為を思う。
 死ぬまで食べない。
 遠くから鐘の音。
 まわりはあたたかな土。
 ほどよく薄い空気。
 人生最初で最後の、極限量のグレリ~ン。

 身悶えてイけるんでしょうねえ、きっと。 
   
 いや、まあ私はあしたの朝からがっつり喰いますけどね。
 抗鬱剤として実用化もされつつあるグレリンの分泌を、空腹の命令に対し食べることで止めてしまうというのは、ひどくもったいないことでもあるのかもしれないと、おぼえるだけはおぼえてフライドチキンにかぶりつくことにします。

 さて、もう一本、映画観つつ寝ますか。
 なんにするかなあ。
 せっかくの集中力フィーバー状態。
 難解なの、いっとくか。

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