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『さようならビブロス』のこと。

 これはいつまでも放置しておけない……というわけで、次々に作品を削除していった結果、この数ヶ月非常にシンプルなラインナップでお届けしていました『小説』ページ(どこにあるかは自分でさがしておくれ。灯台もと暗し)でしたが、なんの気まぐれか久々に新作をUPしてみました。

 『耽想手紙。(ファン・レター)』

 面倒くさいので、ルビはカッコ入り、傍点は太字強調へと単純に変更してお送りします(つまりは一太郎文書をHTML化したに過ぎません。読みかえしていないので、誤字脱字不具合等発見の方は、メールか『伝言』へお知らせ頂けるとありがたし)。というわけで、例によって脳内変換で「ああこの文字が太いのは、本来、文字の上に点々が振ってある部分なのね」と読んでください。いや、別にいいですけれど、太字だって立派な強調ですから。しかし、あれですよね。同じ『小説』ページの『神様よりも愛してる。』では、ルビタグというものを使って傍点を視覚的に与えてみたのですけれど、やはり多くのルビタグ未対応ブラウザ使用閲覧者のみなさまにおいては「かえって読みにくくなってんじゃん」という向きもありましょうから、まったくもって試行錯誤でございます。

 以前『小説』に縦書きHTMLで作品掲載したこともあったのですけれど、あまりにも不具合が多すぎてあっという間に削除したことがあります。しょせん、インターネット文化は日本語をないがしろにしたものなのです。下線を引くタグがあってなぜ傍点をつけるタグがない? 小説というジャンルでは、まったく下線なんて使わず、もっぱら傍点です。文字に点々が付けてあると、それは単なる強調ではなくてなんだか「ほら、ここ重要なのよ、わかるボウヤ?」というような紅いマニキュアの爪先でアゴの先をくすぐられるような隠微さが生まれるものなのですが。パソコンの画面で読むと、わびさびがなくなるというこの不思議。

 マイクロソフトが矢継ぎ早にモバイル製品を開発している近頃ですが、例のorigamiという名のアレも、もともとhaikuというコードネームで開発されていたものだそうで、最小限の土台で無限の可能性を作り上げる、という意味らしい(この手の商品が、日本市場で売れるかどうかが要、という事情もあるでしょう。Xbox360も同じ理由で日本のデザイナーが本体デザインに起用されたのだと聞く。残念ながら、いまのところその効果は薄かったようだが)。

 そうやって和の心が理解できるならば、なぜ縦書きで進化してきた日本語を横書きにすると読みにくいのだということがわからないのか……先月末、マイクロソフトは電子新聞用ソフトを発表しました。来年から、有料で記事配信を始める予定だとか……普及すれば、一気に紙の新聞が電子新聞に置き換わる可能性さえありますが。どうやらそのソフトのベースはウィンドウズ。

 ネットからダウンロードした記事を、パソコンや携帯情報端末で表示する際、紙の新聞のように段組を模した方式で表示され、いかにも新聞っぽい画面の大きさや文字のサイズに適した形で自動的に割り付けられる。ということですけれどね。日本でも展開するらしいが、きっと横書きだよ、これ。アメリカで発表されたときの写真は見たが、それはむろん横書きだった。しかしこれが日本に向けて縦書きに変更されるかというと……しないだろうマイクロソフトは。こうして、日本の新聞を「アメリカの新聞みたいに横書きで」モニタで読む人たちが増え、数十年経った頃には、みんながペンでも横書きで日本語を書くようになり、イラついて叫ぶんだ。

「なんで「あ」っていう字は下に向かって逃げるのさっ」

 そのうちペンも消え去って、日本語が縦書きで進化してきた文字なんてことはどうでも良くなってしまうのでしょうか。

 と言いつつ、横書きで小説をUPする私がいる。
 小説は画面でも縦書きにして書くが、この『徒然』だとか、仕事で書く文書は、いまや全部横書きだ。冷静に考えれば、横長の画面で、わざわざ縦書きにして書いている小説作法のほうが奇異な感じもする。

 アメリカの少年ジャンプは表紙も裏表紙もまったく同じ絵柄だ。
 で、日本でいう裏表紙の側に、

「OPEN ON OTHER SIDE」

 と書いてある。
 左から右に流れる文章が当たり前の英語圏では、漫画本ももちろん、左が表紙で右が裏表紙。でも、日本のものをそのまま持っていっているジャンプを左表紙にはできないから、苦肉の策として裏表紙に表紙と同じ絵柄を描いてあるわけです。たぶん、本屋で並べられるときに当たり前のように裏表紙を表にして並べられるから。

 そんな日本漫画の大ヒット連発の影響もあって、多くの外国人が日本語って右から左なのなーと知り始めたとき、みんなが当たり前のように口にする疑問がある。

「日本人って、左利きが多いの?」

 そうだよなあ、と思う。右利きの人が、右から左に向かって文字を書けば、インクが乾く前に手でこすれてかすれてしまう。
 そうだよなあ。
 アメリカのジャンプは右が表紙でも、文字は横書き、左から右。
 結局、日本語が縦書きで右から左に流れるのが自然な動作だということは、実際にペンで日本語を書いているものしかわからない。ビルおじさんが「新聞、日本も横書きで左から右でいいじゃん」と思うのも当然だ。

 こうして日本語は横書きになっていくのだろうか。
 部屋を見回して、ふと気づく。
 ファッション誌や、料理雑誌は右が表紙で縦書きなのだが、ゲーム雑誌は、左が表紙で横書きなのだ。
 そして私は、読みながらその差にまったく違和感を覚えていない。
 むしろ、小説読むよりもネットサーフィンするほうが日常な人々にとって、すでに日本語は横書き左表紙の言語になっているのかも。

 私は、それはそれでいいと思うんだ。
 モニタという横書きに適した画用紙に、あえて縦書きする意味ってあるのかなあと、最近は思うようになった。
 横書き文化にも、ちゃんとすり寄って、居場所を確保している日本語は、きちんと進化しているようにも感じるのだった。

 というわけで。
 横書きで『小説』。
 ふと振り返れば、いまは亡き某ロリ専門誌掲載作、某小説ウィングス最終選考到達作、いまは亡き某BLネット小説サイトでイラストつけてもらった作、いまは亡き某BL誌で賞金もらった作……と、やけにいまは亡きが多い『小説』ラインナップになっているのですが(様々なしがらみから解放された作品たちということ。結果としてどうもキワものが多い。吉秒匠の王道も、いつかお見せしたいものだ)……

 『耽想手紙。(ファン・レター)』

 某現役BL専門小説誌を出版しているビブロス社の小説賞でAクラスの評価をいただいた作品です。
 ちょっと手は加えました。
 私には珍しく、だれも死なないし、まっとうな(?)恋愛を描いている。
 登場人物たちが自閉症気味なのは、キレてるほどアッパーなキャラか、死にかけているほどダウナーなキャラしか描けない私が、現代物BLでは狂ったほどアッパーなキャラはただただ鬱陶しいだろうと思って選択した、苦渋のキャラ属性なのです。
 でも、ハッピーエンド。
 楽しんで頂けたなら、うれしい。

 あなたの眠れない夜が、ひとつでも蹴倒せたなら。
 それこそ私の望むものです。
 明日は私の書いたもののことなど忘れて笑顔で出かけてください。

 愛してる。

 ……とか言っていたら。
 ほんとどうなるんですかね『学園ヘヴン』アニメ化は。

『b-boy.net』

bboybboy


 ともあれ、今月の〆切が一つ減りました(笑)。
 (笑)じゃねえよ……ああ、いまは亡きビブロス。
 さようならビブロス。
 (↑新作6本スタートって……泣ける)
 勝手に狙っているにしても狙う先が消えてはあぶく。
 〆切のあるうちが、華です。
 気張りましょう、みなさま。
 ここからが正念場です。 
 横書き日本語がスタンダードとなったように。
 燃え上がったBLの火を永遠のものと進化させましょうっ。

 ま……じつはあまりBLに愛着はない、現実世界ではノンケなかわいい女性好き男性な私ですけれども。

 ビブロスは出版部門は黒字だったという報道ですが、私のまわりで聞くところによると、昨年末から原稿料の支払いもなかったらしい。保守的なのもアレだが、破産するまで攻撃的なのもアレだなあ……破産直前に新人を続々デビューさせるとは。まさに読み捨て雑誌編集部のかがみのような方針だった。

 しかし……そこまで切羽詰まった編集部にさえ声をかけられなかったというのは、いちBL書きとして巻き込まれなかったことを単純によろこべないものがあります(笑)。明日は我が身。ビブロスに関わったすべての書き手のために、山本社長、出版事業の営業譲渡だけは、きっちり成功させてくださいませ(はたして次号は出るのか『b-boy』)。黒字だったのにほかの事業に利益つぎ込んで、あげく破綻って、巻き込まれたほうはたまんないよな……

 追記:その後、ビブロス社のBL関連雑誌はアニメイトに売却が決まりました。よかったね(ていうか、業界的にはイケイケだったビブロスから安定アニメイトへとビーボーイ事業が売り渡されたのは、本当にBLがジャンルとしてのスタンダードに収まる好機かもしれない。何年かあと、振り返ってみたらここが結節点になっているかも)。

『ボーイズラブ・ノーダル・ポイント』の話。につづく。

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