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『ドリルは穴を開けるために』の話。



ハンマードリルで玄関のコンクリートに穴あけていたら「おリフォームか。なにできるんかたのしみやなあ」と通りすがりのおっちゃんに話しかけられた。庭にバイク上げるためにスロープ作ってんです。できあがっても、おもしろくはない。

twitter / Yoshinogi

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 職場では、あちこち動きまわって使うので、充電式の日立さんのインパクトドライバーを愛用しているのですが、プライベートなドリルは安物です。

 いま愛用しているのは、これ。

Black & Decker

 マクドナルドくらいに有名な、Black & Decker。
 なんと一年保証がついている。
 ふつうは、電動工具に保証期間なんてものはありません。初期不良は無償交換したりするけれど(そう複雑な機械でもないので、初期不良なんてものがまずほとんどありませんが)、使いはじめたら、買った当日でも有償修理になることがある。

 なぜ保証期間がないのかといえば、能力超えたところで無理をすれば、やつらは簡単に逝ってしまうし、逝かせたらそれは飼っている主人のあつかいかたのせいであり、それでもごねる御主人さまがいたなら、無念の表情を浮かべてこう言うしかありません。

 あなたは、もっと有能なコを選んで買うべきだったのです。

 ドリルなんて、モーターに皮がついただけのもの。それが製品の寿命という要因以外で壊れるというのは、8ミリの穴しか開けられないドリルで15ミリの穴を開けようとしたか、本体が熱くなっているのに冷ますこともせずに使いつづけたか。つまりは、壊れることをしたから壊れたのであって、そういう御主人さまには、なぜこの世には同じインパクトドライバーなのに数千円のものから数万円のものまでが存在するのかを熟考していただきたいと思います。

 さておき、そんな保証無しが当たり前の電動工具の世界で、なぜだか一年保証のついてくるブラック&デッカー社。
 その理由は明快。

 アメリカ生まれだから。
 近ごろでは掃除機なんかも売っていらっしゃる。

PV1210P

 売る身にすると、なぜ世界最大なのかがよくわかります。単純な機械を、単純に作る。どうやったって発生する不良品は保証をつけて修理せずに良品交換。売りかたも単純。

 で、ここが重要だけれど、たとえば今回開けたコンクリートの穴、11mmドリルを使っています。物差しが近くにあれば計っていただければわかるが、11mmというのは人間の小指くらいある。それを真夏に、直射日光の下で、十箇所ほど連続で開ける。触れられないくらい熱くなる。でも平気。このライン。

 私も仕事でブラック&デッカーはぜったい使わない。プライベートでは、実際にモーターを焼き切ったことがある。でもまた買う。そういうもの。だって今回も、もうコンクリートに穴は開いた。この工事を日当払って職人さんにたのむと、ドリルの販売金額の倍はする。ということは、次もこれを買う。

 100年の歴史。
 少なくとも、値段のぶんは働く。
 その思想が素敵。
 売れているから高級機とか作らない。
 世界の家庭に、そこそこなドリルを。

 みんなが知っているそこそこな品なので、プロユースはされないし、家庭でもそんなに本気の使いかたはしない。付属品は安っぽいプラスチックだったりするし、そんなのが十年保つだなんてだれも思わない。だからつけられる一年保証。つまるところ、まあたしかにうちの品がいかにも安っぽいからといって、一年も経たずに壊れたらお客さん哀しいだろうから交換します、という優しさ。好感度高い。製品が頑丈だとかそういう安心ではなく、ともかくそれなりに使えるという安心。ふつうを演じ続けるのはむずかしい。凡庸をつらぬくのは美徳。

 ちなみに、いまこれを書いているパソコンのスチールケースに、放熱のための穴をいっぱい開けたのもブラック&デッカーで。無線LANを信用していないから、二階から一階にLANケーブルを通すために天井に穴開けたのもブラック&デッカーで。慣れたもので、ハンマードリルでネジ締めだってやってしまいます。だって回転しているのだもの。自在チャックだもの。ドライバーを取りつければ、3秒でカラーボックスが組み上がります(体感時間)。ま、ちょっと指に力を入れすぎると、きれいにナメてネジがネジでなくなることもありますけれども。そのパワフルさが、また愛おしい。
 
 まさに謳うとおり。
 安心の品質。
 壊れてもしかたないやと思える下僕の御主人さまとして、壊れるまで遊びたおすだけなのですから。未来は約束されている。壊れないといわれるより、いずれ壊れるけれどしばらくは無茶しても平気という、その開きなおってぶっちゃけた安心感。

 実際のところ、壊れたから交換なんてことは、まずない。

 私のプライベートドリルも、握りすぎて黒くなっています。
 意外に使用頻度の高いハンマードリル。

(日本での製品名は振動ドリルだけれど、パッケージの英語表記はハンマードリル。日本でハンマードリルといえば、特殊な専用形状の先端を使う穴開け専用のがっつんがっつん動くゴツい別種の機械を思い浮かべますが、大ざっぱなアメリカでは振動ドリルも小型のハンマードリルということで通っているようなので、私もそう表記します。厳密にいえば動作的な差違もある。でも、振動ドリルという名称は直感的になんだかわかりにくいので、日本でもハンマードリルで統一しちゃえばいいのにと、日々、各種ドリルの違いを説明する身としては思うのです)

 私が回転ドリルでもインパクトドライバーでもなく、ハンマードリルを常備するのは、とにもかくにも、コンクリートに穴を開けたいから。ネジは手でも締められるけれど、コンクリートに11mmの穴を開けられるのはクンフーの達人だけです。

 というわけで。
 ガリガリと穴を開けて終わります。
 いや、実際にはガリガリなんて可愛らしい音ではありません。ハンマードリルはその名の通り、超高速で先端を回転させながらピストンさせる機械。どこぞの映像会社さんが、その先端にディルドをとりつけた大人のオモチャで女優をえぐるというシリーズを開発してひと財産を築きましたが、あれは専用の弱ーいモーター出力のを使っているのであって、ホームセンターで買ってきたハンマードリルで彼女とか彼とかをえぐったら、本当にえぐれます。きっとあのAV観て、おおやけにはなっていないもののそういう事故はそこかしこで起きていることでしょう。ファンタジーを実践するには、なんにせよ技術と知識が必要なのだと肝に銘じましょう。

 三個目の穴を開けたあたりで、三軒先の引っ越しの挨拶もしていなかったお宅から、おねえさまがなにごとかと顔を出されたので会釈する。工事中ですごめんなさい。ひかえめに言って、町内一円に聞こえる音です。それを間近で聞いている私の耳はおかしくなります。メガネはしましょう。手袋は、かえって巻きこんだりするのでつけないほうがいいというのが定説。

 できた穴。

Hole

 ハンマードリルには、長いクチバシのような棒がついていて、これで、計った深さまでえぐったら、それ以上行かないようにストップをかけます。ただ、これがなかなかピタッと合わない。まずは浅めに入れてみて、確認のうえ、微調整。まだいけそうなら、もういちど激しく回転ピストンさせて、大声をあげ、深くえぐる。この作業を一個目の穴でおこたると、無数の穴を開けてから、すべての穴をもういちど深くえぐるために爆音をとどろかせるということになるので、気をつけませう。

 できた穴に、ネジの雌を入れます。
 (そういう会話をしながら「いや、じゃなくて入れられるほう、メスのほうのコンセント」とか「ほら、出っぱってる差し込むオスの部品が」とか連呼しているのって、冷静に考えてみればエラく淫猥なことだよなあ、と、ときおりたのしくなることもある。そんなんでたのしくなるときは、たいてい疲れているときなんですが)

Hole2

 ぴったり。
 ゆるくもなくきつくもなく、おおきすぎずちいさすぎない。
 ぬれているのは雌をぶち込む前に、削り粉をバケツの水で洗い流したから。
 上の穴の写真とは別の穴に雌を挿れたのを撮っていますが、うまくできたのを撮ったというわけではなく、実はこれ、コンクリートの下に詰まっている砂利まで穴が貫通したので、小石を詰めて弾性接着剤で固定している。そのおかげで、本来は取りつけると奥が詰まるはずのネジ穴の奥が暗く写っていたのでああいいなあ、と。いえ、わからないヒトにはよくわからない話です。聞き流してください。とにかくこれで、段差プレートを、がっちり固定できます。
 
 一週間も実家に置きっぱなしの愛車を取りに行ってきます。
 着実に、生活が戻りつつある。

 あなたの人生にも、ぜひドリルを。

コメリドットコム



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