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『グレッパー激痩せ』の話。



 まず、グレリンがあります。
 グレリンというのはグレムリン(イタズラ妖精)に似ていますが、成長するという意味のgrowを可愛らしく呼んでいるのであって、むしろ、ゆうこりん(小倉優子)とか、りかりん(花祭果凛)などの仲間です。ご婚約おめでとうございます。

 グレリンは体内で生成される分子の結合体で、ヒトの食欲に関係しているらしいということは判明している。端的な実験結果でいえば、グレリンを注射されたヒトはぶくぶく太り出すのである。

 どうしても太ることのできない一部のD級痩せ型プロレスラーになら需要はあるかもしれない。もしくは、病後の回復期などに、どうしても食欲のない患者に投与すれば、ばくばく食べるようになるかもしれない。しかし、それらの利用法はあまりに限定的だ。

 そこで逆の方向から見てみる。
 食欲を増大するグレリンを商品化するよりも、もっといい考えがあると膝を打つのは、逆転の発想でもなんでもなく、先進国における必然である。

 グレリンを働かせない物質を合成しましょう!!

 これがまた、できてしまうから文明開化の恐ろしいところである。かつてエイリアンに学んだ知識では石造りのピラミッドくらいしか造れなかった人類が、いまや独力で自分たちの肉体を思うがままにコントロールしはじめている。背中から天使の羽根が生える遺伝子変化薬とか、猫耳とか、発売すればタトゥやピアスよりもきっと流行るのに。

Eris

 で。グレリンを働かせない、それ。
 できたので注射してみた。 
 そのヒトはどうなるか。
 みごと、痩せる。
 いや、正確には、太る幅が少なくなる。

 そういう成果が、先日のサイエンスで発表されていた。

『Glucose and Weight Control in Mice with a Designed Ghrelin O-Acyltransferase Inhibitor | Science/AAAS』

(↑元ネタとしてリンク貼っているけれど、サイエンス誌のサイトでは購読登録しないと詳しいことが読めないから、各自、ニュース検索でもしてください)

 この実験結果。
 しかし、おかしなことが起きている。
 動物実験がなされているのだが……片方には、合成したグレリンの働きを抑える物質を投与し、もう片方には自然体でいさせる。そして、高カロリーな食事をたっぷり摂らせる。むろん太る。太るのだけれど、その太り具合に差が出る。

 与えたカロリーは同じ。

 ん? その実験、なにそれ。
 グレリンの働きを阻害すれば、食欲を抑える効果があって痩せられる、という方向性で、はなから実験されていない。この実験が示しているのはそういうことだし、はじめから、その結果を証明するための実験構成である。

「グレリンの働きを阻害すると、脂肪がつきにくい。」

 書きかえると。

「グレリンの働きを邪魔するために合成された物質を投与すると脂肪燃焼効果がある。」

 同じことのようでいて、これは微妙にニュアンスが違う。
 そして、サイエンス誌に発表されている内容は、どちらかといえば、後者。
 あきらかに、

 やせ薬できた。

 ということを匂わせたいみたい。

 しかしここで、格闘技好きとか、自分でも食事と体格の相関関係には興味があって実践している、なんていうヒトなら、ちょっと待てよその実験、と言いたい部分があるでしょう?

 そもそも、実験動物には、カラダを鍛えるという概念がない。
 食わせたら太った。
 その太り具合を比べると差があった。

 だが、グレリンとは、食欲を増大させると同時に、成長ホルモンの分泌を促進するものでもある。ヒトが痩せすぎるとグレリンの血中濃度が高くなる、それは「このまま痩せていくとあぶない。太らないと死ぬよ」というグレタンからのメッセージなのである。間違えた。グレリン。しかし、リンだとポニーテールで、タンだとツインテールを思い浮かべてしまう私は、なにに洗脳されているのだろうか。

twintail

 いや、わかんないですよ。私がいま直感的に感じていることを書いているだけで。けれど、感覚として私は、

「食べているのに体重が増えない」

 隣のあいつよりカラダが大きくならない、という状態は、筋トレ不足ではないかと思ってしまうのです。だって、食べている量がいっしょなんです。同じちゃんこを食って、寝てたら二人とも太ったが片方だけはそんなでもない、というのは、昔なら体質の差といわれたところ。そこに、グレリンの作用があってだね、キミ、というようなことか解明されていくのはすばらしいことなのですが、しかしぜひ、そのグレリンの働きを阻害する合成成分を注射された二人に、激しい筋力トレーニングをつませたいのです。本当に感覚だけでモノ言っているんですが、そうすると、昔でいうところの太りやすい体質のほう……グレリンを阻害されていないヤツのほうが、筋肉量も増えるような気が……しませんか? 小さいころから肥満体質のヒトが相撲業界にスカウトされるのって、筋肉の量、関係ないじゃないですか。でも、実際に、大きく育ちやすいヒトは、猛練習を積むと、筋肉も脂肪もついてさらにデカくなる。成長ホルモンって、筋肉や骨も増やしますよね。違うの?

 その痩せ薬、投与されると食べてもカロリー即燃焼。
 けれど成長ホルモンの分泌を止める……

 だとしたら、それって。
 創作のためのテンションを自分でハイにできなくなったシンガーソングライターが、薬物に手を出す図式と同じ。蘇ったかのように良い曲ができて、人気が戻っても、次の曲を作るために、またクスリが必要になる。

 完全に一時しのぎで体重が減っているのであって、薬をやめた途端に、脂肪を燃焼させようにも、もう腕立て伏せする筋肉さえなくなっているという……ああ恐ろしい。
 それ、まさにリバウンドするためのクスリ。

 でも科学的根拠のもとに、確実に体重を減らす効果があって、それを飲み続ける限り、いくら食べても大丈夫。
 副作用として、ちょっと筋肉が落ちますし、骨も弱くなるでしょうけれど。
 そんなの気にしないヒトは、多いはず。
 少なくとも、己の才能の枯渇に悩んでアッパーなブツの売人をさがすロッカーよりは、飲みはじめたらけっしてやめるわけにはいかない痩せ薬の中毒者によろこんでなろうという二の腕のタプンが気になるお嬢さんたちのほうが多いのがこの世の真実。

「良いブツありますよ、ねえさん」

 売人は言いながら、あなたの二の腕をたぷたぷ触ってくるのです。
 効くの? それはもうサイエンス誌のお墨付きで。
 一本いくら? あら、安いのね。

 そして一か月後には、スレンダーな薬物サイボーグができあがる。

 重ね重ね書いておきますが。
 私の憶測です。
 科学的根拠皆無な感想を、科学誌の記事を読んでくっちゃべっているだけです。

 しかし、やっぱり、こうやって、そういうことが現実にできかねない段階にまでなってくると、直感というのも無視してはいけないのではないかと思えてきます。

 成長ホルモンを働かせなくする痩せ薬。

 なんど口にのぼらせてみても、毒の響き。
 それ飲みはじめて、依存せずにいられるヒトなんているのだろうか。

 なんだか、科学も結果が売れるかどうかですすめられているような気がします。
 もちろん、飲み続けなくても効果だけおいしいとこ取りできる大丈夫なものに、すぐにバージョンアップするのでしょうが。それでも、途中経過で垣間見えてしまった以上、世の中には天才というものが意外に大勢いるもので。君達の姿が見えないのは単に僕が遅いだけ。追いついてみれば天才なんて大したことない。って『エアギア』のブッチャ君も言っていました。

airgear

 売れるだろうから、グレッパー合成してみっか。

(グレリンオーアシルトランスフェラーゼインフィビターなんて売人さんや薬中さんの頭ではおぼえられなくて売りにくいので、グレリン・ストッパー略してグレッパーで闇の商標登録しましょう)

 そういうヤカラが、近未来に現れることは必至です。
 大学の研究室でできることは、マンションの一室でもできる。
 大学の研究室では、そんな中途半端なものを世には出せないが、食べても太らないという効果がすでに発現してしまったいま、彼らは副作用など、むしろあったほうが売りやすい。

 幼稚園児の哲学として。

「たべるとおっきくなれる」

 というのはもう普遍の真実ではなくて。
 食べたいなら食べても太らないクスリや、視床カードを埋め込んで。

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『Halo3ベータテストと仮想うつつ』の話。

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 食って飲んで動かず、でも、太らず老いず。

 科学がそれを実現したとき。
 ヒトの世は、どんなに幸せになっているんだろうな。
 あはは。
 たのしみだ。

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