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『仮面ライダーアクセルとヒーローというもの』の話。



 Amazonさんにレビューを投稿しようかとそれを書いたわけですが、まさにその日、私自身のボーイズラブ執筆における最大の冒険作「スペインのプロレス業界を舞台にヒロインが最後までマスクを脱がないマスクマンである」というのが、某賞で私自身のボーイズラブ執筆における人生最悪の結果をいただいたということがあり(笑)。さすがにあれはなかったようです。最後まで仮面をとらない剣士の話のプロットもあたためていたのですが、即座に破棄しました。

 というように、私はボーイズラブを書くものの、男ということだけに限らず、萌えどころがどうもズレているようで……自分の感覚に正直に書くと、編み上げブーツに編み上げマスク、自分では決してほどけない拘束衣のような衣装を着けながら上半身は裸で、下半身のぴっちりスパッツを相方に脱がされてもがきながら、マスクから覗く目のまわりがピンク色に染まる……てのがたまらんのですが。そこでブーツもマスクも脱がせたら意味がないと思うのですが。全裸のマスクマン。いや、まあ、確かにちょっとトチ狂って書いてしまったところはあるものの、読みかえしてもやっぱり嫌いな作品ではないので、十年後くらいにipadかキンドルが日本で爆発的に普及していたら、うちのサイトで個人的に売ることにします(笑)。それまでおやすみ、ぼくの可愛いレスラーたち。

 そんな私なので。
 まっとうなBL作品のレビューを天下の往来で語ることは、まっとうなBLファンのみなさまにとって迷惑であろうという自粛の結果、でも書いたものは捨てられず(悪癖。これはダメだなあ、と思いながらも数百枚書いたりして半年が過ぎたりするのです)。
 というわけで、ここにアップ。

(データはともかく、文章に関してはアップって、最近使わないんだってねえ。そういやウチみたいに表紙があってブログがあって、という構成のサイト自体が見ないものね。ネットは双方向が当然で、書きためたものをサーバーにアップするという作業自体がなくなって。クラウドが当たり前に使われるようになって、ブログだってツイッターに代表されるように、下書きというもの自体がなくなっていってるみたい。でもやっぱり私はパソ黎明期からのネット住人なので、ブログもツイッターも下書きしたのをコピペしないと気持ち悪いのです。ということで、噂のポメラをずっと狙っているのですが、しかし電車のなかでまで書きだしたら読む時間がなくなるなあ、と手を出せずにいる今日この頃)。

POMERA

 雑誌ディアプラスも小説ディアプラスも毎号買っているので、ディアプラス文庫は、どれも半分は既読になってしまうため、なかなか手を出すタイミングがないのですけれども、絢谷さんと私のパソコンに向かっている時間帯がどうも似ているようで、ツイッターで流れてきた新刊出ますのつぶやきに、思わずリアルにつぶやいたのはそれでした。

「あー。けっきょくヤれずに終わった、あれの続きが」

 ハイキック、という単語にびびっときて、クールな主人公がどうやって蹴られるのかと読んだのに、蹴られるどころか、彼は、やさしさからヒロインに手を出せず悶々としながら雑誌では終わってしまっていたのでした。そんなの思い出したら、読むしかない。

 ほんわか系のお話は、電車が読書タイムな私にとって、非常に危険なしろものです。今作も、ニヤつきながら読みました。しかも、泣きどころまでありました。

 よかった、ふたりがカラダも結ばれて。
 おなかいっぱいです。いやよかった、よかったよ、と思わず書いたレビューも、こうして無駄にはならず良いことずくめです。

 続編で、ふたりがケンカして、今度こそアクションシーンがみられないものかと期待しつつ、このふたりはもう永遠になかよしこよしでいて欲しいなあ、とも思いつつ。
 何度もこういうふうにレビューを書いては、実際にAmazonさんに投稿したことはいちどたりともないのでした。なんかねえ。自分がけっこう購入欲をレビューに左右される人間なので、偏った人は、自分のブログででも語れよ、参考にならねえよ、とか、よく思うので。
 そっとここにアップして、満足します。

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 最初から強い奴なんかいない。いたとしたら──強くなることを切望したりしない。

 ヒーローにあこがれを抱いたことのある人なら、きっとわかるはず。
 この小説のヒロインが、ヒロインだけれど男の子な純粋さで「ヒーローショーの役者」を目指し、その夢を叶え、のびのびと演じるその姿に、かつては熱血スポーツマンだったけれど社会人になってどこか醒めた視点も持ちはじめてしまった主人公が、惹かれたその気持ち。一方、テレビのなかのヒーローも好きだけれど、遊園地で子供たちに「生の」夢を魅せてあげられる、ヒーローショーのヒーローこそにあこがれた彼は彼で、特撮ではなく生身の自分が、どんなにきれいにハイキックを決めても、それは舞台のうえの演技でしかないのだと、ときに拗ねた思考にはまってみたりもする、その気持ち。

 このふたりは、とても可愛いです。

 格闘技好きな私としては、期待した、ヒロインが主人公にハイキックを決めるシーンはなかったものの、ふたりがそれぞれに、出逢ったことで自分自身の次なる「強さ」を求めて成長していく展開に、読みながら、ほのぼのとしたお話なくせに、何度か、泣かされました。それも、うなずきながら、微笑みながらの「うん。うん」という泣きです。特撮好きには、直球でおすすめ(聖天戦隊コーリンX。イラスト含め、完成度高いっ(笑))。あなたがもしも弱小劇団のファンだったり、インディーズプロレス好きならば、もうこのヒロインは、たまらんです(逆に言えば、販促帯の体育会系リーマン×特撮戦隊ヒーローという煽りは的確に内容をあらわしてはいません)。夢にも、恋にも、すなおでありつづけること。その「強さ」を、主人公とともに愛さずにいられない。最後に添えられたヒロイン目線の掌編が、ダメ押しの「心の中までなんていいこなんだー」という爽やかな読後感を残すのもまた。作者のキャラクターへの慈しみが感じられる、あたたかな一冊でした。ヒロインが大阪弁のせいもあるのかなー。

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 星5つで。
 レビューの中で触れている「体育会系リーマン×特撮戦隊ヒーロー」の文言は、雑誌のときにはたしか「体育会系リーマン×スーツアクター」だったはずなので、文庫化にあたってよりキャッチーに変更されたのでしょう。そのスーツアクターというところ(と聖天戦隊コーリンXのチビキャライラスト)にこそグッときて読んだ私としては残念な変更でした。とはいえ、販促帯は作者さまの責任管轄外であろうということで星は減らさず。

 ところでヒーローで思い出したんですが、地上波放送のはじまった『カメンライダードラゴンナイト』を観ております。

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『KAMEN RIDER DRAGON KNIGHT』日本公式サイト

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 PC98世代としてはドラゴンナイトといえばエルフなんですけれども(笑)。こちらのドラゴンナイトは日本表記名『仮面ライダー龍騎』の英直訳。『カメンライダー』がなぜかカタカナなのは、向こうでも表記が『KAMEN RIDER DRAGON KNIGHT』であることをアピールする狙いあってのことのよう。龍騎はとにかくわらわらとライダーが出てくる作品なので、ドラゴンナイトもオープニングからわらわら出てきてとてもわくわく。

 初回冒頭から黒ずくめのグラサン革ジャン野郎が暴れまわるわ、主人公は孤児院育ちだわ、このあとのライダーのなかの人たちも、日本に比べてどれほど極端なキャラ付けがされているのか楽しみです。
 それにしてもやっぱり、あらためて観ても龍騎よりも二号ライダーの仮面ライダーナイトのほうが造形的に素敵。シャドームーンもそうだけれど、カッコイイということにおいて、影があるということは非常に重要。

RIDER

 そして春。日本の夏がライダーの季節になって一年。

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『仮面ライダーダブルと次なる十年紀』の話。

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 いよいよ佳境へと向かう現行仮面ライダーである『ダブル』もまた、二号ライダー、アクセルが素敵です。真紅のライダージャケットを着けた熱血すぎる刑事というなかの人の設定からして行きすぎてしまっているのですが(しかも女がからむと純情さを発揮する。ブラボー)、変身後の姿を初めて観たときには、衝撃が走りました。

 バイクをモチーフにしたライダーって、何気にはじめてでは?
 ていうか、バイクに変形するんです。マスクドライダーシステムではなくて、ヒトが変身するライダーなのに「変形」って。斬新。ぶおんぶおんエンジン吠えてます。ヒトなのに。『電王』が電車に乗っていたのは、改造バイクが公道を走るという演出にクレームが来たからだというまことしやかな説があったというのに、アクセルちゃんたら。ベルトについたグリップをひねって、土曜の夜の郊外の山道で聴かれるようなけたたましいアイドリング音を立てて変身するのです。

「ぼくはバイクになりたい」

 確かに、アクセルは自分がオートバイに変形するので、ヒトは乗っていないという禅問答のようなことになっているため、仮面ライダーアクセルってカッコイイ=バイクってカッコイイ=暴走族育成番組、という図式は成り立たないのかもしれません。バイク擬人化コスプレで町を練り歩かれるのも、充分に暴走ではありますが。

 大人視点で見れば、この、いままでにありそうでなかった「エンジン音をふかしまくる仮面ライダー」という設定は、もちろんスポンサーの意向あってのことに違いなく……

 いわずと知れた、現行仮面ライダーの大スポンサーは世界のホンダ。当然、平成ライダーたちは、ホンダのバイクに乗っています。ちなみに仮面ライダーWのなかの人が乗っているアクロバッター……もとい、ハードボイルダーはCBR1000RRというHONDA製リッターバイクを改造したもの。そりゃそうです。スポンサーなんですから。かくいう私も、仮面ライダーというヒーローに憧れを抱かなければ、バイク乗りにはなっていなかった(仮面ライダーを好きな三沢光晴に出逢ったことも大きいのですが。ていうか私はカワサキ大好きっ子なのですが)。

 それが、仮面ライダーアクセルのなかの人、純情熱血紅ジャン刑事、照井竜が乗る真紅のディアブロッサという名のバイク……DUCATI999ですよ、あれ? ドゥカティ? ホンダじゃなくて? ホンダの番組なのに?

 輸入車、それもドゥカティといえば、純正でもドッドッと低く腹に染みる重低音で、乗っている本人でさえうるさいと感じるほどの騒音をまき散らすことで高名(?)なメーカー。そのドゥカティのでっかいバイクを真紅に塗って改造したのを乗り回す、照井くんは刑事だとはいえ、近所では嫌われ者でしょう。しかも変身するのにまで無駄ふかしをしなくちゃいけないし、変身してからも白煙あげるバイクにみずから変形して、あろうことかタイヤで怪人にキックを決める。いやキックって。それ轢いているんですから。人身事故ですから(仮面ライダーWの怪人たちは、ちょっと心の弱いところが暴走してしまった、一般市民です)。

RIDER

 暴走族養成だとか、改造車礼讃だとか、叩かれてライダーを電車に乗せた数年前が嘘のような、仮面ライダーアクセルの大胆なエンジン音まき散らす戦い。これは仮面ライダーの長い歴史のなかでも、あきらかに異例な出来事。どうしたのかホンダ。でもアクセルさま素敵。と、そんな仮面ライダー変革の一年、春の訪れを感じる四月の某日。つまりは、つい先日。
 とあるニュースが報じられました。

 世界のホンダが、今年の12月に、
 電動バイク「EV-neo(イーブイ・ネオ)」を販売開始。

 リチウムイオン電池(東芝製)搭載、走行時の二酸化炭素排出量0。
 かつて、何度か実験的に発売されながらも普及しなかった電動バイクが、高性能電池と、先駆けた自動車業界のノウハウによって、今度こそ普及するのではと見られている。
 いよいよ、バイク業界にも電動化の時代の波が本格的にやってきた。

 …………なるほどね。
 勘ぐりすぎ?
 いえいえ。今年の仮面ライダー二号がアクセルという名のドゥカティ乗りであることと、この発表が関係のないはずがない。ホンダは、まずは商業用として、年末から電動バイクを日本標準なバイクとして普及させる決意なのである。
 「EV-neo」の売り言葉は「静か」で「きれい」。
 来年は、電動バイク元年になる。
 そして「うるさい」「きたない」エンジン音は、過去の人類の愚の象徴になる。

 十年後には、仮面ライダーアクセルは、指さして笑われる過去のライダーになっているでしょう。

「白煙まき散らして変身って!
 仮面ライダーが、
 どかどか騒音車ドゥカティに乗ってるって!」

 そのとき、ホンダの広報さんは微笑むのだ。

「わたくしども、まさにその年、
 世界中のバイクメーカーに先駆けて
 清潔無音な電動バイクを
 本格的に普及させる決意をいたしました」

 仮面ライダーアクセルは、古く悪しき時代の断末魔として、2010年に降ってきた堕天使。だから他社のバイクに乗っている。世界は変わる。熱血とはうるさく吠えることではなく、正義とは地球にまでもやさしいということ。

 きっとその近未来では、仮面ライダーを含めたすべてのヒーローは、悪を蹴散らしたりはしていない。

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 変身もしない。超人的な力も必殺技もない。
 だけど、今まで出会ったヒーローのの中で一番カッコいい。


 絢谷りつこ 『素顔のヒーロー』(文庫『天使のハイキック』収録)

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 メジャーはそういうことになっていくんだよ、きっと。
 敵を投げ飛ばすタイガーマスクは、インディープロレスのリングでしか活躍できない。エンジン音とどろくバイク乗りは、砂漠に移住して空ぶかしする。
 ヒトにも地球にも悪にもやさしく。

 もはや、いまの時点で、仮面ライダーアクセルはジョークみたいなところがあるものね。
 初登場のとき、デザインから「大谷晋二郎(おおたにしんじろう)みたいですね!」とつっこんでしまいました(赤と黒は彼の色)。



 このインタビュー好き。
 本当に強い男ってのはなあっ。
 負けなくちゃ言えないセリフだってのが、良い。
 ヒーローかくあるべしだが。
 正義と悪は紙一重、というところを魅せるヒーローも、これからは必要ではないかしらんと、思うのでした。電動バイクに乗れば、仮面ライダーが弱くなるとは思わないが、悪を倒す前提条件として静かできれいでなくちゃいけないなどということになれば「ライダーキックっっ!」なんて叫ぶのもうるさいということになって、悪は有無を言わさず背後から暗殺とか、そういうのがカッコいいということになりはしないかと、ちょっと心配。
 叫びあって救われることというのも、あるでしょう。
 ふたりはお幸せに。
 世界もお幸せに。
 でも、ケンカってのは起きるもので。
 そのとき、きたなくケンカすることを知らないやつらばっかりだったら、世界は終わっちゃうんじゃないかなとか、憂うのです。

「あらそいたくない、消えろ」

 と悪を裁かないヒーローと。

「ぼくがいなくなればいいんだ」

 とすなおに身を引くヒロインばかりになった世界は、平和だけれどつまんないなと、邪悪な私は考えつつ、すでに排ガス規制で販売中止になった愛車を、来年からも壊れるまで乗り回します。
 吠えながら。 
 愛と正義をさがして生きるのだ。

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