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『首輪の遊戯』のこと。



Bisco

ビスコは男子である。
ビスコはUkawa家の室内犬である。
Ukawaとはうちの『飛翔』リンクでもお馴染み、
大阪南堀江『Uz-Uz』の店主だが、
近ごろあれこれあって忙しいUkawaとは、
めっきり逢っちゃいないのですけれども。
それでもかまわずにUkawa家を訪れると、
あらータクミせんせーと笑顔の奥様と、
ビスコが迎えてくれるのである。
くれるのだが。そこはビスコとて男子。
いつもと違うVエンジンの音色とともに、
見知らぬ男がやってきた。
これは吠えねばっ。
いや、まあお忘れでしょうがビスコくん。
初対面ではないんですがね、
そこはまあ小型犬。脳の容量も限られておりますからな。
敵。敵ですよママンっ。
ちなみに私の横にはタンデムシートに乗ってきた妻もいるのだが。
なぜだか彼女にまで、敵ですってばほら追い出してっ、
と足もとをかけずり回っている。なんなんだ。
吠えまくり。飛び出た目でひとの目を覗きこみ、
あきらかに首筋を狙っている。
勇敢な男子である。
言っちゃなんだが、ガチで戦ったら私が勝つ。
それでも吠えるのが犬である。
ちゃんと番犬として機能している。
実際のところビスコの男嫌いは相当で、
けっきょく帰るまで吠え続けられるのもいるらしい。
一時間ほど威嚇しあううち、
吠えても奥様たちがこの男を警戒するつもりがない、
そう納得できたのか。
突然、私から目をそらし、窓の外に視線。
その後は、呼んで、触れて、撮って。
でももう、私をチラ見もしやしない。
となると今度は、くやしくて。
お気に入りのボールを投げてやったら、
はしゃいで取りに行って、唾液にまみれた赤いボールを私に。
褒めろ、と。もっかい投げろ、と。
なあビスコ。テメエさっきおれの首狙ってたのに。
五分前のことだぞこの野郎。
でも投げろ。使えねえ遊び相手だとまた吠える。
なんかさ、つまりは吠えられている。ずっと。
走りまわっているし。うるさいよ、お前。
でも部屋の片隅にはUkawaの描きかけの新作が。
あー、むかしからそうだったなあ、と。なんか。
彼とはいっしょにグループ展を開いたりしたこともあるのだけれど。
Ukawaの絵はアトリエでも家でもずっと片隅にあって。
いつのまにか、育っていく感じだった。
私は、まっ白な画面を放置してどこぞでテンションを上げ続け、
気合いで一気に描きあげる奴だった。
Ukawaが油絵で、私がアクリル専門だっていう、
そういうのもあるんだろうけれど(アクリル絵具は速乾性)、
やっぱり作家性というか、それって。
年月が経つと、より顕著になっていく。
ビスコ。Ukawa家の男子でよかったよお前。
おれ、お前がそばにいたら一行も書けないや。
書きはじめたのに吠えたら首絞めてるよたぶん。
猫は飼っていたことがある。猫は静かなものだった。
思いながら、もういちどボールを投げてやる。
もういっかいっ! もういっかいっ!
駆けてくる。必死だ。敵はどこいった。
うーん。そうか。いや…まあ、可愛くないことはない(笑)
友人宅の犬ってところが良いポジション。
奥様たちの話も終わりそうにないし。
午後いっぱい遊ぶだけなら愛らしい奴だな、お前って。
もういっかい、わかったよ、いくぞビスコ。
どうせあしたにはまた、忘れられるんだろうけれど。
数時間のあいだに怒って戦ってたそがれて甘えて遊んで。
犬って、飼われているのに自由だよなあ……

いや、飼われている、という発想自体が間違いか。
そんなふうにとらえるから閉じこめられた気分になるんだ。
その首輪は、陸上選手のゼッケンのようなもの。

dog

選手は観客に囚われているわけではない。
そこに在ることで、観客を充足させている。
観客の期待に、押しつぶされるヤツに犬の資格はない。
なにも危険はないと確認したうえで。
すべてをたのしむのが、犬なのだ。

昨日の敵も今日の遊び相手。
宇宙は玩具。
犬を愛するヒトを見ると、よくわかる。
ヒトの世界には、足りていない。

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クロムハーツ  クロムハーツ  2013/10/23 14:04
『とかげの月/徒然』 『首輪の遊戯』のこと。