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『ウィングス小説大賞最新結果への考察とカグヤ創刊』の話。



Secadevi

吉秒匠(ヨシノギ タクミ)です。
そのむかし。
吉秒匠、ではない名前でものを書いていたころ、
セガ(SEGA)さんの
某ゲーム(写真を見ればわかるひとには一発でわかる)の、
スタッフロールに名前を載せていただくことがありまして。
写真のスタッフジャンパーはそのときに頂戴した家宝。
その後、私は古いみずからの筆名をもじり名付けた、
吉秒匠としての再スタートを切りました。
だがしかし駄菓子菓子。
名乗りはじめてから指摘され気づいたことに。
『スペースチャンネル5』が大ヒット。
その後『きみのためなら死ねる』で、
名をあげたセガのディレクターに
吉永匠(ヨシナガ タクミ)さんというかたがおられまして。

yoshinaga

ファンなの?
と。いやスペチャン好きですけれども。
おいしーにおいがぎゅんぎゅんしますけれども。
匠というのは本名だし。
気づいたときにはすでにこのサイトも立ちあげていた。
だれかの名前に似ているからって、
それが嫌いな人の名前だったらそりゃ考えるが。
われ誇り高きセガっこ。
大ファンだって間違えられたっていいや、と。
この名を使い続けているわけですけれども。
ときは過ぎ……いま現在。
ありがたいことなのですがネットで途中経過発表のある、
某小説賞の選考に私の名前が残っていまして。
いやいました、が。
すでに結果は出ました。
というわけでまたチカラおよばなかったです。
の話だったわけですが。
毎日多数検索していただいて嬉し恥ずかしの毎日でした。
それも、なんだか私の名前をすなおに検索しているのではない、
妙な足跡がそこかしこに……原因は。
その小説賞を主催する出版社の擁する大人気作家さんに、
吉野匠(ヨシノ タクミ)さんがおられるから。
偶然なのです。
ちなみにネット小説出身の吉野匠さん公式サイトと、
吉秒匠公式サイト(ここ)は、ほぼ同時期に立ちあがっている。
なのでもちろん吉野匠さんの『レイン』が世に問われたころ、

yoshino

すでに私は、この名前でした。
なんていう事実があるにせよ。
吉野匠さんが書いている出版社の賞に吉秒匠とかいうヤツが。
ええ、どう見ても大ファンですよね。
ストーカーですよね(笑)。
あんまり否定するとそれもまた角が立つというこの感じがいやん。
というわけで……またひとつの闘いは終わったのですが。
自分の名前について、ちょっと考えた日々でした。
なにこいつってさがしてくださったみなさん。
これを機会にどうぞよろしく。
ヨシノギ タクミです。
(私が文章を書くのとアップするのにタイムラグがあるため、
それは古いデータを見ているよ、などと教えていただき、
もうなんだか自分の鈍重さを痛感するあれこれもありました)
あたたかく見守ってくださったみなさま、
本当に感謝いたしております。
ありがとうございました。
愛してる。

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 新日本プロレスで2006年に選手の大量離脱があったとき、興業を支えたのは中邑真輔、後藤洋央紀や山本尚史といった2003年に入門したばかりの新人選手たちだった。それから数年経ち、いままさに中邑や後藤は押しも押されぬ新日本の看板である。
 ところで山本どこいった?

 山本尚史は2008年にWWEのトライアウトを受けて合格、新日本を離脱。
 とき同じくして、NOAHからの海外武者修行中に上層部に無断で勝手にWWEトライアウトを受験して、故三沢社長から「彼が二度とノアのリングにあがることはない」とまで言われ退団した大森隆男がプロレス界から姿を消し、ついこのあいだ、山本のいなくなった新日本のリングに電撃的に参戦したのは象徴的な出来事でした(ぱっとしなかったけどね……不器用な男だよ、まったく)。
 それくらい、アメリカのメジャープロレス団体WWEというのは、日本のトップ選手たちをもトチ狂わせる魅力を持った大舞台。

 そして山本尚史、WWEデビュー。
 リングネームは山本の父親の名前から、

 YOSHITATSU
 (ヨシタツ)

 となった。
 のだが。
 数週間もするうちに、どう聞いても、登場シーンから解説者が

「ヨシ・タツっ!!」

 と発音している。
 「ヨシ」が名前で「タツ」が名字みたいに。
 あーもうあのあたりのヒトたちって。
 『HALO3』をプレイしている吉秒匠にはわかります。

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『HALO3:ODST』の話。

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「ヘイ、ヨシ!」
「ヨシノギっ」
「ヨシ・ノジ?」
「私の名前は、ヨシノギ、です」
「ヤー、ヨシ・ノギッ」

 耳もとで、はっきり何度も教えてやっているのに。
 直後に繰り返す、奴らのイントネーションは、
 ヨシ↑ノギ↑ なわけで。
 そんな途中にアクセントつけたらそりゃ発音しづらいわ、もういいよヨシで、となる。
 他団体のプロレスを観ていても。
 歓声が、

「まーるぅ↑ふーじぃっ!」
 とか
「しーおぉ↑ざーきぃっ!」
 とか。
 なぜか途中をのばして上げる、ホッピー↑大好きー、みたいなアクセントで。
 あきらかにコールもしにくそう。
 野球とか、どうしているんだろう。
 日本でお馴染みの、
「かっとばせーあっきやま!」
 みたいな発音が、彼らにはできそうもない。 
「かっとばせーあerきyやeyまwow!」
 波打つのである。
 たとえば実に日本語らしい平坦なイントネーションの、

『ときめきメモリアル』

 というのを、ひと息で言うのではなく一個一個の音にアクセントをつけると、とても読みにくい。
 そういえば大阪の地下鉄では、英語のアナウンスが流れるのだが。
 「てぇん↑のーじ」
 って言ってる。
 それで気づくことは、あのアナウンスしているおねーさんに、次の駅は、とかいうところはそのままに駅名だけ平坦な日本語読みにしろと迫ったら、それはそれでものすごく言いづらいだろうと容易に想像できるということである。あれだよ、格闘技の入場アナウンスが顕著なことだけれど、英語の文法だと固有名詞というのは最後にくるので、

「登場です! ヨーシーノーギー!」

 と上がっていくのが自然なんだろう。
 ねくすとすてーしょん
 てeeeeeeん!のwowowowowowoじeeっっ!!
 大盛り上がり。

 だからヨシタツとか困る。
 ヨシノギとか、ガッデムと怒りながら言いにくい。
 無理して言うとヨシ・ノギになる。
 というか意図的にそうしている。
 自分のジャクリーンという名前も、

「はじめまして、あたしジャッキー」

 と自己紹介するヒトたちだ。
 友達の本名を知らないのが当たり前。
 ジムっていうからジェームスかとずっと思っていたら、葬式で墓石に刻まれたのを見てはじめて親友がジョレイムなんて変な名前だって知ったとか。
 自動車やバイクのホンダさんも、パンダみたいな発音だものね。
 ヨシダさんでさえ、ヨシと呼ばれているのだろうきっと。

 と、まあ。
 だからって改名したりはしない、別に私がここでヨシノギタクミを名乗ったって、だれも困りはしない局地的地域に生息する私の、日常的レース風景だったわけですが。負けレースが日常的になっているところこそが問題なわけでもありますが。そのさなか、ここにいる私に会いに来てくださったみなさまの足跡から、私の名前を検索して経歴を並べて書いてくださっている板をちょっとだけ覗いたりして(いっぱい覗くと落ちこむことばかりなので、基本的に良かれ悪かれ自分の名前を深く追いかけないようにしています)、かなり古い情報でまとめてくださっていたりした部分がありましたので、吉秒匠、みずからでざっとまとめてみる(笑・前置きが長かった。失敬)。

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新書館ウィングス小説大賞

第12回 第一次選考通過
     『(タイトル不明)』
第13回 第四次選考通過(最終選考落選)
     『幸せなモノ』
第14回 第二次選考通過
     『哀しみを癒すモノ』
     『ひとなつのみず』
     『僕の泣く声を聞け』
第15回 最終選考通過
     『みぎみみの傷』
第16回 第四次選考通過(最終選考落選)
     『なぁあお』
第17回 第四次選考通過(最終選考落選)
     『兎の瞳はなぜ紅い。』
第18回 第二次選考通過
     『兎はどこに逃げるのか。』
      編集部期待作・一席
     『とかげの月』
第19回 第三次選考通過
     『ふれうるきずに』
第20回 編集部期待作
     『アスプの涙』
第21回 第四次選考通過(最終選考落選)
     『バオバの涙舟』
第22回 第三次選考通過
     『ささやかな旋律。』
第23回 第三次選考通過(最終選考落選)
     『りんゑの宴、ぼくの唇。』
第24回 第三次選考通過(最終選考落選)
     『うさぎがはねた。』
第25回 第二次選考通過
     『愚かしく魔法使いは。』
第26回 第三次選考通過
     『幽閉の銀の箱』     
第27回 第四次選考通過(最終選考落選)
     『幻追い~とかげ~』
第28回 第四次選考通過(最終選考落選)
     『幻追い/リーリー』
第29回 第四次選考通過(最終選考落選) 
     『造形師ディクリード・フィニクスのヒーローな休日。』
第30回 第四次選考通過(最終選考落選)
     『幻追い~三結神~』
第31回 第三次選考通過
     『幻追い/少年鎖骨電光掲示板』
      第四次選考通過(最終選考落選)
     『ゲームの真髄。』
第32回 第四次選考通過(最終選考落選)
     『ルビオの世界にぼくらはいない。』
第33回 第四次選考通過(最終選考落選)
     『恋愛花電 -A.F.L.-』
第34回 第二次選考通過
     『ゲームのよろこび ~人形の回路~』
第35回 第三次選考通過
     『つちのこ、』
     第三次選考通過
     『永遠のシミラルド』
第36回 第三次選考通過
     『サング=エリミネータ』
第37回 第三次選考通過
     『ヴコドラクの女王』
第38回 第三次選考通過
     『みどりいろのアソカ』 

※回によって最終選考前の選考が第三次であったり第四次であったりするので、最終選考に到達して落選したものはそれを明記しました……してみて気づく、最終選考落選の数の多いこと……

 編集部期待作、二回。
 最終選考通過、一回。
 最終選考落選、十三回。

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 あ……いかん。
 コピペして少し書き足しただけなのに覇気が失せた。
 びっくりするくらいだよ、この数年の結果のゆらがなさ。
 ちなみに並行して新書館サマにはディアプラスのほうでも作品審査していただいておるのですが、そっちはこの数年、評価対象外。うーん。というわけで某板の親切なまとめ人サマがまったくスルーされていたBL系のこの数年のなども含み、コンパクトに好評価なところだけまとめたのがこんな感じか。

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新書館
 ディアプラスチャレンジスクール最終選考数回
ビブロス
 第23回ビブロス小説新人大賞Aクラス
エンターブレイン
 第7回えんため大賞小説部門 二次選考通過
リブレ出版
 第4回、第6回ビーボーイ小説新人大賞Aクラス
集英社
 第6回スーパーダッシュ小説新人賞 三次選考通過
徳間書店
 第7回エッジdeデュアル新人賞 一次選考通過

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 ビブロスを入れるところがわれながらニクイ。
 ビブロスからリブレ出版に移ったビーボーイは、ほぼ休みなく出しているんじゃないかな、これもまとめれば話せば長くなる戦いなのだが、いかんせん、くわしくデータを残していない。
 それにしてもやっぱり『大正野球娘。』効果なんでしょうね。文字で書くと一次選考を通過しただけなんですが、今回はその次がもう最終選考だったので、『娘。』アニメ化放送まっさいちゅうとなれば、それはもうそっちからのお客さまばかりで、いつもと毛色が違う(失礼)足跡ばかりなので私もうれしくて、半年ごとに盛り上がっているはずのウィングス小説大賞祭のほうが、自分のなかでもちょっとだけ盛り上がりに欠けた感でした。
 ネットで途中経過発表があるなし、ってのは大きいです。

 そんなこんなで、まあなんにせよ、この半年も、どこもかしこも獲り逃しているわけだから、テンション上げて語ることも、あんまりないわけですけれども。毎月のように新しいところに売り込んでいる結果、毎月のように発表があって、毎月のように落ちこみ、毎月のようにヤケ酒を飲み、毎月のようにとりあえず倒れるまで動いてみようとカラダを動かして、日が昇るころ再びやる気になってキーボードに向かう、という日常で。みなさんに出逢えたことだけが収穫です。愛してる。そっちが私のこと嫌いでも、ここに来ていま私の書いている日本語を読んでくださっているというだけで、あなたのことが大好きです。

 と、いうあたりで。
 やっぱり最新の第38回ウィングス小説大賞を振り返ってみますか。

 多くのみなさんが、ウィングス小説大賞についての記憶も薄くなっているころでしょうから、ここも生き証人にして創刊号からの小説ウィングスコレクター、吉秒匠がまとめます。
 狙うは大賞のみ。
 なので大賞受賞者だけを列記。

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第1回 樹川さとみ
第3回 森山櫂
第4回 高舘薫
第7回 新堂奈槻(杉原康子)

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 吉秒匠の、近年の経歴より短い……
 ん? なにを驚いているのだい。
 ああ、あなたは新参のかた?
 それでよくこの賞を狙っているね。
 我々が狙うイタダキは、そんなにも高いのだ。
 そう、ウィングス小説大賞は、今回の発表で第38回目なわけだが。
 歴代大賞受賞者は、この四人のみ。
 新堂奈槻さんの受賞&デビューが1993年のことだから。

 16年間大賞なし。

 半年に一度の定期開催をおこないながら16年間大賞受賞者を排出しない小説賞として、そろそろギネス申請しても良いころではないか。たぶんそれで新聞記事にもなって、

「そのギネス記録をおれが壊してやる」

 という私のような思考のレース好きたちが集まってきて、盛り上がったりもすると思うのだが。たぶんそのときウィングス小説大賞は、それでもウィングスらしさを守って、大賞は出さないのだと私は信じるところなのですけれど……って。なにを信じてしまっているんだ私は。
 長いです、16年は。
 まあ、邪道外道は20年だし、うまい棒は30年。
 創設第2回から大賞が出ていない小説賞ってナンだよという感じはあるにせよ(笑)。

 と、そういうことを笑って書ける今日この頃。
 それでも次の大賞受賞者の座を狙う今日もまたこの頃。
 トップ作が掲載扱いになって数回、今回は特に強く感じたことがあるんですが。

 批評文を読むと、ちかごろは特に、完成度を上げろという方向でのコメントが多い気がする。もともとウィングス小説大賞は規定枚数も多くなく、完成度を求める傾向にはあったと思うのですが、それにしても、たとえば上記の私がほかで戦っている賞などでいうと、例外なく新人賞の受賞基準というのは「突き抜けたなにかがなければならない」というところ。むしろ荒削りであっても、とか、そういうことを言い添える審査員すら多い。それは新人賞ですから、職人としての技術的手腕はあとで上がってくるにしても、テンションを上げるすべを持たない書き手が、ある日突然に熱血執筆家になることなんてない、というような観測から来ているのでしょうが……

 やっぱり、今回も大賞が出なかったウィングス小説大賞。
 復唱します。
 でも私は、それを狙ってる。
 もちろん少しでも上に行きたくて、掲載があればそれヨシなんですが、これだけの年月、ここで続けてこられたのは、まさに「ウィングス小説大賞が大賞を出さない賞」だからです。テレビ番組で『SASUKE』ってあるじゃないですか。アスリートたちが、各種競技を越えて、最終的には塔を登り切れば賞金なんだけれど、そもそも、その塔のふもとにたどり着く選手が、何年も出ないでふつう、というような。で、たまに達成者が出ると、今度こそ難攻不落の新しい塔が建つ。それはもう、そんなもん登れるわけないだろうがっていう塔が。優勝者出さない気だろう主催者はっていうようなやつが。

 でね、私はもう、その塔を登ることしか考えていない。
 ウィングスに関しては、本当にその実感がある。
 途中の競技で脱落しても、くそぉ、と言いながら、目は塔を見上げている。
 いま、自分が手をすべらせたウンテイではなくて。
 もうこの思考回路は、どうにもなんない。

 そんな私が、まいど考えるのは。
 とにかく編集部が読んだことのないものを送りつけるということ。
 まがりなりにも十何年、一日も休まず書いているんだし、文章はそこそこ、こなれてきます。むしろ、落ち着いて書いちゃって、新人らしくないと言われるのが怖い。だからとにかくウィングスで読んだことのないもの、いや、ほかでも読んだことなんてないものを書こうとつとめてる。
 今回もそうだった。
 そうだったんだけど。

 なんか、批評文読んでいると。
 きれいにまとめた作品が残って、それをもっときれいにまとめなさいと怒られている図式。
 古くさい、とか、目新しいものがない、とおっしゃりながら先生? その壇上にいらっしゃる生徒さん、みなさま、そうだからこそそこに上がれたというような。そういう雰囲気。

「あなたたちきれいにまとまってんじゃないわよ突き抜けなさいっ、読んだことのないものをあたしに読ませてっっ。多少大雑把でも、のけぞってこんなのあり? って私が卒倒するような、むしろウィングスという雑誌のすべてを破壊するようなのを私は待っているのっ。それがないからもうずっと大賞が出ないの、あなたたち、そこを目指しなさいよ!!」

 とは、ぜったいに言っていない。
 編集部期待作を獲るためには、きれいにまとめて。でも、もはや想い出のなかだけにしかないウィングス小説大賞のベルトが欲しいのなら、この16年大賞なし期間に評価を受けた作品のすべてを凌駕することを考えなければならない。というわけで。
 ウィングスに関して、私は、小綺麗にまとめることをいっさい考えていません。
 今回も、そうして書きました。
 大賞獲れないなら、順位はどこでもいっしょだと思っているし。いつも、一次通過しない可能性があっても、冒険することのほうを選ぶようにしています。限りなく不死に近い妖精少女と、不死の美丈夫従者と、ブギーマンと、リトル・オベロンと、ぼくの物語。今回も、われながら、むちゃくちゃにできました(笑)。押して押して押しきってみた。
 女王は、どんな言葉をかけてくださるのか。
 それとも、また盛り上がれない結果で終わるのか。
 それでも私の求愛は止まりませんけどね。
 止まったら、私になにかあったのだと思ってください。
 ネットで公表もなく、審査員は名を明かさないという、現代ではめずらしい小説賞になりましたが、そこで育ったと自負する私です。この年月、毎日、手探りながら愛し続けてきた。どうやったら悦んでもらえるのか、どうやったら驚いてもらえるのか。情もわきまくり。小説ウィングスのロゴでおかずはいらないくらい。ああまた蹴られた。今回はかなり少女向けを意識してソフトな設定にしたのに、なんにも変わらなかった。だから次の妖精少女は少しやんちゃな感じで、せーえきとか言うし、永遠に処女でいるわと叫んだりもする。いや、中高校生のおもに女性向けでしょ? そういうことでしょ? もしかしてだからソフトエロという私の思春期少女観が間違っていますか?

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「『着ている服による人間のカテゴライズ』が、私はものすごく好きなんですよ」
「具体的には、どういうものなんですか、それは」
「たとえば、『うすーい色のアンサンブルに、チェックの膝丈スカートで、「それ就活?」って感じの黒いパンプスを履いて、うすーい肌色のストッキングを穿いた女って……、案外エロいよね?』みたいな」


 『愛が生まれてくるところ
  第三回 ヤマシタトモコ』 インタビュー・構成 三浦しをん
 (新書館小説ウィングス NO.64)

Wings

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 この、三浦しをん連載、女子中高校生向けなんですよね?
 わからない。私には女王の基準がわからない。
 とかいいつつ。
 本当はわかっていますとも、なんだかんだで、少女向けをうたいはじめたって、前と連載陣いっしょだし、内容だって変化なし、最終回の特捜司法官も来年また戻ってくるらしいし。本好き女子のための、ドラマティック・ライトノベル、って表紙に書くことで、ラノベ界の独自路線を突き抜けようって思惑なんですよね。言わなくてもわかります。大御所が原稿落とすのも、それを諸事情で片付けるのも、伝統。私が弾になります。今日も明日も、女王のためにしゅるしゅる飛べるように、我が身を磨いて作業に励みます。
 実は、ターゲットなんて絞っていないと信じています。
 女子がついてきたから女子向けだと明記した。
 しかし、少年誌でも少女誌でもない全方位の中道をゆくゲリラ誌ウィングスの魂は、死なずに次の暴発気味の弾を待っているのだ、と。
 思って書き続けます。
 ええ。少女向けですね。
 どきどきしながらおどろおどろしい江戸川乱歩を読む、とか、そういう方向性ですよね。
 BLで培った隠微もかぐわしくですよね。
 まかせてくださいイケナイこと教えるのは得意ですから。

 えーと。ひとしきり熱くなったところで、ところで。
 小説じゃないほうの、もともとの別冊の元冊(ややこしい)マンガウィングスが誌面がでっかくなりまして、なんだか10月号以降は隔月刊になるそうで。隔月から月刊になったのに、あともどりするってなにごと? と思っていたら、これからは新たに創刊された『カグヤ』と、毎月交互に出すらしい。
 あーいや、これって……
 ものすごく不安。

「よくばりオトメのトキメキコミック」

 ……カグヤ小説賞が創設されるかどうかはともかく。
 私の居場所がそこにないことだけは確かだ。
 いやいっそ、小学館のガガガとルルルのようにわかれてくれれば、そりゃもう男子筆頭として私の出番もあろうというものだが……マンガは月替わりで『ウィングス』と『カグヤ』。それが小説誌のほうまでとなったら……年四冊の雑誌を二冊にはしないでしょうし。新書館サマの市場が増えることは願ったりなことで、株も買って自分で売れてインサイダーしてやろうと思ったくらいなのですが(公開されていなかったので断念。買えていれば買い増して経営に口出せたものを)。
 カグヤがものすごく売れてしまったら。
 小説『ウィングス』が、小説『カグヤ』に統合される可能性も、現時点で、充分にある。
 怖い。これは怖い。
 売れずに廃刊ならともかく、売れるから完全に少女誌になるとなれば。
 たぶん私は、やめられない。

 このあいだ、ここで料理の話に添えた短い小説を読んでくださった、とあるかたからお言葉をいただいて、ちょっと茫然とした。

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『タマレってなに?』のこと。

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「ベタなSFも書くんだ」

 そんな仰り方ではなかったのですが、まあそんなことを。そこで使われているSF技術的なネタはイーガンの『銀炎』が元ネタなので、そもそもがパロディっちゃそうなんですが、まあそれはさておき。けっこうな長いおつきあいの書き同志で、私が近年書いているものも読んでいただいている。プライベートな会話もあるので、私は私のことを、よく知ってくださっているひとりだと思っていた。そのひとの言葉。
 で、私は。

「え。もともと私はSF指向だよ」

 返したら、逆に、え、て言われた。たぶんもう何年も前に、ここでもつらつらと書いた記憶があるが、そもそも私がウィングスを目指したのは、ラノベに対するジュヴナイル、ハードすぎずソフトすぎないSFを書くならここしかないかもと思ったからだった。
 いまでもそう思っている。
 先月号のマンガウィングスでいえば、なるしまゆりさんの作品とか。

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「私達は元々
見えない弾丸の
飛び交う戦場を
散歩する盲者だ」
「生物っていうのは
そういうもの
なんだよ」


なるしまゆり 『非怪奇前線』
(新書館Wings2009年10月号)

Wings

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 カテゴリーでいうなら少女漫画なんでしょうけれど、あきらかにそれはウィングス的なもの。その作品に出てきたカニは、まさにクーンツのボダッハ。私がこの半年書いていたものにも、おなじような存在が出てきます。私はそれを、ファンタジーだと思っては書いていないし、むしろSF的なギミックのひとつだなあと感じている。相手の心が読める能力はファンタジーだけれど、漠然とした悪意(のようなもの)が触れられる形で現れたら、というのは、むしろハードSFよりなテーマな気がしている。けれど、読後感は、そんなものではまったくない、なるしまゆり的なもの、ウィングス的なもの。ウィングスのスメルが、嗅げるもの。私はそういうものが書きたくてウィングスを目指しているし、それなくしてそこで書く意義はないとも思っているから、ほかの出版社に向けて書くものとは、意識的に違うものにしています。今回の総評で「やや観念的であったり」するものが多い、というお言葉がありますが、それはたぶん、私を含め、そこが基本であり、それがウィングスを目指す理由であり、それなくして世間一般にいうところのエンタメなるものだけを追うのならば、それはなぜウィングスでなければならないのかと、いち読者として逆に問いたいくらい。テーマが完結していなくても、決してハッピーエンドでなくても、世界の枠組みさえ壊してしまうようなおいそれ宗教かよっていう壮大なことになってしまったとしても、しかしなにか嗅げる。ウィングスでしか嗅げない、味わえない、それを味わうのが私のウィングスを読む理由ですし、書く理由でもある。  

 もちろん、そのうえでおもしろいのは大前提。
 だから、キャラ立ては徹底してやる。
 しかし、当たり前のエンタメには絶対してはいけないと思う。
 普通のラストでは、ウィングス読者である私に、カタルシスは与えられない。
 私はプロレス好きで、アクション映画好きで『フタコイオルタナティブ』は近年のアニメの中では傑作だと思っているし、セガっこなので『サクラ大戦』好き。

WingsWings

 おやくそく、大好き。
 でも、それを求めてウィングスを読んだことはない。毎週、少年ジャンプとマガジンは読んでいる。そのあたりと同じ臭いがウィングスに嗅げたら、私はむしろ、そのウィングスという雑誌を読む意味をなくしてしまう。ウィングス読者にとっての「エンタメ要素」は、ほかの雑誌読者の言うそれとは違う気がしてならないのです。少なくとも、私はウィングスにほかとは違うものを求めている読者のひとりなんだもんな……めっさ観念的なのとか、むしろ読みたい気もする読者な私がいるのが困った話なんだわ。

 で、そんな葛藤の中、自己矯正に矯正を重ねて練り込んでいった結果、ふと気づけば、私をよく知るひとにも、あらヨシノギさんってそんな書き手だったかしらん。とか言われている茫然。そうだった、ウィングスで勝つためには必要と、まったくのノンケだった私がボーイズラブを書きはじめ、いつしか平然と萌えられるまで成長して、大好きだった仮面ライダーまでそんな視点でしか観られなくなっている
 自分の書きたいものを書くだけではだめだ。
 ウィングス読者は、こんなの好きなはず。
 そればかり考えていたら、私はそういうものがいくぶん書けるようになっていて、あれヨシノギさんてこのあいだは美男子ヴァンパイアが美少年を血まみれでスク水な仲間にする話を書いていたじゃないのよ、それでなにがSF書きかと……なんか。いや、いいんですけど。目指してやってきたこの登山道。なんにも間違っちゃあいないわけなんだけれども、複雑な思いが茫然のあとにやってきたのはなぜだろうかと考えたとき、私は新書館女王様以外にも目を向けるようになっていたという。依然として、ウィングスラバーではあることは揺らぎないんですけれどもね。なんか、そこだけを突き詰めているうちに、自分の中で枯れていった部分もあるような気もしてきちゃったようなここ最近だったりするのかしないのか(?)。

 ていうかたぶん、私だけではなくて。ウィングスが、隔月刊でカグヤと交互に出るようになるのも、小説ウィングスが少女向けを明言しはじめたのも、ウィングスというブランドそのものが、時代の中で立ち位置を模索しているまさにその時期だからなんだと思う。だったらむろん、長年にわたる読者であり、挑戦者である私も、方向性に迷わなければ嘘なのだろう。と、己の迷いをウィングス自身の迷いへのシンクロだと、よい方向に解釈しつつ。

 私は、やめられない。

 カグヤが売れたなら、むろん、少女小説の特訓をする……うわあ。BLだけで大変だったんですが。血反吐吐いてとかいうの、冗談じゃないんだ。まだ増やさなければならないのか引き出し。チーム男子とかいう乙女系ではないセクションが設けられているのが、のちのウィングスとの合併を考えているようで不安で怖くてならない。
 カグヤ創刊に眠れません。 
 カグヤは売れればいいが。
 ウィングスをもっと売らねば。
 小説ウィングス、戦える雑誌にせねば!

 新書館サマ、でっかくなって欲しい。 
 私がすべり込む隙間ができるくらいに(笑)。  
 いや本当に、この時勢に新装刊とか新創刊とか、社運かけた覇気のなせるわざだと思います。
 そこで演じたいと願い続けるものにとっても、テンション上がる事件です。
 いまこそ、末端の無給の兵士までもがスキルアップをはかるときですね女王。
 だから完成度高く即戦力になってきやがれと蹴られるのですね。
 育てているヒマなどないのよという叫びなのですね。
 わかりました次のネタ、さがしに行きます。
 まだ、だれも見つけていない。
 稼げそうな草。
 引っこ抜いて煎じて、味もととのえます。

 わかってるよ。
 醒めたこと言うなよ。
 ひとりひとりが、そういう覇気もっていくことって大事じゃねえ。
 ウィングス魂の具現者どもよ。
 そういうもの書いていこうよ。
 乙女も萌えさせる。
 そんなの当然。
 でも子供のころからのウィングス読者。
 カグヤなんかに負けるかって気持ちありありで。
 ほら、同じプロレス団体のなかでも、ふたつの勢力あってこそシナリオが生まれて盛り上がっていくモノじゃないですか。
 私、チーム・ウィングスです。
 負けない。

追陳:
 ネットで途中経過発表があるなし、ってのは大きい。って書いたが、いよいよはじまるwebウィングス。編集部ブログもあるらしい。ほー。女王の生声ですね。先行して『ブログdeカグヤ』が開始しているが……絵文字……あぁぁぁ、小説ウィングス、本当に生き残ってもらいたい。小説カグヤへの転身は……こうなるんだ(笑)。マオマオカード終了で、手もとに残った大量のそれを封筒に詰め、アンケートはがきの読みたい作家の欄に自分の名前を書きたい痛い欲求と戦うヨシノギ、半年にいちどの遠吠えでした。ていうか今回はちょっと身の底からわき出るというよりも、ネタっぽいなと自分でも思う。この恋わずらい、おわんないんだけど。対象ではなく恋そのものについて語っている感がなきにしもあらずな近ごろ。恋に恋しはじめると、現実を見失うものですよね……次の半年はもっと思慮深くプロットを詰めるとしよう。
 もうはじまっている。

 ところで(まだあるのかよ)別にいいっちゃいいんですが、B5版になったウィングス、一週間ほどで全体的によじれて本棚にまっすぐおさまらなくなり、次の号は、なんか波打ってきて、ページめくるたびにベコッベコッと音がする状態になってんですが……背表紙のノリの質が悪いのか。逆に紙が上質で厚いせいか。それとも、我が書斎が湿気に満ちすぎているのだろうか……窓も全開なんだけどなあ。隔月刊誌になったのだし、せめて二ヶ月は、よれたり膨らんだりしないで欲しいものであります……私のヒキが弱いだけですか? みなさんのところのウィングス、自立します?
 カグヤは、よれないだろうか……
 (まだ手もとには届きません。さすがにこの表紙の新創刊誌を、顔さらして本屋で買うことはできないチーム漢(おとこ)な吉秒です……よりどり彼氏と恋しませんか……いやもう大人のオモチャよりも厳重に包装して届けて欲しいぜ)

Wings

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