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『5年間長期保証という愛』のこと。



Grandma

買ったとたんに気に入って、
そればかり使っていた。
望遠なし。
500万画素。
手ぶれ補正なし。
ただ見たままの画と、
接写は得意。
かたよったヤツだし、
スペック表にすると貧弱なので、
画素数を上げた後継機が出たが、
望遠を付けたことと、
まるみをおびた本体デザインになって、
コアなファンは離れ、
四代目にしてシリーズ断絶。
私がこの五年使っていたのは、
二代目のCanon IXY L2
携帯電話よりメモ帳より、
小さくて角張った、このカメラの使用頻度は高い。
それが先日、撮った画にノイズ。
その翌日、カメラは暗闇しか写さなくなった。
なにに向けてシャッターを切っても、
まったき闇だけが記録される。
ああ、こいつの後継機はないのに。
いつかは別れのときが来るものだね。
そう思いながら。
最後のメモリーカードに溜まった画を見た。
後半はノイズだらけ。
最後に撮れたピントの合ったのが、これ。
私のグランマ。
一年前、夫を亡くし。
三日前、グループホームに入った。
一年やってみたけれど、無理だった。
延期された花火の日に、
家に帰ってグランマは仏壇の前。
毎日、手を合わせていた。
それがもう三日、していない。
これからはもう、できない。
その背中を写して、カメラが逝った。
さみしい。

(そう書いて、さっき、保証書を確認してみたら、
ジョーシンの5年保証に入っていました。
あと二ヶ月でそれも切れるところだった。
というわけでジョーシンさんへ行ってきます。
お願いです救ってあげてくださいCanonの先生!)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 で、帰ってきました我が愛機。
 ジョーシンさんでは液晶には問題ないみたいだと言ったにもかかわらず、返ってきた修理票の「お客様指定箇所」が「液晶の表示不良」と記載されているのが不可解ですが。しかしまあ直ったならそれでよし。修理票をくわしく読んでみると。

 シャッター機構不具合のため、部品交換のうえ調整というのが、主文。
 使用部品は「オプチカルユニット」とある。
 オプティカルなユニット?
 光学的部品集団?
 あいまいな表現だが、まあ目が見えていなかったので眼球を取りかえましたってことだと思う。シャッター機構の不具合とあるが、シャッター自体はちゃんときれて、でも写るのは闇ばかりという故障だったから、見えるようにさえなれば、無事完治。

 修理料金合計8500円。

 コンパクトカメラですしね。新品で三万前後。自分でこの修理代金を払うなら、間違いなく買い替えていたでしょう。入っていてよかったジョーシンの長期修理保証。

 パソコンとかいじる人なので、ジャンクショップは大好きなのです。小売店で働いているから、電化製品は社員割引で買えるのです。仕入れも担当しているから、取り寄せ商品なら自分で値段を決めることも可能。でも、家電はジョーシンさんを愛用してる。なにはなくとも五年保証。そこにつきる。自慢ではないが、私はあまり自分の運を信じていない。ヒキが弱いのである。わかっているのでギャンブルはやらない。勝負ごとは実力で勝負できるものを鍛えて挑む。パソコンのパーツの相性が悪くて動かなかったら、それはあきらめる。日々、返品させろと騒ぐお客様を相手にしているので、どの店の店員さんにもありがとうは欠かさない。人件費削減で、近ごろはレジを打つことも多いのだが、昨日は「なにを笑っているんだ」と怒られた。ものすごくむすっとした人だった。じゃあこっちもむすっとして釣り銭を叩きつけてやったら満足なのかとも思ったが、私はさらに笑顔を深めて言った。

「お客様にお逢いできたことがうれしくて、です」

 むすっとした人は、照れたのか、ふん、と言って帰ってしまわれた。レジに並んでいたお客様には、笑っていただけた。店員とお客様でも、そうだと思う。関係性が危うくなったときには、すぐに油を差す。人と人とのあいだにおいて、それはたぶん、想いの吐露である。別に私はそのむすっとしたおっさんを抱きしめたいほど愛していたわけではないが、笑顔だったのは、真実、彼に逢えたことがうれしくてだった。残念ながら、私の笑顔の出来がよくないのかもしれないが、それでもそれは、私の愛のあかしなのである。

 そういう意味では、ジョーシンさんの愛は深い。
 あなたの持つ不運など、我々が飲みこんであげますよダーリン、落ちてくる不幸の星をバットで叩き割ってさしあげますよベイビーボーイ、といった勢い。
 私は、私の不運を、そこでだけは忘れて買い物ができる。
 少なくとも五年、私は購入した商品を間違いなく愛せるのだ。
 私が逝かないかぎりは。
 どれくらい私にヒキがないかというと、ハードディスクを搭載した商品を買うと、まちがいなく三日でクラッシュするくらい。不思議なことにパーツとして買ったハードディスクはハズレないのだが、ハードディスクが組み込まれたものを買うと、てきめんにダメ。

 なにがすばらしいと言って、多くの電気屋の長期保証では、消耗品であるハードディスクは保証の対象外であるのに、ジョーシンさんでは違うというところである。実計算上、私が彼らに直してもらった機器の修理代金を合計すれば、延長保証なしのジャンク屋で叩き売っている価格も色あせるのだ。

 今回のカメラを、修理に出したときもそうだった。
 長期保証は、基本、新品購入時の本体価格を越えては保証されない。で、あるならば、多くの店のマニュアルとして(私も徹底してやっているところだが)、まず修理見積もりを出すというのが当然である。本体がすでに生産されていない場合、修理が当時の本体価格を上回ることは、よくある。
 でも、ジョーシンさんは訊かない。
 はい、長期保証の期間内ですね、おあずかりいたします、だ。
 すばらしすぎる。
 推測だが、もしも修理代金が本体価格を上回ったときには、明細をいじってなんとか収めてしまうのだろう(調べてみると、修理費用が上限を超えた場合、商品券で戻ってくるようだ。なんて親切なんだ)。

 この愛が、私のような他店で電気製品を仕入れているような者までもを客層としてしまっていることは明白である。ジョーシンに死角なし。ただひとつ怖いのは、ジョーシンさんが逝くことだけ。

 ああ、いや、死角はあるか。
 唯一の関西資本をうたう上新電機。
 冷蔵庫の配達が遅れたことがある。

「もうしわけございません。
 ご迷惑をおかけいたしました」

 そのとき、私は阪神タイガースのヘルメット型ラジオをもらった。
 なにを買ったときだったか忘れたが「2000円以上お買い上げでリラックマグッズプレゼント」のキャンペーン中だったにもかかわらず、数万円の買い物をした私のためのリラックマは残っていなくて「えー、前のキャンペーンのときも、リラックマ、もらえなかった」と駄々をこねたら、店員さんが「リラックマのかわりです」と、私にくれた。
 カレンダーと、サイン入りタオルのセット。
 だれのサインだか私は知らない。
 阪神タイガースのだれかであることはわかるのだが。

kuma

 そんなわけで。
 ジョーシンさんを愛用していると、溜まる。
 おわび、も、おまけ、も、彼らのなかでは阪神タイガース一色。
 関西資本、関西の大手、上新電機。
 阪神タイガースのスポンサー。
 関西人はみんなだいすき。

 いや……ごめん。
 私は死角。
 タイガース?
 いや好きとか嫌いとか以前に。
 観ないんだもの、野球。

 ちなみに、いま鼻をかんだティッシュもタイガースパッケージ。
 大阪なので、客が来て、私の部屋に阪神グッズがてんこ盛りでも、別にだれもなにも訊かないけれど……私自身が違和感をおぼえる。
 このタイガースグッズだけはどうにかなりませんか。
 愛するジョーシンさん。

「はい、よろこびの舞いを踊ってくださいっ」

 っていう顔で差し出すキュートな店員さんに、ああごめん野球みないんだと言うのも気が引ける、あのサービスカウンターの雰囲気もどうぞなんとか……きらきらした目で汗だくのバイト少女が、ぶかぶかのタイガースはっぴを着て差し出してくるんだぞ?

「ありがとう。めっちゃうれしい…」

 言わずにいられない。
 ちょっとした愛の強要だと思います。

 しかし……
 オプチカル(がなにかはよくわからないが)の同じ場所はここから三ヶ月保証です、とCanonさんが言うけれど、たぶん酷使された一部にダメージが蓄積してこういうことになったということは、ほかの部分が朽ちるのも遠からざることなんだろう……保証があっても愛は永遠ではない。
 後継機選びをはじめる時期なんだろうな……
 

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