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『スープがあまったのでトルティーヤを焼く』の話。




Tortilla

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○材料

強力粉 300グラム
水 170CC
オリーブオイル 小さじ1
塩 小さじ1/2


○作り方

①まぜあわせこねる。
②冷蔵庫で一時間ほど寝かせる。
③ちぎってのばして焼く。

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 というのが、通常のトルティーヤのレシピですが、今回は前回のタマーレであまったチキンスープを再利用するので、もっと簡単です。スープには肉の脂も塩も入っておるのでナ。

 『タマレってなに?』のこと。

(↑この記事で、手でこねるとか書きながら、泡立て器が写真に写っているのはどうしたことですかとお問い合わせいただいたのですが。いや別に泡立て器でまぜたっていいんです。しかしまあボール一個でできる料理で洗い物を増やすというのも愚かしいので、私は積極的に手を使います。なんかアミノ酸とかも出てそのひとの味になるらしいよ。写真は、まぜた跡が、生地のかたさをわかりやすくするかと思い、あえて泡立て器を写し込みました。)

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○材料

強力粉 300グラム
スープ 170CC


○作り方

①まぜあわせこねる。
②冷蔵庫で一時間ほど寝かせる。
③ちぎってのばして焼く。

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 これ以上シンプルな料理があろうか。
 料理はシンプルであれば美味い。
 多くの場合に、あてはまる事実である。
 専門学校生になってバイトをはじめて、一緒に働くようになった初々しい少女が、いつも半年ほどで化粧をおぼえはじめ、残念なことになっていくのを、なんど見たかわからない。ん? 今日なんか目、おっきくない? などと訊きながら、実はいつも思うのだ。んなマツゲとマスカラぽってりさせるのは片足を棺桶に突っ込んでからにすればいいのに、と。まあ、きっとそういうぽってりメイクを経て、よい大人になったころには的確な分量のそれができるようになるのだろうが。

 トルティージャも同じ(ジャかヤかと問われれば、今回はメキシコよりなのでおそらくヤが正しい(そういう訛りを持つひとをジェイスタと呼ぶ。一度ネタに使おうとしたことがあるのだが、日本語の小説ではうまく使いこなせなかった。悔しい)。綴りはtortillaなので素直に読むとトルティーラなんだけど。スペインでトルティージャと発音すると、それは卵焼きを指すという。スペイン語が得意なひとはローマ字読みでぜんぶ通じるよとか言うんだが、そんなことはない)。

 生地の分量などというものは、シンプルであるからこそ千差万別で、なんかいつも言っているが、私の感覚における170CCというのは、ざっくりカップ一杯の数値化である。ざっくりなので、170だとべたつくこともあれば、なんだか、かたすぎる気がすることもある。粉の種類とか、温度とかもきっと関係あるんだろう。よく耳たぶのやわらかさなどということを言いますが、私は初対面のひとに耳たぶでおぼえられてしまうくらいに福耳なので、たぶん普通のひとよりもふわふわだから、そこを指標にしたことはない。私の感覚でいうなら、パンもピザも、トルティーヤも「これ以上やわらかかったら他人の顔面に投げつけたときに鼻血が出ない」というくらいのところでとめるのがベター。こねてみて生地のかたさに疑問をもったら、通りがかったボーイフレンドに投げつけてみよう。彼が気絶しなければ、それはちょっと柔らかすぎるかも。ガールフレンドには投げないほうがいい。刺されるかもしれない。

 タコスを食べると覚醒する、だじぇいの雀士・片岡優希が「学食にタコスがある」という理由で清澄高校に進学したことがすべての物語の発端である『咲-Saki-』のアニメ化が現在放送中だが、彼女が麻雀を打ちながら食べているタコスは、二つ折りである。二つ折りにしたものをさらに紙で包んであるという、屋台的なラッピングがほどこしてあるものの、原作の描写を見るに、おそらくあれはソフトシェルなトルティージャ。

sakisaki

 トルティーヤには、ハードシェルとソフトシェルがある。
 ハードSMとソフトSMの違いだと思って間違いはないが、スパンキングが入るとハードに分類されるという区分に私は納得のいかないものを感じる。即物的な痛みや、目に見える柔肌の赤く腫れた跡などは、いまだ精神世界での充足というものに到達しえていないからこそ走ってしまった表面的な遊技のように思えるのである。そのような基準で考えるならば、放置プレイなどというものはなかなかにSMとしては程度が高い。いつも遅刻するだれかさんを待つことに苛立つだけではないなにかを感じてジュンッとなってしまったら、それはまさにその刹那、新しいゲームがはじまったということだ。

 同様に、材料にトウモロコシが入ればハードシェルに分類されるという区分にも私は納得いかない。たしかに100%コーンフラワーでトルティーヤを焼くと、例によってもっそもそなので、曲げると割れる硬い生地に仕上がる。それゆえに小麦粉のみで作ったトルティーヤのナンであり春餅でありクレープな食感と比べてハードシェルだと表現されることがあるのだが、実際のところのハードシェルというのは、まったくの別物だ。

 油で揚げる。

 つまるところ、ハードシェル・トルティーヤとは、コーンチップスである。
 ヤマザキナビスコのコーンチップ(サルサソース付き)が、実は非常におてがるなハードシェル・トルティーヤの代表格だったわけだが、この国では愛されないのか、近所のダイエーではついに定番からはずれて処分棚にならんでいた。
 私はよく買っていたんだけれど、いつだって少数派は駆逐される運命だ。

 そもそも基本はシンプルなところにある。

 痩せた土地。
 唯一背が高く育つのは、トウモロコシ。
 そしていつしか見わたすかぎりのトウモロコシ畑。
 映画『フィールド・オブ・ドリームス』矢追順一スペシャルのミステリーサークルやスティーブン・キング作品でお馴染みなことに、アメリカの真ん中あたりは、トウモロコシの楽園。だからこそトウモロコシで車を走らせようとかそういうことを思いついてしまうのだろうが、同じ発想によって古代の人々は、食生活を充実させようとした。

king

 まず水でこねて焼く。
 これ基本。
 焼けた石に叩きつけて焼く。
 原初のスタイルがそうであったことは疑問の余地がない。

 石にくっつかないように油をたらすなんていうのは、アメリカ人がもっとかしこくなってからの話だ。 蒸してタマーレとか、油で揚げてハードシェルとか、そんなのにいたっては、植民地時代に自分たちの命を救ったトウモロコシ様に向かって「裸のお前には飽きたからコスプレしてくれへん?」というような最高級の知性がそなわってからのことであり、アメリカ人がコスプレするヲタクガイジンだと自認するようになるには、20世紀も終わりかけたころまで待たねばならない。

 つまり。
 基本のトルティーヤはソフトシェルである。
 やわらかい貝。
 エロスな響きだ(なんか今回は全編通して18禁な調子だが、初めましての方、いつもこんなじゃないんです。そういう日もあるってことですよ。あなたにもあるでしょう。春も熟れた盛りだし)。
 貝というくらいだから、ふたつに折って二枚貝のイメージに近づけたいところだけれど、ソフトシェルならば、巻き貝の形にしたほうが食べやすい。具だくさんだと特に。ハードシェルなざく切りトマトのたっぷりタコスなんていうのは、こぼさずに食べることはまず不可能である。そういった観点からも片岡優希が麻雀をしながら食べるにはハードシェルではきびしかろう、油で指もすべるし、という結論にいきつくわけだけれども。

 学食か。
 学内食堂で、小麦粉トルティーヤをこねて寝かせてちぎって焼いているというのは、あんまりありそうにない。片岡優希が、そのメニューひとつで麻雀無名高を選んだというのだから、毎日タコスを手作りする学食のおっさんがいても不思議ではないが、ふつうに考えて、たぶんトルティーヤはインスタントだろう。
 市販のトルティーヤ・ミックスは、たいていハードシェルになる。粉で売る以上、トウモロコシの割合が高くないと、それはただの味つけ小麦粉になってしまうので、商品価値を作るためにあえて、もっそもそに仕上がるようにしているのだと思う。
 説明書きにも油をひいて焼けと書いてある。

 一方、パック売りしている焼き済みのトルティーヤはソフトシェルが多い。理由は考えるまでもなく、ハードシェルだと輸送で割れるから箱詰めせざるをえず、そうすると単価が上がってしまうからだ。事実、私はひと箱でおなかが満たされる数量が入った箱入りトルティーヤというものに出遭ったことがない。そしてソフトシェルの焼き済み販売品だが……

Tortillas 

 こうなると、これは小麦粉をねって焼いただけのものだ。冒頭で書いたように、レシピは究極に短い。焼きたてのほうが美味いのはあたりまえだし、自分で作る習慣のある人にしてみると、袋売りのナンとかトルティーヤなどというものは、値段と量のバランスがひどくて、手を出す気にはなれない。

(いま自己サイトを検索して気づいたが、ナンのレシピを書いたことがなかったっけ? 何度かアップしようと写真を撮っていたので、書いたつもりになっているんだな……またこんど。とか書いてまた忘れるくりかえし)

 『春餅/チュンピン』のこと。

 ↑でも書いた春餅生地と、トルティージャはほとんど同じ成分なので(熱湯を使って小麦粉を変質させるところが中華最終奥義な感じですけれど)、あいだにオリーブオイルを塗ってのばせば薄い生地も作ることは可能。しかし、実際にやってみたけれど、あんまりおすすめしない。タコスってやっぱり、ボリュームあったほうがおいしい。適当に作ったほうがおいしい料理って素敵。

 タコスって、ざく切りの野菜とミンチ炒めとか添えればゴージャスで、ワインの一本も添えて、充分にごちそう料理って感じだし。食べるときには
「もう、リカルドったら包むのへたくそなんだからー」
 なんて事件が多発するから、会話が途切れることを心配しないでいいし。ちょっと早めにリカルドが来ちゃったら、玄関に粉だらけの麺棒をもって出るといい。
 エプロンに麺棒、ほっぺたに小麦粉。
 最強だと思うのは、私だけではないはずだ(笑)。

menbou

 いっしょにトルティーヤ、作ると楽しいと思う。
 ぜったいに失敗することのない料理だからね。
 男のひとに作るなら、分量は2倍でつくって。小麦粉ごはんは500グラムでふたり分おなかいっぱいな感じなので、600だと余るけれど、翌朝食べればいいでしょう。
 ああ、ごめんもう食べられないよ、と、リカルドにベッドに倒れ込む理由付けをさせてあげましょう。洗い物の心配はいらない。ボール一個でできるから、明日の出社前に五分で片付くから。

 さあ。
 ごゆっくり。

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Tacos

 我が家では、ざく切り野菜とササミに卵のサラダ。それにアボカドディップを添えました。ついでにアボカドディップのレシピも書いておく?

○材料

アボカド 1個
たまねぎ ちょっと
にんにく ひとかけ
レモン汁 大さじ1
マヨネーズ 大さじ1

○作り方

 刻んでまぜろ!!
 塩とかブラックペッパーとかは、テーブルに置いておけばいいだろう。ケチャップとかマスタードもあったほうがいいかな。タバスコは必須。青いのだとタコス気分も増します。タマレのときにも書いたが、メキシコではフレンチドレッシングにシナモンを入れるとか言うんだけど、やってみたらイマイチでした。好みもあるんだろうが。ていうか、タバスコにシナモンがあわない。甘党のヒトなら白ワインなんかで甘みを足してシナモンドレッシングもいけるかも。

 あ。
 サラダにタコがトッピングしてあるのはタコ焼きの残りです。
 片岡優希も「名前に「タコ」が付く食べ物を食べると元気が出る」のだと言っていたし。
 総じて気分だけの料理です。
 タコさんウィンナーでタコスなんてのも、くっだらないけれど、本当に出して真顔で「タコつながり」だと言い張れば、彼もあなたの新しい一面に気がつくことでしょう。

 それでは。
 Orale , ViVa La RaZa !!

(ああ。この国の話は、どうしてもエディのことを想い出しちゃう……彼の存在がなければ、きっと私はいまトルティーヤを焼いていないし、ましてタマレなんて。実際には見たことも逢ったこともない、テレビのなかのプロレスラーなのに。そうやってヒトはヒトの人生に作用するもんなんだよな)

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chrome hearts  chrome hearts  2013/10/23 04:19
『とかげの月/徒然』 『スープがあまったのでトルティーヤを焼く』の話。