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『テレビ大阪・ノアぷ~』の話。

 でも、そこでやることをやめたら。
 やらなくちゃならないことをやめたら。
 よくはならないし。
 結果がみえないから。
 やめようかなあ。
 と思ってしまうと。
 そこで、とまってしまう。


 小橋建太インタヴュー 『ノアぷ~』第1回

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 だからこの先を信じてやるしかない。
 そう語る鉄人小橋建太のインタヴューがメイン。

Professional wrestling

 番組開始0秒で、

「ノアぷ~」

 文字をしたためる三沢光晴。
 直筆毛筆番組タイトル製作でスタートだが。
 三沢社長の薄い笑みが意味深である。

「ノアぷ~、はじまるよ」

 三沢、笑んだまま言う。

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『ノアぷ~(仮)』の話。

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 多大な期待を寄せ、見守るぼくらに笑いかける三沢。
 三沢のことを知らない、単に新番組のすべてをチェックしている地上波マニアのひとが見たら、この番組はなんだと思うのだろうか。なにせ新番組マニアなので、つい先日まで日本の誇る長寿コンテンツだった全日本→NOAHのことなどノーチェック。ひげ面のおっさんが、筆で「ノアぷ~」ともったいつけて書き、ドアップで笑いかけてくる春の新番組。
 一見さんをつかまえる気などまるでないのか、番組開始、そして最初の試合は。

 黒いマット。

 ご存じのないあなたにお知らせするなら、NOAHのマットは世にもめずらしい黄緑色である。煌々たるスポットライトを浴び、黄色人種の肌にあざやかなグリーンが反射する効果は、なにを考えてそんな色にしたのだという感じだが、奇抜であるがゆえにいまになってみれば、もはや黄緑色こそがノアである。

 それなのに黒いマット。

 なんの映像だよ。
 ああ、潮崎くんか。
 小橋建太イズムの正統後継者、ノアの潮崎と全日本の諏訪魔がスクスクと育ってくれれば、ジャイアント馬場イズムの未来は安泰だというふたりである。そういうわけで武者修行中。アメリカの他団体で大活躍の映像を流して「ノアの新人スゲえっしょ」とアピールしたい思いが強すぎて、潮崎を、この次代のノアを見てくれと、ガイジンをばったばったと倒すそれを見てくれと、あろうことか歴史的地上波放送局引っ越しの初回の第一試合が他団体中継。
 ……そして哀しいかな、事実、その映像こそがベストだということをマニアたちは知っている。日本のノアの会場は、玄人ファンの巣窟。海外の、特にアメリカの北のほうの、軽い感じがない。ういやっほーいシオザキサイコー! なんて歓声は飛ばない。それにくらべて黒いマットの上で日本人なのにイエローモンキーなのにクリンゴンなアメリカンよりもたくましく、多くの歓声をあつめ、名前を絶叫連呼される潮崎のその様子は、チャンネルを合わせていれば、思わずなにごとかと見ずにはいられないだろう。もちろん、冒頭のひげ面の薄笑いでチャンネルを変えなかった一見さんに限られるわけではあるけれども。

 そんなこんなな第一回。
 実況:若林健治
 全日本プロレス中継で、三沢光晴がジャンボ鶴田にはじめて勝った試合を実況。

「三沢が勝ったぁああ」と泣き。

 秋山準が三沢にはじめて勝った試合では

「秋山が勝ったぁああ」と叫び。

 ジャイアント馬場狂信者であるために日本テレビ社員でありながら上層部との対立を続け、全日本プロレスを離脱した三沢ひきいるNOAHの中継にはいっさい参加しなかった彼がフリーになったのは、ノアぷ~の実況をするために違いない。本人もこれは運命だと思っているのだろう。全日本プロレスとジャイアント馬場、そしてその後継者たちの名を泣きながら絶叫してきたアナウンサーが、いざテレビ大阪へ。キャリア的に見ればどうなのかというところだが、本人がよろこんでいるのは間違いなく、恐ろしいまでのテンションで潮崎戦を盛り上げてくれた。知らないひとが見たら本気で怖いと思う。彼の実況を聞き慣れた私でさえ、この消化試合で昇天しちゃうんじゃないかこの人、とヒいたくらいである。
 そして。
 解説:仲田龍

NOAH

 このメンツを見て、どうやら、という気はしてしまう。
 完全にNOAHの身内も身内、ほとんど近親相姦的な濃い面子で、番組のすべてが作られ演出されている。どうやら、この番組そのものが、テレビ大阪の持ちかけたものではないようだ。すでにお膳立てはできあがり、コンテンツとして完成したものを持って、仲田龍はテレビ大阪の門を叩いたのに違いない。KENTAとタコスを喰いにメキシコに行くだけではない、NOAHを創った男の真の手腕をふるう第二章がすでにはじまっているのだろう。

 プレゼンするなら、スポンサーも仲田ドラゴンがすでに用意しておみやげに持っていった可能性が高く、そのことは番組のあいだに挿入されるCMから如実に感じられた。
 潮崎大活躍でも負けた。大拍手。で、CM。

 大阪道頓堀の新名所。
 人気たこ焼き店「くれおーる」 60秒CM
   ↓
 トータルメディアプロデュース
 「ミズタエンタープライズ」 15秒CM ×2
   ↓
 大阪道頓堀の新名所。
 人気たこ焼き店「くれおーる」 15秒CM ×2

 カケル2って。ていうか二分間で何回その歌を聞いたか。

♪どうとんぼりーのどまんなかー
 たこやきおこのみあーおいしー
 きいろいかんばん くれおーる!!

 私は道頓堀で飲むヒトである。
 しかし、その店でたこ焼きを食べたことはない。
 道頓堀でNOAHの選手に遭ったこともない。

 けれどもCMでは言っている。

「プロレスリングノアの選手や
 各スポーツ界の著名人も多く来店される
 食の新名所」

 創造が食を変える道頓堀の新名所。
 団体様歓迎。
 70席の大スペース!!!!

 ……取締役統括部長仲田龍。
 なにを確約したのか。
 まず間違いなく大阪大会の終了後には70席をすべてプロレスラーが埋める大宴会がもよおされるのであろう……いや地上波断絶を回避した大スポンサーサマだぞ? そうでなければ嘘だろう。私は道頓堀で吉本芸人しかみかけないが、これからはNOAHが大阪に来ているあいだは夜どころか、連日、朝も昼も、そこらじゅうがノアレスラーばかりのはずだ。そうでないならば。
 そうでないならば。
 まさか。

「この番組は、
 プロレスリングノアの提供で
 お送りしました」

 そうアナウンスするわけにはいかないので、たこ焼きでマネーロンダリングしているだけなのか。深くは追求しないでおこう。なんにせよ地上波は戻ってきたのである。 
 もう一社のCM主、トータルメディアプロデュース「ミズタエンタープライズ」は、どう考えても「くれおーる」のCMを作った会社で、一社提供とはいえ「くれおーる」連呼のみで二分間はまずかろうということで挿入されている値引き条件として提示されたCMのように思える。あの地方感まる出しのCMで、よしウチのプロモを「ミズタエンタープライズ」に頼むぜ、なんていう顧客は現れそうにないし。どうもとってつけた感じがひしひしとする。

 ノアが送る、ノアの新時代地上波。
 見たことのない演出は、いまのところ三沢の書道のみ。
 観終わってつぶやいたのは。
 
「くれおーるのたこ焼きの生地、気になるなあ」

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『たこ焼きの配合』のこと。

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 我が家のたこ焼きは薄力粉オンリーなのだが。
 「くれおーる」のたこ焼きは「数種類の粉をブレンドしたオリジナルの生地」という。
 その薄力粉以外の粉ってなんだろうかという。
 まさかベーキングパウダーを原料粉に数えていないよな。
 だったらなんだ?
 挽き方の違う小麦粉か?
 もしかしてトウモロコシ粉?
 コメ粉かも?

 うーんいちど食べに行くか。
 ほら、こうやって。
 ノアのスポンサーになったおかげで道頓堀の新名所も恒久的な遺跡なみの観光名所へ。
 プロレスを愛する大阪人たちは、いまやサウナに一生入らない誓いを立ててしまった。
 しかし、これからは。
 たこ焼きを崇め、その愛らしくまるっこい守護天使を、週に三回は食べることにします。
 だから、危機を越えたここから、もう五十年ほど。
 いや、できることならば、永遠に。
 新世紀の日本のプロレステレビ中継をまもってください。

 みんなでたこ焼きを食べよう。
 近ごろの道頓堀は、安全で清潔な婦女子も安心の観光名所です。
 くれおーるをすぎて堺筋をわたったところにある画材屋さんと、右に曲がった先にある古本屋が、私を育てたと言っても過言ではありません。


大きな地図で見る

 ↑このまま前に進むと守護天使なたこ焼き屋。
 振り返ればアクリル絵の具のほうふな画材屋さん。
 これからはノアの選手にたびたびここで出逢うんだろうなあ。
 たのしみで悶え死にそうだ。

 ここまで書いてから『くれおーる』公式サイトを覗いてみたんだが……七種類の粉をブレンドしているらしい。ちょっと待てよ粉を七種類も思いつくだけで三時間かかるよ。ベーキングパウダーどころか鰹節や桜エビも粉で数えているのか、醤油も粉末とか? もしくはダイエーの薄力粉に業務スーパーとコープの薄力粉を加えた、とかいうパターンだろうか……そもそも七種類なんて調味料でも入れないぞたこ焼きに。ダシの素と味の素が入っていてそれも粉とかいうんじゃないだろうなあ。いかん興味深くなってきてしまったよくれおーる。

 ちなみにノアぷ~第二回は、黒いマットの潮崎と小橋のインタヴュー続きという、実に大胆な構成でした。初回とまったくおんなじだ! 黄緑色のマットはいっさい出ないノア中継(小橋の後ろに映ってはいたけれど)。ただひとつ違ったのは、冒頭が小橋のアップで「ノアぷ~はじまるよ」でした。順番に受け持ちなのかな。だったら二代目モンスター℃志賀賢太郎の順番が楽しみだな。彼はNOAHにとどまるのだろうか……応援しているんだが。

 あ、特筆すべきこととしては、解説が交代。
 これも順繰りなのかな。
 で、第二回の解説:百田玲美。
 力道山の孫娘……で、しかもその説明はなにもなし。
 本気で家内制手工業の番組作りだノアぷ~。
 黒いマットの試合も去年の八月のだし、完全にいかに新しいソフトを作らず、ノーギャラで三十分を保たせるかを考えてます。いっそ『33分探偵』に対抗して『24分プロレスラー』のタイトルでゆるいドラマでも放送したら話題になるのになー、とか思いました。筋力はないし技もない、柔軟性もいまいちだしあげくに顔も悪い、そのうえ対戦相手までしょっぱいけれど、三十分くらいの試合は保たせてみせるぜってのがプロレスラーの芸ですよ。なんかね、番組自体が、そういう玄人好みの作りになってます。さすがNOAH。魂を継ぐものたちよ。

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