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『10億ゲーム』のこと。

 『みなみけのみなきけおかえり』を聞いていて。

「女の子はクマが好き」

 とだれかが言いきっていたので、ホワイトデーに小さなクマを配ってみた吉秒です。そしてまたひとつの真理を知る。
 テディベアに目を輝かすひとは洋菓子より和菓子が好き。
 解説できるなんの詳細なデータがあるわけでもなく、私のなんとなく感じた狭い世界のなかでの統計による戯言なのですけれど。クッキーとおせんべいが並んでいたとき、意外とクッキーのほうに興味を示す個体のほうが「クマってちっちゃいとネズミみたい」とか夢のないことを言う気がする。ちっちゃいクマなんかつけるなら、そのオマケいらないから菓子の量を増やせと毒づくような気がする。私のまわりのケーキ好きは意外にスタイルがよく、生クリームよりもあんこが好きだという向きはふっくらしているのが多い気もするので、つまり和好み人とはおおらかな人種であって、そのあたりの性格の差がぬいぐるみを愛せる大人に育つというような気もそこはかとなくするのだけれど、いや、これは知りあいに読まれていたら困るので考察をやめよう。
(ていうかさあ、職場で安いチョコ配ったりする儀式はもうやめないかね本当に。むしろくれないほうが気をつかってもらった気がしてうれしかったりするもんなあ……「義理であげたいひとがいたけど迷惑かもしれないからやめたの」って言ってるひとがいて、私のなかではそれこそ感謝の心だよねと、そのひとの株が上がったりしたのでした)

 ともあれ、三月もなかば。
 コートを脱ぐ季節がやってきて。

 ベータテストから参加してきた。
 そしてついさっきもプレイした。
 『Halo』。

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『Halo3ベータテストと仮想うつつ』の話。

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 あれから丸二年。
 この春に、その、ひとつの世界。
 戯れる、ものどもの数がえらいことになったという。

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「Halo 3」総対戦数が10億ゲームを達成

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 すごいよ。
 おめでとう。
 ありがとう。
 我がことのようにうれしい。

 総プレイ時間2兆231億5334万764秒。
 6万4109年ぶんのプレイ時間?
 なにかの冗談のような事実。

 10億って。
 調査会社comScoreによれば、2008年12月、世界のインターネットユーザー数が10億人を突破したという。家庭および職場のコンピュータからネットを利用している15歳以上のユーザーが、世界中あますところなく数えて10億人。
 世界の数字だ。
 全世界を網羅する数字だ。
 およそ200年前、1800年代に、世界人口は10億人に達した。
 たった200年。
 世界人口は2009年のいま、68億人ほど。
 一秒にひとりのペースで増えていく。
 あ、産まれた。
 あっちにも、こっちにも。
 おめでとう。おめでとう。
 忙しいことだ。
 たった200年前の世界人口だった10億人が、現代では最底辺にあたる層の人数として定義され、貧困による死に直面していると論じられる。

SUPER MAX TURBO

 そんな世界で、インターネットにも『Halo』にも出逢えた私は幸運だ。
 私は世界がつながっていることを知っている。
 さっきもカリフォルニアの彼女に手榴弾を投げつけられた。
 たかがゲーム。
 されどゲーム。
 ゲームってなに?
 ゲームって。

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飯野賢治 eno blog: 欲しいもの。

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 私が欲しいモードはねえ、旅人。
 ちょっと乱暴な感じで黒髪を紐でポニーテールにしていて、ラティーノかもしくはアジアの人なんだけれど、あんまりポリゴンも細かくないし、その人の姿自体が小さいからはっきりとは判別できないにせよ、なんか長いぼろぼろのコートかケープみたいのを羽織っていて、カーボーイブーツかなにか履いていて、向かい風のなかをただ淡々と歩いているのね。
 荷物もないみたいで、自分自身を抱きしめているのか、ケープが飛んでいかないようにか、ぎゅっと身を縮こまらせて前傾姿勢で、風が突然にやんだら前のめりに倒れちゃうんじゃないかという歩き方で。

 私は仕事をしながら、ときどき彼を見るんだけれど、いつでも彼はずっと歩き続けていて、でもなんか、ときどきふっとこっちを気にかけるみたいな気配があって「お? おれに気づいてんの?」と、こっちも気にしたりするんだけど、まあじっと見ていても歩き続けているだけだから、また仕事に戻って彼のことは忘れる。

 毎日、電源を入れるたびに、彼の旅は続いていて。
 ぜったいどこにもたどり着かない。
 でも倒れたりもしない。

 なんかね。そういうの。
 書いてみたら自虐的なことに気づいた(笑)。
 あなたもどんなモードが欲しいか妄想してみてください。
 意外に、このゲーム機で素直にがんばれがんばれとか言う萌えメイドとか出てこられると、おもしろくない気がする。かわいいだけの小動物とか、そんなんじゃなくて、これはゲームっていうか一種の時計のようなもので、なにかを知るためのデバイスだと思う。でもこの装置はどこにもつながっていないから、触れることでつながるのは自分自身のどこかなんだよ。

 ゲームっていうことの定義について翌日の飯野さんがまた語っていたけれど、本当にそれはあいまいだからこそ、なんでも飲み込むことのできる魔法だ。

 『Halo』シリーズのオンライン対戦で、ひとことふたこと言葉を交わした世界中の人たちって、間違いなくそこに触れなければ、私が一生で出逢うことなんてなかった人たち。実生活で英語に触れることはあっても「ジャップ」と言うと侮蔑になって監視者にはじかれるから、こっちが日本人だとわかっていながら「チャイニーズ?」って訊いて馬鹿にする。それに応えてこっちも片言の中国語喋ってみたり、そういうやりとりって、ひとむかしまえならオリンピック選手でもなければまずないことなのに、そんなのが毎日の10分のゲーム体験のなかで普通にある。
 10億ゲーム。
 そのパワーは、あなどっちゃいけない。
 それはもう時間潰しのためだけのゲームではないし、そこからなにも生まれないなんて、考えることのほうがむずかしい。
 世界を視る視線は確実に『Halo』以前と以後で変わりました。

 我々は、できることをするだけだ。
 それはたぶん、祈ることじゃない。
 それはそうと私は甘いモノをあまり好んで摂取はしないのだけれど、ダイエットコーラは好きだ。甘いという味覚自体は嫌いなわけではないらしい。つまるところ仮想うつつ。ここにもひとつの真理。

 ダイエットコーラが好きな人は『Halo』が好き。
 仮想現実の世界で遊ぶのは、舌を騙されるのに似ていると思う。
 騙されていても、得るものはある。
 それってやっぱり、当人にとっては大事な現実なんだよね。
 テディベアを抱いてなぐさめられるのは、クマという記号にまったく効果がないとは思えない。怖いクマがかわいくて柔らかい、それが心をなごませるんじゃない? モニタの中で戦士たちが戦い戦い10億ゲーム。引いた引き金は嘘だけれど。
 心は、鍛えられた気がするんだ。

 『Halo』に。
 ゲームに出逢えて、幸せです。
 Xboxユーザーで、よかった。
 あなたもどうです?
 なにかがそこにはあるかもしれないよ。

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