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『ハロウィンとは?』のこと。




Halloween

 11月1日、すべての聖人の日(All Hallows)の前夜祭(eve)として10月31日におこなわれるためHalloweenと呼ばれるようになった行事。また、中央アジアからヨーロッパに渡来した民族においては、一年の終わりが10月31日であり、その夜には霊魂と精霊の世界への扉が開くとされていたため、この世界へあらわれた異世界のものを受け入れるべく人間の姿を隠す仮装をしたのが起源ともされる。いまでは、扉が本当に開くことはめったになくなって、子供たちが「トリックオアトリート!(Trick or treat! イタズラかゴチソウか!)」と練り歩くのを大人たちが微笑ましく見守るお遊戯会になっているけれど。

 オバケカブ(加工しやすいのでカボチャが主流になったがもとはカブ)の示す伝承が真実ならば、かつてその夜の扉からあらわれたのは異形のものたちなどではない。天国のひとつ手前のドアで審査員をだまくらかしたウィル(もしくはジャック)は天国と地獄の狭間の闇を永遠にさまようことになる。そのときに哀れみをかけたのは悪魔。せめてランタンをとウィルに差しだした。それは、悪行ざんまいのウィルに悪魔が親近感をおぼえたのか、それとも、悪魔でさえ、いずれおのれの悪行の結末として無限の闇をさまようことになるのかと畏れたからなのか。ウィルのような愚か者たちが、無限の狭間から、その夜だけ開いた扉をくぐってあらわれる。刻の流れのなかであらわれたのは怪物だということになったけれど、そもそもあらわれるのはランタンの光であり、それを掲げているのは、闇にさまようヒトである。

 嗤う野菜のランタンは。
 いくらさまよっても出口などないという悪魔の自嘲か。
 それとも天国のひとつ手前のドアを開くことができずに闇に迷ったものの、それでもしたたかに「まだおれは死んでねえ」というあがきの笑いか。
 それともこういうことだろうか。
 ハロウィンには光を掲げよう。
 思いきり、嗤ったのを。
 扉から出てきたウィルに、見せるために。
 どうせお前はすぐに闇に戻るんだ、扉番の聖人をだましたむくいを永遠に負うのさ。
 ざまあみやがれ。

 ……まあ、なんにせよ。
 輪廻思想のねづくこの国にハロウィンのメジャーにならないわけはそんなところだろう。
 私は、死んだからってだれもが仏になるなんてのより、わるいやつは永遠の闇に堕ちるんだ、という潔い考えかたは好きですけれど。そう思えば、自分がどうせ抜けられぬ闇を永遠にさまようなら、悪魔にもらったランタンに、泣くよりも、怒りよりも、笑い顔をきざむかもしれない。ウィルが自分で描いた嗤いを、開いた扉のなかに見たのかもしれませんね、ヒトは。

 さあ近所の店に走ってハロウィングッズを買いあさるんだ!
 ちなみに、いまだ日本ではメジャーではないハロウィンなのに、なぜ都市部の大型雑貨店などではワンフロア使ったり、場末の小売店でもあれほど大規模な売り場が組まれているかといえば、それらの商品は全品返品ができるからです。メーカーや問屋さんのほうから「ハロウィンまで置かしてください」というような位置づけなわけですね。クリスマスが稼ぎ時の雑貨輸入業者さんなんかにとっては、ハロウィンが日本で育つかどうかはひとつの夢。バレンタインのチョコレートみたいに、日本独自の商機になる可能性というのも捨てきれないわけですから。無宗教の国というのは、こだわりがなくて素敵です。
 そんな理由によって、ハロウィンの当日になっても、それらのグッズは値引きされたりしません。揺らぎない価格で売って終わるだけ。だとすればお祭りの当日の意味なんてどうでもいいから、それまでの雰囲気をこそたのしみたいという向きには、なるべく早く買ってたのしんだほうがお得ということです。愛する人の頭に三角帽子のっけて、クラッカー鳴らしたら「なんの記念日だっけ?」と相手がどきどきするはずですので、言ってあげましょう。

「ハッピーハロウィン!!」

 ほんとぜんぜん売れないよハロウィングッズ……せっかく入れた知識も「ハロウィンとは?」って訊いてくれるお客さんがまずいないから、語る場もなくこうやってひとりごとだ。写真はお客さんからもらった夏野菜の写真をいろいろ撮ってあったのにつかわないまま夏が終わってしまったので夏野菜ランタン風(嗤)

 パーティだぜ。

「あなたイタズラにする、それともゴチソウ?」
「どっちも」

 そんなお祭りでいいと思います。
 平和極楽主義な、この国らしく。

(余談ですが、インドのお祭りディワリーも、ハロウィンとまったく同じ時期におこなわれます。ヒンドゥ教の女神ラクシュミを祝い、新年を迎えるこの行事のなかでは、一日断食をしたり、家の壁を白く塗りなおしたり、シルバーアクセをあげたりもらったりする。私は、いっそディワリーこそ、仕掛けてみれば日本にも根付くのではないかと思っているひとりなのですが。断食して身を清めてアクセサリー贈って、とか。販売員としては、いい感じのダイエットグッズとギフト小物の売り場が容易に想像できて夢がふくらみます。白いペンキも売れるなら値入りもいいしね(笑・塗料の利率というのはものすごいのです。自分で仕入れたことがある人は、ぜったい定価でなんて買えなくなるくらい。アクリル絵の具に散財して喰うにも困っていた美大生のころに、なんで塗料メーカーの営業さんと知りあえるようなバイトをしなかったのか、大変悔やまれます)。インドでは「ハッピーディーワーリー!!」ってやるらしいですから、勝手に日本風アレンジをほどこして、クラッカーや三角帽子やインドの神々のお面なんかも売っちゃえばいい。象神ガネーシャのお面なんか、意外と定番になったりする可能性を秘めているのではないかと。だれか一緒に仕掛けませんか?)

halloween

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