「ベンチは恋人たちのもの。詩人はその背景でございますゆえ、この場所が定位置でございます」
真朱那奈 『天啓のパルティア 月の姫巫女が予言する』
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いやあ、良いセリフですね。
吟遊詩人が、ベンチが空いているのになぜ座らないのと訊かれて答えるセリフ。良いキャラです。甘い型通りのセリフのようですが、作者のなかにそういう信念がなければ出てこないということを私は知っています。違和感なく型通りのことをさらっと魅せるのが、文学者ではなく職人であるべきペーパーバックライターの本分でしょう。読んで疲れるようなのはいらないのです(ああ耳に痛い)。
幼い姫巫女に吟遊詩人、謎の超能力少年に、王子様はちょっと紳士すぎるかなと思うのだけれど、それがビーズログ。えんため大賞ガールズノベル部門佳作受賞作『天啓のパルティア 月の姫巫女が予言する』がシリーズ化で
来月には二冊目が出るってことで、真朱那奈さんの運営されていた旧サイトからのリンクでうちに来てくださる方が以前に増して目立つようになりまして……もうしわけない。さっぱりビーズログ読者の方がたのしめるような話題がありませんね、このところ。
(以前からログをたどり、こちらからも訪れさせていただいておりました。ありがとうございます真朱先生。微力ながら売上げに貢献できればと。まっすぐすぎるパルティアのウブさに萌えつつ「照れておわりかよっ」といくどもつっこみました。続編以降、わからないのに知っているふり、だった姫が、男の生理をわかってしまう日が来るのだとしたら、うれしいようなかなしいような(笑)。楽しみに読ませていただきます)
と、いうわけで。
なにか私も、それっぽいブログをたまには書くか(笑)。
そう思ったのですが、いま書いているのはヴァンパイアの少女に仕えるおっさんの切ない話で、ヴァンパイアものというのはどうしても死と生がテーマにならざるをえず、むろん作品のほうではそれを疲れず読んでいただくために軽めのギミックを多めに盛り込んでいるのですが、それナシなここで語ると重たくて眠いですから、だったらなにが語れると考えてみればなにもなく。
ああなんて薄っぺらいやつなんだ吉秒匠。
と思っておりましたら、ちょうど携帯のメモがいっぱいになりました。
ここからいくつか拾って書いてみようか。
おもしろいかな、それ。
えーと。私、なにか思いつくと携帯電話のメモに書いておくのですが。私の愛機のメモ機能というのが20件しか入らない貧弱ボーイで、そんなんじゃ一日一個思いついたら一ヶ月ももたないわけで、そこでメモがいっぱいになると必然的にパソコンのほうに移すわけですが、ここがまた貧弱機能なauめ。
バックアップとれないんですよね、メモ帳。
メール以外では、私にとってもっとも使用頻度の高い機能なのに、貧弱すぎる。
で、どうするかといえば。
手作業で書き移すわけです。
昭和か。
家中のマシンがLANケーブルでつながっている中心で、数十文字のメモを20件、一太郎に手作業。考えろよauも。すべてのデータをUSBから取り込めるようにしてくれ。せめてメモの内容をメールで送れるようにしてくれていれば、コピペですむのに。
最新機種でもこうなんですかね?
しかしまあ、怪我の功名とでもいいましょうか。
そうやって書き移す作業によって、思いつきを再度考え込んでみる機会にもなっているのです。
たとえば、コピペについてこんなのがあった。
○倍速駆動における補完。補完された部分の意識。無数の不完全な私のコピー&ペースト。
……哲学的ですね我ながら。
液晶テレビのスペック表を眺めていたんですよ。近ごろは標準搭載になっているのだけれど、うちのモニタにはついていない、倍速駆動という技術が、オリンピックシーズンということもあって前面に押しだして宣伝されていて。うらやましいな、新しいの買おうかな、とか悩んでいたんです。ちなみに倍速駆動というのは、液晶テレビの弱点である、すばやい動きがブレる、というのをなんとかしようというもので、技術的には、AとBのあいだに予測で作ったA'の画像を差し込んでなめらかに見せる、というものなんですね。簡単に言っていますが、すごい技術。A'は、もともと存在していないのに、差し込まれている。たとえば映画『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』(トム・クルーズのレスタトは大好きなのですが、ブラピのキャスティングは何度観ても、私の原作イメージと違うのが哀しいところ。ルイは、遺作がそろそろ公開の
ヒース・ロジャーとか、ああいうぼくとつな感じのイメージなんだけどな。ブラピには、過剰な毒がある。少女ヴァンパイア、クロウディアも、なんというか映画のほうが色気不足。演じているの人間だから仕方ないんだけれど。少女の姿なのに超大人、という色気は、やっぱり小説でしか書けないものだよ、と思っていつか書きたかったからいま書いている私です)。
あの映画のなかで、ブラッド・ピットが人間の目にはとまらない速度で動くというシーンがたびたび出てきますが、あれをなんとか見てしまおうと、AのブラピとBのブラピのあいだに、予測でA'のブラピを挿入するとき、その補完されたブラピの意識というのはどういうことになっているのか、と。いや、見ているこちら側からは、たんなる映像ですが、たとえばイーガンの
『順列都市』のような状況ではどうだ? ネット上で意識のみの姿で生きる人類が実現した社会で、倍速駆動の技術によってヒトはまさしく高速で動くヴァンパイアにも、空を飛ぶスーパーマンにもなれることになりますが、そうしてしまったとき、切っては貼って補完された私……コピペされた私の部分は、私そのものなのか、それともA'という別の人格なのか、それとも……
詰めていけば、一本書けそうです。でも、書いてしまうとまた読むのがしんどいことになりそうなネタでもあります。というわけで保留。
次も読んでみましょう。
○彼はあたしの太股に口づけていた。白い下着など見えていないかのように。「首や手首では傷が目立つ」
これは完全に、ヴァンパイアの話です。
いまひとつ、どちらの視点かはっきりしないままに書いてしまっていますが、まあメモですから。重要なのは、ヴァンパイアのご主人様と、血を吸われるエサとしての従者が存在するとき、なんで歴史上のヴァンパイアは首筋から血を摂取するのかと……社会生活を営む上でも、萌え的にも、ふとももを噛んだほうが良くないですか、動脈あるし、エサがふくよかな美女ならば、ふとももに包帯巻いている絵が挿絵にできるし。ドレスの裾から覗く包帯。首にリボン巻くよりもカッコイイと思うんですが。
と思ってメモったものの、実際に吸血鬼モノを書いてみると、どうにもいただけないことがわかってきます。メモのような状況では、やはり目の前にゾウサンのスキャンティーが見えているのに動脈しか見えていないヴァンパイア野郎というのは、構図として血を与えているほうが主人に見えてしまう、本来は主人であるべき彼のほうが、ひとめを気にして彼女のふとももにむしゃぶりつかずにいられない血の奴隷。あたしの下着も見えていないのね、と考えている彼女のほうが精神的には大人です。いっそBL設定にして、血を吸われているほうが男性だったりすると、あまりにもオーラルセックスを暗喩しすぎて、これもいただけない。
やはり、噛みつく姿が絵になるのは首筋の動脈か……使い古された絵にしたくないから、いろんなパターンを考えていてメモったんですよね。いっそ
ソーニャ・ブルーのように、冷蔵庫に瓶詰めの血液を保管している女ヴァンパイアというのがクールでいさぎよくて私は好きなんですが、そっち路線は、なにやってもソーニャに見える。サングラスかけた女ヴァンパイアという時点でソーニャ。名作数多いジャンルであるがゆえ、独自路線を構築するのは至難です。だからおもしろくて書いてしまうんですが。ちなみにいま書いている少女ヴァンパイアは、アコーディオンケースに入って運搬されています(笑)。従者がいないと移動もできないというのが、ヴァンパイアと従者の微妙な力関係であり、掘り下げがいがあるところ。けっきょく、そこには愛がないと、棺のなかで眠るヴァンパイアなんて最弱のイキモノですからね。『ヴァンパイア騎士』でも、ヒロインがもっとも強い存在です。
心の強さがヒトの強さ。
愛がなければ成り立たない関係。
極端な例を描くと、ヒトはみずからの境遇に気づく。
……ええと。
20個、順番に解説していくと長くなるのでこのへんで。
たまにはそれっぽいものを書いてみようとしましたが、考えながら書くのは時間がかかって面倒くさいので、もうやめます。朝からなにも食べていません。それにしても暑いですね。私の住んでいる地域では、花火大会が来ると夏が終わるという感じがあるのですが、まだ一ヶ月もあります。その前に〆切があるし、だいたい、花火大会の日も仕事だし。
うんざりだ。
絶対、この暑さは末期的。
情熱の季節とかいうレベルを超えてしまった地獄。
今年も電気が足りなくて、気温35度越えが続けば日本列島大停電も現実味。
私と放電。
椎名林檎がちょっぴり考えてみてと歌っているのを聞きながら。
私の闘牛士は藁のベッドで犯されている(ディアプラス用)。
暴れる牛がモーと鳴けば二酸化炭素で盾が消え。
たぶん来年には、暑さで人類が滅ぶでしょう。
だったらやり尽くしておかなくちゃな。
あんなこと、こんなこと。
え、やっちゃう、そんなことまで?
やっとけ。壊れるまでな。
直前で止めちゃダメだ。
私とホーデン。
ではまた次回。
ごきげんよう。
愛に生きろ。
悔やまないでいいように。
おのが定位置を忘るるるるべからず!
薄っぺらくてもいいじゃないか!
いっそもっと薄くしろ剥ぎとってしまえ!
情熱の国。
闘牛士のレギンス型の下着は脱がせにくいです。
(なんのメッセージだ……)