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『エディ・ゲレロの死』のこと。



 アントニオ猪木のものだった新日本プロレスという団体が、ゲーム会社ユークスの子会社になるという、プロレスファンなら死ぬまで忘れないだろう歴史の結節点となるニュースの流れた日、一般紙や経済紙ではむろんのことそのニュースを大きく取り上げていたが……スポーツ紙まで目を通していたプロレスファンは、この歴史の結節点で、もう一つのニュースにこそ結節点を感じて絶句していたに違いない。

 エディ・ゲレロの死。

 昨年、エディはメキシコ系で初のWWEヘビー級王者となった。WCWのファンだった私には、あのころの勇姿も忘れられない。新日本プロレスのリングでも、二代目ブラック・タイガーだった時期がある。

エディ

 演技と本気の区別の付かないレスラーだった。アル中だったという設定で、最近のWWEリングでは、レイ・ミステリオの息子が自分の息子だと言いだし親権争いを絡めて試合を繰り返すという悪役にもほどがある悪役っぷりを熱演。毎週のように額とこめかみに青筋を浮かべてわめきちらす姿に「マジで血管切れるよエディ」と観ていて心配にさえなったほどでした。

 38歳。

「エディはかわっちまった」

 というセリフを、何度聞いただろう。それくらい、エディは善と悪とクールとホットを行き来できる演技力を持ったレスラーだった。死因はまだ明らかになっていない。ホテルで、ひとりで息をひきとったという。甥にして個性派レスラー、チャボ・ゲレロが返事のないエディを心配してホテルの従業員にドアを開けさせると、エディは洗面所で死んでいたらしい。本気で命がけのプロレスを演じた、最高のエンターテイナーが逝った。その死に様は、エディに似合っているのか似合っていないのかよくわからない。筋肉増強剤や、酒やドラッグの影響について、多くの噂がこれから飛び交うだろう。でもそれもすべてひっくるめて、エディはエディのままで死んだ。

 なにかを演じ続けてそのまま人生のすべてを終えただれかにとって、演じていた、という事実は意味を持たない。世界最高峰のプロレス団体で、チャンピオンになり、前例がないほどのヒールを演じ、その絶頂期に消えた。エディは血気盛んなチャンプの顔のままで殿堂入りし、その唇をゆがめたいたずらっ子のような笑顔の写真を飾られることだろう。エディ・ゲレロというスーパースターは、真実のものとして存在した。

 冥福など祈らない。
 エディは死んでも演じ続けるに違いないから。
 どこかに魂の世界があるならば、そこで。
 私の中では、明日も確実に。
 雄叫びをあげて大声で笑うエディ・ゲレロという精霊が踊る。
 そのイメージに、これからも勇気をもらう。

 Orale , ViVa La RaZa !!

 それは本来、メキシコサイコーという叫びだが、同様にエディがよく使う「Lie Cheat and Steal!」の意味「ズルしてイタダキ!!」で、いまでは邦訳されている。まったく日本語訳としては間違っているのだけれど、エディが言う「この国も、俺たちも最高」は、彼のファイトスタイルとイコールであるという解釈に間違いはない。

 今日もいただいちまったぜこの世界ってサイコー。
 想い出すのは腰を振って天を仰ぐ、笑顔のエディばかりだ。 

 私の辞書に「ラテンの情熱」はエディ・ゲレロのことだと刻まれた。
 そのことを知る私はやっぱり笑うべきなんだ。
 逝っちまったのかエディ。
 ほんと、絶頂期で消えるなんてイタダカれちまったよ。
 さすが、エディ・ゲレロだ。
 愛してる。
 あとは好きにやってくれ。


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chrome hearts  chrome hearts  2013/10/23 14:03
『とかげの月/徒然』 『エディ・ゲレロの死』のこと。