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 390円=1100円

 間違った計算式。
 いわば錬金術。
 それが先週はじまったこと。

 ゲームのキュレーション型サブスクリプション(定額制カタログ販売)サービス『Xbox Game Pass』。
 2020年4月14日。
 日本上陸。

 サービスそのものは2017年6月から、世界のどこかでは提供されていて、そのどこかは日本ではなく、Xbox日本組は、注視せざるを得ない状況がずっと続いていた。

 だって、サブスク。

 音楽や映画などだと、おなじみのやつ。月額料金を払って、膨大なコレクションのなかから選び放題ですよ、という仕組み。それをテレビゲームではじめたのが、マイクロソフトというところが困る。マイクロソフトは、Xboxのなかでも人気の高いゲーム群を自社で制作販売している。そして、サブスクをはじめたことで、それを売りにした。

「Microsoft Game Studiosの作品は、発売と同時、もしくは先行してXbox Game Passで配信する」

 Xbox Game Passに加入すると、来月の期待の新作マイクロソフト製ゲームを買わないでもプレイできる。逆に言うと、Xbox Game Passが来月にも日本に来るというなら、来月の新作ソフトを購入するかどうかは、それ含めての判断になるのに……

 ほぼ三年、その状態が続いたのだった。

 そして来た。
 詳細が発表された。

 錬金術だった。

 わかりやすく冒頭の計算式を説明しよう。まずは、390円という数字。これは、Xboxでオンライン対戦をするゲーマーなら必須の、Xbox Live契約の月割。マイクロソフト『Xbox Live 12ヶ月 ゴールド メンバーシップ』のデジタルコードが、今日時点Amazonで5072円。

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 以前に書いた、この記事でも書いているが、

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『Xbox Live Goldを更新する2020』のこと。

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 そのコードをアクティベートするさいに、自動継続を選択すると+一ヶ月なので、十三ヶ月で割る。

 5072÷13=390

 390円。
 これが、Xbox Live Goldを使用し続けるための運用コスト。嗜好品という分類で考えると、ビール二缶、タバコ一箱より安い。その量で一ヶ月たのしめるという中毒者はいないだろうから、テレビゲームの勝ち。

 いやそれ運用コストであってゲームソフトの価格が入っていないじゃない?

 ちなみにだが、私がもっとも直近で購入したXboxのゲームソフトは『レッド・デッド・リデンプション 2』

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『1899年仮想アメリカ旅行記(1)』のこと。

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 予約して発売日からプレイしはじめたのが2018年10月26日のこと。2018年……いまは2020年の春。

 『レッド・デッド・リデンプション 2』の私の現在の進行度は47パーセント。半分も終わっていない。狩りや釣り、化石発掘に興じていてストーリーを進めていないというのもあるけれど、大きな原因は『Halo』だ。

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『Halo 5: Guardiansの発売日』の話。

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 2015年に発売の『Halo 5』について書いたこの記事のなかで、十四年のHalo愛を語っている。そしてなんども書くが、いまは2020年。『Halo: Combat Evolved』が2001年11月15日に発売されてから、もうすぐ二十年というあいだ、Haloと生きてきて、途中からは世界の連中と毎日のようにネット対戦する日々となった。

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『eスポーツとしてのHalo』のこと。

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 筋トレが趣味なひとにとって、トレーニングマシンが最新であるかどうかは、あまり重要な問題ではない。対戦ゲームである以上、世界でプレイする人口が多いために最新作をプレイするけれど、そこに充分な人数のプレイヤーがいれば、むしろ急いて次のナンバリングなど出してほしくはなかったりもする。

 そんなわけで、私の愛機Xboxは、二十年のあいだ、Haloをプレイする道具で、その合間にほかのゲームがあった。

 さらには、Xbox Live Gold加入者には、毎月最大五本のゲームが無料で配信される、という特典もある。先月は『Project Cars 2』が貰えた。フルプライスのカーレースゲーム。続編が作られるくらいなのだから良い出来。ちょっとさわるつもりが、時間を喰われる。カーレースゲームに興味満点な息子もさわりたがる。対戦でもなく、ファミリー向けでもない、『レッド・デッド・リデンプション 2』は、いよいよ進まない。

 さて、そういった背景を語ったところでもとにもどって。
 冒頭の計算式である。

 Xbox Game Pass Ultimate (XboxとPCでのサブスクにXbox Live Goldも付いてくる)は、一ヶ月が1100円。

 そして、現在キャンペーン中で、初月100円。

 14日にサービス開始で、初月って。半月終わってるし。みんな来月まで待ってしまうじゃないかと思うところだが。

 もうひとつ、キャンペーン中。

 すでにXbox Live Gold会員なひとは、チャージ済みな残りの期間をXbox Game Pass Ultimateに変換できる。等価交換で。

 等価交換で。
 もういちど書こう。
 等価交換で。

 390円=1100円

 このキャンペーン。いつ終わるかわからない。いつか終わることは規約のなかで匂わせてある。それはそうだろう。だって、Xbox Live Goldに加入するのは、さっきのAmazon電子コードを買ったら、いますぐ会員でないあなたも会員になれる。そしてその十三ヶ月を等価交換でXbox Game Pass Ultimate(Xbox Live Goldに、XboxとPCでのサブスクも付いてくる)に変換できる。みんなそうする。(XboxとPCでのサブスク)の部分が、無料で配布されている状態なのだから。

 Xbox Live Goldは、最長で三年分をチャージできる。私もそうしたかったが、すでに二年以上をチャージしていたため、十二ヶ月チャージをさらに加えることはできないので、我慢した。そして一日でも早くXbox Game Pass Ultimateに変換するために初月100円を払った。

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『Halo Infiniteの真実の一年後』の話。

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 『Halo 6』となる『Halo Infinite』は、今年発売ではないかと言われている。テレビアニメが延期しまくるこの状況で、新作ゲームが問題ないということは考えにくいので、心配ではあるが、それでも来年には出るだろう。

 それを買わない。
 なぜならー

「Xbox Game Pass Ultimate会員なので、私」

 2022年の夏まで、もうゲームは買わない。そのあともたぶんXbox Game Passを延長する気がする。この一週間で我が家に起きたことを考えると。

 大阪トミカ博が中止になったので『Tracks - The Train Set Game』で、線路を延ばしまくって木の列車を走らせXboxプラレール博気分を味わったり。

XboxGP01

 本物は休園中で従業員の一時解雇が始まったというニュースも出ているディズニーランドを疑似体験できる『ディズニーランド・アドベンチャーズ』でドナルド・ダックにサインをねだったりシンデレラ姫になんどもハグを強要したり。

XboxGP02

 三月に公開された最新作が映画館の休館で異例の一億ドル到達ならずかと報道されるピクサー作品の世界に浸れる『ラッシュ:ディズニー/ピクサー アドベンチャー』でカーズの世界に行って、メーターとレースしたり。

XboxGP03

 198円のマスクを店頭に山積みして「国よりドンキ」という名言を言い放ったドン・キホーテの一号店に『Yakuza 0』で訪れたり。

XboxGP04

 どれもフルプライスではない、1500円から3000円くらいの掌編と呼べる作品群。ふーん、と思っても発売日に定価で買った『レッド・デッド・リデンプション 2』が47パーセントでは、じゃあそれもやるかと買ったりはしない。ディズニー作品は、私が興味ないので子供に勧めたりはしなかったが、Xbox Game Passのカタログにシンデレラ城が、マックイーンが、ウッディが、載っている。「これやりたい」取り放題である。そりゃダウンロードする。という感じで、むしろ買い切りだったら買わないような掌編を乱読するというスタイルになる。

 ゲームのキュレーション型サブスクリプション(定額制カタログ販売)サービス。そして基本、マイクロソフト製は恒久的にカタログにある。ということが、どういう心理へと私を導くかといえば。

 いかにもインディー臭くてそのうちカタログから外れそうなソフトをさわるだけぜんぶさわって、マイクロソフトの大作はあとでも残っているはずだからあとにする。

 そして。

 『レッド・デッド・リデンプション 2』は購入した私のもので、次世代Xboxでも下位互換が約束されているから、十年後でも続きはできるので、とりあえずいま現在すでに買って二年が経つけれど、47パーセントで、ふたたび放置になる。

 教訓。

 Xbox Game Passに加入する前に、積みゲーあるひとは消化しておかないと、一生、詰んでおくことになる。

 あと、教育上のこと。

 子供が「これもとって」と、ねだる。私が「これも取っとくか」と言いながら次々ダウンロードしていく(Xbox Game Passは現時点でストリーミングではなくダウンロードとインストールの行程が必要なので、ハードディスクに空きのある限り、いつかさわりそうなものは時間が許すときにダウンロードしておくということになる)からだが。

 父が幼き日、ゲームソフト一本を手に入れるのが、どんなに荒行だったか。それが令和。百本以上のゲームのカタログから「これとって」で手に入る。うちはテレビもひかりテレビだったりするので、月額料金を払って見放題という仕組みが生まれたときからあり、古い仮面ライダーも新しい仮面ライダーと並行して観ている。テレビゲームもそうなった。これはきちんと理解しないと、違法ダウンロードがなぜいけないのか、作ったひとにお金が入らないでしょう、でもこれだって、という話になってくる。

 もうなった。
 なった以上、戻ることはない。
 きちんと理解って、なにをだ。

(Xbox Game Passの日本での提供が遅れた最大の理由は、この国独自のゲームソフト審査基準にあったとされる。成人向けと全年齢向けソフトが混在するカタログを、どう扱うかの調整。結果的には、Xbox Game Passの契約自体を18歳未満は結べないことで落ち着いた。なんの解決にもなっていない結論だと思った。サブスクが文化となっていくならば、制限と料金のバランスという方向で成熟していく必要はある)

 ええ。小難しいこと考えないでも、まぎれもなくお得なので、錬金術できるうちにやっておくがよろしい、とお勧めする回でした。この一週間、たぶん人生でも一、二を争うほどゲームしている。

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Microsoft Store (マイクロソフトストア)

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「トウモロコシが多くないですか」

「子供がくれるんだよ。ことわれない」

「電源つきのサイトを借りているのに、ホットプレートじゃダメなんでしょうか」

「子供をキャンプへ連れて行くために車まで買い換えるお父さんは、動物の王として、火があつかえるのを示したいんだ」

「あつかえていませんよね」

 はんぶん生焼けの肉を、ホットプレートに戻す。

「おれの炭火調整のおかげで、いい感じのレアに焼けたって、くれたんだが」

「肉を焼いて食あたりしなくなったことこそ、人類繁栄の理由だと思いますけど」

 キャンピングカーの天窓を全開にしていても、しょせん車。ベッドのシーツに調理の匂いもつく。せめて車の外で食べませんかと誘ったこともある。でも、なんども、かたくなに拒否されて、気づいた。ずっとこうしているのだと。仕事は仕事としてこなすが、プライベートな時間は他人の目に触れさせない。

「春も深い……」

 缶ビールをかたむけ、星空を見上げて言うから、苦笑してしまった。アウトドアの最たる仕事に就いてしまった、インドア派な自称雇われ管理人。

「この先は、夏ですよ。焼肉やめて、エアコンつけないとキツくなるでしょうね」

「そうでもない……夏の夜の暑さは放射熱だ。焼けるアスファルトのないここは、都会とは違う」

 だから夏になっても、ここにいろ? そう言ってくれたら。思いながら、しびれたみたいに震え続ける肉を見つめていると、唇を唇でふさがれた。いま食べた、焦げたトウモロコシの匂いがする。

「ごはん中です」

「また雨が降ったら、現れたときのように、消えてしまうんじゃないのか」

 そういえば。あれから雨は降っていない。降ったら、ぼくは消えてしまうんだろうか。それじゃあ、夏どころか、いまだっておかしくはない。空を見る。星空。雨粒は、影も形もないけれど。消える、ということを想像する。溶けるようにではなくて、ふっと消えて、なくなる。

「消えるのは、ぼくだけです」

 どうして、そんな言葉になったのか。強く抱かれた。そんなことはない、ここにいる、と確かめるみたいに。疑いようのないことは、確かめる必要はないのだから、確かめたりしてはいけない。

「いなくならないでくれ」

「肉が焦げます」

 いい感じの生焼け。
 ぼくは、それが怖い。


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Yoshinogi Takumi
 Shonen-ai Cooking Elegy
 Song 29
 『nice and rare nice distance』

(吉秒匠
 BL料理哀歌
 29曲目
 『いい感じにレア』)

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○材料

 肉と野菜

○作り方

 スペアリブは火が通りにくいので、事前にフライパンで両面を焼いておく。あとの材料は、切ってクッキングシートを敷いたプレートに載せ、オーブン200℃で三十分。

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 途中で肉をひっくり返したり、焦げそうなのを端に移動させたり、焼けていないのを真ん中へ持って来たり、というのを一回やると、なおよし。

 お好みで、オリーブオイルと塩コショウやハーブの類を、焼く前に肉へ揉みこんでもよし。

 私は肉は「ただ焼く」のが好み。タバスコをかけるので塩味はそれでつくし。塩コショウや焼き肉のタレを使うにしても、あとから味をつけたいひとが、好きなようにすればいい。

 写真の鶏モモ肉には、ローズマリーを振りかけて焼きました。

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『焼肉のタレ、手作り、レシピ、つくりかた』の話。

『鶏もも肉の迷迭香焼き』のこと。

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 天窓を開放しているにしても、キャンピングカーのなかで、ひとつのホットプレートの肉をつつきあう、それがもうNGなのに、唾液と唾液の交換なんて……

 なんてことを言っていたら官能小説は成り立たないなあ、そんな未来はイヤだなあ、未来は救って現在だけでどうにかしてほしいと書きながら、思い出す。

 ちょっと過去、アレがまだ不治の病で、かかれば死ぬという病気だったころ。いまもうすぐ日本でも全員にマスクが配られますという具合で、コンドームが町で配られていた。そんな町の営業で、お笑い芸人たちは。

「いやそんなん言ってもセックスしたらケツの穴なめることもあるし。そんなんチンコだけやなくて全身ゴムで覆ったらなあかんやん」

 そんなんアレにかかる前に息できなくて死んでまうやんっ。

 配られる布マスクでは効果が薄いとか、粒子の大きさが、なんてことを言うのなら、マスクは不織布よりもゴムのほうが完璧で、表面にジェル状のカビキラーでも塗っておけばもっと完璧で。まあ、たぶんそのマスクが原因で、死なないまでも健康は害するだろうが。アレには、かからない。

 現実に死者が出ている以上、話が、それと天秤にかけて、どこまでヤれるかというものになるのは、いたしかたないにしても。やっぱりゴムで全身を覆って好きなひとと抱きあいましょうというのは、笑ってしまう。

 死んだってケツなめるし。

 そりゃそうでしょうよ。肉つついてキスもするし。ディストピア小説で、汚染された地上から逃れて地下シェルターで分散して暮らすことになった人類が、的な設定が使われることがあるが。今回の件でよくわかるのは、要はヒトが汚染物質なので、どこの土地から逃れてどこに行こうと、どこかにヒトが移動すればそれはもう、そこが新たな汚染の大地になるという。

 だってケツなめるし。

 ぐつぐつ煮こめば、完璧に健康を害さない肉料理ができると知っていながら、人類は焼いただけのスペアリブの骨のまわりが生焼けだとか、その骨もかじって骨髄をすすったりだとか。

 だってそもそも生なものなんだし。

 逆に言えば、火で焼くことをおぼえて、ゴムで覆うことをおぼえたから、人類はみずからをコントロールすることに成功して、地上の覇者になったのだけれど、それはやっぱり逆で。

 やめられないから滅ぶ。おそらくそう。でもやめたらそれは、ヒトでなくなるというのも、やっぱりそう。

 血のしたたる骨つきの肉をしゃぶりたいし、動物みたいに愛しあいたい。

 本能を完璧に制御できたとき、人類は。
 なにに勝つのでしょう、主よ。

 合成サプリメントで栄養補給しながらテレセックスで他人とつながる、来年くらい。生きて健康である率は、ずっと上がるに違いない。そこでもハッピーはあるだろう。

 でもよお。おまえらは本当のしあわせってものを知らねえよ。と、密造酒で舌癌を進行させながら、咳きこむ老人は言うことでしょう。

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Yoshinogi Takumi
 Shonen-ai Cooking Elegy

28曲目『しくじりパン』
27曲目『五十秒後、ふたりの時間』
26曲目『穴は穴。ドーナツの一部ではない。』
25曲目『具のないピッツァの電源を切り……』
24曲目『姫始め葷縛り』
23曲目『また逢ってタコス』
22曲目『彼は彼のそれを彼と呼ぶべきではなかった。』
21曲目『形状と呼応』
20曲目『轢かれ鉄のサイジ』
19曲目『黒い彼が焼いたぼくのための白いパン』
18曲目『となりの部屋』
17曲目『ヴィアール遭遇』
16曲目『アネ化けロースカツ』
15曲目『逆想アドミタンス』
14曲目『恋なすび寿司』
13曲目『バーベキュー厳峻鋼』
12曲目『茄子はダシの夢をみるか?』
11曲目『すっぱくても、平気。』
10曲目『踏み絵ムルギティッカ』
9曲目『ひとくちだけカトルカール』
8曲目『春節の静かな賞品』
7曲目『ナンを焼くと両手がつかえない。』
6曲目『タマレってなに?』
5曲目『あらいぐまのすきなもの。』
4曲目『ピッツァみたいにぼくを食べてよ!!』
3曲目『クリスピー・プロ・フライドチキン』
2曲目『青くてカタいアボカドのパスタ』
1曲目『春餅/チュンピン』



 西暦2020年。
 日本の主要都市に緊急事態宣言発令。

 こう書いてみると、これからはじまるアニメが荒廃した近未来でくりひろげられる的なものであろうことは間違いなく、あたしそんなの好きじゃないので、と、つぶやいてチャンネルを変えるひとも多かろうが。

 未来でこれをググって読んでいる、きみ。

 いま、これはこの過去のノンフィクション。
 リアルタイムで進行中。

 そして。

 私は、緊急事態宣言の出された都市のひとつに棲んでいる。

 そしておもしろいことにと言おうかなんと言おうか、緊急事態宣言というのは、だからぜんいん家から出るなという命令ではなく、おのおので判断しなさいよという趣旨のもので。

 現実に、ひとによって解釈が違う。
 主要都市の長の判断も違う。
 私の棲む町もそうである。

 私の働く店は今日も営業している。

 しかして、息子の保育園は昨日から休園である。

 どうしろと。

 どうしているかといえば、どうしようもなく。家にいる。初日は実家へ預けてみたのだが、ひとりで泊まらせるには幼く、休める日に休みなさいよという周囲の協力によって私はいま、これを自宅で書いている。

 問題は私が医薬品を売っているという点。資格者がいないと薬店は開けられない。私の勤める店は、資格者三人で回している。もちろん、ほかのふたりの家庭にも、緊急事態宣言であれこれある。ときまさに、医療崩壊と言われているのです未来のひと。ふつうに考えて、この事態で、薬屋が営業中なのに、話を聞けるものがいませんし、なにも売れませんというのは、あまりにもよろしくない。

 と、いうわけで、私は、いまも自宅にいながら明日の調整を続けている。

 なにもおもしろいことは書けないし、特別な有給休暇だ息子といっしょだゲームでもするかワーイ、というようなテンションではない。

 でもまあ、きみがこれを読んでいるということは、未来にもひとがいるのか。滅びなかったわけだな。

 西暦2020年。
 日本で開催されるはずだったオリンピックが、延期になった。教科書で読んだだろう? あれ、けっきょく次の年にちゃんと開催された?

 滅びないだけでは、希望としては弱いよ。

(この騒動のあと、地上のぜんいんが強力な免疫を身につけることになるだろうから、もしかするときみらのころには、これきっかけで人類にちょっとした進化でも起きているかもしれないなと予測しているのだけれど、どう? 目からビームが出るとか、花粉症のひとが皆無になっているとか、ない?)