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 こういう事態のなか、K-1グランプリが開催されて。私も録画していた生中継を観ようと帰ってきたら。放送局GAORAは、放送を自粛。

「新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、日本政府からの大規模イベント自粛要請や世界保健機関(WHO)が「パンデミック(世界的大流行)が加速している」と表明したことなどを受け社内協議を行った結果、当面の間、クラスター(集団)発生のリスクが高い大規模イベントの中継・放送を見合わせることといたしました。」

 とのアナウンス。他のスポーツ専門チャンネルでは、開催された大会の中継は引き続きおこなわれている。興行は開催されたが中継予定だったのを中止というのは、なかなかに意識が高いというか、まあ案の定、強行開催したK-1はワイドショーに叩かれていたから、その大会を中継しているカメラマンに話を聞いてみました! みたいな展開をも怖れたのかもしれないが。

 ところで、F-1やバイクレースといったものも、軒並み開催が中止になっているなか、MotoGPが、ちょっと不思議な判断を下していた。

 私、自分もバイクに乗っているし、古くからのMotoGP観戦者。

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『ひとのタイヤ見てわがタイヤを交換する』の話。

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 今年の開幕戦。カタール。MotoGPクラスの中止が決定。というニュース。「MotoGPクラスの中止」? その変な言いまわしでニュースを追うと、排気量最大の花形クラスを中止するが、下位クラスのMoto2とMoto3は、カタールで走るし、TV中継もあるという。

 最高峰クラスがなければ、チケット買っていたけれど来なくなるお客さんもいて、あんまり興奮もしないで大声も出さなくて、だったら大丈夫ということかしらん。それとも、世界最高峰のライダーたちが感染したら取り返しがつかないけれど、まだまだこれからの若手が多い下位クラスの選手は、こんな状況でも走れやコラ、ということ?

 よく意図のつかめぬまま、MotoGPクラスがあると息子に観せていた中継を、今年はないから、いつもはひとりで観るMoto2とMoto3のクラスを視聴。そうしたら。カタール。Moto3では小椋藍が表彰台に立ち、Moto2は、なんと……想い出すだけでまた泣ける。14番手スタートの長島哲太が優勝。初優勝なのに、途中から独走だったし、ゴールのあと、天の友を見上げて……いや、ここで詳しいことを語っても通じないだろうから黙しておくが、色々ある開幕の地で、みごとにすぎる日本人の優勝だった。同国人を応援するという文化を持たない息子は、なにをそんなに興奮しているのかという顔だったが、これまで観続けてきたバイクレースのなかでも、たぶんもっとも大声を出して一番泣いたレースだった。

 というわけで。(不適切な表現があったため削除)それはそれでかえって興奮してしまうじゃない、という近ごろなのですけれど。

 このあいだ、キラメイジャーについて話した。

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『キラメイグリーンのパンツ』の話。

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 四歳児の性の目覚めというような観点になってしまったが、そのころから我が家でも巣ごもりがはじまって。映画を観たり、ゲームをしたり。

「あれ、このマーク、レゴの」

 またか。またレゴか。レゴブロックがすべての起点なのか。なんなんだよ見せてみなさいよと、見せてもらったのは、レゴの取扱説明書。

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 バカなのか。
 デザインに凝りすぎて実用的でない意匠のことを指して「デザインの敗北」と呼んだりする。私はかつて美大生だったが、広告に関しては教授に違うそうじゃないと、なんども怒られた。カッコよくても伝わらなかったら意味がない。かっこいー、で、これなんのコマーシャル? では、モノは売れない。美術を学びはじめた一年生が、まっさきに怒られることを、思い切りやってのける日本マイクロソフト(なのかレゴ社側のデザイナーの仕事か)。

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 これが売りたいはず。なのに、日本のおもちゃ屋で売るレゴブロックの取説に、日本語ではない言語で広告を打つ。カッコいいけれども。

「それ、フォルツァっていうXboxのゲームのマーク」

 見て知っていたうちの四歳児は反応したが、日本のXbox普及状況では、英語が判読できる父上母上でも、この広告で「ああXboxのフォルツァね」とわかるひとがどれだけいるか。テレビゲームの広告だとわからないひとのほうが多そう。

「フォルツァ、あるからやってみる?」

 うちではそうなったが、うちにはすでにあるから買わないので、広告の意味がない。だれに向けて広告打っているのか理解できていない。バカ。

 さておき。
 そんな流れで『FORZA』。世界中の数百種類の実在する自動車を、操作できるのが売りのシリーズ。日本の道路を走る車のエンブレムはほぼおぼえて、車種をメーカー名から語る四歳が、見たことのないエンブレムに食いつく。

「これなに」
「ランボルギーニ」
「見たことない」
「スーパーカー作ってる会社やからな」
「スーパーカー? キラメイグリーン!」

 キラメイグリーンの相棒マシンは、スーパーカー。

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 キラメイレッドのイマジネーションで具現化した魔進(マシン)なので、レッドの第一印象で決まった。キラメイグリーンは陸上選手で足が速いからスーパーカーだね!

 こうして、キラメイグリーンは四歳男子に素肌を見せつけて悩殺しただけでなく、スーパーカーという存在への憧れをも植えつけたのでした。

 五月の大阪トミカ博も中止。
 去年も一昨年も行った。

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『トミカ博を緩歩する』のこと。

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 トミカ博トミカ博と呪文のように言っていたのに、コロナめ。嘆き悲しむ子に、せめてトミカ買ってやろう選べと言ったら、キラメイグリーンの色が入ったランボルギーニのセットを選んだ。

 大はしゃぎであったのだが。

 タカラトミー、おまえもか。

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 やむなく私が、書く。

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 トミカなのに。対象年齢3歳以上と書いてあるのに。スペイン語にふりがなを振る気いっさいなし。せめてカタカナでどこかに書くべきでは。デザイン的にはルビ振らないほうがカッコいいのかもしれないが。そうして私の手間が増えている。舌打ちも出る。

 ときまさに都市封鎖が世界的大流行で爆発的患者急増な感染集団な現状。四歳児が、ぼくよくわからないんで英語習いたいわ、などと言い出すが、見ているのはルチャリブレなのでスペイン語だったり。もういいじゃん。DeepL翻訳が日本語対応したし、それをまたGoogle翻訳が丸呑みしてXbox Series Xではリアルタイム(即時)翻訳チャットが現実のものとなるならば、それはもう年末のことなんだし。

 カタカナで書いて、箱に入れておく。ボロボロになるまで読んだ結果、彼は「ベ」と発音するのを「ヴェ」と表記したがるようになった。小学校で怒られるかもしれない。

 スーパーカーを撮ろう。

ランボルギーニ
チェンテナリオ
ロードスター

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(ロードスターというとマツダのそれを連想しがちだが、二人乗りの屋根が開いた車全般をそう呼ぶ。ランボルギーニの創立者フェルッチオ・ランボルギーニ生誕百年の年、「Centenario(百年祭)」の名を冠して限定生産されたロードスターは世界で二十台。当時の価格で約二億円)

ランボルギーニ
ウラカン
ペルフォルマンテ

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(Huracan Performante。英訳するとhurricane performance。ハリケーンのパフォーマンス向上仕様。約三千万円)

ランボルギーニ
ヴェネーノ
ロードスター

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(ヴェネーノとは毒の意。そんな名前をつけるほうもつけるほうだが、ほかのひとは買わない車が欲しいひとのための車なので、ある意味正解。ランボルギーニ創業五十周年を記念してロードスターモデルが世界限定三台製造。なにせ三台なので。約四億円)

ランボルギーニ
アヴェンタドール
クーペ

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(Aventadorはスペインの闘牛場で最強と謳われた牛の名。クーペ(二人乗り)と、わざわざつけるのは、ロードスターモデルも多く作られているので、屋根のあるモデルですよという但し書き。量産型で現在も中古車は五千万円くらいで買える)

ランボルギーニ
レヴェントン
セーフティーカー

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(Reventonも闘牛の名前。世界のモーターショーでランボルギーニのスゴさを魅せようと展示された、ステルス戦闘機をモチーフにした攻撃的スーパーカー。限定二十台で実際に販売もされた。約一億五千万円。セーフティーカーというのは、レース好きならおなじみ、パトランプを点けてレース場の安全を確保する保安車。世界に二十台しかないレヴェントンに市松模様のペイントとパトランプを載せてセーフティーカーとして使っちゃうトミカ博の限定モデル。もちろん実車ではなくトミカ限定の話。長時間ならんでこれなに、ふつうのレヴェントンが欲しいよと私は思ったが、パトランプがついていれば子供は悦ぶ。どう見ても、もったいなくてカッコ悪いモデルだけれど、子供には絶賛される高度なジョークである)

 レヴェントン・セーフティーカーは、うちにあったので、ついでに足した。フロントガラスが曇るほどの傷が、どれほど飽きずに遊ばれたかを物語っている。手のひらのなかのスーパーカー。握りしめれば心安らぐロザリオのように。本物はどれも見たことがないのに、この世にそれは在ると確信して愛するのは、どこか神を想うに似る。

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 ちなみにですが、写真の下に敷いているのは、私の道路。

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『ミニカーのための道路を印刷する』の話。

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 上の記事の最後で、安心安全世界で愛される『とかげの月』印刷道路無料ダウンロード提供中ですので、巣ごもりトミカライフに、ぜひ、ご活用ください。







感動して、なんていうか。
しあわせにしてもらったってことですよね?
それって、なくならないじゃないですか。
なにがあっても。
ずっと大事で、ずっと残るものじゃないですか。
なにがあってもかわらない。

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テレビドラマ 『これは経費で落ちません!』

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 ウディ・アレンの回想録『Apropos of Nothing』。

「この本は、アレンの仕事とプライベート両方の人生が詳細に綴られており、映画、舞台、ナイトクラブ、執筆における彼の作品も書き表しています。また彼は、家族や友人、愛情の対象となった人々との関係にも触れています」

 四月に出しますよ、と三月の頭に宣伝を打つ。今月、ついこのあいだの話。その直後。

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 アメリカ・セクシャル・スキャンダルの闇をあばくバットマン、ローナン・ファローが、噛みついた。

 ローナンはウディの息子。

 血のつながっていない親子、というフレーズは、そんなのは親子の絆に関係ないという美しい方向で語られがちだが、ウディ・アレンの周囲では真逆。

 ローナンの姉は、七歳のときに、おにいちゃんのオモチャで遊んでいなさいと言われて遊んでいるあいだに背後から陰部をまさぐられた、という記憶をもとにウディを訴えたことがある。

 ローナンがキレる。

 おねえちゃんに事実確認をおこなわないで義父が勝手に書いた美しい想い出語りの本を出版するなど許せない。

 ローナンの『Catch and Kill』の出版作業と、ウディの美しい自伝のそれが、同じ出版社で同時進行されていたと知り、今後あなたたちとは仕事をしないと言い放つ。

 出版社の社員が賛同してデモ行進までする。
 ストライキがおこなわれて、朝のニュースになる。

 私は、それを見た。

 ウディは、その件に関して捜査を受けたうえで裁判は棄却になっている。だがしかし、あのとき問題にならなかったことが、いまは問題になる。パワーを持つ男が、他人の尊厳を踏みにじる行為に、世は敏感になった。ええ、あのウディ・アレンが、そんな話で義理の娘に訴えられた過去があるの?

 アシェット・ブック・グループは、ウディの本を出さないことに決めた。

 私は読みたかった。
 ウディが、ぺらぺらと自身の人生を過剰なまでに美しく語る文章は容易に想像できる。このおっさんは、と苦笑しながら読むことになる。そのあたりを、本人も計算し尽くしておどけてみせていたことだろう。読めないので、完全に想像でしかなくなってしまったわけだが。

 私は、彼が好きだ。

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『素敵なウディ』のこと。

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 ほぼ毎年、作品を公開し続けてきたウディ・アレンの記念すべき長編第五十作目が、2019年に公開されるはずだったが、記念すべきことに公開は見送られ、世界でいちばんだれもが出たがる映画を撮るひとと呼ばれていたそのひとの映画に、記念作に出演した俳優たちまでもがツバを吐いた。いまや世界中の俳優が、ウディの映画には出ないと言う。

 ちなみにウディ・アレンの現在の妻は、彼の娘だ。

「セックスと死だけは信じられる。どの作品だったか忘れたが、ウディ作品の名言だ」と、上のブログで私は書いている。そのとき2005年。内縁関係の女優ミア・ファローと、ウディが親権争いの裁判になったのは1993年。その裁判のなかで、七歳の娘の陰部に、という話はすでに出てくる。

 そもそも彼女とウディが別れることになったのは、ウディが22歳の娘の裸を撮影しているのに、彼女が遭遇してしまったからだった。なにをしているのとんでもないと彼女は怒るが、その前の21歳のときに、ウディは娘と肉体関係を持っていて、つまりそのヌード撮影会は恋人たちの蜜月の光景だった。

 その後、ウディは、もと義理の娘だったひとと35歳差をものともせず結婚して養子を育て、いまは八十代と四十代のカップルになり、いまもちゃんとセックスできているのかどうかわからないが、うまくいっているように見える。

 もちろん、親権争いに巻き込まれた、ローナンたちも、ウディ・アレン作品に出演した彼らも、世界中の俳優たちも、そんなことを知らないわけはない。

 今年は現実世界での開催が見送られることになったが、昨年のE3で、ゲームの話をしながら、けっきょくウディの映画につながってしまった。

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『Halo Infiniteの真実の一年後』の話。

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 『それでも恋するバルセロナ』は、ざっくり言えばパワフルな男性画家が、タイプの異なるふたりの女性の両方と寝てやると言って本当にそうなる映画。そういうストーリーでありながら、ハッピーなラブコメディである。その映画の彼女も、そういうウディがそういう映画を撮ると知って出て、ヒットして儲けたのだが。彼女もまた、ウディと仕事したことを後悔している新作の収益を寄付する、と発表した。

「なぜ#MeTooはウディ・アレンを見逃すのか」

 それが、この件の蒸し返されるきっかけであり、#MeToo運動に、あえて異論を唱えるのはバカのやること。

 ウディ・アレンを擁護するひとたちへ、と、彼女、彼らは言う。もっともなことを言う。私も異論を唱える気はない。

 ウディのつきあいはじめた女優には14人の子供がいて、そのうちの何人かに手を出したあげく、本当の愛を見つけて結ばれた、とか。質の悪いギャルゲーのシナリオのようであるが、そばにいると手が出ちゃうよね愛ってそこからはじまるよね、というのはウディ作品の根底を流れる、ヒトは考える葦ではなくて生々しい動物で制御が効かないからやっちゃえそれがヒトだ、という論に添ったものでもある。

 しかし、現実生活もそうだと、倫理的にはクソ野郎だ。
 しかし、そのクソ野郎の映画を私は好きだ。

 十五年前のブログで書いたことを、いまさら蒸し返して書きなおすのもおかしなことをしていると思うけれど。

 『素敵なウディの映画』。

 これなら許されるか。

 別に許してもらう必要はないことのように思うものの、歌うたうひとが不祥事起こして干されても、やがて復帰するのは、よく見る光景である。薬物で捕まったフォークシンガーが、このあいだテレビで感動的な母の歌をうたいながら赤裸々に己の人生を語っていたが、もちろん事件のことは話さなかった。みんな知っている。しかし、彼は歌い続け、その作品はまた受け入れられて、テレビのゴールデンタイムで特番が組まれるところまでもどる。

 あの件について省いて、なに美しく人生を語ってやがるんだと噛みつかれることはない。

 だがしかし、35歳下の、もと養女だった女性とならんで困った顔をする映画監督は、85歳になろうとしている。妻は、もと養母だった彼女に暴力を受けたと言い返すが、14人も子供がいたら、そんなこともあるだろうと世間は流す。実際に彼がクソ野郎であっても、虐待される養女を本気で愛してしまった心やさしい男だろうと、私は正直、どっちでもよくて、ただただ、いま起きたことではなく過去起きたことでいま干される85歳の監督が、最新作を凍結されて、四本の映画制作契約を破棄されたというニュースに、いやそれってもうウディの映画が観られないってことやないのん、と嘆いている。

 アメリカで吊されたウディが、『それでも恋するバルセロナ』のスタッフと組んで、スペインでの撮影をはじめたという話が流れているが。なんだかんだで恋愛を描かせたら、という作風で女性人気もあったウディが、弱者をもてあそぶクソ野郎認定されたことで、話題にすることを躊躇する観客は世界中で発生するだろうし、話題に出せない映画を観る人種は、極端に少なくなった地球だから。撮っても、世に出ない可能性はある。実際に最新作がそうで、それが公開されなかったのは、みんながすでに知っている過去のスキャンダルが原因で、配給会社はそれ込みで売るつもりで買ったのに、風当たりに負けた。

「なぜ#MeTooはウディ・アレンを見逃すのか」

 ツイッターが滅ばないかぎり、たぶんもう、ウディが人生のなかで、なにかを発表するたびに、そのハッシュタグが流れてきて、ええ、五十作も撮ってる偉大な監督が! と新たに驚くひとから、そのことはたっぷりと世間に蒔き直され、話題にされる。そんな監督の映画を売るというのは、なかなかに勇気がいる。

 冒頭引用したドラマのセリフは、原作の同じ回にはない。自分の娘ほどの年齢の女性にうつつを抜かしてダメになったと陰口を叩かれる職人が、実は──という内容だが、原作では職人本人が最後まで真実を口にすることはないのに、テレビドラマでは大会場で堂々と己の口で宣言する。そのドラマのウケは、非常によい。

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「経理さん、領収書見て変な顔してたから。さっき、うっちゃんと話していたでしょ。うっちゃんはあたしとたっちゃんを引き離そうとして必死なんですよ。経理さんだって疑っているんじゃないですか? あたしとたっちゃんが不倫しているんじゃないかって」

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青木祐子 『これは経費で落ちません! ~経理部の森若さん~』

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 原作では、彼女と彼女のないしょ話のなかでだけ明かされることが、公共放送でのドラマ化にあたり「実はそうではない」という、職人の潔癖さが世の全員に伝わるように改変された。この国でも、いま、それはそういうふうでなければならないからだろう。他人の、特にモノ作るヒトのスキャンダルは、世間一般全員の共有情報で、作るヒトに好ましくない事実があれば、作品も瞬時に価値を失う。不倫を疑われた職人は、すべてのひとの前でみずから口を開き、すべてのひとに潔白を認めてもらわなくてはならない。

 そういう場に、もと娘であった妻と現れてしまうのがウディである。ほら見ろここに愛はある、私は潔白だ、というアピールになると思っているとしたら、世間の風を読めなくなっていると言わざるをえない。

 えない。

 のだけれども。ハリウッドに背を向け、世間の風に反するあたりを描き続けてきた職人ウディの生きざまとしては、なにやってんのウディと苦笑しながら──いや、あいつはクソ野郎かもしれんから、好きとか言わない。金輪際言わない。作品に出てくれと言われたら出るかもしれないが、ぜったい言われないので気にすることはないし。ただ、まあ、ふわっとそういう気分になることはあって、ふわっとまた、なんどめかの彼の作品を観返すことはやめられないと断言できる。あれはやめられない。

 素敵なウディの映画は好き。
 中毒だ。認める。
 なにがあってもかわらない、というところはどうでもよくて、観たら私がしあわせになれるのだから。私の愛玩物として、捨てる気はない。

 がんばれウディとも思わないけれど、願わくば、ここに来て人生なんてクソだとヤケになったウディ・アレンの、毒まみれた新作が生まれでもしたら、きっとニヤニヤしながらしあわせになれるので、期待はしている。

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 最近になって、そこそこコントローラーをあつかえるようになってきた四歳の息子に、ボコボコと壁にぶつかりながら車を走らせる以外のゲームもさせてみようと、いろいろプレイさせてみた結果。

「ミハルやろう?」

 と、言うようになった。
 彼女の名前。

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 平野美晴。私はセガ下町育ちのぬるぬるのセガっこなので、ぜひとも『バーチャファイター』のほうに食いついて欲しかったが。

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『Virtua Fighter 5 Final Showdown』 / Microsoft Store

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 格闘システムがどうとかいう問題ではなく、彼は、ヒラノミハル嬢を動かす沼に堕ちてしまった。

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『鉄拳タッグトーナメント2』 / Microsoft Store

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 Xbox360ゲームの多くはXboxOneでもプレイできて。『鉄拳タッグトーナメント2』は、以前、ゴールド無料配布されたから所有しているけれど、私自身は、ほぼプレイしないで放置されていた。

 それがいま、もっとも我が家で稼働するゲームソフトになっている。

 まったく勝てはしない。というか勝つ気もない。それは『鉄拳』ではなく、平野美晴なのである。

 他の女性キャラも眼前に差し出す。女子プロレスをいっしょに観るので、ルチャっぽいマスクマンの女性キャラなどどうかと。いや違うと。ミハルのなにがそんなにいいのかと、見ていたら、どうも登場シーンからニヤついている。

 ミハルは、鉄拳の著名な女性格闘家キャラの友人という設定。それゆえ「え?あたしは闘わないよ?」というスタンスの言動をくり返す。見た目も、格闘からはほど遠い、下着……いや、水着、ビキニ。デニムのホットパンツで下を隠してはいるが……ジッパーを開けたままでビキニの下が覗いているのは、狙うにしてもあざとすぎるという感さえある。

 そんな彼女を、ニヤつきながら勝つ気もなく動かすことに悦びを見出している四歳児。よろしくない。水着の女性キャラを愛でるのはいいとして、彼女を闘わせて勝たせるためにコントローラーを握っているのだという意識のないのはよろしくない。

 そんななか、この春から新スーパー戦隊『魔進戦隊キラメイジャー』(ましんせんたいきらめいじゃー)が放送を開始した。初回を観た。イエローの戦士が、eスポーツのスーパースターという設定。TVゲームにチャンピオンがいるというのも、いくつかのeスポーツ番組をいっしょに観るので、息子は認知はしている。『鉄拳』は『バーチャファイター』のeスポーツ化を事実上阻止して普及したタイトルである。おおむねセガのゲーム機からXboxという流れで生きてきた者には、世界に誇る日本新戦隊の一員が詳しい説明もなく職業ゲーマーだと設定されたことは、胸中複雑な想いもありつつ、だからこそ、あったかもしれない並列世界の光景を夢想しながら眺める現実として、こういう時代が来たのだという感慨も深い。

 生まれて初めてふれたスーパーヒーローがeスポーツの選手だったから。だから自然と私もそういう道へ進んだのです、というエピソードが、いつかプロチャンピオンの口から当たり前に語られる世界への端緒。

 憧れるがいい!!

 と願いつつ観ていたら、息子が食いついた。
 キラメイグリーンに。
 速見瀬奈。
 なかのひと新條由芽。

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 グラビアアイドル連れてきて、ホットパンツでダンスさせる。



 もちろん、それを売る。



 プレミアムバンダイの速見瀬奈パンツ。役者サイズで作ってある。たいていのひとが身には着けられない。着けさせる気はない。一万円のパンツを買って愛でろという公式の開きなおりかたはすさまじく、キラメイグリーンは陸上競技アスリートの設定。

 オリンピックイヤーだしな。

 でも……どう見ても、ホットパンツにヘソ出しタンクトップという短距離走者の高等衣装が、オリンピックイヤーに育つおさなごらへ「走れ!」と夢みさせるために設定されたとは思えず。むしろ私に対するサービスかと感じ入りつつ自己嫌悪感もおぼえながら息子のとなりで観ていたら。

「ぼく……グリーン好き……」

 つぶやいている。
 まんまと。
 そうか。
 肌色の露出に弱いだけか。
 そろそろ女湯には子供だからといって入れてはいけないお年頃。
 健全といえば健全ではあるけれども。

 とりあえず。
 『鉄拳』のミハルを着替えさせた。

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 キラメイグリーンだよ。
 ありものでさくっと作ったのでクオリティはプレミアムバンダイのキラメイグリーンのパンツに遠くおよばないが。肌色を隠してみた。

 最初は顔もマスクで覆ったのだが、さすがにそれは平野美晴ではないというブーイングを受け、はがす。かわいくないという注文もつけられて本人に選ばせたら猫耳が付属した。

 いやというほどデフォルトビキニ平野美晴でプレイしていたので、着替えさせられるというだけで悦んでいる。その姿を眺め、そういう性質というものは、学習によって後付けされていくものなのだと確信する。

 控えめな言動の少女が肌色を露出しているところに恋した少年は、いま、その少女が緑色の全身スーツで覆われたことに興奮している。当初の萌え要素からはズレて、一段ステップを上がったのか、それとも慣れによる感覚の鈍磨か。キラメイグリーンのコスプレをさせておいてそれを脱がせる行程を経ないと……という育てかたをしたいがためではない。私はただ、好きなキャラで闘って勝つという悦びを感じるプレイを後進へと勧めたいだけだ。そのはずなのだが。

「ミハル、キラメイグリーンや」

 うれしそうな彼の、ゲーマー魂を鍛えているようには、どうも思えず。別のなにかを育んでいる気がする。教育とは、なんだ。どうするべきなのだ。

 平野美晴のカスタマイズ衣装には、メイド服もスク水もあるが、それらを目に触れさせたくはない。と思う自分に問う。それらこそ、短距離走者の衣装に萌えるよりも高度な、圧倒的非現実を愛でるというヒトにだけ可能な思考遊戯であって、後付けしなければ発達しない感性。それを親だから先輩ゲーマーだからという立場なだけで排除していいのか。だいたい我が家には、毎週、週刊少年マガジンが転がっていて、非現実的なコスプレ少女の肌色多めな巻頭グラビアは、新聞のいち記事と同じように摂取されている。コスプレビキニ満載の東京女子プロレスを観戦しながらの夕餉で家族の会話がなされている。

 萌えは多いほど人生はゆたかではないか?
 だったら萌え幅を広げてやるのは良いことではないか?
 犯罪者を育てることにつながるのか?
 それは私が決めることか?
 決められることなのか?

 がっつりXboxOneにもマイクロソフトアカウントにもペアレンタルコントロールはかけてあるが。『鉄拳』がプレイできなくなることはない。

 ちなみにCERO(Computer Entertainment Rating Organization)のレーティングでは、eスポーツの大会で多く使われる格闘ゲームのほぼすべてがセクシャルとバイオレンスの表現において12歳以上、もしくは15歳以上の区分である。だが、格闘ゲームをプレイするeスポーツの中継はテレビで朝からやっている。今年に入って、神戸の中心部には大きな格闘場が建った。

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esportsアリーナ三宮

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 キラメイイエロー木原瑠生(きはらるい)は、eスポーツ界のNO.1プレイヤーで、シューティングゲーム部門賞金ランキング1位。という設定。シューティングゲームとはなんだ。FPSか。『Halo』か。

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『eスポーツとしてのHalo』のこと。

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 『Halo 5: Guardians』はCEROレーティングで17歳以上しか触れてはいけない。銃持って異星人を排除するのだから。バイオレンスしかない。そうでないシューティングゲームはあるのか。ないのなら日曜の朝から幼児に夢みさせるヒーローがプレイして賞金まで稼いでいるのは不適切ではないか。

 ん? キラメイジャーが、そもそも銃も剣も持って異星人を排除していませんこと。CERO区分どうなってんだ。これは親としてクレーム入れるべきか。でもたぶんいまはキラメイグリーンのパンツに対するクレーム処理で大忙しだろうから、少し待ってからにするか。スーパー戦隊の女性比率が低いのはけしからんという声に応えてのグリーンが女性という希有なところを踏み切ったのかと思ったら肌色倍増計画にしか見えないことに、私とは別の意味で興奮しているヒトも多いに違いない。キラメイピンクも医者設定にわざわざ美人すぎるなどとつけ加えて闘いをみずから生んでいくスタイル。否も応もある。それがヒトの世。令和の世。

 ヨシノギタクミは『魔進戦隊キラメイジャー』を応援しています。

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 余談ですが、それも後付けで学習するものだという観察事例。

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 レゴのマインクラフトというシリーズがあって。マインクラフトというのはスマホでもプレイされるくらいに認知されたマイクロソフトの権利ブツで。



 我が家ではマイクロソフトのゲーム機がリビングにあって。そこにマインクラフトがあって。

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Minecraft | Xbox

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 あ、レゴの。やりたい。やらせる。

 と、ずっと上を見てる。
 教えてやる。
 いつのまにか、こんどはずっと下を見てる。

 FPSにおける、移動と、視点の操作という概念が理解できない。直感的にわかりそうなものだけれど、いくら教えても前に歩きながら上を見て、自分がどこにいるのかわからなくなる。いわゆる3D箱庭系のゲームでは、もれなくそうなるため、ソニックアドベンチャーだとかバンジョーとカズーイだのも、あらぬ方向を向きながら歩くためゲームにならない。カーレースがちゃんとプレイできるのに、FPSの視点移動はどうしてもできないのだった。そっちのほうが簡単な気がするが、簡単かどうかという問題ではなく、たぶん猿もできない。自分の生きている実際の目は画面をまっすぐ見ているのに、画面のなかの自身の生きていないアバターは違う方向を向く、というのがわからない様子。それはヒトがおぼえた芸で、後天的に学習と特訓をしないと身につかないもののようだ。

 そんなわけで、我が心の故郷FPSヘイローユニバースを、彼といっしょに旅することはいまだできていない。広大な世界で、彼は上を向いてしまって、あれこれどうなってんのと訊くから教えてもいっこうに理解しないから。

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