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○材料

殻つき牡蠣 10個

○作り方

 たわしで牡蠣の殻をガシガシ洗いましょう。殻は食べませんけれども。虫とかついていたらイヤじゃないですか。洗えたら、なるべく殻が膨らんだほうを下にして(殻が開いたときに汁がこぼれにくいように)、ダッチオーブンにつめこみます。

 牡蠣以外のなにも入れない。

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 強火三分。中火で七分。合計十分。

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 炭火ではなく家庭用コンロで調理する場合、温度センサー解除機能が搭載されていない機種では自動消火されてしまって、強火三分は不可能なことも。そのときはセンサーが作動したところから火を弱めて合計十分でよし。鋳鉄ダッチオーブンの底が、コンロに熱すぎると判定されるほど熱されていれば、ダッチオーブン内部は火を弱めても強火維持されています。

 サイズによって牡蠣の殻が開くものもあれば開かないものもある。といってすべてが、ぱっかり開くまで焼くとなると加熱しすぎ。十分ほどでよいのではないかというのは私の判断です。

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 手づかみで、ナイフで貝柱を切って開く。
 そのままイッてもよいですし。

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 レモン果汁、オリーブオイル、タバスコなどで味を足しても。

 ごちそうさま。

 ダッチオーブンの底には、カップ一杯ほどの牡蠣汁が溜まっているので回収。牡蠣殻がまじっているので濾して、炊き込みごはんにします。

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『基本の炊きこみごはん』のこと。

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 今回は白米三合に玄米一合。椎茸と昆布ダシなしで、牡蠣汁にしょうゆとみりんを大さじ一ずつ。冷凍中華野菜ミックス刻んだのと、油揚げも冷凍庫にあったのでひとつかみ放り入れた。

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 朝ごはんになりました。
 残りは冷凍庫に200グラムでラップパックして備蓄。

 ありがとう牡蠣。

 ごちそうさま。

 実は今回、以前に書いた記事の補足的な。

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『牡蠣を焼く』のこと。

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 レシピにしては駄文が長すぎるし、タイトルに肝心の「ダッチオーブン」が入っていない。うちのようなニッチを狙うブログでは、そういうピンポイントな語句こそが重要なのに。つまるところ SEO対策がなっちゃいない。

 2010年一月の記事。
 そしていままさに来ようとする2020年。

 十年前の私が、なっちゃいない。
 なっちゃいないって、なっちゃうならなんになるのか。いやたぶん、なんにもならない。ならないままに十年経って、同じようにダッチオーブンで牡蠣を焼いている。

 この冬は、私の記憶にあるかぎり、もっとも暖房器具が売れていない。あたたかいから。あたたかいまま年を越そうとしてる。海のそばで生まれて、物心ついたときから生で食べていた牡蠣に、火を通すようになったのも、大きなくくりではそういう地球の変化に関係があるのかもしれなくて。

 万物流転。
 なにもかもながれてかわる。

 だとしたら、変わらないことをさがすのもいい。なんであれこの冬も変わらない故郷を味わった。十年前と同じあなたを想いながら、こうやって語りかけている。あなたが、大きく変わったのだとしても。もしかして、もうそこにはいないのだとしても。

 だからなに。
 変わらないものは変わらないで変わらないまま。

 言う。想う。

 よいおとしを。

 愛してる。

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※追陳

 これを書いているさなか、とある結婚を報じるニュースに触れる。

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『虫タコスの精神にのっとるトルティーヤ』の話。

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 ほぼ五年前の記事。彼女は今年、引退してしまいましたけれども、引退されたからこそ、刻が止まった妹麗(まいれい・「妹麗 とかげ」でググってください)な偶像として我が脳内に刻まれた永遠の推し、ムーミン……いや、夢眠いもうと。彼女をめとったのがバカリズムのひとと聞き、まっさきに浮かんだのは、いつかテレビの『すべらない話』で、彼が話したことだった。

「ひとり暮らしのフローリングの部屋で防水のソファに座ってテレビを観ていて尿意をおぼえてあれそういえば服を着たままおしっこってしたことがないなと思ってしてみたらカラダが拒否してうまくできなかったのだけれどそこを越えて服を着たままのおしっこに成功したら逆にカラダがおぼえてしまってたいへんなことになった」

 というような話。

 で、もちろん彼女はその部屋に行って、えーこれがあのテレビで言っていたソファ、みたいな会話はあっただろうし、そういうのをおもしろがってケタケタ笑うひとだから、そうすると次には彼と彼女がならんでソファに座って着衣放尿に興じてほんとだ気持ちいいですねなんていうところも浮かんできて。ひとりで独創的なプレイに悦楽を追い求められるオタク気質なふたりが出逢って理解しあう先にあるだろう相互オナニーに近いふたりだけの行為は秘密めいてそれはそれはすてきな関係性を手に入れましたねおめでとうございますと思いながら、推しが嫁いだニュースにそういう脳内変換で自身のオナニーにしてしまう自分にほとほとほと、と、ため息をつきつつ、いまを迎えているのでした。

 ごちそうさま。

 おしあわせに。

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ドーナツの穴。

ない。

ということが、そこに在る。

西暦2019年、日本大阪府下の、どこにもゾウはいない。最後にいたのがここである。

いた。

だから、いまは、

いない。

ことを説明している。
この動物園の方針では、新しいゾウは買わない。めっちゃ食うから。エサ代がかかるから、動物を飼わないことにする。猫を飼おうかどうしようかという、家族会議のようだ。世話するからあぁ。と子供がゴネても、親に金の話をされては、返せる言葉はない。

大阪府民のなかにも、吠えているひとたちはいる。しかし動物園からは、金の話しか返ってこない。

現に、ここに。

ゾウはいません。

という看板の前に私。
ゾウがいないから動物園に行かない、というひとは少ないだろう。かといって、ゾウがいるから動物園へ行く、というひともいまや少なく。

ゾウがいない動物園は寂しい。

そんな地元の感傷は収益にならない。

『ジュラシック・パーク』を想う。
恐竜なら儲かる。

レオポン、という生きた獣を、私は兵庫県の動物園で見た。現在では倫理的に禁止された、造られた獣だった。新種を造るの禁止。収益に見あう、ありふれた種を多数陳列。いまの動物園の向かう先は、博物館なのかも。

「ここにこんなのがいました」

蘇らせるのは禁止なので、本物と見紛うばかりの、精巧なアニマロイドを展示。ゾウのロボは電気を食うので1/60スケールで製作しました。

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 事前に、つぶやく。

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・即位礼正殿の儀で天王寺動物園が無料だというから検索かけて、ゾウに続きコアラもいなくなったのだと知る。ヒョウもオウサマペンギンもいずれ去り、外国人観光客に向けて日本のキツネとタヌキを飼育するそうだ。という方針ならまず公式の園内紹介にいまだゾウもコアラも見られると書いてあるのは直そ?

twitter / Yoshinogi

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『天王寺動物園』公式

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 それでも行った。ゾウもコアラもいないのだが。つまりゾウもコアラもいなくたって来る客は来る。まあ、その日に行ったのはタダだったからではあるが、一歳のあいだに動物園に行くと特殊な免疫がつくという、まことしやかな嘘くさい育児情報にのっかって金を払ったこともある。

 嘘くさいことではあるが、成人してから白衣を着るようになって、日々、コンコンゴホゴホやっているひとたちと触れあうようになってから、あきらかに私は風邪をひきにくくなっている。という事実もあるので、薄く広く様々な病気のみなもとに近づいておくと、肉体の防御機構が鍛えられるというところはあるかもしれない。

 ヒトはなんにでも慣れる生き物。

 それも嘘くさい話ではあるけれど、インドでは、乳幼児のお食い初めから唐辛子が入っているとか。遺伝子ではなく鍛錬。慣れていかないと、インド生まれでも大人になって辛いカレーを食って寝こむなんて成長もありうる。

 という意味では、大人になってはじめてカバに遭ってその匂いで寝こむというケースだってないことはない気もするから、成長過程でカバに近づいておくことも、具体的になにがどうとは解明できないにしても、意味があるような気もする。ヒトでも動物でも、臭いやつはめっちゃ臭いし。まわりがいい匂いのヒトばかりな狭い世界で育つと、匂いが特別にスペシャルなものになりすぎて、寝こむかわりにフェチに振れて、ヒトではなくヒトの体臭に執着してしまうような大人にもなりかねない。

 そんなこんなで、令和がはじまるのとなにが関係あるのか不明ながら無料になっていた大阪天王寺動物園は、ベビーカーもいっぱい。シロクマの柵の前で、私も怒られた(ベビーカーの子がクマに近づけないでしょうという。まったく大人は下がりなさいよ、と大阪のヤンママは実際に口に出して言う。でも別にそこかしこでケンカが起こったりはしない。人混みがあればみんな滑舌よくぶつくさ言っている。大阪人の慣れである)。

 一方、息子はカバも見なければトラも見なかった。私が、いつも銀のトカゲの指輪をはめているので、お父さんはトカゲが好きなんでしょう、と爬虫類館には、つきあってくれた。

 行ったら行ったで、恐竜とゾイドにハマり中だから、ワニの骨格標本の前から動かなくなったりするものの。

 爬虫類館を出たら、もういい? せっかく偉いひとが祝えと開放した動物園に、まったく興味なし。乳幼児のときから、ふれあい動物園などに免疫つけに行った弊害といえるのか、彼は異常にヤギ嫌いだ。メエと鳴くから。ツノが生えているから。ツノの生えた動物型ロボットは大好きだが、生きているのはダメ。ヤギにエサをあげるために行列ができている開放された天王寺動物園の、その日の空気さえもが気に入らないらしい。

 いや確かに、天王寺動物園のヤギたちは、奇妙な感じではある。

 見た目の異様さで人だかりができていた長老ヤギ。

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(昨日のニュースで皇族のかたも、先述のワニの骨格標本に食いついたあと、ヤギの写真を撮ったと報じられていた。たぶんこのヤギだろう)

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『天王寺動物園』ニュース検索

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 展示はこんなふう。

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 ごくふつうのヤギを、遠くから。ところでこの写真を撮った私の背後では大工事がおこなわれていたのだが。それはゾウやコアラがいなくなったかわりに新しいゾーンを作る工事だった。

 里山ゾーン。

 日本固有のキツネやタヌキを魅せるという。しろうとでも容易に想像がつく、ゾウやコアラのようなエサ代がかからないという理由がまっさきにあっての選択のように思えるが、公式の発表によると、外国人観光客が見たがっているのは日本であって、だから里山なのだそうだ。

 そう。息子は天王寺動物園になんどか来たことがあって、慣れてしまって、それで動物園に身が入らない。ここを一歩出れば、目の前に通天閣。外国人だらけで、大阪のキッチュさを全開にした土産物屋が並び、スマートボールに興じる大人たちと、壁一面の得体の知れないガチャガチャ群。

 外国人が観に来るカオス。
 慣れた日本の子供にも人気。

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 そのうえ、通天閣を行きすぎれば、日本橋の電気屋街へと続く。私がいまこれを書いているパソコンは自作。そういうひとたちがふらふらと歩く街だったのが、いまではメイド喫茶と、外国人向け、日本の玩具を売る巨大おもちゃ屋街という側面を持つ。

 マザーボードに興味のない幼児も、見たことがないトランスフォーマーの超合金が並んでいたりするので、日本橋の大ファン。そっちに慣れたら、動物園など、トカゲも見たんだからもういいでしょうとなってしまうもの。

 ふとまわりを見ると、日本の、自分の足で興味があるほうに歩くようになったくらいの子供がたどる道を、よそから来た観光客もたどっていることに気づく。ビリケンさんのピンクのTシャツを着ていた肌の黒いひとは、たしか動物園でも遭ったのに、電気屋街で、また遭う。

 つまり、トカゲ見たからもういいでしょう、カバもトラも見なくていいよ、通天閣の地下で猿回し観て、日本橋行ってキティちゃん新幹線のプラレールまとめ買いする時間がなくなっちゃうやん、的な回遊を、彼らもしている。

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 まさにそれを後押しするエリアパスポートなるものが配られはじめた。

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Osaka South Gate Abeno and Tennoji PASSPORT

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 阿倍野、天王寺の二十七施設をまわろう! という割引券つき外国人観光客向けエリアガイド。

 二十七施設……むろん、日本一の超高層ビルあべのハルカス展望台などが含まれる。天王寺動物園も名を連ねてはいるが、こちらからして周遊してくれとうながすくらいだ。じっくり動物園で一日つぶそうなんて観光客は、まずいない。

 ゾウも、コアラも。

 いなくなるなんて! もどして! と叫んでいるのは地元民のそれもごく一部のひとたちだけ。ゾウがキツネになり、コアラがタヌキになって、この先はヒョウがイタチになって、オウサマペンギンはスズメにでもなるだろうか。

 ヤギの展示を想う。

 『スズメ』と看板に書いて、立てておくといい。柵のなかにエサをまいておけば、阿倍野と天王寺のスズメが、向こうから入ってくる。

「すごいねえ、あんな可愛らしい小鳥が、都会に棲んでいる」

 微笑ましく眺める観光客たち。
 入園料変わらず。

 ゾウやコアラがいたころと、入場者数は変わらないでいけそうな気もする。なんていう未来を想像すると、いやだからだったら動物園てのがそもそもさ。ガンダムとザクを戦わせたほうが、それ目当ての外国人が来るんじゃね。

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 なんてことになりはしないかと。なったらいけないのかというと、なにも困らないような気もするし、困らないけれど寂しいという、近所の少数の叫んでいるひとたちの気持ちが、ちょっとわかるような気もするようなという……

 は!? これか。まんまと令和のはじめに無料の動物園を無料だからさらっと通りすぎて、日本の未来予想などはじめてしまった。

 おめでとう令和。
 来たれ観光客。
 金をよこせ。
 ロボットと里山を魅せてやる。
 それが私たちの生きていく道。

 ここは日本です。
 伝えたいのは、それだけ。

 だったらそうね。
 ゾウもコアラも、いらないか。

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 頭はライオンでカラダはヒョウ。レオポンを造るのはもう許されないけれど、その種は動物園なくして生まれなかったのだと考えたら、動物園が在る意味は、あのころ確かに、そこにあったのだった。動物と人間の関係性を模索する施設。だとすれば「赤ん坊に免疫つけさせる施設」だとか「人間にカワイイと思われるアニマロイドを造る施設」なんていう方向性で深化していってもいいではないか。はじめてペットロボットに触れたのが天王寺動物園でさあ、気に入って買っちゃって、いまもいっしょにいるんだ。おおげさでなく、あたしの人生、あれなかったら違ってた。だってこの子を知らずに生きてたってことだよ? みたいな。

「いつもと違うね」
「生地を発酵させようとしたんだけど、オーブンの操作を間違えて」
「なにをしたの」
「180度で一時間焼いた」

 きみはおれを見る。おれもきみを見る。焦点があわなくて、イーストを溶かす前、オリーブオイルをたらしたボールのなかの水の向こうにいるみたいな──違う。向こうにいるのはおれのほう。ぜんぶがそんなふうだから、発酵と焼きの操作を誤ったりする。

「めずらしい」

 きみが笑う。いきどおる。だれのせいだと思ってる。思ったら、口に出す。それがパートナーというものを長く続ける秘訣だと、だれかにしたり顔で言った自分のことも、思い出す。

「しゅういちろう」

 うん? と首をかしげられた。

「しゅういちろう。だれ」

 なにかと聞き間違えようのない、男の名前。予感のように目が醒めて、見ている前で、寝言を口にしたとき、そういう顔をされたから。恋に浮かれて甘く笑むのを誤解する、長年ベッドをともにしたパートナーなんて、いない。たとえ、笑みとともにこぼれたのが、知らないどこかの男の名前だったとしても。

「シュウイチロウ? だれ?」
「訊いてんのは、おれ」
「おれに?」
「そう。いま、おまえが指さしている、そいつに」

 かしげた首をもどす。逆にかしげる。ケンカ売ってんのか──

「知らないがわけない!! だれの夢を──っ」
「あ」
「あぁ?」
「夢の話か──」

 だから、隠しようがない。

「ごめんね、ポンコツで」
「ぁあ?」
「おれ、ほら、中古品だから」

 自分の頬を、手のひらで叩く。中古品。そういう話を、深く訊いたことはない。金星行きは安い買い物ではないし、子孫たちのなかでも金銭的に苦しい層へと事故移体を斡旋する業者がいるのは合法かと問われればかぎりなくグレーだが、バレたとして肉体を取りあげられることなどもちろんない。

「……前の住人の記憶が?」

 住人、という呼称が適切かと悩む前に口にしてしまった。気のおけないパートナーとの距離感が近すぎて、おなじ金星生まれでもスラムっ子だしという言葉の裏に隠されたあれこれを、いままでいちども掘り下げなかったツケを払う。

「そんなわけない。都市伝説。って言い切れたらいいんだけどさ。そのひと、知らない。ほんとに」

 かすかに笑みを残したまま言う。その手の伝説は貧民街だけに蔓延しているわけではない。金星には金星の幽霊がいる。というような言いまわしを、祖父はした。

「……ほんとかよ」

 言えた。選択。いまさら。掘り下げる?

「おれの浮気で、こんなんができたんだ」

 いちおうパン。しかして失敗の産物。かじって。発酵していないからか、すごくパンの味が濃いという感想を漏らす。きみに、こっちを見て欲しい。おれにも、あの微笑みを向けて。いつか向けてくれていたことはあった? おれのよりも、あれはいいもののような気がした──怖くなりながら。浮気という言葉を、無視して。

「イースト菌は、味のために入れるわけじゃない」

 いつものようにふわふわな発酵にいたる前に、不意打ちで焼かれた彼らに同情する。変わりない笑顔にもどって、彼らを食む、きみを笑いながら睨む。睨んでいるのか笑っているのか自分でもわからなくなってきて、焼くつもりの前に焼けてしまったそれを自分でも食べてみたら、おいしくておどろく。

「ああ。濃い。二度とイヤだ」
「そう? このやりかたを改良したら、新しい、おいしいのができそうな気もするけど」

 それはつまりマズイということを歪曲表明しているのか──なんていうのがもう、面倒くさい。

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Yoshinogi Takumi
 Shonen-ai Cooking Elegy
 Song 28
 『Bread Born Brow it.』

(吉秒匠
 BL料理哀歌
 28曲目
 『しくじりパン』)

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○材料

強力粉 400グラム
ぬるま湯 300cc
砂糖 大さじ1/2
オリーブオイル 大さじ1
ドライイースト 大さじ1
塩 ひとつまみ

○作り方

1. 気のおけない長年ベッドをともにしたパートナーの浮気を疑います。

2. 下記レシピを参考にピザ生地をこねてオーブンに入れます。

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『ピザ生地とソースのレシピ』のこと。

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3. 発酵40℃のつもりが、余熱あり180℃で一時間を入力します。

4. フタを開けたらパンが焼けているので驚きます。

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 裏返すときつね色。

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 ダメかなと思いつつ、切ってみると食べられそう。

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 で、スライスしてトーストした。

 ポイントは、ステンレスのボウルで上下を覆ってしまう私の癖。

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 これによりわずかなりとも発酵の時間がかせげたために、まったく膨らんでいない焼けた小麦粉のかたまり、というわけではなくなっていた。

 でもまあ、あえてしくじる必要もないので、このレシピがこの世にとってなんのやくにたつかといえば、なんのやくにもたたず。ただ、いつものことがいつものようにできなかったとき、自分が受けたダメージは自分が思っていたよりも深いのだ、ということに気づくべき、という例として提示する意味はあるかもしれないと。毎週こねて焼くピザ。ほぼ自動的な一連の動作であるにもかかわらず、これまでになんどか、イーストを入れ忘れてふくらまなかったといったことがある。そしてそのたび、私自身になにごとかが起こっている。

 今夜はふくらます前に焼いてしまった。

 かなり傷は深いのか。イースト臭いパンをかじりながら酒でも飲んで寝ることにするか。そういう教訓。

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Yoshinogi Takumi
 Shonen-ai Cooking Elegy

27曲目『五十秒後、ふたりの時間』
26曲目『穴は穴。ドーナツの一部ではない。』
25曲目『具のないピッツァの電源を切り……』
24曲目『姫始め葷縛り』
23曲目『また逢ってタコス』
22曲目『彼は彼のそれを彼と呼ぶべきではなかった。』
21曲目『形状と呼応』
20曲目『轢かれ鉄のサイジ』
19曲目『黒い彼が焼いたぼくのための白いパン』
18曲目『となりの部屋』
17曲目『ヴィアール遭遇』
16曲目『アネ化けロースカツ』
15曲目『逆想アドミタンス』
14曲目『恋なすび寿司』
13曲目『バーベキュー厳峻鋼』
12曲目『茄子はダシの夢をみるか?』
11曲目『すっぱくても、平気。』
10曲目『踏み絵ムルギティッカ』
9曲目『ひとくちだけカトルカール』
8曲目『春節の静かな賞品』
7曲目『ナンを焼くと両手がつかえない。』
6曲目『タマレってなに?』
5曲目『あらいぐまのすきなもの。』
4曲目『ピッツァみたいにぼくを食べてよ!!』
3曲目『クリスピー・プロ・フライドチキン』
2曲目『青くてカタいアボカドのパスタ』
1曲目『春餅/チュンピン』