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 2025年大阪万博開催決定!!

 会場予定地は大阪市西部の人工島「夢洲」!!
 ユメシマと読む!!
 素敵!!

 と、大阪から離れた場所で暮らすみなさんは思うかもしれないし、あまつさえ常日頃、この吉秒匠『とかげの月』に寄り道くださっているかたも、それとこれが結びついてはいないのではなかろうか、というようなことを思いまして。

 せっかくですので大阪在住わたくしヨシノギ。大阪万博予定地付近の写真があれこれありますので、雰囲気をお伝えできたらば、と。

 夢洲は、現在埋め立て中の人工島。その南北には、すでに完成して運用されている兄弟人工島と呼べる、舞洲と咲洲が存在する。

 北から、
 マイシマ。
 ユメシマ。
 サキシマ。
 ほらやっぱり素敵。

 ユメちゃんはいまだ埋め立て中でほぼ空き地だし、マイちゃんは大阪へオリンピックを呼ぼうということで土地だけ準備したが勝負には負け、しかし未練たらしくスポーツで大阪を元気にと、ほぼ運動公園になっている。

 空き地に用はないし、わざわざ海の上まで行って走りたくもない私にとって、馴染みがあるのはサキちゃん。

 直近で記事にしたのは、これ。

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『トミカ博を緩歩する』のこと。

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 『トミカ博』の前の『プラレール博』から写真をアップしている。そこから咲洲の風景が写っているものを再掲してみる。

PlarailExpo2018

 この写真に添えて私は書いた。

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 ニュートラム南港ポートタウン線『コスモスクエア』行き。昭和の日の幼い私がその響きを聞いたら、どこの火星を舞台にしたロボットアニメの鉄道かと思うような名前である。いかにも反乱軍にテロ攻撃されそうだ(実際、Asia & Pacific Trade Center、略称ATCは、大阪湾に浮かぶ人工孤島咲洲にあるので、道路とニュートラムを爆破すればテロリストたちが独立国家を宣言するのに最適な立地ではある)。

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 もちろん2025年大阪万博開催予定地人工島夢洲も、咲洲とこれでつながっている。モノレール。サイファイ愛好者の発想として、そんな妄想に耽ったけれど、近未来に現実、その島へ世界中から八十億人を来場させるという。言霊を信じる私としては、軽々しく口にするんじゃなかったというところではある。

TomicaExpo201805

 人工島側の出口。
 これで八十億人……詰まると思う。
 ニュートラムモノレールの本数を増やしたり駅を大きくするよりも、三島への幅広い橋を新たに建造したほうが、むしろ現実的ではないか。

TomicaExpo201807

 島の周囲は遊歩道になっていて、万博でも恋人たちが闊歩することだろうが。忠告しておきたい。いつ行っても、おにぎりは半分食べたら転がっていく。海上にぽつりと浮かぶ平らな島に行ったことのないひとには想像を絶することだろうが、風が吹いている。そのレベルたるや、髪をセットしていたらアフロになるし、帽子もカツラもぜんぶ飛んでいく。スカートはミニでブルマ着用が正しくロングだと真剣にナチュラルに巾着になる。風は下からまくってくるのだ。少なくとも私は実体験として、食べかけのおにぎりが風でいつも転がっていく観光地をここのほかに知らない。

FerrySunflower

 フェリーが夕暮れになるときれいだ。
 私ごとだが、大阪で物販をしているので、当事者なわけだが。この年末になっても、いまだ関西国際空港が台風でダウンした夏の名残で、発注しても入ってこない商品が多々ある。
 おぼえているだろうか。
 舞洲夢洲咲洲と、同じ思想で建造された海の上の巨大空港が、孤立した原因は、関西国際空港と対岸を結ぶ連絡橋に巨大な船が風で流され衝突したからであった。

 このフェリーの写真は、今年の初めに撮ったもの。あの夏を越えて、いま私の脳表には、これが流れていったらなにを破壊できるだろうかという嫌な想像がよぎる。ああ嫌だ。

TomicaExpo201803

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 なにせほぼ無人の250メートル55階建てなどという建造物は、ここにしかない。現状、世界一のっとりやすいシンボルタワーだ(近々、多くのフロアがホテルになる予定。大阪湾岸へのカジノの誘致が決まったら、そこには世界の有象無象が宿泊するわけで、無人高層ビルよりもある意味近寄りがたいものをその身に纏うことになるのか……超高層ホテルとして開業したあげくカジノ誘致失敗で、廃墟ぶりをさらに加速させるというシナリオもあるかもしれない)。

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 カジノか。このネットの時代に、リアル展示を見ようと八十億人が人工島を訪れるという試算には強気怪獣かという気がしなくもないが、カジノがあるとなれば話は別だ。容易に私には想像できるぞ、賑わう夢の島の光景が。近所だが幼い息子は連れていかないだろうが。ぜひとも住人からではなく、観光客から巻きあげていただきたい。ん? なにかおかしなことを言ったか? 万博ヤってカジノ作れば大阪が潤うって、そういうことじゃないの。私ちゃんと理解していない?

 いくつかの写真を新たに。

sakishima1801

 Asia & Pacific Trade Center、略称ATCに至るすべての道はきれいに舗装されている。海を埋めてすべてを作ったのだから、当然といえば当然のこと。しかし同時に、道路脇には雑草が生い茂っている。花も咲いてはいるのだが。これも当然といえば当然のことなのだけれど、島中の道路脇に花を植えるための土を置いたら、雑草も生えるし、そうするとそれをむしるひとが必要になる。この三島に住人はいない。日常はない。ニュートラムでやってくるひとたちだけが通りすぎる島だ。住人は家のまわりを掃除するが、観光客はしない。この島で雑草を抜くのは、だれかに雇われただれかだけである。

 ないところに新たに土地を生み出すというのは、よく考えないと、だれも見ていない水槽。エサをやり、水の清浄さを保つ手段がないと、魚は死ぬ。

sakishima1802

 咲洲を象徴するのは、この大阪入国管理局ではないかと密かに思っている。十年ちょっと前まで、大阪の象徴たる大阪城の下町にあった大阪入国管理局が、咲洲へと移った。そりゃ新しい島を作ったのだからウキウキ移転。

 大阪入国管理局には、公式Twitterがある。

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大阪入国管理局(@IMMI_OSAKA)さん | Twitter

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 すごく親切。今日は込んでいていま現在来ても一時間待ちだということと、近隣の学校等の駐車場に無断駐車しないように、というツイートだけで埋まっている。もちろんコスモスクエア行きニュートラムで来いということだ。行ってもお待ちのかたが列を成していて、土日祝日は休みで、九時十六時で閉まる。

 このTwitterを頼りにしているのが日本語がそんなに得意でない方々で、その方々をモノレールに詰めて海の端のさらに向こうの海の上に埋め立てた島へわざわざ移転させた建物へおいでませというオモテナシには、大阪独自の他の追随を許さないなにかを感じる。

sakishima1803

 咲洲の端に行くと、埋め立て中の夢洲が見える。

 あそこで、世界から八十億人がやってくるとかいうイベントが開催されるってよ。あら、意外とすぐの話ね。

 たのしみです。
 ああ、たのしみですとも。

関連記事・・・・・・・・・・・・・・

『ゴジラ VS 太陽の塔』の話。

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KOTE01

そういうモノを売る仕事をしているために、私のなかではコテと呼ばれると、左官道具のそれを思ってしまう。
セメント塗る、あれ。

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ていうか実際に歴史上、混同されたのではないか。

母が広島生まれで。
私はこれをテコと呼んでいた。
そっちが正解ではないのか。
テコの原理のテコである。
お好み焼きをひっくり返す。
広島焼きとはキャベツとネギ。生地に混ぜ込まないそれらは、ひっくり返すのがヘタなひとだと、まわりに飛び散る。広島ではテコを二本使って、えいやっと空中で廻して落とす。

それがまあ大阪焼きに代表される、生地で固めたホットケーキ風なのが主流となった地域では。崩れないのだから。えいやっとやる意味もない。

目玉焼きと同じ道具でひっくり返せる。
フライ返しのない料理店などない。
バタービーターでよい。

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テコなんていらない。
いらないのに付属してきたのだろう。
そうなると大きなテコは邪魔だ。
ひっくり返すのには使わず、食べるためだけに使うのならば、小さいほうが使いやすい。

写真は我が家の三歳児専用テコ。
お好み焼きも専用。
小さめキャベツ少なめ肉多め。
大阪的に固めて、溶き卵あえ焼きそばもカリカリを表面を焼く。ばらつかないように作ってある。
私がテコで食べるので、子もテコで食べたがり、しかし私のは大きかったので、小さいのを買った。
上手に食べる。
切ることはできない。
キッチンバサミ常備。
切ってやる。
テコで食べる。
まったくテコを使う意味はない。
テコの原理=ひっくり返す、という連想も跡形もない。
そんなふうにテコを初見の左官が、三歳児のように言ったのではないか。

「コテでメシ食うんかいな」

おもろいなあ、とか。
で、大阪まわりでコテは優勢になった。
作らないからだ。
作ってもらって食べるだけだから。
なんかマネして食っているだけである。
箸で食えと思う。

(お好み焼き発祥には諸説あります)

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 そんなことを書いてみてから、ちゃんと調べてみた。そうすると、テコと呼ぶのは広島の方言である、と断言しているかたがいらっしゃる一方、大阪の店でテコと値札をつけて販売されている、という事実もある。

 ちなみに、

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テコ - Google 画像検索

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 テコの原理の図解が多いが、関連語句の筆頭はお好み焼きであり、テコだけで充分にお好み焼きをひっくり返す道具としてのテコを指していると判断できる検索結果だ。

 そして、

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コテ - Google 画像検索

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 コテ。圧倒的にヘアアイロンであり、ちらほら前述のセメントを塗る道具。調理器具としてのそれはまったくヒットしない。

 この結果から、グーグル先生を信頼するならば、テコをテコと呼ぶのは広島ルールでも吉秒家ルールでもなく、全国区での正統派。おいては世界の趨勢であると断じてよろしかろう。

「コテとって」
「テコでしょ」

 かといって大人同士で、そんな会話はしないでいい。うふふっふこのひとったらテコのことコテって言っているわと思いながら、そのひとにとってのコテを差し出してあげればいい。なにせテコ勢は多数派なのだ。マイノリティーにはやさしく。優秀なホテルマンは客の言い間違いを訂正しない、というのを石ノ森章太郎の作品で読んで、大阪在住の店員である私も「551どこ」とのたまう客殿に「肉まんの売場はございません」と返さず呉556の在処を教えてさしあげるように育った。やさしさである。そういったひとは手にした556を見ても気づかず551と言い続けるのに違いないが、私の知ったことではない。他人を他人と放っておくことがやさしさの別名。

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 相手が三歳だったら、訂正しますけど。しています。それはスプーンでもフォークでもなく、テコである。正しい日本語。

 三歳が参戦するためのお好み焼きは、こんな感じ。

KOTE02

 上の小さいのが子供用。キャベツも肉もキッチン鋏で事前にざっくざくと切ってある(長いキャベツが口に入りきらず、それにソースがついていたりして、コタツ布団に落ちた日には食事どころではない)うえに、大人用を作った残りの生地に混ぜ込んである。大阪的に固めて、と上では書いたが、焼きそばものっているからモダン焼きと呼ぶべきか。

 すべては昼間作って、こうしてホットプレートに並べておく。夜、食べはじめる三十分前に強めの保温で焦げない程度に温め直し、かつ最終的な火を通す。昼間の段階では、山盛りのキャベツは、ほぼ生のまま、表だけに強めの焦げ目を入れる(裏は夜の温め直しで焼けるので)。三歳児のリクエストによっては、とろけるチーズをのせてケチャップという日もある。

 大人用お好み焼きのレシピ。

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『お好み焼きの焼きかた』の話。

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 追陳。

 テコをテコと呼ぶのは正しいことですけれども、テコを購入したくてネットショップで検索をかけるならば、テコだと効率が悪い。出てはきますが、こう書いたほうがピンポイントです。

「起こし金」。

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 町で「オコシガネとって」なんてやつにはついぞお遭いしませぬので、むしろこっちが渾名のようなものだと。ほら、クラスにふたりのよっちゃんがいるとどっちも振り向かせることになってしまうから、片方のよっちゃんを「出っ歯」もうひとりを「割れ顎」などと便宜上呼ぶようなものです。

 ふたりきりのときには、よっちゃんでいい。

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 ちょうどこのくらいの秋の終わりと冬のはじめ。

 いまもこれを書いている11月の半ばに、私はTシャツである。前日の酒が抜けていて晴れた日にはツーリングに出るが、長くて低いドラッグなバイクなので素肌に革のベストとか、牙のついたマスクとか、肩パッドトゲトゲとか、そういう指向。

 さすがに裸やTシャツでは転んだときに皮膚がべろんとなるので、シャツやパーカーくらいを羽織って出る。暑いけど。実際にコケて厚いジーンズ生地に穴が開いたこともあるから剥き出しでは怖い。

 と思ったら。お気に入りのツーリングコースの折り返しあたりで「寒っ」となることがある。冬に今年も出逢う瞬間。バイクの走る速度の風が前方から全身に当たっているわけで、いくら暑がりでも冬に扇風機の前に数十分いれば寒くもなる。

 上着がほしい。

 ちょうどそこに古着屋がある。逆から見れば、その店があるからお気に入りのコースになっているとも言える。

 革のベストとか、牙のついたマスクとか、肩パッドトゲトゲなどを微妙なラインで売っていたりいなかったりする。ライダースジャケットの売られている量からして、私とは逆に「暑っ」でも革ジャン脱ぐと邪魔。売って帰ろう、というひとたちがいるのに違いない。

 その日は、でもやっぱり革では暑すぎる(し、昨今は動物の皮を着ていると冷たい目で見るひとたちがいるし)ので、もう少し薄手の羽織れる(植物性の)ものを物色した。厚さもサイズも私に合った、妙に安い木綿のジャケットを見つけた。数年前にお気に入りのアイドルが出演していたので録画して観ていた朝ドラのモデルになった老舗ブランドのラベルが縫いつけてある。パーカーが数万円という店のはずだが、私の手にしたジャケットは千円札で買える値札がついている。なにか難があるのだろうとあれこれ調べるが、着古された感がそもそもない。タイトなデザインなので、勢いで買ったが身体にしっくりこずタンスの肥やしにしていたのだろうか。

 ところでこの古着屋には難がある。もとが倉庫だったに違いない建物で、大量に仕入れて叩き売るというスタイル。店員の姿も見えないし、夏も冬もエアコンが効いていない。要は店に金をかける気がない。

 で、暗い。たぶん倉庫だったときの照明そのままなのだ。その光量たるや、新品の衣服を売る店では許されざる塩梅である。シオウメではない。アンバイだ。

 なのでしかたない。

 買って、着て、帰って、まだ気づかなかった。

 また着ようかと思って、ついさっき晴れた陽の入る窓辺で眺めて、やっと気づいた。前の持ち主は、タンスの肥やしではなく、扉で閉ざされていない通気良好な場所でこのジャケットを掛けたまま、放置した。虫食いも傷も、汚れもないのだが。

 肩が日焼けていた。

dyeingJacket02

 だから安かった。しかし、ということは査定段階で安く仕入れたということで、この写真も明るい部屋でフラッシュをたいてようやく写っているくらいの日焼けを、きちんと見て取ったということは、査定カウンターには明るい照明があるのに違いない。

 それをあの薄暗い店で売ったら客が気づけないことは明白である。が、ならば高く売ればいい。古着屋は返品御法度。売りつければいいのに、妙に安かった。寒いので買ってきて、帰りは寒くなかった、それだけでもうもとが取れたくらいの価格。

 今日もあの店は私のお気に入り。良心的だと思う。

 肩が日焼けているけれど、着古された気配のないジャケット。もとの持ち主が、着ないのに日の当たる場所でハンガーに掛けたからハンガーの跡が肩に焼けて、でもそのおかげで私に出遭った。いうなれば、だれかに愛されなかったがゆえに不当な扱いを受け、それゆえにいまは私のものになったさだめを幸と呼ぶのかそうではないのか。そんなこいつを私までもがいちど着て捨てるのは忍びない。薄暗い店でだったけれど、見目は気に入ったから買ったのでもあるし。

 色が抜けただけのこと。染めればいい。
 DYLON マルチ。
 ダイロンマルチ。
 公式曰く、七十年のロングセラー。

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 買ってきた。
 黒。黒は好き。
 でも買ってきて気づいた。

「濃色は二倍量を使用」

 そうですか。
 とはいえもう一個買ってくる気はない。ダイロンマルチを二個買うと、ジャケットの購入価格を越える。なにか本末転倒な気がする。

 鍋を用意した。

dyeingJacket01

 煮込まなくてもいいが、80度は必要。 それってたぶん、メーカーさんの気遣いだろう。バケツでも染められますよということをアピールしたいのだろうが、大きな鍋があって火にかけられるなら高温で煮たほうが染まるに違いない。

 あと用意するもの。

dyeingJacket03

 塩とトング。
 塩は色を定着させるために加える。

 手袋が必須とされているから用意はしたが、染料に手を突っ込んで揉むのだった。肘まですっぽり覆うような厚手の手袋でもないかぎり、どうやっても指が染まる。どこかの国で、子供たちが安いジーンズを素足で踏んで染めているドキュメンタリー映画を観たことがあった。青い脚の子供たちは、長靴を履こうとも思わない。そんなことは不可能だから。そう思えば、趣味でジャケットを染める私の指などいっそ真っ黒に染まれという気もする。

(ちなみにダイロンマルチでしっかりマルチに染まった指の先は三日間、ずっと黒かった。ペンキとか、毛染めとかの比ではなく、だれが見ても、なにやったの? という感じなので、なによりもこのことが作業のタイミングを思案すべき理由になる。毒手のコスプレイに黒ダイロンは最適)

 ダイロンマルチにはぺらっとした紙の説明書がついている。それによれば80度からトングで攪拌(なぜ金属製のトングかといえば、木製のヘラや箸だと染まるから)、手が入れられるようになったらひろげて沈めての繰り返しで二十分。あと二十分放置で完成と書かれている。が、これもメーカー推奨の最低限というところだろう。

 色を濃くするために水の量を減らし、ジャケットが浸からなくてムラになるほうが困るので、薄い灰色でも日焼け跡が消えればそれでよしと説明書の通りの6リットル。

 そして煮る。

dyeingJacket04

 はっきり沸騰しているので100度越え。生地が傷む件に関しては気にしない。もともとくしゃっとしたジャケットですし。

(結論をひとつ先に書いておくと、木綿は煮ても平気だったが、銀メッキされていたボタンが変色した。むらむらっとした私は好きな感じだったので愛は冷めませんでしたけれども。経験則として、ドレッシーな衣装を煮て染めようというのはハードル高い。ドレスは染まってもスパンコールはヘナヘナになる)

 説明書通りにトングから手もみで二十分。そして鍋を使った強み。もういちど沸騰まで温度を上げた。

(さっきタイミングの話をしたが、季節も大事。無臭ではないので窓を開ける必要があるが、夏にこの作業は目に汗が入ってたまらんだろうし、今回まだ冬の先端だったけれども、もうもうと立ちこめる湯気で鍋のなかの様子がまったく見えない。写真は、ふううううっと気が遠くなるくらい息で湯気を飛ばした瞬間を撮っている)

 ついでに、色の剥げた眼鏡の耳当て(プラスチック)と、カビとワインの染みが目立つ100均の生成りコースター(たぶんコットン?)も放り込む。きれいに染まればめっけもの。

dyeingJacket05

 完全に冷めるまで、二時間ほど放置。途中でジャケットは二度ほどひろげて沈め直した。

 最後に手作業で水が透明になるまですすいで、洗濯機で脱水。
 陰干し。完成。

 結果、完全に黒。

dyeingJacket07

 肝心の部分である肩の日焼けはまったくわからなくなったので、今回の作業は成功だった。間違いなく私はこのジャケットをこれからも着る。なかに白いシャツは着ないように、おそるおそるではあるが。写真の通り、生地は染まったが縫い糸が灰色にしか染まらない。ジッパーの脇布は化繊だったためほとんど染まらず、もとのジャケットとは別デザインのようになった。

 ちなみに100均のコースター。

dyeingJacket08

 染まったが、ジャケットのように漆黒とは呼べない。汚れが目立たなくはなったので満足だけれども、この比較によって大事なことがわかる。そこそこ名の通ったブランドのジャケットは、綿100パーセントと書いてあったら、本当にそうで、しかも質が良い。いかにも木綿に見える100均のコースターは、木綿なのかもしれないが、なんらかの質の問題によって、黒が黒と呼べるまでには染まらないうえに、ところどころムラが出る。生地自体が均質ではないようだ。

 眼鏡の耳当ては、マットできれいに染まった。

dyeingJacket09

 説明書にも、プラスチック容器を使用すると染まりますという但し書きがあるので、おそらく樹脂も染まるのだろうとは予測していたが、布のコースターや、ジャケットの化繊部分よりも圧倒的に黒く染まるというのは予想外。

 ダイロンマルチというマルチっぽい名前だけれど、説明書の通り、通常は黒色を黒色として出すには二倍量がいる模様(二倍にすれば真っ黒になるのかは、やっていないのでわからない)。今回のジャケットはたまたま染まりやすい素材だったのと、二度にわたり沸騰させたのが効いたのか。

 でも、こりゃ着られねえ、捨てるか、というものが、五百円で着られるものになって、明日の私をあたためる。素晴らしい話。

 そのうえで、いちど洗って干したほうがいいのかなあと迷い中。洗うと色が薄くなりそうだし、濃いままで着たら下に着るものに色移りするんじゃないだろうか、とか。某ドラゴンゲートプロレスの選手が、最近銀髪にしているけれど闘いが熱くなると白い汗をかいて見苦しいのを連想してしまう。専業プロレスラーなのだから手抜きしないでちゃんと銀髪にしなさいよと思いながら観ている……Tシャツ染めて夏着られないなんてわけないし、まして汗かく時期に着ないジャケット。大丈夫なんだよねえダイロンさんと信じてはいるが……

B017X0ZMTI

(まったくの余談ですが、我が家に20リッター水が入る鍋があるのは、私が日に烏龍茶を3リッターは飲むから。ペットボトル三本と水筒を、毎日リュックに入れて出る。職場の冷蔵庫(本来は薬品を冷蔵する隅っこを拝借)にも絶えず二本。家の冷蔵庫の三分の一も烏龍茶で埋めている(あと半分はビールと炭酸水)。買っているとキリがないし、ヤカン程度では毎日湧かす必要があるので、一週間分を大鍋で。逆に、他の料理にはほとんど使ったことのない鍋。ダイロンの成分が残留していたとしても、飲むのは私だけだから家族は無事でしょう)