最近の記事

スポンサードリンク

月別アーカイブ


 前回までのお話。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

『WN5291K / WN5292Kを取り替える』の話。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 食べてすぐ走るとお腹が痛くなる子だったのに、大人になって食べてすぐどころか食べながら走らされるとか。パナソニック先生!
 保健室をください。

 というわけで、私が書いておく。
 ごく基本的なことを端的に。
 単なる商品説明の列記です。
 確実にこの電子の海でこの情報を探しているひとがいるはずなので、忘れないうちに、書きとめておく。
 それだけの回です。

 その2。
 ほら、思い出したときに書いておかないと、前回のお話から四年。書かないあいだに、パナソニック先生の次のスタンダードが生み出されかねない。

 今回は、コンセントのお話。
 まずは。
 「コンセントプレート すき間」
 で、ググってみていただきたい。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

コンセントプレート 隙間 - Google 画像検索

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 さあ、あなたの抱えている問題と合致したかな?
 では、はじめましょう。
 パナソニック社製コンセントの、近年の歩み。

 こちらが昭和の申し子。

B009A624CC

 型番: WN1001P
 商品名: パナソニックフルカラーコンセント

 そしてこちらが、大阪市が公文書に元号を使うのをやめて西暦に統一することにしたというニュースも耳に新しいこのごろ、そんなのよりもっとずっと早く、二十一世紀が始まったときから英数字に切り替えられた、現在進行形未来のスタンダード。

B002UNIVJM

 型番: WN1001SW
 商品名: パナソニックワイドコンセント

 ワイドという名だけれど、実はフルカラーコンセントと、サイズはまったく同じ。そのワイドは、ワイドに使われるようになれとパナソニック先生が願って命名した「パナソニックコスモシリーズワイド21」のワイドだ。

 ……前回のお話でも書いたが、わかりにくい。

 さらに、なにがわかりにくいといって、新たな世紀のスタンダードを目論んだわりに、「パナソニックコスモシリーズワイド21」の面々は、昭和の申し子フルカラーに、要所要所でよく似ているところ。

 こと、この形状のコンセントに至っては、 まったくフルカラーの形状を踏襲している。なのに、「パナソニックコスモシリーズワイド21」と刻印は打ってある。なにがちがうの? 色が、フルカラーはベージュで、ワイド21はホワイトなんですよお客さん、と言ってしまいがちだが、実のところカラーバリエーションはワイド21のベージュだって存在しているのである。

 いったいどういうことなのか。
 なぜまったく同じものに、ちがう名をつけるのか。パナソニックコンセント、それだけでは、なぜ、いかんのか。

 これが、いかんのだ。
 これこそ、私がこれを書いている理由だ。今日も、電気工事のことなどなにもわかっちゃいないおばちゃんが、自宅のフルカラーコンセントのカバープレートのつもりで買って帰ってみたら、上手いこといかずに返品しに来た。困る。パナソニックの小売店向け商品パッケージは、ビニール袋を破らないと開けられないのである。それを、自分が間違って買って帰ったのに、パッケージが破れていようがなんだろうが返品しに来る大阪のおばちゃんにも問題があると思うが、パナソニック先生にも問題があると思う。強く思う。

 おばちゃんに、ほら、ここに「コスモシリーズワイド21」と刻んであるでしょう、と見せたところで、白い本体に小さな文字で刻まれている文字など、老眼の進行したおばちゃんには判読できない。

 そこで、どうにか返品を思いとどまらせたい私は、これを勧める。

B000WMDUIU

 型番: WTF3710K
 商品名: パナソニックコスモシリーズワイド21埋込コンセント絶縁取付枠

 おばちゃんは、なぜ返品してきたのか。
 冒頭でググった画像を思い出して。
 ググらなかったひとは、いまからググって。ほらもういちどリンク貼っておきますから。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

コンセントプレート 隙間 - Google 画像検索

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 そう、隙間が空く。
 この現象の、ほとんどすべての原因が「昭和から使っているパナソニックさんのコンセントのプレートが汚らしくなったのでこんなモノ工事を頼むまでもないわ近所のお店で買ってきましょう純白のやつを」と買ってきた結果、そのコンセントプレートは「パナソニックコスモシリーズワイド21」だったために起こる。

 前述のように、コンセント部分の仕様は、昭和と二十一世紀で、なにも変わっていない。だが、ここがパナソニック先生が、あえて白いほうに「コスモシリーズワイド21」と刻印を打つ理由なのである。「パナソニックコスモシリーズワイド21」は、プレートと、取り付け枠が、昭和と互換性がない。

 これは、コンセントでなく、スイッチであれば、そもそもフルカラーの取り付け枠に「パナソニックコスモシリーズワイド21」のスイッチは取り付けられないので、おばちゃんでも気づくのだけれど。

 互換性がないにもかかわらず、コンセントは、ついてしまう。

 そして、少し隙間が空く。売ったり工事したりするひとならば、あれ間違えたと思う。けれど、お店で、白いから買ってきた、というようなひとは、自分のネジの締めかたとか、枠の取り付けかたとか、そういうことが問題だと勘違いしてしまう(実際、正しい組みあわせでも、ネジの締めすぎで同様の状態になることはあるし)。ほんの少しの隙間だし、そのまま使ったりしてしまう。

 コンセントと、コンセントプレートのあいだに隙間があるのは、よくない。見た目的には少しでも、埃が溜まる。ショートする。火事になる。

 ああパナソニック先生、どうしてスイッチ同様、コンセントも、無理やりにだって取り付けられないくらいの新しい形にしなかったのか。

 嘆いても遅い。
 だから、私は「WTF3710Kパナソニックコスモシリーズワイド21埋込コンセント絶縁取付枠」を勧めざるをえない。おばちゃんは、昭和の申し子フルカラーのコンセントと、コンセント取り付け枠に、ワイド21のプレートを取り付けようとしているのだから。そして、コンセントの形状は昭和も二十一世紀も変わらないのだから。

 ワイド21の取り付け枠を買って帰ってもらえれば、ミッションコンプリートだ。

 かくして。
 おばちゃんは。

「こんなん、よおせえへん。プレートだけ新しくしたかっただけやねんもん」

 まあ、そらそうですわ。
 返品を承る。
 パッケージが破れて、再販できないのに。
 不良品ではないから、パナソニック先生に突き返すこともできないのに。

 おばちゃんよりも、パナソニック先生のほうに、八割方の、どうにかしてくださいよ、を、つぶやきながら。

 


 内閣府が、十歳未満の子供のインターネット使用について調査した。十歳未満を対象にした全国調査は初めてだという。

 新聞で読んで、詳しい調査結果を内閣府のホームページで、あさる。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

低年齢層の子供のインターネット利用環境実態調査 - 内閣府

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 十歳未満の子供の親、二千人に、インターネット利用に関して質問する。

 回答の結果、突出していたのが、七歳と、二歳。

 平日に一日平均75分インターネットを使用する七歳が断トツだが、なぜだか、それに続くのが65分で二歳。

 七歳の子は、自分でタブレットを操作もするし、ゲームだってする。

 だが、二歳というのは。

 ちょうど、うちに二歳児がいるので、どんな感じかというと。もっとも接触しているインターネット機器は、Xbox360だ。書斎で、私はXboxOneを使っているので、旧世代機のXbox360は、リビングでDVD再生機となっているのだった。

(徐々にアップデ-ト対応され続けてきたXboxOneの下位互換は、いまや旧世代機Xbox360を片付けても困らないくらいに実現済み)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

『XboxOneを買ってきた』の話。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 いま、うちの二歳児は、延々と一時間、ただひたすらに日本中の通勤列車が走り続けるというDVDに夢中である。

 再生の仕組みは理解している。Xbox360に、ディスクを入れると、列車のビデオがテレビに流れる。DVDは彼の手の届かない高い位置に置いてあるので、ディスクを入手するのには大人を呼んでくる必要がある。

 のだが。朝の忙しい時間に、大人しくさせるためにXbox360を起動させていて、そのまま電源だけ落として出かけることがある。大人としての使いかたはそうだろう。私だって、XboxOneにはずっと『Halo5: Guardians』のディスクが入ったままだ。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

『大魔王クッパ様が強すぎる件について』の話。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 列車のビデオに夢中なら、そのディスクを、わざわざトレーから取り出すのは無意味に思える。だからついやってしまうけれど、二歳児の目はそのときキランと光っているのである。

 帰ってくる。そして大人の目を盗んで、Xbox360の、いつか赤く光ったあのギョロ目を押そうと企む。

RROD.jpg

 ディスクが入れっぱなしなのをおぼえているわけではない。ときに大人が、ディスクを抜き忘れてしまうことを学習してしまっている。だからもう、結果としてディスクが再生できるかどうかは、本末転倒な話だが、どうでもよくなっていて、彼は、もしかしたら列車のDVDが再生できるかもしれないXbox360の電源を入れることに必死なのである。

 私は賢い大人だから、HDMI接続で、連動機能もあるのだけれど、あえてそれはオフにしている。つまり、Xbox360の電源が入ったところで、連動してテレビが点いたり、入力が切り替わったりはしない。結果、二歳児はXbox360のギョロ目を押して電源を入れることにはときどき成功するが、お目当てのビデオを自分で再生できたことはいちどとしてない。ないのに、やる。

 「観たい」という思いを、Xbox360に飛びつく行動で示しているのだと解釈できる。デンシャ、と発声することはできるから、口で言えばいいものを。猫よけのトゲまでなんのそのと、フェンスまで乗り越えてがんばっている。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

『幼児をテレビまわりに近づけないための方策』のこと。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 どうせ観られはしないのに。二歳児というのは哀しい生き物だ。こっちも、これ以上フェンスを高くしてはテレビが観にくいし、言葉がそこそこ通じるようになったので、言葉での教育強化月間中。ひとに頼むことをおぼえなさい。いまからごはんなのに、がんばってXbox360の電源を入れたって、大人はきみのがんばりに心動かされて、ルールを変えていますぐ列車のビデオを観ようか、なんてことにはならないのだよ、大人だから。

 そう。七歳の75分は、きっと、本人の能動的な行動の結果だ。ゲームがしたくてゲーム機の電源を入れたうえでのゲームだ。

 しかし、二歳児は。
 大人が与えた65分だ。

 ……まったく近ごろの子供は、というか親は、という苦言が聞こえてきそうだが、この調査。そもそも、首を傾げるところがありはしないか。

 そりゃまあ、朝が忙しいからスマホでアンパンマンを観て黙らせました、という累計での65分であろうことは想像にかたくないけれども。

 たとえば私の場合。
 ノートパソコンを開いているときに、二歳児がやって来て、膝に座らせろと言われる。仕事中でなければ、そうする。せがまれて、列車の動画を再生してやることだってある。そのとき、DVDビデオ再生と、ネット動画のストリーム再生とを、わけて考えたりはしない。

 というか、我が家は、ひかりテレビだ。

ひかりTVショッピング

 ディズニーチャンネルを観る、その映像を運んできているのは、インターネット網。内閣府の調査の項目にも「インターネット接続テレビ」という項目があって「携帯電話の契約が切れたスマートフォン」と同じくらいの比率で使用されている。まあ、セットトップボックスを経由してテレビに映し出されている、ひかりテレビは、微妙に意図とズレているが、しかし、十歳未満の子供のインターネット利用というお題目に反してもいない。

 多くの親の場合、テレビとスマホの境目も、いまやあってなきものである。携帯電話の契約が切れたスマートフォンも、ネット接続できるテレビも、わざわざ子供にストリーミング動画を見せるために購入したわけではなく、気がつけばリビングにWi-Fi接続された機器が転がっていたという状況だろう。

 常時接続の、余っているインターネット端末で、アンパンマンを観せて子供を黙らすのは、けしからん? おかあさんといっしょ、は長寿番組だ。むかしから、おかあさんは、おかあさんといっしょを子供と観て、いっしょに歌って踊った。いちにち、一時間くらいか。スマートフォンで、おかあさんといっしょのネット配信をストリーム再生して、子供といっしょに踊ったら、けしからんか? 画面が小さいからか?

 いや別に、内閣府は、それが良いとか悪いとかいうことを調査しているわけではなく、はじめて十歳未満の子供に関してのインターネット使用の状況を調査してみましたよ、と言っているだけだ。良いか悪いかということを論じるのは、その調査結果を見た私なのであって、ゆえに私はいまこれを書いているわけだが、いかんせん、プロレスと格闘技の専門チャンネルを視聴するために契約しているインターネットテレビの存在が、脳内議論に水をさす。

 動画をインターネット経由で視聴するかどうかの調査自体が、だからそれでどうした、というふわふわしたものになってしまっている気がしてならない。

 このあいだ、元プロボクサー亀田興毅が、素人相手に四連戦した。ネット中継だった。回線がダウンするほどに視聴者が集まった。私も観ていた。サーバーダウンしたり、やっとつながったのもひどい画像でカクカクだったから、やはりテレビはテレビで観たいなあ、と思いはしたけれど、つまりそれは画像が安定さえすれば、映像を運んでくるのがテレビ回線だろうと衛星回線だろうとインターネットだろうと、どうでもいいということでもある。 

 それはどうでもいいのだが、このあいだ、同じ年頃の子を持つ友人が集まっていて、ごく自然に、おかあさんといっしょ、の番組の最後に流れる『ブンバ・ボーン』の体操をやっている? なんて話になったとき。

B00KARDVK4

「録画したのをそこだけ何回も再生しているわよお」という。ああ、そうだ、うちのデッキにも『宇宙戦隊キュウレンジャー』のエンディング、キュータマダンシングだけをチャプター編集したデータがある。

 ビデオテープの時代から、アダルトビデオのストーリー部分は早送りされるものだった。だがあれは、けっこう面倒なものだ。数分の絶頂シーンを繰り返し観るのも、片手で仕事しながら、もう片手のリモコンで操作しても、がっちゃんがっちゃん時間がかかって萎えがちなものだった。

 だがしかしいま、インターネット経由の動画を、一部たりとも早送りせずに観るひとのほうが少ないのではないか。私も、ひかりテレビで格闘技を観つつ別のことをしていて、あっと思ったら試合が終わっていたのでKOシーンへ巻き戻す、というのが当たり前のことになっている。

 ちかごろ、ストーリーのないポルノビデオは、確実に増えている。単なるシチュエーションの提示に終始し、はいこの娘はアイドル、この娘はオフィスレディ、と言いはするものの衣装と場所がそれっぽいだけ、という作りだ。

 ものすごく逆説的な話だが、これって、つまり、だれも観ないから、だれも描かなくなったのではないだろうか。いまだと、そういうことを言う先生はクビになるのかも知れないけれど、私の教えてもらった高校の国語教師は「お前らはすぐエロいところに早送りするんだろうけど、いっぺんちゃんと最初から最後まで観てみろって。映画撮りたいけれど撮れずにアダルトビデオ作っている監督なんかが、良い物語を描いたりしているんだ」と語ってくれた。女子もいる、授業中の雑談だったのは問題だったが、それで実際、私はいくつかのエロビデオをちゃんと観て感動したおぼえがある。

 ビデオテープやDVDでは、操作のわずらわしさから流しっぱなしにするということはある。だが、インターネット配信の動画では、そういうことはまずない。ママ友が集まって、最初から最後まで、おかあさんといっしょ、を観るだろうか。ブンバ・ボーンだけををタップ再生して我が子を踊らせてしまわないか。

 内閣府の調査の結果では、幼い子供たちも、半分はインターネットに触れている。私見で言うならば、ある程度の電子機器に耐性は作っておかないと、この先、スーパーやコンビニが無人レジになっていくのは確実だし、インターネット通販のありかたも、もっと生活から切り離せないものになっていくだろうから、幼いうちから、当たり前に普及しているものには、当たり前に触れておいたほうがいい。学生ならば休み時間や登下校時にリアル会話もあるだろうけれど、現代のいそがしい大人の友人や家族の会話はインターネットなくして成り立たない。ネットで発信も受信もできず、会って話さないとなにも決められない大人に育っては、家族崩壊以前に、今夜の夕食の話もできなくなってしまう。

 と思う一方、たかだか三十分の子供番組を、親のほうさえじっと観られず、観たい箇所をクリックが当たり前の視聴形態になってしまったのは、なにかを殺しているという確信もある。

 内閣府には、どうせみんな使っているインターネットを、どれくらい当たり前に使っているかの調査から、さらに踏みこんで、インターネットでの動画視聴が普及していくにしたがって「物語」が、寸断されてはいないかを調べてほしかった。

 村田諒太、疑惑の判定!!

 そのニュース見出しを翌朝見て、どれだけの、昨夜、村田諒太のボクシングの試合を観なかったひとが、動画を検索して観たのだろう。ダイジェストを。相手ボクサーが、ダウンした瞬間だけを。ボクシングがニュースになり、ボクシングの試合を目にしたひとはインターネットの普及でものすごく増えたわけだが、でも、翌朝のニュースで昨晩の試合を観返すことが当たり前になった結果、会場に足を運び、テレビのチャンネルを合わせて、入場から歓喜の雄叫びまでもをリアルタイムに早送りせず観たひとは、増えたのだろうか。まだ増えるのだろうか。

 オードリー・ヘプバーンという美少女が現れたよ、という口コミで、人々が映画館へ足を運んだ時代は終わり、ググって彼女の一部を見定めてから、好みのタイプであることを確信して映画を観に行くひとは行く。予備知識なしに噂だけを聞きつけて一本の映画を最初から最後まで観て「最初はあんまりだと思ったけれどラストシーンにたどり着くころには彼女に恋していたよぼくは」なんていう体験をしなくなる。インターネット網が、なにもかもの断片を与えてくれるために、自分好みでないものに時間を割くことがなくなってゆく。

 直感的なポルノ。キャッチーなダンス。しかし、人間と人間には、物語がある。面倒くさいところがあるから愛せたりするのであって、ググっても彼のことはなにもわからないから、試しに軽いキスでも迫ってみないと、なにもはじまらないのであって。

 映画や小説やマンガ、ゲームがなくなるとは思わない。だけれども、もうすでにインターネットが現存する世界に生まれた世代のあいだでは、ロールプレイング・ゲームが廃れはじめているように見える。タップするだけの簡単操作、なんてゲームを私はプレイする気にならない。でも世間では、簡単であること、物語を排除すること、絶頂シーンだけがあらかじめ詰めこまれていることで、あら素敵とトキメク観客は、どう見ても増えている。

 インターネットで動画を視聴するさいに、アンパンマンの絶頂シーンだけを選んで子供に観せたことがある、という項目も盛っておいてもらわないと。アンパンマンは、バイキンマンとドキンちゃんをアンパンチで海の藻屑とする。そこだけを観せて、うっきゃっきゃ、と二歳児を笑わせるだけでいいのか。バイキンマンにだって悲哀はあるのではないか。そんなバイキンマンのそばにずっと寄り添うドキンちゃんにこそ、読み解けば涙なくして触れられない、深い深い物語が宿っているのではないか。

 内閣府よ。そういうことだ。
 調査が甘い。

B00SFI3A56


 



ChineseArtichoke.jpg

チョロギ。
そういう名前の野菜だそうだ。
調べてみると、酢で赤く染めて正月に食すのだそうだ。
……食べたことねえなあ。
実家が関西のせいか。おせちは自作派だったからか。
しかしこれは、関西の道の駅で買った。
変なカタチだ。
英語で呼ぶと、
Chinese artichoke。
ぜんぜんアーティチョークぽくないが。
ちなみにアーティチョークの和名は、チョウセンアザミ。
漢字表記だと……

中華朝鮮薊?

混沌としている。
Wikipediaによると、
フランスでjaponaise(ジャポネーズ、日本風)と名前に付く料理には、必ず付け合せにチョロギを盛り付ける。
……必ず、という表記がWikiらしい。
そうでないこともあるに違いないが。
でも、それくらいチョロギなのだろう。

アメリカンプロレスを観ると、日本人レスラーは「必ず」言われる。

中国人?
韓国人?
なんだ日本人かよ。

おまえら見分けつかねえ、という侮蔑。
つかないのでキャラをつける。
奇声をあげることが多い。
読めない行動が多い。
口から毒の霧を吐くひと多数。
奇妙であること。
それがジャパンクール。
チョロギは、クセのない野菜だ。
揚げて塩ふって、つまみに最適。
いわばなんの味もしない。
あっさりフライドポテトのよう。
好き嫌いというレベルでもない。
まさしく、付け合わせのカガミ。
味ではメイン食材の邪魔をせず、奇矯な見た目で害はなく、大皿大会を盛り上げる脇役。
……そう思われているのだ。
これが世界の見る日本人なのだ。
辛いも甘いも苦いも酸いもない。
チョロギ的に愉快な変人。
むしろそうであれという願い。
本当にクールなところを魅せたい。
チョロギつまみながら、け、と思う。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 アメリカとの戦争のあと、日本では力道山が、ガイジンを空手チョップで打ち倒すというスタイルでヒーローになったが、同じことはアメリカでも起こっていた。

 ヤマトとか、カトーとか、トーゴーといった日本軍人ぽい日本人悪役レスラーたちが創造され、倒されるためにプロレスのリングに上がる。特攻隊のバンザイ突撃がアメリカ人にとってホラーだったのは言うまでもなく、戦争には勝ったものの、真珠湾に予告なく自爆攻撃をかける狂気の民族が、ゼロ戦で市街地へ特攻してくる悪夢を、子供たちのみならず、大人だって寝汗をかいて見たことだろう。眠れないから、起きてテレビをつけると、狂ったようにわめく日本人レスラーたちが、正統派アメリカンレスラーにやっつけられている。ああ大丈夫だ、こうしてみれば、日本人というのはまっすぐつっこんでくるだけで、動物のようなものだ。インテリジェンスあふれるマイクパフォーマンスをともなった文明人たるアメリカ人レスラーの敵ではない。

 その流れは、上田馬之助やグレート小鹿、マサ斎藤あたりまで引き継がれる。だが、70年代に入り、日本では新日本プロレスと全日本プロレスが旗揚げされ、アメリカで悪役を演じていた選手たちも、アントニオ猪木やジャイアント馬場へケンカを売って日本へ帰る流れができ、テレビドラマ『スター・トレック』では、アメリカ初の日本人メインキャストとされるヒカル・スールーが登場する。

 苦笑いしたくなるのは、『スター・トレック』が日本でテレビ放映されるにさいし『宇宙大戦争』というタイトルにされたのはともかく、ヒカル・スールーが「カトー」に改変されたという事実である。以後、世界で一番有名な日本人の名は、日本でだけ加藤ということになってしまった。戦後のアメリカンプロレスでグレート・カトーがボコボコにされていた記憶も新しいなか、日系俳優が正義の味方の一員としてアメリカンテレビの超有名人になったという時代の流れを踏まえられるひとがひとりでもいたならば、凱旋した日本人エンタープライズ号主任パイロットを、カトーなどと呼びはしなかっただろう。

 あれが結節点だったのかもしれない。

 スター・トレックに日本人! でも名前が日系アメリカ人だから、日本人にわかりやすく、日本人らしい役名にしてしまおう。

 そういう発想が、アメリカ側から見れば、苦笑どころか爆笑モノだった。カミカゼハラキリホラーな民族は、多民族連合軍のなかで宇宙戦艦の主任パイロットにまで上り詰めた出自の複雑な彼を、わかりやすい日本人として描きたがる可愛い民族だったのだ。

 日本人は怖くないと気づいたあちらの要請に応え、生まれたのはヨコヅナ、そして、ザ・グレート・カブキ。

 悪役ではある。しかし、本物の力士ではないのにヨコヅナを名乗るニセ日本人。毒の霧を吐きヌンチャクを振り回す歌舞伎役者。夢に出てくるホラーの怪物とは、もう呼べない。かなりの割合で、ニヤニヤしながら観るたぐいのものになってしまった。ほら、日本人が出てきたよ怖いね(笑)。

4777813932

 そんな風潮で80年代、そして90年代。

 グレート・ムタも、タジリも、奇声をあげて毒の霧を吹いた。

 アメリカ社会に日系人も増えてきたのだろう。フナキは、ちっちゃくて陽気な日本人として、番組でマイクを持つことも多かった。ふつうに英語を話すアジア人が珍しくなくなったために、言語能力を持たない怪奇系キャラにこだわる必要がなくなったのだともいえる。

 ハイブリッドは、ケンゾー・スズキ。

 ゲイシャを連れて、神輿で入場する、アメリカ人よりも背の高い日本人。日本語で話すが、ゲイシャが通訳して叫ぶ。

 アメリカでの日本人レスラーの歴史は、日本人を笑う歴史だ。恐ろしい日の丸軍人のイメージを、戦後の悪役日本人レスラーたちが「でも弱いから安心」という図式で魅せた系譜が、いつしか、コワカワイイ、というニュアンスで描かれるようになった。寡黙で真意がわかりかねるから不気味だったはずの日本人が、かん高い声で日本語をまくし立て、アメリカ人にシッシッと指先であしらわれるのが定番になった。

 そして、二十世紀が終わった。

 アメリカンプロレスに、日本人キャラは、なくてはならないものだった。しかし、チョロギだった。

 二十一世紀、新日本プロレスや、DDTプロレスリングは、全世界に向けてネット中継を繰り広げる。アメリカンプロレスの選手プロフィールに、いま並んでいる日本人たちときたら、どうも二十世紀とはニュアンスが違う。

 Hideo Itami。



 Asuka。



 だれも笑っていない。日本人らしい名前に変え、やっぱりエキゾチックで、けれど、日本人の側も、笑われるためにキャラクターを創っていない。言い換えれば、団体が、参戦する日本人に、そういうモノを求めていない。

 『X-MEN』から派生したテレビドラマ『レギオン』の第一クールをこのあいだ観終えたところだが、妻の記憶をなくした白人男性が、自分の妻は中国人か日本人だったはずだと力説するシーンがあった。ジョークを言っているのではない。アメリカンドラマ視聴者たちは、真顔で「そりゃあ理想の妻はエロ可愛いアジア系さ」と思っているのである。

 単純に、熱狂の提供者としての日本人。

 先日、シンスケナカムラがアメリカで創り出した熱狂に、私は泣き笑いだった。クソ格好良かったのだ。



 あいもかわらずのチョロギである。

 妙だ。日本人て、変だ。
 でも、そークール。

 心底、世界にそう想われていることが伝わってきて、うれしかった。期待通りの日本人レスラーは、いま、ヌンチャクも毒霧も吐かず、日本語訛りの、たどたどしい英語を自分で話す。それさえカッコいい。日本人が来やがったぜ、と観客がワクワクテカテカしているのがわかる。怖がってもいないし、笑い飛ばす気もない。スターとして日本人を観ている。彼らは、その日本人の次の試合を観るまでは死ねないので明日も生きるのだ。

 ところで、いまやクールジャパンの代表格たるジャパニーズアイドルの出世株『バンドじゃないもん!』の生存片割れツインドラムなリーダーの好きな食べ物は、公式にチョロギである。

B01MR0D2TG

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

バンドじゃないもん公式ウェブサイト / プロフィール

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 完全無欠の創られたファンタジーキャラクターアイドルが、いまもっともアピールする日本の食材はなんだと突き詰めた結果、現れたのはチョロギだったということだ。他のメンバーのプロフィール、年齢りんご5個分、や、出身地プレアデス星団、と並び立つほどに、チョロギは愛らしく日本を象徴する食べ物なのである。

ChineseArtichoke01.jpg

 赤く染めたほうが可愛いが、揚げて塩のほうが美味い。もう、奇声をあげる必要はない。素の変なところで勝負して通用するチョロギジャパンなのである。

B007MW2VVA