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行列がきらい。
行列ができるところに行きたくない。
電脳空間でさえ予約開始を待つとか、
そういうことをしたくない。
頼んだ料理の来ないのが許せない。
どんなおいしい料理も待つ気はない。
飲み放題だとメニューを見ない。
最初から最後までビールだけ。
朝のコーヒーという習慣がない。
あれは面倒な飲み物。
黒い飛沫が跳ねれば厄介。
口臭の原因にもなる。
私がいつのまにかタバコをやめたのは、
吸うたび歯を磨くのが面倒になったから。
コーヒーの味はきらいではない。
砂糖やミルクは、いらない。
選ばなければならないときには、
紅茶よりもコーヒーを頼むし、
ブラックでおいしそうに飲むものだから、
周囲にはコーヒー好きだと思われている。
しかし我が家のコーヒーはインスタント。
それも冷蔵庫に保管してある。
飲む頻度が少なすぎて湿気るから。
だいたいそのインスタントも贈答品だ。
いつもらったものかもおぼえていない。
そんな私に、彼女はコーヒーをくれた。
「豆にしようか迷ったんだけど」
ミルがなかったらいけないので、
粉になったものをたっぷりと。
ああ、ありがとう。
コーヒーは好きだし、
きみがお薦めだと言う味はたのしみ。
……さて。
もちろん我が家には、ミルどころか、
ドリップする道具というものがない。
買ってもいいが……
コーヒー豆をもらうことって、そうはない。
思案のあげく、こういうカタチになった。
茶こしとお茶パックである。
やってみてイマイチなら道具をそろえよう。
やってみた。
飲んでみた。
おいしかった。
ちゃんとやればもっとおいしいのかも。
けれど。
ちゃんとやる面倒さで、いやになるかも。
いま、これでおいしい。
きみが薦めてくれた味とは、
違うのかもしれないけれども。
おいしい。
これが私。
ありがとう。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 近頃の家電をあつかう店で、ひさびさのヒット商品として、全自動コーヒーメーカーというのがありまして。有名どころから、聞いたことのない業者が輸入している品まで、星の数ほどの商品があり、売っている私などは、それぞれの個性をおぼえるのに四苦八苦なのですけれども。

 ヒット商品、というくらいに売れはじめると、ダメな子のダメさ加減が際立ってくる。まあそういうのって大抵、後発なのに妙に安くて見た目はカッコいいノンブランド品に多く、今回のこの全自動コーヒーメーカーブームが、どこから来ているのかをちゃんと理解していないバカが作った機械に至っては、もうまったく救いようがない。

 バカっていうか、ガイジンさんなのでしょう。国籍の問題や、鼻が高いか低いかとか、ペニスが割礼されているかといったようなことではなく、単純に日本で暮らしていない。そういうガイジンさんが企画段階から関わって「日本でこういうのが売れているらしいぜ」、と有名どころの高級機を取り寄せて。

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 どの機能が省けるかを考えて作る。

 いや、この国に暮らしているひとなら皮膚感覚として自明のことである、なぜこのタイミングで全自動コーヒーメーカーなどというものが売れ始めたのかという答え。

 コンビニエンスストアで、それを見たから。

 その重大な部分が、抜け落ちた機械が作られてしまう。あれって、店員さんがなにもしなくたって、客がコインを投入したら豆を挽いてお湯を注いでドリップしたてのコーヒーができあがる、というところが感動的なのです。

 大阪の某百貨店で、いまも売っているかどうかはめっきりデパ地下に行かないので知りませんが、かつて世界初の「全自動卵焼きロボ」なるものが導入された。もちろん近所だし、買いに行きましたともさ。そもそもデパ地下に興味なんてない私が、ぜひとも見てみたかったのは、世界初のロボだった。ロボットが焼く卵焼き。しかも全自動。見た。全自動で鉄板に卵液が流し込まれ、ほどよく焼けたら金属のブレードが端から器用にぱったんぱったん折り畳んで……最終的に棒状の卵焼きになる。

 帰って食べました。ええ。卵焼きでしたね。焼き加減が固めで、ふわふわ卵焼きというよりも、よく焼けた卵シートを筒状に整えた食品になっている感は否めませんでした。言うまでもなく、二度と買いに行きはしませんでした。

 なぜなら!

 そのロボ卵焼きは百貨店デパ地下価格だったから。サイバーパンクなSFファンだからこそ、違和感をおぼえた。全自動だろがよ、近未来でヒトさまの仕事を奪って取るためのロボじゃないのかよ。人件費かからないで二十四時間働き続けて、しかも美味いっていうんだから、それは人類も泣く泣く仕事を奪われるけれどもさ。

 仕事をロボに奪われたあげく、ロボ件費が電気代だけのロボの焼いた卵焼きを、どうして高値で買わされる? ロボが焼いたから? 世界初だから? なんかおかしくね?

 という疑問を、近年のコンビニ全自動コーヒーメーカーは、やっと解消してくれた。ヒト型でこそないけれども、あれはまさしくアトムである。いやウランちゃんだ。家事のできるロボ娘が、電気代だけで本格コーヒーを目の前で煎れて、やっと当たり前のことに、缶コーヒーよりも安い価格で提供し始めたのだ。ロボ娘ウランがヒト型でセクシーな谷間を(ロボだからウレタンかなにかなのかはわかりきっているにしても)披露しながら煎れてくれるというならば、世界初のロボっ娘メイドの煎れたコーヒーとして高値でもかまわないが、顔も手もなく卵を焼いたりコーヒーを煎れたりするだけならば、それは人間が仕事するよりも安くなければ嘘である。

 セクシーではないけれど、俺の嫁。

 そういう流れで、コンビニの谷間のないロボ娘に惚れ込んでしまったひとたちが、自宅用の全自動コーヒーメーカーを手に入れようと小売店へ走る。なにせ惚れてしまっているから、費用対効果がよく計算できていなくて、五万円の機械を買ったらコンビニロボ娘のコーヒーが何杯飲めるか、そんなにコンビニに行くのは面倒か、どうしても自宅で何百杯も煎れなくちゃならないのか、考えずに買う。そういうひとは、えてして幸せになる。惚れるということの本道をわかっているから。貢ぐという行為が決して不幸へ直結はしていないということの説明はいらないはずだ。

 しかし惚れたのに、いざ財布を開く段で迷うひと。そんななら、やめておいてコンビニロボ娘で満足していればいいのに、買うと決めたのに、値札を見比べるひとが、決まって不幸になる。

 安物買いをして「あれは人生最大のゴミを買った」と店員に話しかけてくるひとがいる。そういうひとは不幸ではない。一種のブス専という嗜好を持っているだけで、一万円を切るソープランドを渡り歩いては「ブスにしか当たらない」と嘆いている。それは趣味であり、店員も自分で薦めて売っておきながら「それは大変な目に遭いましたね」とシれっと応対しておけばいいのである。なんならゴミを買わされて、売りつけた店員に微笑まれるところまでがプレイに入っているのである。

 不幸なのは、サービスカウンターに怒鳴り込んでくる方々。いや本当に、心の底から同情する。パチモンを選んで買って本気で怒り、評価の定まっているメーカー品を高い金を出して買うのはバカだと信じている価値観のひとたち。どうしたいのか。あなたを幸せにする手段を私は持っていないのに、怒られても困る。

「全自動やって書いてるやろが!!」

 でも、一回ごとに洗浄が必要だとも書かれているのである。パチモンなので。ちなみに倍の金額を出せば、メンテナンスフリーの機種がある。そのことはお客さんも納得済みで買ったのだ。ガイジン設計者が省いてもいいんじゃないですかねと提案したコスト削減案を、飲んだのだ。

「洗わなあかんのはわかるわ。けど、洗ったら豆の粉が詰まるってどういうこっちゃねん!!」

 取扱説明書に、乾燥させてから使用してくれと書いてあるんだが。

「コーヒー好きやからこの機械買っとるんやろうが。洗うたび乾かさな動かへんて、それのどこが全自動やねん」

 ……そう言われましても。
 一杯煎れてくれたロボ娘を丹念に洗って乾かす工程まで含めて愛せなければ、そもそも、あなたにその機械がふさわしくないというだけのことで、あなたこそ新型プリウスを予約して買うような層なのに、どうしてこの娘を買ったりしたんですか。私よりもずっと人生の先輩なのに、安いノンブランドのいかにもパッチパッチモーンな製品を買ったら、こうなるってわからなかったのですか。

 わからないひとは、意外に多いのだ。

 話はもどるが、私の父はバブル期の建設業というヤクザな稼業だったため、家にいるのをまったく見ないような、いまで言う社畜(むかしは戦士の称号だった)で、寝てもいないのに早朝からまた規則通りの出社システムを稼働させているというような毎日で。

 けれど毎朝、コーヒーだけは手動のミルで豆を擂り、ドリップした一杯を必ず飲んで出かけていた。私はその匂いは嫌いではなかったが、死んでもおかしくないようなスケジュールで働いているのに毎夜の接待深酒は欠かさず、眠りもしない父がその黒い液を飲んだらまた出社できるという魔法は、怖かった。

 いま、私は医薬品を売っているが、ドリンク剤をカウンターで飲み干して気合いを入れるサラリーマンに「それって多量の糖分で血糖値が上がっているだけで、元気になった気がするけれど嘘ですよ」と言いたくて仕方ない。タウリンが何千万億グラム入っていようが、そんなものに即効性などなく、効いているのは糖分だ。まだやれる気になるが、本気で無理な状態ならば、無理は無理なままなので、すぐに真の限界が来る。彼らは薬屋ではなく、家に帰って寝るべきだと思う。

 コーヒーのカフェインには、即効性がある。けれど依存性もあって、中毒にもなるし、ドリンク剤と同じで、無理が無理でなくなるわけではない。倒れるときには倒れるし、死ぬときには死ぬ。真に死にそうだけれどカフェインで目が冴えるなどということは、体力的にも精神的にもありえない。

 コーヒーは嫌いではない。
 なんなら、いまわの際に、一杯のコーヒーを微笑みながら舐めて逝くなんていう選択も理解できるくらいに、嗜好品としてのそのドリンクの素晴らしさはわかっている。

 だけど、依存症ではなくて、中毒でもなくて、嗜好品としてそれを愛しているならば、一日に一杯か二杯のコーヒーを、全自動で煎れたいなどと思うだろうか。せめて近所のコンビニまで、散歩したらどうです。

 幼い私は、床に座り込み、手動のコーヒーミルを裸足の両足で挟み、両手でハンドルを回して豆を擂ったが、全身の力を持ってしても、ときおり固い豆が噛んで動かなくなることがあり、そんなときには父が手伝ってくれた。忙しい朝の話ではなく、数えるほどしかなかった、父と幼い私との休日の話だ。

 タクミが煎れたコーヒーは美味いな、と言われた。

 そういう飲み物を、適当に飲みたくはないからだろうか。私はコーヒーが好きだけれど、家に煎れる道具はないし、コンビニでも買わない。

 たぶん、この先も、こうだろう。
 これが私。

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 あれやこれやで、かき氷も食べず花火も観ず、神社の裏の暗がりで、あのこの浴衣の隙間から指先をすべり込ませてフリルに触れて着物なのにブラしてるんだ当たり前でしょもうっ、みたいなこともなく夏が終わり。それでも夏はあったのだという証拠に、洗濯物干しハンガーがこのような状態に。

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 外干し、していましたので。
 そしてなぜかそういう製品なのに、プラスチックで、できているもので。それは紫外線でボロボロになります。あのこの肌のように、新陳代謝して元にもどったりはしない一方通行。
 いわゆる、劣化。

 ……気に入りません。
 ものに寿命はあるものだとしても。

 幼いころ誕生日に、トラックのタイヤが欲しいとねだったことがある。布でくるんで椅子にしようと思ったのだ。幼いころの私なら、椅子というよりもハンモックとして、トラックのタイヤの穴にぴんと張った布の上で昼寝ができると思ったのだ。タイヤはもらえなかったので、叶わぬ夢だったわけですが。

 そういう性分なのです。大きな丸い椅子や、ハンモックが欲しかったのではなく、それを作る材料が欲しかった。

 だから、プラスチックのハンガーが腹立たしい。洗濯バサミが取れても、チェーンでつないでしまう。骨組みが折れたら、補強材を入れてパテで直してしまう。そうせずにいられない。そういうことをもうこれ以上は直しても使えないというまで続けたら、実のところ、補修にかかった費用で洗濯物干しハンガーがいくつも買い直せてしまうのである。

 今度は、壊れない洗濯物干しハンガーを買う。
 そう決意して、オールステンレスの製品などを見つめる。

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 ステンレスはいいけれど、細っ。大の大人の厚地なジーンズなんてぶら下げたら曲がってしまいそうな風情が漂っている。

 中途半端にステンレスのものなんて買ったがために、プラスチック製品のように修復不能限界が訪れず、折れ曲がっても千切れたりはしないそれを直し続けて暮らす羽目になりかねないと想像して背筋が寒くなる。値段は倍でもいいから、倍の太さの骨組みにして欲しい。そう願っても、そういう製品はない。追加情報として書き加えておくが、私は洗濯物干しハンガーも売っている店で毎日働いている。日々、様々な「こんな製品はないのか」というお客様の声をメーカーへ橋渡しし、この世に存在するものならば仕入れるということをしているのだが。

「壊れない洗濯物干しハンガーはないの?」

 という相談を受けたことは、いちどたりともない。つまり、世間の一般常識として、洗濯物干しハンガーとは劣化して壊れるものであり、だからしょっちゅう新聞折り込みチラシに安売りしていますと載るわけで、作る人も売る人も儲かるのだからそれでいいわけで、客が望みもしないのに超人ハルクが踏んでも壊れない洗濯物干しハンガーを一万二千円で売り出したりはしないという道理。おそらくは、多くの人々はステンレスの製品も、折れ曲がったりしたら捨てて新しいのを買うのだろう。

 私が欲しいのは、長寿命な製品ではなく、恒久不変な不死の洗濯物干しハンガーなのだけれども。

 売っている私が言うのだから間違いない。
 そういう製品はないんだよ、私。
 あきらめなさい。

 あきらめた。

 そして、コロッケを想う。

 たとえば、だれも望まないからどこにも売っていない、イチゴ大福入りコロッケを食べたくなってしまったら。それを食べないと、世をはかなんでしまうような精神状態になってしまったとしたら。

 総菜屋に行って、売ってくださいと問うべきか?
 いや、行くべきは和菓子屋だろう。
 その帰りにスーパーマ-ケットに寄って、ジャガイモとパン粉を買うべきだ。たぶんまだ卵と揚げ油は家にあるから。

 それで作れる。

 自分でコロッケを作ることのできるひとは世に多い。ならば、総菜屋さんでコロッケが売っているのだって、製作の手間を買っているといえばそういうことなのだ。逆に言えば、売っていないものでも、欲しいものがなにかを明確にわかっていれば、材料はそろえられるはずだ。なにせいまの私は、両親にねだらなくても自分でトラックのタイヤを買ってくることだってできる(いまはもう、大きくてぴんと張った丸い布の中心で眠りたいという欲求は枯れてしまったが)。

 考えてみる。
 一秒だけで済む。
 欲しいのは、不死。
 単純に言い換えれば、

「永久に壊れない洗濯物干しハンガー」

 とすればやはり、ステンレススチールか。極太のステンレス針金を買ってきて、ラジオペンチで……いやでも、そうすると細かい部分の作業が手間だ。なにもオールステンレスにこだわらなくても、要はすぐに壊れるプラスチックフレームの部分が強固でさえあれば、洗濯ばさみはプラスチックでかまわない。いちばん上の、洗濯ロープに引っかけたり、物干し竿を掴んだりするアーム部分は、オールステンレスの製品よりも、プラスチック製品のほうが便利そうでもある。

 あれ?
 強くなってほしいのは、つまり四角い土台の部分だけか。

 だったら金属のメッシュネットを買ってくればいいのでは。
 こういうの。

IRIS OHYAMA

 これを地面と並行にぶら下げて、そこから洗濯ばさみを垂らす。洗濯ばさみを垂らすのは細いチェーンでもいいし、100均やホームセンターで、取替用のこういうのも売っているじゃない。

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 これ使えば、極論、曲がらないで、そこそこ軽さがあるものであれば、なんでも洗濯ハンガーになれるということだ。
 と、思索して思い出す。

 物置に、転勤前の家から外してきた網戸があったはず。前の家には入居時、網戸が入っていなくて、仕方なく自分で揃えて、自分で買ったものだから、次の引っ越しのときに持って出たのだけれど、もちろん次の家では窓のサイズが違うから使えない。だから物置にある。そんなものをなんのために置いているかといえば、こういうときのためではないか!

 網戸のサッシはアルミニウムである。なぜ彼らは空き缶を拾うのか。屑鉄屋で高額買い取り実施中だからだ。錆びずに軽いアルミニウム。物干し竿だって、ステンレス製よりもアルミ製のほうが高い。同じ錆びにくい金属でありながら、圧倒的にアルミのほうが軽いからである。ランドリー用品において軽さは重要。しかしてアルミニウムは地上のどこの番地においても高額買い取り中の稀少金属。

(いちおう追記しておくと、吉秒氏の「錆びにくい」という発言は誤りだ。アルミニウムは非常に酸化しやすい=錆びやすい、のだが、それがあまりにも著しいので空気に触れた表面すべてが酸化皮膜となり、結果的に内部が保護されて「すべてが朽ちてはしまわない」というのが正確。けれどもまあ、それを「錆びにくい」と言い切ってしまうのが販売員という職業ではあるので責めるのはやめよう)

 そんな高級品が、物置に何枚も。
 さっそく分解。

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 金鋸で長さを揃え、命みぢかし多ヶ所骨折中の我が家のプラスチック洗濯物干しハンガーと同じサイズにする。
 そして接続できるように穴を開ける。
 ドリルは穴を開けるために。

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『ドリルは穴を開けるために』の話。

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 数ヶ月遅れで読んでいる週刊少年ジャンプが、こんなときには頼りになる。BL雑誌の多くはB5サイズなので固定土台とするには面積が狭すぎるし、大判サイズのマンガ雑誌を出している某社様のものは、こんな作業に使うのは畏れ多い。数ヶ月遅れで読むなら単行本でよさそうなものを、なぜに少年誌は雑誌を買っておくかといえば、捨てることに気兼ねを感じないからだ。

 我が家の近所には人の住む家がなく、目の前が駅なので、人通りは多い。車やバイクどころか救急車やパトカーもすぐそこを行き来する。日曜日には街宣車がガナる。赤ん坊が泣こうが、ドリルでアルミニウムに何個も穴を開けようが、気にする人はいない。

 できた。
 仮組みしてみよう。

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 ……強そうだ。プラスチックのハンガーには折りたたみ機能がついているが、それを再現すると強度が落ちるので、このまま行こう。収納場所には困っていない。困っているのは寿命。欲しいのは不死。ゆえに強度に特化。これこそ、イチゴ大福コロッケを提供できるのは総菜屋ではなく、自分自身の料理の腕であるという真実。こんな強そうな洗濯ハンガー、見たことないわあ。うっとり。

 カドが危なそうなので、ドリルにヤスリをつけて少し磨いてみる。そうそう。家にドリルがあれば、先端をヤスリに替えて、刃物を研いだり、まな板の表面を削ったりするのにも便利です。吹き付けるとゴムになるスプレーというのも手元にあるのだけれど、見た目が美しくないことになりそうなので使わなかった。以前にどこかで書いたことがありましたが、この塗料のおかげで、ひとりの美人コントラバス奏者さんが涙を流して私に感謝してくれたことがありました。見た目は不格好になるが、彼女の座高の高さにぴったりくる両切りボルトと、吹き付けたり塗ったりすればゴムになるその塗料は、ステージに傷をつけず演奏中にズレることもない滑り止めとして活躍したのでした。そういうもの。欲しいものはひとそれぞれで、ぴったりくるものがなければ、作ればいい。いまやたいていの材料は、手に入る。店員さんに相談してみてください。

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 上部のぶら下げるアーム部品はプラスチックのほうが便利かなあと最初は思っていたのですが、我が家の劣化洗濯物干しハンガーは、その部分も滞りなく壊れているので、新しいものをどこで調達すればいいのか考えているうちに面倒くさくなってきた。結果、手近のクローゼットにあったステンレス製スラックスハンガーを腕力で折り曲げて整形。

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 腕力といっても二本のペンチに万力、ハンマーまで使ったから、これを外に干したからといって巨大台風ごときで元の形にもどることはありえない。そもそも、台風が来たら外には干しませんし。猫が飛びついてぶら下がるくらいでは平気だと思う。

 やっと洗濯物干しハンガーらしくなってきたので、最終工程として、洗濯バサミを取り付けます。

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 道具箱にあったカーテンレール用のリングと、チェーン、前述した取替用ピンチの三種を、まんべんなく配置してみる。チェーンで取りつけるとシャリシャリ音がするし、カーテンレールのリングはスルスル動き回る。第一印象としては、やっぱりそれ用に作られた角形ハンガー用汎用取替ピンチが素晴らしい。

 これで、いちおうの完成。
 この道具の不死、という定義は、つまりは私よりも長生きするということであり、世のアルミニウム製網戸が古民家でも壊れず嵌まっていたりするのを見るかぎり、けっこうな説得力のある不死が描けのではなかろうかと自賛する。少なくとも、直す私の指先と思考が絶望的に衰えるまでは、我が家で洗濯物をぶら下げ続けてくれるだろうと期待しつつ。

 壊れない洗濯物干しハンガーを入手した顛末。
 以上。





 ノートパソコンにWindows10を入れて使ってみて、XboxOneと連携させたりしていた先月ですけれども。

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『Windows10でXboxOneをストリーミングするレシピ』のこと。

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 ひと通り感触をつかみ、不具合もなく、マイクロソフト社的にも最後のWindowsだとか言っているし、これはタイミングかなあ、と思い立つ。

 なにかと言えば。
 起動させているマシンのなかで我が家最古のデスクトップパソコン。

 執筆用。

 ほかのなににも使わないので、無駄にRAIDなど組んで2007年頃には、すでに無情を感じていたりしたのですが。

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『RAID無常』の話。

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 その後、ハードディスクはひどく安くなり、SSDなんてものも普及して、無料のクラウドサービスもあまたあり、RAIDなんて重くなる原因になるだけだなと感じながらも、それはそれとして同じく安価になってきたメモリも増やしていって4GBもあれば別にWindows Vistaでも平気っていうかグラフィックボードが年代物なのでWindows7になれるかどうかも怪しいくらいで……

 問題が起こっていないメイン機を、いじって問題が起きたら困るし、なによりも、そのマシンで一年中書き続けているために、OSを入れ替えようというタイミングが、まずなくて。

 思えば遠くに来たもので、Windows10。
 Xboxの歴代ユーザーで、携帯はWindowsPhoneなのに、Vistaで小説を書いている。

 インストールできなかったら、マザーボードから変える覚悟で挑みました。その顛末。結果として十年選手な私の愛機にもWindows10は入ったのだけれど、その作業過程では「もうこいつは二階の窓から放り投げて近所のジョーシンでメーカー製の新しいのを買ってくる!!」と本当に口に出すような状況もあったということで、そのあたりを、備忘録のごとく。

 試行錯誤の、誤りの部分の詳細は記述しません。
 やったことを列記。

●Windows8アップグレードアシスタントを実行。

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Windows 8 アップグレード アシスタント

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(Windows10のアップグレードアシスタントは探してもないため。8が入れば10も入るということなのだろうが、後に、このせいで疑心暗鬼になる。いざ行き詰まったとき「8のアップグレードアシスタントでOKだったけれど、やっぱり細かいところで10は違うのでは?」との思いが沸き上がるのであった)

 してみれば、これがもうまったく問題がない結果。執筆に使っている『一太郎』を最新バージョンにしなくてはならないが、それはわかっていたこと。あと、「お使いのPCにはセキュアブートとの互換性がありません」という要確認事項が表示されるが、これは「最新式のブート(起動)に対応しませんよ」というだけの意味で、従来通りのブートはできるはずなので気にしない。少なくとも、この時点では気にしていなかった。

●Windows10を買ってくる。

Windows10

 ていうか、持ってきてもらったわけですが。ダウンロード版でもよかったのだけれど、なんだかダウンロード至上主義なXboxOneの愛用者であっても、パッケージ版というのに惹かれてしまう。それで通販。この選択が後に、またややこしい一因となる。

●ハードディスクを新調する。

 RAIDとの決別。いやなに、今回の件を決断したのには、ハードディスクの情報を解析するSelf-Monitoring, Analysis and Reporting Technology( S.M.A.R.T.(スマート))において、肝心カナメのRAID組んでいる複数ハードディスクすべてに「きっともうすぐ寿命が来るよ」の黄色マークが神々しく点ったせいもある。これもRAIDのアホさだといまになれば思う。同時期に買ったハードディスクでバックアップ領域を組んでいるのだから、バックアップがバックアップ元と同時期に逝ってしまわれる可能性がとても高くなるのは自明の理である。そんなわけで、お安くなったハードディスクを買ってきて、複数の老いぼれたものどもと交換してシンプルな構成にした。新品のハードディスクにWindowsをクリーンインストール。失敗する要素がなにもない。という気分になる。気分は気分だけのものなのに。

●さて本番。

 詳細は書けば書くほど、今回のこの記事をググって読んでくださっている方にとっては混乱する(ここまでの前置きも長いよな。わかってはいるんだ)だけでしょうから、私の場合の、起こった問題と解決策。

 いざ買ってきたWindows10入りのUSBからブートしてみれば……

「このディスクにWindowsをインストールすることはできません。このコンピューターのハードウェアでは、このディスクでの起動がサポートされていない可能性があります。コンピューターのBIOSメニューで、このディスクのコントローラーが有効になっていることを確認してください。」

  ブートはするがインストールできない。
 ここまで書いてきた、様々な疑う心の暗き鬼娘が跋扈するが、丸二日ほど頭を掻きむしった結果、単純な事実に突き当たる。

●結論。

 インストール先以外のディスクがつながっていると、このメッセージが出る。

 だが、私の場合、いままで使っていたハードディスクをすべてマシンからもぎ取って、新品のハードディスク一台だけをつないでいた。

●承服しがたい結論。

 マシンに突き刺さっているUSBメモリが、邪魔なディスクだと認識されている。

●いや、だって。

 そのUSBメモリにWindows10が入っているんだぜ? 10からディスクではなくてUSBで売ることにしたのはマイクロソフトなのに、それを正規のルートから購入してインストールしようとしたら「USBメモリが邪魔でインストールできません」って!!

 えっと、だれを殺せばいいのかな?

 ……冷静になれ。そこからまた丸一日ほど、家族も同僚も、なにやらぶつぶつ言っては頭を抱える私を遠巻きにしていましたが。

 たどり着けば、それはまた単純な結論。

●最初からダウンロードにしておけばよかった。

 いまからじゃ無理なの?
 いいえ、だって、Windows10は、7や8からは自動でアップデートできるんですもの。そのひとたち(私もだが)のマシンになにかあったらどうする気? 彼らは7や8のリカバリディスクしか持っていないから、OSの再インストールができないことになる。無料アップデートは一年限りだって言っているのに、一年後に再インストールの必要が出たらどうするってんだい。

 などという、当たり前の心配に、タマを用意しないはずがないわけもないに決まっているマイクロソフトの偉いひとは、このページを無料公開しているのだった。

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Windows 10 のダウンロード

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 粛々と、DVDを焼きました。
 そして無事、インストール完了。

 つまり、私が買ったWindows10の入ったUSBメモリは、私と私のマシンを混乱させただけ。だれでもネットから入手できるWindows10のインストーラーで、私のマシンにそれは注入された。

 もちろん、インストールするのにプロダクトキーは必要なのですが。そう考えると、私はポケベルでさえ送ることのできる25文字を、わざわざ箱詰めにして送れとダダイズムをこねて宅配業者さんの手をわずらわせたわけで。人手不足の昨今に、しかも資源のムダ。せめてWindows印のUSBメモリをカラにして再利用したいところだけれど、もちろんバカな子が上書きしないように読み込み専用になっており、書き込めるようにスイッチできる機能などもついてはいない。ああことごとくなんたるムダ。

 なんにせよ、そうしてインストールは完了したのですが。

 懸念していたグラフィックボードが……
 モニタの解像度が上がらない……
 悪すぎてめまいをおぼえる冗談のように荒い画面。えーアップデートアシスタントで問題ないって出たじゃないですか……ああ、あれは8のアシスタントだったっけ……

 さすがに十年選手だしな。あきらめてグラボだけ新しいの買うか。と覚悟を決めつつ、もう疲れ果てて、グラフィックカードのドライバを覗いてみたりすると……「Windows標準ドライバ」? あーそうなるんだ。もしかして、Windowsアップグレードアシスタントって、そこまで有能なの?

 有能でした。

 マイグラボはNVIDIA製なのですが。

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NVIDIAドライバダウンロード

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 自動検出してもらって、表示されたドライバを入れたら、あっさり直った。私的には問題なくなったので問題ないのですけれど、ウィンドウズのツールが世界中のパソコンのグラボメーカーさんがWIN10用ドライバを用意しているかなんて、本気で調べあげて表示しているとは思えず。ググってみたら、案の定。各方面で「NVIDIAだけど解像度上がらない」なんて記事が散見されます。年代には関係ないみたい。古くても私みたいに上手くいくものもあれば、メーカーさんの対応待ちなものもある。やっぱりWindowsアップグレードアシスタントは万能ではない。USBメモリが競合してインストールできないなんて状況を見越せない時点で、私のマシンの大切な部分をなんにも見ちゃいないじゃないかというのはわかっていたのですけれども。

 ともあれ、無事インストール。

 さっそく自動ログインを設定。
 「Windows」キーと「R」キーを押し「netplwiz」と入力。「OK」をクリックしてユーザー名を選択。「ユーザー」タブの「ユーザーがこのコンピューターを使うには、ユーザー名とパスワードの入力が必要」のチェックを外し「適用」をクリック。

 私専用Windows10マシンの完成。

 寿命が近いと警告されている古いハードディスクも、寿命が来るまで使い倒すために初期化してつなぎ直し、RAID解体したために、使い切れないほどの空っぽのハードディスクがぶんぶん唸る箱に。素敵。

 さて、あとはアプリどもを入れ直して……

 って、あれ?
 我がサイト運営に欠かせない『FFFTP』がWindows10未対応とかなっているんですけれども……いやいやいや。Windowsアップグレードアシスタントでは「互換」と自信満々に……

 これもどうにかなる手段があるのか、それとも単にアップグレードアシスタントが適当なのか。
 まだしばらく、頭を掻きむしって血を流す日々が続きそう。

ichitaro15