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 オープン三日目のなんばマルイに行ってみた。
 すごい人間の量。
 そもそもバーゲンとか大嫌いで、並ぶくらいなら高くてもいいよ、並ばないと買えないならいらないや、という性分(行列の出来る料理店より、味はそこそこでも「喰いてえ」「よし喰え」という呼吸のほうが大事だという思想です。恋愛観にも通じる。こっちがコントロールできるかどうかというのは最重要項目である。不味くても良いと言っているのではない。凝ったつきだしを用意するのに時間がかかるというなら、肴はあぶったイカでいい~、というかそっちが極上だと思うのである)なので、百貨店がヒトであふれかえっている状況というのが、私には珍しい光景だった。

 なんていうか、あれですね。
 これが、あの東京の風景といえばそびえ立っている○|○|さんですか──なんつーか。当たり前だが普通の百貨店だ。しかも地下から最上階まで服屋だけ。酒もケーキも売っていないし、本屋もない。カッコイイ革のブーツが目を惹いたけれど、この人混みがなくなって、がらんとしたこの空間で店員と話すことを考えたら、どんな魅力的な商品も欲しくなくなる気がする。自分が接客業していておかしなことだけれど「お客様」と言われた途端に買う気が失せるのである。電脳空間の進歩がなければ、私はいまとはまったく違う人間になっていただろう。もちろん、リアルでも行きつけの店は数件あるが、私の場合、商品よりも店員が「こっちを無視してくれる」ことが重要になる。私もそういう接客を心がけている。すぐそばで、いかにもなんだか説明を受けたそうにしていても、振り向いて見つめられるまでこちらからはお客様には話しかけない。目が合えば、静かに頷いて微笑む。なんでも訊いて。全力でお力になります。でもそれはあくまで求められたときだけ。

 絶対、世の中そういう接客を望む人は多いと思うのに、なんだかやたら話しかけてくるのはここが大阪だからでしょうか。

 いまさっき、近所の業務スーパーで冷凍鶏肉を4キロほど買ってきたのだけれど、レジに並んでいたら隣のオバチャンが(店員ではない。客だ。私も客だ。私とその人は赤の他人である)、

「にいちゃんこれなに?」

 私の買い物カゴに入っていた商品を、手を突っ込んで持ち上げて振ってみせる。
 ちょっとおかしなヒトなわけではない。
 けっこうよくいるタイプの大阪のオバチャンである。
 それは冷凍オニオンソテーだった。
 パッケージにでっかく書いてあるし。
 オニオンがなにかわからないのかいオバチャン。

「炒めたタマネギ」
「へえっ!」

 そんなもんまで売っとんのかいな!!
 とオニオンソテーを私のカゴに戻す。
 白く霜が降りていたパッケージに、オバチャンの指の跡がくっきり残った。

「カレーつくんのに便利やないのっ」

 どうコメントしろというのだ。
 と、私を挟んで立っていた別のオバチャンが、自分に話しかけられたのでもないのに振り返って相づちをうつ。

「そう、ほんま便利やで~」

 なんの同意だ。
 なぜあんたが自慢げなんだ。
 レジの青年が私に苦笑を向けてくれた。
 鬱陶しいでしょう? とでも言うみたいに。
 私と彼が目と目で頷きあうのを、オバチャンたちは意にも介さない。

 会計をして、鶏肉とオニオンソテーをリュックに詰めながら、なんばマルイのオシャレな空間を思い出す。二十代三十代をターゲットにしたと豪語するだけあって、オープン直後の人混みにもスーツ姿のオッサンとか、麗しきオバチャンとかまるで居なかったけれど、落ち着いてきたら大阪中を歩き回るオバチャンたちの侵入が始まるだろう。買う気もないのに各店の店員に話しかけて回る彼女たちも、客には変わりないから、そのうちオバチャン向けの商品も増えてくるはず。
 ニュース番組で、インタビューを受けていた通行人が、至言を吐いていた。

「大阪らしくないお店だけれど、これからだんだん変わっていくんでしょうね」

 業務スーパーの駐車場からバイクを出そうとしたら、さっきのオバチャンなのか別のヒトなのかなんだかもうわからないどこかの見ず知らずのオバチャンが私の心配をしてくれた。

「黒いバイクかっこいいなあ。気ぃつけて帰りやあ」

 ──走り出しながら笑った。
 当たり前のいつもの風景だけれど。
 そこまで思ったことがそのまま口に出るのだと思ったら。
 ちょっと感動してしまう。
 だって、オバチャン、見ず知らずの私に本気で「気ぃつけて帰り」と思ってくれているってコト。
 良い街の良い人たちだとは知っているけれど、言葉や態度でストレートに示されると微笑んでしまう。
 恋愛観に通じる(笑)。
 でも、オバチャン思ったこと口にすぐ出すと怒られることも多いんだろうな。

 ああ、だから私は百貨店の対面販売が苦手なのかも。
 私自身がそうであるように、対面販売の接客って一種の演技だから。
 お客様のことは大好きだけれど、でもやっぱり微笑みは演技だから。
 普段の私は、微笑むことなんて滅多にない。

 大阪らしくない百貨店を覗いて、ぐっとこない自分を再確認した。
 品物は素敵なのにさ。
 商品だけが無数に並んだ、無人の百貨店でゆっくり商品に触れて選ぶなら楽しいかも。
 ──逆説的にそういうことなんだろう。

 私は、店員を無視できない。
 マネキンをマネキンではなくヒトだと思って恐縮してしまう。
 たぶん、店員がロボットでも、相手が私のことをお客様だと認識しているのだとしたら、恐縮してしまう。

 カタログやネットや、まして大型の量販店もなかった昔、対面販売が当たり前だった商店街では、私は買い物できない。
 私は、毎日、数千人を接客するのに、近所のヒトの顔も知らない。
 人付き合いと接客は切り離されたものだ。
 モノを買ってそれで生きているのに、モノを作っているヒトも売っているヒトも知らないのが当たり前の世界に生きているんだなあと思ったら、ちょっと怖くなる。

 百貨店という商売が成り立つうちは、世界は大丈夫。
 その絢爛な売り場に売り子が居なければ素敵なのにと夢見る自分を嫌悪する。
 落ち着かない。心が揺れる。

 だから百貨店は嫌いだ。
 けっきょく、なんにも落ち着いて見られないのだもの。
 私が他人を無視できるようになるか。
 それとも私以外の他人がこの地上から消えるか。
 私のほうが消えるか。

 おもしろくもない選択肢しか残らないから。
    
   
 結局、電話はかかってこなかったよこの野郎。

(余談ですが韓国映画を堂々とパクった(あっちもやっているんだからそろそろこっちもパクらねばな)、テレビドラマ『マイボス・マイヒーロー』が終わりまして。長瀬智也が良かった。すっかり「~のか、この野郎」が、アントニオ猪木のものから長瀬智也のものになっていた(笑)。『池袋ウエストゲートパーク』で、石田衣良原作では親しみやすい主人公だったのが長瀬の演技で妙にバイオレンスになっていてしかもそれが良かった(のちの朝基まさしによる『電子の星』コミック化のさいも、あきらかに長瀬のイメージに置き換わっていた真島クン。長瀬の功績だ)のをだれかが「これはイケる」とひっぱっていって作ったのが『タイガー&ドラゴン』──落語家を目指すヤクザ──それが良かったのをさらにだれかが「ますますイケる」とひっぱっていってもう面倒くさいから使えそうな原作も海外から拾ってきて作ったのが28歳のヤクザが高校生になって卒業を目指す話──さて次は。私としては「長瀬智也、もう極道役者に育てるべきなんじゃねえ?」とだれかがひっぱっていって、コメディ色なしのハードボイルドな役者に進化させてくれることを望んでいます。イメージの問題なんだろうが、これだけヤクザ演じて、長瀬が拳銃や日本刀をかまえてミエを切る、というようなシーンがまるでないのがもったいない。あの目力、武装してこそ生きるよ。事務所NGが出るほど、まだアイドル扱いなんだろうか。香港ノアールとかパクったのが観たいな)

my boss

「電話かかってこなかったんだけど?」

 翌日、こっちからかけたら名前こそ違うが、どう聞いても昨夜と同じ声で同じキャラを演じるジョルジュが同じようにうろたえて応対。この部署、チチョリーナをはじめ女性はみんなロボのように的確なマニュアル喋りなのに、男どもは総じて応用がきかないくせにマニュアルを捨てている。9時営業開始9時営業終了の直後直前ばかりに電話をかけるからかもしれない。そういえば、チチョリーナが登場したのは休日の真昼間だった。問い合わせの多い時間にエースを投入し、クレーマーの多い時間帯に男性スタッフを配置しているつもりなんだろうが、朝イチで「昨日電話くれるって言ったよな!」と電話しているこちらにしてみれば、せめて自分を待たせたのが怯えた男よりも冷たい女であって欲しかったと思ったりもして。

「いま記録を……ああ、再度の調整をかけましたのが夜遅くでしたので、当日中に作業が終了しなかった模様です」
「あのさ。ジョルジュ、いまから調整かけます、終わったら必ずお電話いたします。それしか言わなかったんだ。もちろんこっちは待っていたんだよね、日付が変わるまで。翌日にまたぐことがあるなら、それは事前に伝えなければいけないことじゃないかな?」

 世の中には、驚くほどそういう人が多い。
 私も仕事柄、よくメーカーだの問屋だのに商品の問い合わせを電話越しにするが──「あれ? 事務のほうからお電話いきませんでしたか?」「おたくの事務は営業の者から電話させますって言っていたけど」「ああそうですか、それじゃえーと、なんの件でしたっけ?」──こんな会話が、一日に一回は絶対ある。同じ会社のなかで、意思の疎通ができていなくて、言葉が足りなくて、結局、待たされるのは客だ。みんながちゃんと自分の仕事をしているんだけれど、きちんと伝わらない──伝えない、から、みんなが不機嫌になる。

「申し訳ありません。再調整となりますとさらに詳しく調べていくことになりますので、そうですね……なんとか今日の昼頃までには終了するかと思うのですが」

 ──だから、そんな時間かかるなら先に言えって。
 平日の昼間だぞ偽ジョルジュ。家にいて電話待ってると思うほうがどうかしてる。
 いやまあ留守電にでも入れてくれればいいさ。だから繰り返すが、最初から作業は十時間以上に及びますと一言あれば、こちらもそんな大変な作業をがんばってくれてありがとうと感謝もできたのに。電話してどうなってんのと訊ねざるを得ないような状況になぜあえてするんだよ、もったいない。

「申し訳ありません」

 謝らなくていい。
 待っていてくださいと言ってくれればおとなしく待つよ。
 で、待つことにした。
 数日後、封書が届いた。

「調整は完了しております」

 ありがとう。ありがとう。
 ありがとうなんだけれど──
 今日も今日とて自動切断。

「依然として落ちまくっているんですが?」

 またこちらから電話した一週間後。
 長い闘いになった。
 『Halo2』のレベルは10にまで落ちた。
 もはや『3』の発売までに、全盛期のような20に手が届きそうだと夢見たようなレベルへ舞い戻ることはないだろう。

「それではもう一度さらに詳しく調整させていただきます」

 今度のキャラは、偽ジョルジュのバージョンアップ版のようだ。

「前回、作業の終了後にお電話など差し上げなかったと思うのですが」

 なに言ってんだろう、この人。
 だんだん会話が同じことの繰り返しで現実感がなくなってゆく。
 彼らが総じて怯えた様子なのも、こういうことなんだなと気づいた──ネットに依存して生きる現代人が、一週間、なにをやろうとしても回線が落ちて台無しになるというような状況に置かれると、もうどうやっても機嫌の良い声なんて出せない──それでも私は敬語で喋っていたが、この部署の人たちって、きっと毎日のように客から怒鳴られたり嘆かれたりしているのに違いない。
 どうやら向こうの記録では、封書で作業完了を知らせた旨だけが記述され、電話でのやりとりは記載されていないようだった。

「大変ご迷惑をおかけしていますので、今回は、作業完了後に必ずお電話差し上げます」

 なるほど。それは再調整のときのマニュアルなんだ。
 「作業完了後に必ずお電話差し上げます」と口にしたジョルジュは、正しかった。
 ただマニュアルだけを口にして、お電話は明日以降になるかもしれませんと伝えなかったこと以外は。

「今日中に、ですか?」
「はい、お昼頃には」

 既視感に襲われる。
 この一週間、私はなにをやっていたのだろう。 
 こちらでは手も足も出ない回線状態の調整。
 訊ねては「ではもう一度」の繰り返し。
 偽ジョルジュ・アップグレードは、最後に苦笑いしながら訊いた。

「ご近所で、最近特に変わったことなどありませんか?」

 ──ええと、それは?
 調整しても調整しても安定しないほど、回線に影響を与える──たとえば向かいの家のバカ息子がミニFM局を開設したとか、高周波を発する電磁装置を搭載した某宗教団体の白塗りのバンが駐車しているとか、未確認飛行物体が目撃されたとか?
 ねえ偽ジョルジュ・アップグレード。
 その質問に「そうなんですよ実はっ」と答える客が、これまでにいたのか?

「いえ、特に」
「そうですか……」

 落胆するなよ偽ジョルジュ・アップグレード。隕石が近所に落ちたら、まっ先に君に知らせる。約束だ。

「それでは、しばしお待ちください」

 経験で知った。
 もう私は偽ジョルジュ・アップグレードと二度と言葉を交わすことはない。チチョリーナと、ジョルジュと、偽ジョルジュと、そうであったように。私は無数の顧客のうちのひとりで、彼らは無数の顧客とランダムに結ばれる問題解決人だ。
 電話を切る前に、言った。

「それじゃあ、お願いします。ありがとうございました」

 はい、ありがとうございました。
 偽ジョルジュ・アップグレードが答えた。
 笑っていた。おかしくてや嬉しくてではないだろう。安堵して。問題解決人は、とりあえず、いま自分の仕事が一段落したことに笑ったのだと思う。

 その日から、回線は復活した。
 最初の再調整のときは、私が自宅を留守にしていたので、まったく回線が使われていない状態で調整をかけたことが敗因になったのだと思われる。再々調整のとき、私は家中のネットワークをフルに開いて『Halo2』と『DOA4』をつないでは落ちまくっていた。結果、偽ジョルジュ・アップグレードは、その過酷な状況でも落ちない回線調整をしてくれたのだ。

 高速ADSLを使っているゲーマーがよく言う。
 私も、それは仕方のないものだと思っていた。

「ADSLって、電話かかってくると一瞬切れちゃうんだよね……」

 その問題さえ解決されました。
 もしもあなたのADSL回線が電話がかかってくるとゲームが止まる状況で、イラついたことがあるのなら。
 チチョリーナたちにお願いすることを勧めます。
 彼らはプロだ。
 手も足も出ない問題を、最終的には解決してくれる。

 いろいろあったけれど水に流そう。
 ありがとう、と心から。
 
 先週から、なんだかやけに回線が重いなあ、という気はしていたADSL。ADSLの限界に挑戦する速度のものを使っていて、これまで不具合なんて一度もなかったのですが、ようやくXbox360も直ってきて『Halo2』のレベルも15まで戻ったところだったのに、昨日から回線異常も極まっている。

dark angel

 (360買ったなら、ぜひ360でも動く『Halo2』を手に入れることを勧めます。プレイして、これを名作だと呼ばないだれかにあったことのない、奇跡の名作。ぜひYoshinogiをさがして闘い挑んできてください)

 ACCA(回線業者)さんに送ったメールをそのまま。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

富士通○○○モデム使用、この数日、異常に速度が遅く、回線がたびたび切断されエラーも「ADSLリンクダウン」「PPPサーバ応答なし」「LCP対向応答なし」「ATMレイヤーエラー」など回線の不安定さによると思われるものが頻繁に発生。設定の変更等は行っていなかったが、機器の不調かと思い一から再設定するものの状況が改善されない。LAN上の他の機器でも同様の状態であり、PCとモデム直結でも発生するため、モデムもしくは回線の異常と思われる。まったく接続できないわけではなくメール等に支障はないが、速度の低下はともかく数分ごとに回線が切断されてしまうためにリアルタイムでの作業がまるでできない。回線の異常、もしくはモデムの不具合であるのなら早急な対応を望みます。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 祝日の月曜日にもかかわらず、翌日には返信が来た。
 えらいぞACCAとOCN。
 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ADSL接続状態不安定の症状に関しましては、さらに詳しい状況を伺った上で問題切り分けを行いたく、弊社担当部署よりお電話させていただきます。
大変お手数ではございますが、弊社営業時間内でお電話がつながる日時をお知らせくださいますようお願いいたします。

なお、ご指定日はお客様がご返信された日の翌日以降でお願いいたします。
(例:ご返信日が9月18日の場合、ご希望日は9月19日以降)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 ムキーッッ。こっちから電話してやるかこの野郎(相手は女性だが)、と思いつつ、家にいるのかどうだか危うい時間帯を返信した。だって次の休みとか一週間以上後なんだもの。つーかさあ、回線が遅いとかはともかく、常時接続回線が数分ごとに切れていたらそれ金かえせって話でしょう? 即座にどうにかしろ。さしあたって『Halo2』のレベルが13まで落ちたのを返せよ(回線が落ちると、対戦相手たちには「あ、吉秒逃げた」と映る。『Halo2』ではそこまでの成績がどれだけ良くても、対戦途中にゲームから抜けたプレイヤーには厳しいポイント減点措置がとられるのである)。しかしまあこちらも接客業に携わる身、客の都合に合わせる苦労もよくわかっているので、ていねいに返信した。

 いちおう、今日も電話くれれば家にいるよと追記しておいたが、たぶん彼女は祝日に自宅勤務でメールに返信かえしているだけなんだろうなあ。調べてみると、ADSLのこういうリンクダウンというのは突然起こるもので、決して珍しいものではないらしい。ググってそのことがわかったから、もう自宅の機器異常を疑うのはやめて業者にメールする道を選んだのでした。場合によっては、向こうの回線調整でさくっと直ったりするらしい。

 HDDレコーダもテレビ番組表が途中でフリーズする使えないっぷり。驚くほどこういうケースが多いのは検索結果を見ればわかった。常時接続回線は、ライフラインだという自覚を持って欲しいです。もしも私がADSL回線使って遠隔手術とかしている最中だったらどうするつもりだったんだ。それはないにせよ、株で大損とか。それともこれは光回線を普及させようとする業界内の企てか?(実際この二日で検討し始めている自分がいる)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 返信したメールに追記のように書いたことはすっかり忘れ「ようやく台風も過ぎ去ったし本屋行ってついでにオフラインで遊べるゲームでも買ってくるか」とバイクで走り出して、新しい靴を買いたかったのだが良いのは見つからず、古本市場で『ダークエンジェル』他六冊ほどを買う。

dark angel

(『ダークエンジェル』のノベライズは興味を持っていたのだけれど他にも読むべきものはいっぱいあって手がのびずにいた。上のリンクで見てもらえばわかるが、アマゾンでも酷評だし。しかし、それでも売れるし、私も読まずにはいられないのは、原作であるジェームス・キャメロンのテレビシリーズが、ものすごく良い出来であったにもかかわらず、ものすごく中途半端なところで終わってしまったから。ああ、ヤツらはいったいどうなるのかなあ、と観ていただれもがずっと気になっているのである。一度生み出した以上、キャメロンには小説とかゲームとかでいいから、頭の中の構想をきちんと生み出しきって『ダーク・エンジェル』を完結させてから逝って欲しい。まあ、たまたま今日は古市「文庫一冊105円の日」だったので、通常ならユーズドでも四百円くらいするぶ厚いのを選んで買ったなかに『ダーク・エンジェル』が入ったというくらいの「読まずにいられない」ではあるわけだが(笑))

dark angel

 そして、360ユーザーで、しかもこれまでのシリーズはすべて買っていたくせにまだ買っていなかった『デッドオアアライブ4』を買った(世界で一番美しい!! 『Xbox 360™ プラチナコレクション』の発表があったばかりで『DOA4』は第一弾には含まれていないが、確実にそのうち発売される。ということで迷ったのだけれど。闘りたいときが闘りどきです)。

 ついでに妻に頼まれたあぶらあげ(キツネのエサ)とじゃがいも(ゾウのエサ)を古市の隣の百円ショップで買って帰ったら、なんと回線業者から電話がかかってきたという妻のメモが置いてあったのでした。
 えらいぞACCAとOCN。
 マイクロソフトのときにも書いたが、こういうレスポンスの早さが「もう他業者の光に移っちまうか」と思いかけていた私の心をぎゅっと掴んだりするのです。ミスしても即座に謝る。あわあわしながらも「すぐになんとかいたしますから」と口にして、なんとかするようにする。できなくてもする。客商売の基本だ。とりあえず電話っていうのが良い。たぶんすぐには解決しないんだとしても、解決策ができあがるまでなんの連絡もせず客待たすってパターンが多いなか、祝日なのに連絡してくる姿勢が、とりあえず気分は良い。

 で、いま電話待ち。
 もしもあなたがADSLのリンクダウンのお悩みでここにたどり着いているのならば、電脳世界で自力で答えを見つけようとせず、とっとと業者にメールなり電話なりすべきです。それは彼らの仕事です。よくあることらしいからきっとすぐ直るよ(希望的観測)。プロに任せよう。

 と、言ってる間に電話が来た。
 チチョリーナ(仮名)さん。
 ものすごくていねいな話し方をする女性だ。最初自動応答かと思ったくらい。ロボ。完全にマニュアル化されている。
 忘れないうちに会話を書いておこう。

「吉秒匠さまでしょうか」
「ええ」
「回線の不具合の件でお電話させていただきました、わたくし今回の担当チチョリーナと申します。よろしくお願いいたします」
「よろしくおねがいします」
「いまも不安定な状態が続いていますでしょうか」
「ええ、二画面で同時にページ読み込みなどすると確実に落ちますね」
「そうですかそうしますと、回線の具合を調整させていただくということになります」
「あ……ええ。ああ。そうですか」

 あっという間に話が進む。
 チチョリーナ怒濤の攻撃。

「今回、回線の調整ははじめてということで」
「少し速度を落として回線を安定させるという方向で」
「あまり速度も落としたくないということですね」
「では、4メガほど落とさせていただきます」
「はい、モデムのアクセス画面をごらんになっていらっしゃるようなので、確認していただけると思いますが、いま回線を落としました」
「はい、速度を変えて、安定性をあげて接続させていただきました」

 ええ、つながりましたね……
 本当によくあることなんですね、はじめての調整だという私が珍しいヒトみたいだ。みんなこうやってるんだ。
 ところで今回、突然に回線が弱くなったというのはどういう原因だい、チチョリーナ?

「そうですね、原因と致しましては、突発的な回線の不具合ですとか……」

 はじめて言葉を濁す。マニュアルでも濁してあるに違いない「……」をアナウンサー読みした沈黙。まったく答えになっていないぞチチョリーナ。ああ、そうですか、と苦笑いしてしまった。でもチチョリーナ笑わない。偉い。私もそれで何度も失敗したことがある。客が皮肉に笑ったからと言って笑い返したら「なに笑っとんねん貴様」と詰め寄るのが大阪の客である。あくまで冷静に。次の句を告げる。

「はい。またはモデム自体のなんらかの不調によって、ということも考えられます」

 それは確かに疑った。ADSLの回線速度が上がったときに即座に申し込んで、それ以来、使っているモデムだから、パソコン周辺機器としては充分に寿命の可能性がある。なにせ毎日フル回転だし。

「今回の調整でまだ不安定ということでしたら、お電話いただければ再度調整させていただきます。数回繰り返しまして、それでも安定しない場合はモデムの交換という場合もございます。不安定な状態が続くようでしたら、お早めにお電話ください」

 ありがとうチチョリーナ。でも君には打ち明けられなかったが私はゲーマーでしかもアクション至上主義者だから、これ以上回線の速度が落ちるのは、いくら安定させるためとはいえつらいよ。そのときは、お別れになるかもしれません。

 直ったのかな本当に。
 ちょっと『Halo2』やってきます。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 ……ダメだった……
 あきらかに良くなってはいる。良くなってはいるが、やっぱりシバくと落ちる。LAN上で二台のマシンが同時起動して落ちるようでは常時接続ブロードバンド回線とは呼べない。『Halo2』はゲーム開始まで至らなかった。参加メンバーをつのるところまで行くのだが、スタート前にPPP応答がなくなりリンクダウン。「不安定な状態が続くようでしたら、お早めにお電話ください」というチチョリーナのささやきを思いだし、今度はフリーダイヤルへこちらからかけたのだが、チチョリーナの名を出しても彼女のもとへ戻ることはなく、別の担当者。今度はスポーツ経験のないメガネの茶髪(声のイメージ)、もと科学研究部のジョルジュくん。なんか必死さの伝わってくる喋りだ。祝日の20時まわっていまからうちの回線調べてくれるとは悪いねジョルジュ。ていうかもうモデム交換にしようよ。

「それでは、再度の調整と、回線の調子などをですね、調べさせていただいてから、再度こちらからお電話させていただきます」

 おい、切るのかい。21時までの営業のはずだが、いまから仕事入れていいのかねジョルジュ。

「必ずお電話差し上げますので、モデムの電源だけは落とさないようにしてください。インターネットなどは使っていただいてかまいませんので」

 言ってジョルジュは電話を切った。
 五分待つ。電話が来ないので、これは長引きそうだとネットが良いなら『Halo2』もいいよね、と起動する。駆けていってPCモニタのモデム管理画面をのぞき込みチェックしつつ。

 お……
 落ちない。まったく落ちずにゲームスタートまで行ったよ、すごいよジョルジュ!!
 はじまっちゃったから10分かけてこないで。
 おお……回線の状態表示がこの一週間ずっとイエローだったのが、グリーンに。
 速度は落ちたのかもしれないが、充分アクションゲームがラグらないレベルで安定しているように見える。
 ジョルジュ、スゲえ。さすがメガネ。さすがもと科学研究部。

 ちゃんと10分ゲームできた。
 PCの前に戻って、ADSL速度チェックのサイトを呼び出し、速度を調べる。360でコンテンツダウンロードしながら速度チェックのためのダウンロードだ。これはキツイだろう。大丈夫かなあ……と思ったら……案の定、また落ちた。
 そっちでも見えているかいジョルジュ。
 落ちたよまた落ちた。
 もういいよ、よく頑張った。
 電話してくるがいい。
 新しいモデムご用意させていただきますと言えばいい。

 と、いうわけでいま待っています。
 ていうか予想を遙かに超えて22時を回りました、回線はいまだ落ちたりつながったり。ジョルジュの仕業かも。さあどうなる私のオンラインライフ。とりあえずご飯を食べながら待つことにする。ごめんよ仕事中のジョルジュ。
 結果はまた後日。